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2021年1月17日 (日)

大河ドラマ麒麟がくる・(41)月にのぼる者 ~光秀ついに帝に拝謁~

天正5(1577)年10月、松永久秀自刃。
遺言により、久秀が所有していた名茶器「平蜘蛛」は
預かっていた伊呂波太夫が明智光秀に持参し、渡します。
「久秀さまは仰せられました。これほどの名物を持つ者は、持つだけの覚悟がいる、と」

丹波国では反信長の土豪や国衆の勢力が根強く、
これを攻撃する光秀は苦戦を強いられ続けていました。
しかしようやくこれを鎮圧した光秀は、国衆たちの首はとらぬ代わりに
城の再建の禁止と領地回復を伝えます。しかもしばらく年貢はなしです。

戦続きの世を変え、新しい時代を迎えたい。そんな信長の思いに
どうして国衆は従ってくれないのかを光秀は尋ねますが、
国衆は、代々将軍から領地を授かり、恩顧を受けてきたわけで
そんな将軍が今や西国から助けを求めていれば、戦うしかありません。

光秀は、丹波の土豪や国衆と戦いつつも、本来の敵は彼らではなく
将軍義昭であるとつくづく思い知らされます。

織田信長から離反する者がいる中、将軍足利義昭は諸国の大名に向け
信長を倒すべしと、なおも文を送り続けていました。

丹波の戦の間、明智屋敷の書庫の奥に隠しておいた「平蜘蛛」。
改めて取り出してみると、光秀の脳裏に信長の声がこだまします。
「松永が所持していた『平蜘蛛』という釜を存じておるな?」
光秀はあまりに突然のことで、知らぬととぼけていたのですが……。

裏庭では菊丸が、腹が弱いたまのために薬草とその種を持参していました。
そこへ播磨への出陣の挨拶をせんと羽柴秀吉が通りかかりますが
菊丸の姿を見た途端、秀吉の陽気な顔がたちまち引きつります。
秀吉の母・なかの屋敷に頻繁に出入りする薬売りなのです。

総大将ということで、光秀は秀吉が信長の信用を得たのだと持ち上げ
秀吉は光秀の足元にも及ばないとヘラヘラ謙遜していますが、
「私の足元に及ばぬどころか、見事に私の足をすくった」と光秀は笑うのです。
久秀が平蜘蛛を光秀に譲ったと、信長が不快に思うように仕向けた、と。

根も葉もない戯言! と秀吉は首を大きく振って否定しますが
久秀の動向を探りに伊呂波太夫一座の家に忍び込んだ者の名まで言われては
秀吉も土下座して詫びを入れるしかなく、しかしそんな秀吉に
光秀は容赦なく「迷うたが、出世の道を選んだ」と追及するわけです。

光秀の館を辞した秀吉はお側衆の武士ふたりに、例の忍びのところに向かわせ
たちまちのうちに口封じに殺害してしまいました。

秀吉との対面後、光秀は望月東庵の館に向かいます。
東庵も駒も不在でしたが、ひとり菊丸が薬研(やげん)で薬草を砕いていました。

薬売りとして公家の屋敷にも出入りしているせいか、朝廷内の派閥や
トップシークレットなことなども情報をもつ菊丸に感心する光秀ですが
徳川家康の密偵としても動き回る菊丸に、光秀は忠告します。
「羽柴秀吉殿がそなたを疑うておる。そろそろ潮時かと思うぞ」

光秀としては何度もピンチを救ってくれた恩人でもあります。
だからこそ、動きが素早い秀吉の手にかかる前に逃げてほしいのです。
「また会おう」
ポンポンと菊丸の肩を叩きます。

菊丸も、三河の徳川の密偵として役目を受けながら、今の
駒と一緒に薬を作って売って歩く、そんな平和な暮らしがいいのです。
お役目を返上してでも、今の暮らしがしたいと望んたことも。
そして三河に戻っても、家族はみんな死に絶えて、誰も菊丸を待つ者はいません。

そんな菊丸の迷い、悩み、思いを、たまと出かけて帰ってきた駒は
館の外でじっと聞いていましたが、これ以上は聞かない方がいい、と
何も知らないたまを誘って館を離れます。

