大河ドラマ麒麟がくる・(39)本願寺を叩(たた)け ~光秀 天王寺砦で倒れる!~
将軍足利義昭を追放した織田信長は、室町幕府に代わり畿内を掌握し始めますが、
摂津石山本願寺、紀州雑賀衆、武田、上杉、越前一向一揆、丹波国衆、毛利、三好と、
信長に抗(あらが)う勢力は、まだまだ各地に残っていました。
天下の静謐(せいひつ)を目指すべく、信長は本願寺に対し5年も攻略を続け、
宗主本願寺顕如は、仏法の危機は今この時と、僧兵たちを鼓舞し、あくまで対抗します。
信長は朝廷から「権大納言 右大将」という破格の官職を授けられ、
岐阜に戻って次の戦の支度にかかっていました。
そんな信長に、三条西実澄は京からわざわざ下向して会いに来ました。
任官の御礼言上もせぬまま京を不在にするなど言語道断であるし
朝廷には朝廷のしきたりがあり、それに従ってもらわなければ困るという苦言です。
「帝をおろそかにされては困る!」
信長は涼しい顔でそれを受け、いきなり「家督を譲る」と言い出します。
今後は嫡男織田信忠に京での仕儀万端を務めさせます。
実澄は、帝が本願寺との長期間の戦を気にしておられると言うのですが
信長は、帝に献上した蘭奢待(らんじゃたい)を毛利に下した理由を問い詰めます。
毛利は裏から本願寺を支えている、信長にとっては敵方であるわけで、遠回しに
帝は信長より毛利に肩入れしているのでは?という事実を突きつけたのです。
信長は京にも岐阜にも近い近江国の安土に城を築き始め、
政治の中心を移します。
「天下布武」の旗印の下、信長の目指す世は大詰めを迎えていました。
織田軍は、本願寺の南に位置する天王寺砦を拠点に
本願寺と熾烈な戦を続けていました。
そんな中、本願寺攻めの総大将である 山城・大和守護の原田直政が討ち死に。
戦意を失う織田軍は逃げも攻めもできずに追い込まれ、籠城するしかありませんでした。
敵は13,000で鉄砲も1,000丁あって手ごわい相手です。
光秀は、天王寺砦単独で動くのは危険すぎると判断し、周辺の砦と一体となって攻撃する策を主張。
松永久秀もそれに同調します。
そこに到着した信長は、総大将の原田隊の中に一向宗信者がいると聞いて
鉄砲玉を込めずに鉄砲を撃つような、本気さを疑う戦い方をするから負けるのだと
信長は鎧兜を身につけないまま、自ら先陣に立って戦いに出て行ってしまいます。
家臣たちがほぼ全員で信長を追いかける中、久秀はただ黙って座しています。
信長は単身、本願寺勢に向けて鉄砲で応戦しますが、
多勢に無勢、足に鉄砲玉を受けてしまいます。
光秀は危険を顧みず、藤田伝吾、斎藤利三とともに信長を抱え上げて砦に戻り
傷の手当てと、戦の策の練り直しを提案します。
砦に残っていた久秀は、最近の信長は無理を言い、無理を通すから
佐久間信盛ら譜代の家臣たちは苦労が絶えぬ、とつぶやきますが、
その直後、信長を救出したときに受けた鉄砲傷で光秀は崩れ落ち、意識を失います。
夜遅く、伝吾と利三の手引きで、光秀を戸板に乗せて明智館に戻ります。
傷としては浅いのですが、鉄砲玉に毒が仕込まれていて、たちまち弱った模様。
大坂の医者は、仏罰じゃと言って診察を拒むので
致し方なく京まで連れて戻ったというわけです。
次女のたまは父の姿に動転し、熙子も少し慌てていますが
光秀を部屋内に運ばせている間に、寝間着姿に裸足のまま望月東庵の診療所に駆け込みます。
「私と一緒に来てください。夫が死んでしまいます!」
後から薬箱を持って追いかけてきた駒とともに、光秀を診察する東庵は
熱が高く出すぎていて、脈拍も非常に弱い、とつぶやきます。
今言えることは、医者として手を尽くす、ということだけです。
熙子は、光秀屋敷と診療所を走って往復したせいかフラフラで
しかし光秀の救命を信じて、雨降る中をお百度参りするのでした。
光秀の容態は小康状態となり、駒はいったん診療所へ戻るのですが
その途中、熙子がお宮の前で倒れているところに遭遇します。
光秀の意識が回復し、信長と羽柴秀吉が見舞いに明智館を訪れます。
そこで信長は、菓子を運んできたたまを見て、いっぺんに気に入ります。
よい嫁ぎ先を探してやる、と信長は上機嫌です。
秀吉曰く、信長は天王寺での戦がよほど懲りたようで
家臣の療養見舞いに行くなどということがなかっただけに
信長にとってはいい薬となったのかもしれません。
三河岡崎城では、徳川家康は武田信玄の子・勝頼の動きに目を光らせていました。
一方で築山殿は、長篠の戦以降、信長が徳川に目をかけなくなったことが不安で
その信長の娘が初孫を生むというのに、徳川家康の正室・築山殿が
ぐちぐち言ってばかりで、家康としては耳を覆いふさぎたいほどです。
家康は菊丸を呼び、織田の様子を調べさせます。
原田直政亡き後、空席となっている大和守護については
光秀の反対を押し切って筒井順慶にすることを決めたようですが、
これにより久秀の動きがとても気がかりです。
さらには織田家中でも、譜代の家来と新参者の間でも
意見の相違や意気込みの違いがあるように見え、
かつてのような統一感は失われつつあるようです。
さらには安土城築城で頭の中がいっぱいいっぱいになっていて
徳川のことなど忘れてしまったようにも見受けられます。
その中でも信頼できる人物と言えば、やはり光秀ということになります。
光秀の病が癒えるのと入れ替わるように、
熙子の胸の病が悪化し、床に伏せる日が多くなってきました。
駒と明智左馬助が、伊呂波太夫の一座を招いて病気平癒の舞を舞い、お祭りのようです。
心なしか熙子の顔色もよく、熙子もとても喜んでくれました。
祭りのあと、あまりの楽しさに熙子は余韻に浸って、光秀はそっと寄り添います。
熙子は越前へ逃れる際に駒が話したことがあって、それを光秀に打ち明けます。
あの、世を平らかにする者が現れた時に訪れる生き物の話です。
麒麟を呼ぶ者が、十兵衛さまであったなら……。
あといくつ戦をしのげば、穏やかな世が見られるのでしょうか……。
岸やたまの子は、戦を知らずに育つでしょうか……。
「眠くなりました……」
熙子は光秀の胸に抱かれて、休んでいます。
天正4(1576)年 秋、光秀の妻・熙子はその生涯を閉じました。
作:岩本 真耶・河本 瑞貴
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
染谷 将太 (織田信長)
門脇 麦 (駒)
岡村 隆史 (菊丸)
木村 文乃 (熙子)
間宮 祥太朗 (明智左馬助)
芦田 愛菜 (たま)
徳重 聡 (藤田伝吾)
金子 ノブアキ (佐久間信盛)
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風間 俊介 (徳川家康)
石橋 蓮司 (三条西実澄)
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佐々木 蔵之介 (羽柴秀吉)
吉田 鋼太郎 (松永久秀)
堺 正章 (望月東庵)
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:深川 貴志
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