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2020年10月 4日 (日)

大河ドラマ麒麟がくる・(27)宗久の約束 ~光秀と信長、ついに上洛!~

永禄11(1568)年7月、足利義昭の一行は美濃立政寺に到着しました。
織田信長は、調度品や金銀をそろえて義昭を出迎えます。
義昭はその心遣いに感激しつつ、これだけの金銀があれば
どれだけの民が救えようかと、調度品には目もくれず大喜びです。

岐阜城に戻った信長は、銭を手にして感激する義昭を思い出し、
戦をする支度金であって銭は民を助けるためのものではないと明智光秀に愚痴を言います。
6歳に仏門に入れられてから23年、29歳まで僧侶として生きた義昭を
棟梁として生かすも殺すも信長次第と光秀は説得します。

信長はかつて光秀と話し合ったように、これから上洛して幕府を立て直し
諸国をまとめて大きな世を作り上げるつもりです。
妹のお市が嫁いだ北近江の浅井長政もともに上洛を果たしたいと言っていて
信長は数日、話し合いのために出かける予定にしています。

信長は光秀に、三好一派の兵の数を調べてもらいたいと依頼します。
それとともに朝廷内部では三好たちをどう思っているのか、
信長が上洛したとき、三好一派から乗り換える気があるのか、その感触も調査せよと伝えます。
「京には木下藤吉郎を潜り込ませてある。猿面をした、あのおしゃべりだ」

京の都では、藤吉郎が漁師に扮して魚の切り身を売りさばいています。
そこに、山伏姿の光秀が現れて、傍から見ればなんとも変な場面です。
ともかく、山伏姿では逆に目立ちすぎると言うので、
藤吉郎が適当に着る物を見繕ってくれます。

藤吉郎の話では、すでに信長が義昭を擁して攻め上るともっぱらのうわさで
三好一派の警護の厚さが見て取れます。
織田の者だと知れたら即刻首を刎ねられるとかで、
3年ぶりの京である光秀は緊張しますが、

信長が義昭を擁して攻め上る、織田軍は強い、10万の兵で来るぞなどと
うわさを流しているのは、何を隠そう藤吉郎自身なのですから
光秀を前にしてガハハと大笑いし、光秀は苦笑しています。

信長から光秀を守れと言い使っている藤吉郎を従えて
光秀は望月東庵の屋敷に向かいます。
外で待つように言ったはずの藤吉郎が家の中までついてきて、
東庵と駒と久々の再会を果たします。

そう、藤吉郎がまだ信長に仕える前、字の読めない藤吉郎に
駒が丁寧に字のてほどきをしてくれたのです。
その関係性に光秀は眉毛をピクピクさせていますが、
ともかく、藤吉郎がいまあるのは駒のおかげといっても過言ではありません。

ただ、藤吉郎が信長の家臣に取り立てられたことを聞くと
東庵は慌てて口封じにかかります。
奥の部屋で療治をしているのは、三好長逸(ながやす)の家来衆で
ここで騒ぎを起こされては困る、と東庵は必死に手を振ります。

もともと光秀は駒に頼みたいことがあって東庵の家に来たのです。
信長からの指令である、三好一派について朝廷内部ではどう思われているのかですが
関白近衛前久は伊呂波太夫と親しいのを知っている光秀は、
太夫との取次ぎを頼みたいわけです。

「京で三好さまと戦をなさるのですか」
光秀の役目を知った駒は急に表情をこわばらせ、光秀を問い詰めます。

光秀は、この乱世を治めるためには、戦をなくすには、幕府の立て直しが急務であり
やむを得ないことである、と答えますが、
駒の願いは、戦は決してあってはならぬのです。
刀を抜かずに上洛を、家に火をつけずに上洛を、駒の思いを必死に伝えます。

駒の案内で太夫のところに連れてこられた光秀は
三好勢と織田勢のどちらが強いかは朝廷は息をひそめて眺めている、と情報を得ます。
ただし、たくさんの鉄砲を持ち、兵も京の周辺から手あたり次第かき集めてくる
三好勢はとても強い、とも聞かされます。

それだけ戦ができるのは金がたくさんあるからなのですが、
三好勢の後ろ盾として堺の会合衆がいて、お金はいくらでも都合してくれるわけです。
特に今井宗久は鉄砲の玉薬を一手に握っていて、
明からの船が一隻入るたびに1万貫もうけるとのことです。

店の外で聞き耳を立てていた駒は、かつて駒の丸薬を売ってみたいと
言っていた商人が今井宗久と名乗ったことを思い出します。
堺の会合衆が三好勢から離れれば戦をするのが難しくなると考えた駒は
「そのお方、明日もお寺へおいでだとお聞きしました」と光秀に教えます。

宗久の言い分は、堺の商人は異国との商いで生きていて
その商いさえ守られるならば三好と織田のどちらが勝ってもいいわけです。

ただ、三好が担いだ旗印は播磨で倒れ、織田はいま大きな旗印を掲げています。
京を火の海にせぬこと、堺を守ること、その証に上洛時には鎧兜をつけたまま来ないこと、
これさえ守ってくれれば三好から手を引いてもいいと考えているのです。
他の会合衆の面々もいやとはいわないでしょう。

光秀は、宗久が点てた茶をぐぐっと飲み干し、宗久の要求を飲み込みます。

岐阜城に戻った光秀がさっそく報告に上がると、家臣団から反発を食らいます。
光秀は、将軍を擁して上洛する今回は、京を無益な争いから離し、
将軍の後ろ盾としてその下地を作ることにあるわけで、
三好への金の流れを絶てば、六角救援もできなくなると説得を続けますが、

戦はさほどに甘くはない! 笑止千万! と怒号が飛び交い、場は大紛糾。
「もうよい!」それが静まり返るのは、信長の鶴の一声でした。
信長は、織田の一存だけでは決められないと、
立政寺の義昭にお伺いを立てることにします。

「それは妙案じゃな!」
義昭は膝を叩き、愉快そうに表情を明るくします。
義昭がまずすべきことは、京の民に恐れを抱かせぬことであり、
都で無事に平穏に暮らせると約束することにあります。

三淵から意見を求められた信長は、自分たちは将軍に付き従うまでと答えますが、
対面の後で光秀にのみ話したことは、勝つまで兜は脱ぐなとの父親の教えであり、
将軍の考えにはあくまで不承知でありながら従うのだということでした。

去りかけた信長が踵を返して戻ってきました。
光秀は義昭に仕えるのか、信長の家臣となるのかを問われ、信長を見つめます。
「私の心は決まっております。将軍のおそばに参ります」

9月、信長は上洛を阻む近江箕作城の六角承禎を攻撃します。
六角・三好勢はたちまちちりぢりとなり惨敗。
その戦を終えた信長以下家臣団は、武装することなく義昭を奉じて入京します。
三好勢はすでに京から去り、京が戦火に巻き込まれることはありませんでした。

久しく息をひそめていた室町幕府が再び動き始める瞬間でもありました。


作:池端 俊策
脚本協力:岩本 真耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
染谷 将太 (織田信長)
門脇 麦 (駒)
谷原 章介 (三淵藤英)
眞島 秀和 (細川藤孝)
村田 雄浩 (稲葉良通)
安藤 政信 (柴田勝家)
金子 ノブアキ (佐久間信盛)
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滝藤 賢一 (足利義昭)
尾野 真千子 (伊呂波太夫)
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陣内 孝則 (今井宗久)
佐々木 蔵之介 (木下藤吉郎)
堺 正章 (望月東庵)
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:一色 隆司

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