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2020年12月 6日 (日)

大河ドラマ麒麟がくる・(35)義昭、まよいの中で ~決裂直前、光秀は~

比叡山の戦いで一番手柄をあげた明智光秀は、信長から
近江国・志賀の地を与えられ、琵琶湖のほとり坂本に城を建てようとしていました。
見取り図を眺めながら、愛娘の岸とたまは目を輝かせていますが
正直、京の屋敷がいいと考えている光秀は、さほど乗り気ではありません。

上洛してわずか3年で、城持ち大名になる──。
喜ばしいこと、と熙子は笑顔で返しますが、光秀の曇った表情に
妻として不安がぬぐいきれません。

明智屋敷を訪れた木下藤吉郎は、織田家家臣たちの中で
一番に城持ち大名になったことを心から喜んでくれます。
光秀がどれだけ織田信長の信任が厚いかを表すものであり、
秀吉は、そんな光秀にあやかりたいあやかりたいと繰り返します。

秀吉が光秀に会いに来たのは、信長からの命令書を手渡すためですが
帝の側近で食うに困っている公家衆をぜひ助けたいと、
洛中洛外の田畑1反につき一定量の米を税として取り
寺や富裕層に貸し付け、その利息を公家衆に与えるように、とあります。

さらには、帝の妹の領地を勝手に取り上げた室町幕府から、
その領地を奪い返し、取り上げた奉公衆を厳しく処罰せよという
幕府に対して喧嘩を売るような内容に、光秀は厳しい表情です。

信長にとっては将軍や幕府などはもはや眼中になく、
帝とどうやってパイプを太くしようかとそればかり考えている結果なのですが、
朝廷とともに幕府を滅ぼして天下を治める考えの信長に
将軍が諸国の武家を束ねてこそ世が治まるという光秀の考えは相反するのです。

4日後、将軍足利義昭は本国寺で茶会を催すことになりました。
その席で光秀を討てという内々な命令を摂津晴門は下します。
光秀を討てば、信長の怒りをもろに受けそうですが、甲斐の武田にも
朝倉浅井にも一斉に攻め寄せるように話をつけているのです。

たまの額の傷を診てもらおうと、望月東庵の屋敷に入っていたころ
ずけずけと上がり込んできた女性・なかが現れるのですが、
熙子はなかが藤吉郎の母であることを知り、一礼して話を聞いています。

ほかの家臣たちからの妬みは藤吉郎にはそこまでないようで、
しかし光秀の場合は裏切りの可能性もあるから、志賀に領地を与えはしたものの
妻子を人質として京に留め置けと言われているらしく
ことを荒立てたくない光秀も、それに従うつもりのようです。

二条城に上がった駒は、なかから聞いた話を義昭にぶつけます。
光秀の家族を離れ離れにさせては、光秀の義昭への気持ちが
離れてしまいかねないと駒なりに危惧しているわけですが、
古くからの重臣たる晴門の言う通りにするしかないと、義昭もいっぱいいっぱいです。

確かに晴門のことは、自分を蔑ろにする意味で好きにはなれないのですが、
それ以上に信長が嫌いである義昭は、もはや晴門の言いなりになるしかなく
どんなに憎くても側に置いておくしかないわけです。
「光秀は坂本に城を作り始めた。あれはわしから離れるつもりぞ」

晴門が光秀を討ち取ろうとしているらしいという情報だけを頼りに
駒は芳仁丸の売上金をありったけ伊呂波太夫に渡します。
誰に頼めばいいか分からないという駒の表情は今にも泣き崩れそうで
太夫は黙って願いを聞き入れます。

茶会当日、本国寺には義昭の招待客が多数集まって来ていました。
馬を飛ばして急いでやって来た細川藤孝は、光秀に耳打ちします。
「今日の茶会にはお出にならぬ方がよい。ここから奥は危ない」
しかし光秀は、藤孝の心遣いに感謝しながらも奥へ進んでいきます。

義昭のいる広間に続く廊下で多数の襲撃を受けた光秀は、
足を負傷しつつもなんとか広間にたどり着きました。
光秀は、古いもの(=晴門たち)を捨て去るいい区切りだと義昭を諭します。
信長に無礼な振る舞いがあれば、坂本城を返上して将軍を守り抜く所存、と。

光秀の深い傷では茶会に出られまいと、茶会の中止を指示しますが
到着したばかりの三淵藤英が言うには、茶会の中止には従いそうになく
戦闘態勢の晴門の処遇について義昭に伺いを立てます。
茶会中止に従わなければ捕らえよ、政所の役を免ずる、と。

深々と一礼する光秀でしたが、義昭は光秀を睨みつけて続けます。
「ただ…信長とはわしは性が合わぬ。三淵やそなたが頼りじゃ」
家来に寺の周囲を包囲させ、敵を手薄にし、光秀が討ち取られるのを
待っていた晴門は、あっけなく三淵に捕まり、幕府から追放されました。

今回の危機を救ってくれた太夫にお礼を言いに行く光秀は
武士ならば将軍が美しい存在であるはずなのに、信長は帝に対してそう思う節があり
分からなくもないが、やはり分からないと気持ちを吐露します。
太夫は、帝がどんな人かをよく知る人物に会わせることにします。

連れてこられたのは、古今和歌集を極めた三条西家の当主・実澄の屋敷です。
太夫は、日ごろから話してくれているように、光秀にも
帝の人となりを話してほしいとお願いするわけですが、
それだけじゃ、と実澄はぶっきらぼうに答えるだけです。

しかし後日、正親町天皇のもとに上がった実澄は、帝が
すでに明智光秀という名前を知っていることを聞いてとても驚きます。
万葉集の素晴らしい歌を2~3首よどみなく挙げた光秀でしたが、
実澄は栗を食べるのに忙しいと追い返してしまったそうです。

とはいえ、久々に気概ある武士に会ったような気がして、
実澄は光秀のことをとても気に入ってしまうのです。
「折を見て連れて参るがよい」

雪がちらつく日、太夫が実澄の伝言を持って明智屋敷を訪れます。
近々、実澄のお供として御所へ参りませんか、とのお誘いです。
もちろん光秀には行かないという選択肢はなく、後日三条西家で
実澄のお供らしく、お公家風の衣装を身にまとい、御所へ上がることになりました。


作:池端 俊策
脚本協力:岩本 真耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
門脇 麦 (駒)
木村 文乃 (熙子)
谷原 章介 (三淵藤英)
眞島 秀和 (細川藤孝)
間宮 祥太朗 (明智左馬助)
徳重 聡 (藤田伝吾)
銀粉蝶 (なか)
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滝藤 賢一 (足利義昭)
石橋 蓮司 (三条西実澄)
尾野 真千子 (伊呂波太夫)

坂東 玉三郎 (正親町天皇)
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片岡 鶴太郎 (摂津晴門)
佐々木 蔵之介 (木下藤吉郎)
堺 正章 (望月東庵)
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:大原 拓

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