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2020年10月18日 (日)

大河ドラマ麒麟がくる・(29)摂津晴門の計略

将軍・足利義昭の御座所たる二条城の築城が着々と進んでいました。
織田信長は近隣の国々から人や物をかき集め、
京のめぼしい屋敷や、寺社からの庭石や調度品などを差し出させ、
自ら陣頭に立ち、工事を推し進めます。

細川藤孝は、信長が半ば強引に二条城築城に精を出していることで
単に将軍の名を使って金目の物をかすめとっているだけではと
陰口をたたく者もいることに危機感を覚えていますが、
将軍の城を作ろうとしなかった者が文句などもってのほか、と明智光秀は取り合いません。

それよりも、幕府内部には寺や神社と深くかかわって
寺社が営む金貸しに食い込んで利を得ている者がいることの方が重大です。
取り上げられた調度品を返納してもらう代わりに多額の金銭を献上し
その銭を懐に入れてしまう人間が幕府内部にはびこっているのです。

この醜い幕府内部を、政所の摂津晴門がどう裁くのか。
光秀は注視します。

義昭の呼び出しに応じて、駒が本国寺へやって来ました。
義昭は、僧侶のころから考えていた貧しい民を助ける館を作る案を駒に披露します。
ただ、金のない幕府では小屋一つ建てることはできません。
すべては信長の才覚に頼るしかないわけです。

ため息交じりの義昭に、まずは貧しい民に施しを行う
館の中心となる「悲田処」だけを作ってみてはどうかと提案する駒ですが、
一つだけ作ると言っても1,000貫はかかる、と言われて
駒はうーんと考え込んでしまいます。

光秀は、やんごとなき御方に会わせたいという伊呂波太夫の誘いに応じて
一座が居候している神社に赴きます。
その御方とは、三好勢とのつながりを疑われ、義昭上洛時に失脚した前関白の近衛前久です。

そもそも前久が都を追われたのは、近衛家を毛嫌いする現関白の二条晴良が
前久が三好勢と足利義輝暗殺に関わったと勝手に言いふらしているからで
追放した近衛領を晴良と摂津たちとで我が物にしようとしているのです。

今の幕府は己の利しか頭になく、天下のために働く者がいない。
しかし今、それができるのは信長ではないかと前久は考えています。
光秀は将軍の直臣で信長にも意見でき、摂津を嫌っているため
その斡旋を光秀に願い出ているわけです。

光秀はこの前久の件を信長に伝えるべく、妙覚寺の信長の寝所に向かいます。

そこには木下藤吉郎がいて、光秀が前久とひそかに会ったこともすでに掴まれています。
公家衆の動きを掴んで機嫌をとるのが一番だと笑う藤吉郎は
公家衆は必ず寺か大名とつながっているので、
油断して足元をすくわれぬようにお気を付けを、と忠告されます。

「わしは将軍ではない。いちいち口出しはせぬ」
光秀のみならず、いろいろな者たちが腐りきった幕府の内情に呆れ
信長になんとかせよと陳情に訪れているそうですが、
信長はそれをなんとかしようとまでは考えていません。

藤孝が光秀の執務の部屋に文書を持って飛び込んできます。
東寺八幡宮の領地の一部を返せと光秀が訴えられているのです。
光秀の家族を岐阜から京に呼び寄せるために、政所に用意させた土地を
義昭が光秀に下されたのは確かなのですが、その領地が横領したものとは……。

怒った光秀は政所の晴門のところへ押しかけます。
そして横領したのは誰かを問いただすのですが、
広い土地のどことどこが寺の領地で、などというのは政所がしるところではないと
晴門はすっとぼけます。

こうやって帝の丹波の御料地も武士仲間に分け与えたのかと指摘すると、
晴門はサッと顔色を変えて途端にムキになります。
そこまで不愉快なら八幡宮の領地を返せ! と迫りますが、
それは誰かが幕府内の不正をし、政所はどう判断したのか奉行として知る必要があります。

光秀が出ていくと、その訴状をビリビリと破りだす晴門です。

光秀は前久との対面を仲立ちした太夫のところへ出向きます。
御所の内部を見れば帝がどれほどお困りなのか分かるという太夫の言葉が
光秀はどうしても引っかかっていたのです。
「案内いたしましょうか」

太夫は捨て子で、発見した近衛関白が太夫を尼寺へ送ると決めた日、
泣いている太夫に優しく接してくれたのが方仁(みちひと)親王、
つまり今の正親町天皇であることを知ったのです。

尼寺へ行きたくない太夫は近衛家を飛び出し、今日まで旅芸人を続けていますが
壊れた塀を見ると、きれいなお顔をした、優しい帝のためにも
ここだけでもきれいに直さなければと思っているし
困ったことには手を差し伸べてあげたいと考えているのです。

信長が総力を挙げた二条城が、約束にたがわず2ヶ月あまりで完成します。
各地の大名たちに、信長の底力を示す出来事となりました。
あまりの出来栄えに町衆はもちろん、義昭も歓喜して信長に感謝します。

藤吉郎の案内で幕府要職の者たちが城内をくまなく回っている間、
光秀は信長に個別に呼び出され、2~3日岐阜へ戻れと言われます。
「朝倉義景の件で、そなたの話を聞いておきたい」
二条城完成後、信長はすぐに岐阜に戻っていきます。


作:池端 俊策
脚本協力:岩本 真耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
染谷 将太 (織田信長)
門脇 麦 (駒)
眞島 秀和 (細川藤孝)
本郷 奏太 (近衛前久)
安藤 政信 (柴田勝家)
金子 ノブアキ (佐久間信盛)
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滝藤 賢一 (足利義昭)
尾野 真千子 (伊呂波太夫)
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片岡 鶴太郎 (摂津晴門)
佐々木 蔵之介 (木下藤吉郎)
堺 正章 (望月東庵)
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:大原 拓

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