「駒さんや東庵先生を巻き込む前に、行こうと存じます」
光秀は大きく頷き、菊丸は出立の用意を始めます。

光秀と菊丸が誰にも言えない難しい話をしているとたまに伝えますが
たまもお年頃ですので、誰にも言えない悩みはあります。
光秀から結婚の話が出たたまは、母の代わりとして光秀を世話したい気持ちが強く
嫁に行く気はさらさらないわけです。

といっても光秀は50年後、100年後も戦に出ていくわけではなく
いずれは遠いどこかへ行ってしまうので、まずは父上のことは置いて
自分の今後について、後悔のないように決めればいい、と伝えます。

京の市場を歩いていた菊丸は、後ろからつけられているのを察知し
刺客の攻撃もひらりとかわして姿をくらまします。

信長の要請に応じて近江の安土城に登城した光秀は、
信長の招きに応じて九州から上洛した近衛前久と再会します。
前久は、今は鼓のお相手しかしてもらえませんが、信長の考えでは
使えない現関白の二条晴良をこき下ろし、前久に返り咲いてもらうつもりです。

信長は、京で政治を行う者は世間の評判が大切だと思っています。
自分の風評は上々だと言う信長に、光秀は皮肉で返します。
「では松永殿は何ゆえ殿に背を向けられましたか。公方さまは何ゆえ背かれた?」

光秀は、かつて平蜘蛛のありかは知らぬと答えたことを後悔し
後ろめたい気持ちを捨てるために平蜘蛛を持参していました。
平蜘蛛は所有する者に覚悟がいる──誇り高い者、志高い者、心美しき者。
もしそんな主君であれば、背くものは消え天下はまとまる、と伝えます。

信長の中で、何かの糸のようなものが切れた瞬間でした。
決死の覚悟で平蜘蛛を差し出した光秀をあざ笑うかのように、
信長は平蜘蛛を今井宗久に言って換金させようと言い出します。
「覚悟とやらを込みで1万貫、それで売れるか平蜘蛛の値打ちが分かるであろう」

最近の信長は少々代わってきている部分があり、
信長を武家の棟梁と正親町天皇が認めたゆえに授けた右大将でしたが
今では春宮(皇太子)への譲位を迫り、右大将の位を放り出すほどのやりたい放題。
光秀が思うのと同じぐらい、帝も残念に思っているそうで。

満月の夜、三条西実澄に誘われて光秀も内裏に上がり、月見です。
光秀が庭で控えていると、すぐ近くまで帝が来てともに月見をしています。
その高貴な姿に心を奪われている光秀に、帝は桂男の話を持ち出します。

月に映る桂男とは、月にある不思議な花を取りに行った男のことで
その花を水に溶かして飲むと不老不死の力を得られる、とのうわさで
しかし欲を出して花をすべて木からふるい落として独り占めしたため
神の怒りに触れて月に閉じ込められた、という話です。

「やはり月は遠くから眺めるのが良い」
先帝からそう学んだ帝は、確かにそれが一番だと思っています。
美しきものに近づき、何かを得ようとしてはならない、と。
しかしなぜか、力ある者はみんなあの月に駆け上がろうとするのです。

これまでたくさんの武士たちがあの月へ上るのを見てきました。
そしてみんな、下界へ帰ってくる者はいませんでした。
「信長はどうか? 信長が道を間違えぬよう、しかと見届けよ」
帝のまっすぐな瞳を受け、平伏する光秀でした。

天正6(1578)年 秋、光秀の次女・たまは細川忠興のもとへ嫁いでいきます。


作:池端 俊策
脚本協力:岩本 真耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
染谷 将太 (織田信長)
門脇 麦 (駒)
岡村 隆史 (菊丸)
間宮 祥之助 (明智左馬助)
芦田 愛菜 (たま)
本郷 奏太 (近衛前久)
徳重 聡 (藤田伝吾)
須賀 貴匡 (斎藤利三)
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滝藤 賢一 (足利義昭)
石橋 蓮司 (三条西実澄)

坂東 玉三郎 (正親町天皇)
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佐々木 蔵之介 (羽柴秀吉)
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:佐々木 義春

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