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2021年2月28日 (日)

大河ドラマ青天を衝け・(03)栄一、仕事はじめ

血洗島の渋沢家には、藍のすくも作りのために
夜明け前から大勢の職人が集まっていました。
作業を前に、渋沢栄一はじめ多くの職人たちが
朝飯を腹いっぱいにかきこんで、備えています。

乾燥させた藍の葉を、水を打ちながら混ぜ合わせて発酵させ、
これを何度も繰り返すわけです。
発酵を始めておよそ100日にしてすくもが出来上がり、
すくもを液状にすると美しい青を出す染料になるのです。

栄一は藍すくも作りにも熱が入りますが、完成品をもって
江戸に売りに行く時のことが待ち遠しくてたまりません。
いとこの渋沢喜作にもとても羨ましがられます。
「ハッハ! 江戸だでぇ!!」


──こんばんは。徳川家康です。
今日は私のお気に入りの外国人を紹介したい。

まずはマルコ・ポーロ……元寇で神風が吹いたころのこと、
黄金の国ジパングの名を世界に知らしめた偉大なる冒険家です。
ただ残念ながら、日本にたどり着くことはできなかった。

次にウィルアム・アダムス。
彼は関ヶ原の戦のころに漂着したイギリスの船乗りです。
ポルトガルの連中は「やつは海賊だ」と言っていたが、彼はいい男でね。
私はすっかり気に入って、三浦按針と名前を付けて家臣にしちゃいました。

いわゆる鎖国となってからやって来たアメリカ人が、ラナルド・マクドナルド。
アメリカ先住民とイギリス人を両親に持つ彼は、
自分の顔は日本人に似ている、日本を見てみたい、と
船が遭難したふりをして流れてきた。

これからは英語が必要であると考えていた幕府は、
これはちょうどいいと彼にレッスンを頼んだ。
日本初のネガティブ英語講師というわけです。
ラナルドは親切に教えてくれた。我が徳川の助けになった。

そしていよいよ、運命の外国人がやってきます──。

 

「ここにはヨーロッパの船がひしめき合っている。
 どれも中国との貿易のうまみを狙っている」

アメリカ海軍東インド艦隊司令長官のマシュー・ペリーは、
香港に着くなり、望遠鏡で港を見渡してつぶやきます。
「出し抜いてやる…我々は圧倒的に有利だ。今こそアメリカの力を」

アヘン戦争で清国が攻められる様を描いた『清咲近世談』は、
日本人に強い危機感を与えます。

 

渋沢市郎右衛門とともに江戸入りした栄一は、江戸の活気に驚きます。
このころの江戸は世界でも最大級の都市であり、
100万人近い人口を抱える街となっていました。
今日は村祭りか? と栄一がたまげ、興奮するのも無理ありません。

ふたりは越後屋呉服店の前で足を止めます。
栄一は、江戸の町は商人が作っている! お武家様がまるで脇役だ! と
興奮のあまりついつい口を滑らせてしまい
武家の男にそれをとがめられます。

「逃げるぞ」と栄一は市郎右衛門と駆け出しますが、
それを追おうとする武家の男の袖をつかむ女がひとり。
「本当のことじゃないか。商人ばかりが景気が良くてお武家様がすっからかん。
 おかげさまで一緒になった私までこんななりになっちまってさ」

この武家の男──平岡円四郎、やがて栄一と徳川慶喜を
結びつけることになりますが、それはずっと後のお話です。

 

神田 紺屋町にたどり着いた栄一と市郎右衛門は、
町を流れる水路に染め物を渡して干している光景に出会います。
藍の商いの中心地・紺屋町に来れば、染め物の流行り廃りが一目で分かります。
栄一は、その染め物の美しさに目を奪われます。

店に入って武州藍を売り込む市郎右衛門です。
確かに品は非常に良いものではあるのですが、
大もとが阿波藍しか買わないと決めているらしく、
店主の力ではどうしようもないのが現状です。

「これからは武州藍も、どうかひとつ頼まいねえ」と
深々と頭を下げる市郎右衛門です。

 

「一大事だ! 黒船来たり! 黒船来たり~っ!!」
3ヶ月後、瓦版を手にした喜作が慌てて道場に飛び込んできました。
千石船が何十艘(そう)行っても囲めないほどの大きさの黒い船が
浦賀にやって来たというのです。

長七郎から話を聞いた尾高惇忠は、徳川斉昭が心配していた通り
日本は太平の世をむさぼることができなかったとため息をつきます。
『清咲近世談』にあるように、清国が夷狄(いてき)に乗っ取られたように
日本も清国のようになってしまう可能性があります。

そうならないためにも、日本は今こそ人心を一つにして
戦う必要があるのだ、と惇忠は強く感じています。
隣の部屋で子守をしていた尾高千代も、不安そうな顔です。

 

今回の事態に心を痛めた徳川斉昭は、幕府に大砲を献上します。
斉昭は外国船を打ち払うことを強硬に主張するのです。
黒船襲来に怯えていた江戸の民衆は、
さすがは水戸様と、みな狂喜乱舞しています。

第十二代将軍・徳川家慶は病床にあり、一橋家当主の慶喜を枕元に呼んで
この国難を斉昭に力を借りよ、と言葉を振り絞ります。

 

その10日後に家慶は薨去し、将軍後継者である家祥のもとで
次にペリーが来た時にはどう対応すべきかを、
大名や幕府有志にまで登城を命じ、広く意見を求めます。
幕府は斉昭の謹慎を解き、「海防参与」の役目を与えます。

