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2020年11月29日 (日)

大河ドラマ麒麟がくる・(34)焼討ちの代償 ~戦の幻影が光秀を脅かす~

元亀2(1571)年9月、織田信長は比叡山延暦寺を攻め、
僧侶やそこで暮らす人々を男女の区別なくことごとく殺戮(さつりく)します。
比叡山は大きな打撃を受けたのですが、座主の覚恕は
わずかな供と東国へ逃亡したとのことで、逃げられてしまいます。

信長は戦況に大いに満足し、勝どきを上げますが、
光秀は、一存で女と子どもは見逃したと許しを請います。
信長は笑顔を崩さないまま、聞かなかったことにすると伝えます。
「ほかの者ならその首刎ねてくれるところじゃ」

京・二条城では、信長が比叡山延暦寺を焼き討ちしたと聞いて
将軍足利義昭は摂津晴門と三淵藤英を呼び出し、責め立てます。
信長は何をしでかすか分からない男であると改めて悟った義昭でしたが
将軍に就けてくれた恩人という信長に対し、遠慮して物を言えない現状もあるらしいのです。

今後は織田勢力を排除していくために、まずは大和国の筒井順慶と
松永久秀の戦で、幕府対織田の対立が見えれば、各地の諸大名たちが
幕府方に味方してくれ、勝利することができると晴門は訴えます。
しかしその戦で幕府が勝てるのか、と藤英は疑問を持っています。

たまは藤田伝吾をお供に市場へお出かけです。
なんでも珍しい色の鳥がいるとのことで、見物に行ったわけですが、
「明智光秀! 鬼! 比叡のお山で何人殺した!」という叫び声とともに
その市場で民から石を投げつけられ、玉はおでこから出血してしまいます。

急ぎ望月東庵の屋敷に運び込み、駒の手当てを受けるたまです。
知らせを聞いて光秀も急いで駆けつけますが、
娘がこういう目に遭ったのも、光秀が比叡山で戦をし
たくさんの僧兵を殺したからだ、とたまに謝ります。

たまにお手玉で遊んでもらっている間に、光秀を別室に呼び出した駒は
義昭が信長から離れようとしていることが恐ろしいと漏らします。
順慶と久秀の戦が始まる、という義昭からの情報を光秀に伝えると
その戦を止めるべく、光秀は順慶に会いに行きます。

順慶の話では、久秀と戦を始めた際、幕府軍のみならず織田軍までも
味方になってくれるという話を聞いていたそうですが、
上洛以前からの味方だと認知している久秀の敵に対して
援軍は送らないでしょう、と光秀はずばり言います。

妙案があるのか光秀は、戦の準備のために明日大和へ帰国する順慶を
ちょっと遠回りでも、と堺に誘います。

今井宗久屋敷に入った光秀と順慶ですが、屋敷には久秀も留め置かれていました。
それを順慶に伝えたうえで、久秀と少しお話を、と誘ったのです。
並みの人間であれば 謀ったな! と怒り出すところでしょうが
よろしいように、と順慶は光秀に託すのです。

実際にピリピリムードで対面となりましたが、
敵同士とはいえ不思議と意気投合するところもあり、
久秀は順慶を残して光秀を連れ出します。
「(小声で)…わしにどうしろというのだ」

光秀の目論見は、順慶との戦を止めてほしいわけですが、
大和国を切り取り次第と信長に言われている以上、できる話ではありません。
しかしその当時は義昭と順慶がここまで昵懇になるとは予想できず
すべて状況が変わってしまっているわけです。

大和は美しい、その姿を自分の手で取り戻してみたい。
そう考えている久秀に、光秀は身を乗り出して問いかけます。
「大和でなければいけませぬか? 私が拝領した近江の志賀2万石をお譲りいたします」
いきなりの条件に、さすがの久秀もうろたえます。

いったん落ち着こうと座り込んだ久秀は、義昭と信長が仲たがいせぬよう
光秀が奔走しているのは充分に分かったうえで、
あの二人はいずれ袂(たもと)を分かつ、と分析します。
片や物を壊す信長と、片や物を守る義昭です。相反する二人なのです。

比叡山焼き討ちは下知されれば二の足を踏むだろうし、
やったらやったで心が痛み、ひどく後悔してしまいますが、
いつかはやらねば新しい時代はやって来ません。
そうやって結局は己を納得させるしか方法はないのです。

久秀は、自分の領地を譲るという光秀の心意気を買って、
順慶との戦をしばし止めてもいい、と約束してくれました。
「まあ茶でも飲もう。順慶を呼べ。話し合おう」

久秀と順慶の戦が休止することになり、信長も一安心です。
将軍から、順慶とともに戦をするために兵を送れと書状が来ていたそうで
久秀と戦をせねばならないのかと頭を抱えていたところだったのです。

ただそれは、将軍の意向を聞いて久秀との戦を考えていたのではなく
京を戦の海にしてしまっては、帝を悩ませることにもなるわけです。
「将軍の言うことはいちいち的外れじゃ。相手にしておれぬ」

義昭と信長が仲たがいせぬように尽力してきた光秀にとっては
その言葉の衝撃はひどく、大きいものでした。

京のはるか東に甲斐国があり、覚恕は甲斐に隠れていました。
覚恕は口惜しいと武田家当主の信玄に訴え、信玄も答えます。
「信長は仏法の火を消した鬼じゃ!」


作:池端 俊策
脚本協力:岩本 真耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
染谷 将太 (織田信長)
門脇 麦 (駒)
谷原 章介 (三淵藤英)
間宮 祥太朗 (明智左馬助)
徳重 聡 (藤田伝吾)
駿河 太郎 (筒井順慶)
安藤 政信 (柴田勝家)
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滝藤 賢一 (足利義昭)
春風亭 小朝 (覚恕)
石橋 凌 (武田信玄)

坂東 玉三郎 (正親町天皇)
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陣内 孝則 (今井宗久)
片岡 鶴太郎 (摂津晴門)
吉田 鋼太郎 (松永久秀)
堺 正章 (望月東庵)
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:佐々木 義春

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