こうした攘夷の動きは武蔵にまで及び、捕らえられていた
砲術家・高島秋帆も罪を解かれ、江戸に呼び戻されることになりました。
秋帆の顔を見た栄一は、何度か顔を合わせたことのある彼が
このままではこの国は終わる、と悲観していたことを思い出します。

秋帆も栄一と会話を交わしたことを思い出し、あの時の栄一の言葉で
ここまで生き延びることができたのだ、と感謝の気持ちでいっぱいです。
「お前も励め。必ず励め。頼んだぞ」
栄一の肩をポンと叩いて、馬上の人になった秋帆は江戸へ向かいます。

 

藍の葉は非常によく育ちましたが、虫に食われてしまいました。
畑中の葉が虫に食われ、出来がよかっただけに落胆も大きい村人たちです。
市郎右衛門は、とにかく無事な葉だけを刈り取ってしまえと
泣きじゃくる農民たちに激励します。

無事な葉だけでは量が全く足りないので、市郎右衛門は豪雨の中
信州や上州から葉を調達するために出発します。
栄一もそれに志願しますが、目利きできるものでなければならないと断られます。
栄一は、いつまでも子ども扱いされることに悔しい思いです。

親にあてにされねぇんは寂しいもんだに、とつぶやくと、
母のゑいは、表情を変えることなく栄一に返答します。
「当てにされてねぇことはないと思うけどねぇ」

 

「当てにされても困るのです。私には将軍になる望みはございませぬ」
栄一とは逆で当てにされすぎている人物が水戸にひとり、慶喜です。
後の将軍になってほしいのは実父斉昭だけではありません。
福井藩主・松平越前守慶永も同様です。

慶喜は、父が自分を傀儡として自らが将軍になりたいだけだと一蹴し、
ペリーの国書への幕府意見書も、一橋家の者が立派な建議を起草してくれたものの
自分のような若輩者には書けぬ文言である、と破り捨ててしまいます。

自分が書いていないものを、あたかも書いたようにして提出する。
このような類のウソは好みません、と怒って出て行ってしまいます。

 

話は戻って、親の役に立ちたい栄一は、ゑいに頭を下げていました。
自分を信州に行かせてくれ、と言っているわけです。

早くに買い付けをしないと他に買われてしまって
手に入らないという栄一の焦りもゑいは分かりますし、
あンたのような子どもが行って誰が売ってくれるのか、という
姉の渋沢なかの現実味のある言い分もゑいは理解できるのです。

無理だいねぇ、という一言で、半ば諦めつつある栄一に
ゑいは金を持たせて送り出します。
ゑいの胸の内では、栄一に行かせてみろ、と背中を押すわけです。
「行っといで。決して無駄にしたらいげねぇよ」

 

勇んで信州に向かった栄一ですが、
なんだまだガキじゃねえかと農家に軽くあしらわれながらも、
父のそばで見て覚えた目利きの力で値段をつけていきます。
良し悪しを言うのは簡単ですが、栄一の目利きはズバリ正確なので農家も口も手も出ません。

肥料である〆粕が高すぎて手に入らず、出来が悪かった農家には
丸めて1両2分で買い取り、その金で〆粕を10斗買わせることで
来年には今年よりももっと出来のいい葉を倍以上取れるように
栄一なりの援助をしたところもあります。
農家は来年も栄一に売ってくれるという確約をしてくれたわけです。
こういうつながりが、将来のピンチをチャンスに変えてくれる可能性はあります。

栄一は、この村だけで都合21軒の藍をことごとく買って帰ります。

 

栄一は市郎右衛門から雷を落とされるかもと覚悟はしていました。
しかしまぁ、高く買いすぎだ、という注文はあったにせよ
来年以降のことを考えれば上出来のようです。
「よくやった、うん。悪くねぇ。明日から立代と青沢を一緒に回るんだいな」

意外過ぎる父の言葉に、お互いの顔を見るゑいとなか、
それに栄一はあまりの嬉しさに固まってしまいます。

 

栄一が江戸で遭遇した円四郎のところに、川路聖謨が来ました。
一橋を相続した刑部卿慶喜が将軍への道を固辞するので、
慶喜の小姓として誰か直言の臣はいないのかと探していた斉昭が、
まさかまさかで円四郎に白羽の矢を立てたのです。


作:大森 美香
音楽:佐藤 直紀
題字:杉本 博司
語り:守本 奈実 アナウンサー
──────────
[出演]
吉沢 亮 (渋沢栄一)
高良 健吾 (渋沢喜作)
橋本 愛 (尾高千代)
田辺 誠一 (尾高惇忠)
──────────
草彅 剛 (徳川慶喜)
大谷 亮平 (阿部正弘)
要 潤 (松平慶永)
渡辺 いっけい (藤田東湖)

──────────
北大路 欣也 (徳川家康)
竹中 直人 (徳川斉昭)
吉 幾三 (徳川家慶)
平泉 成 (渋沢宗助)
──────────
和久井 映見 (渋沢ゑい)
木村 佳乃 (やす)
平田 満 (川路聖謨)
玉木 宏 (高島秋帆)
堤 真一 (平岡円四郎)
小林 薫 (渋沢市郎右衛門)
──────────
制作統括:菓子 浩・福岡 利武
プロデューサー:板垣 麻衣子・藤原 敬久
演出:黒崎 博

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