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2021年4月18日 (日)

大河ドラマ青天を衝け・(10)栄一、志士になる

武家とか百姓とか身分がある世、幕府がおかしいのかもしれないと
考え出した渋沢栄一は、いとこ渋沢喜作が江戸留学するのに触発され
父・渋沢市郎右衛門に土下座して頼み込みます。
「父っさま……俺を、江戸に行がせてほしい!」

市郎右衛門は、栄一の申し出はある程度予測していたのか、
特に驚くことなく作業の手をゆるめませんが、
百姓には何の関わりもねえことだ、と聞く気はありません。

しかし栄一は、幕府が開国に踏み切ってから物価がどんどん上がり、
蚕も外国に流れているせいで国内での流通が少なくなってしまっています。
農民といっても、この世の中の動きの一片を担っているわけで
栄一には「何の関わりもない」ことではないのです。

この国がいったいどうなっているのか、もっと知りたい!
この流れは、栄一でなくても自然なものなのかもしれません。
「いやまあ……そんなに行ぎたけりゃ行ってこい」
ただし、仕事の閑散期となる1ヶ月でという条件つきです。

 

そのころ江戸では、大老井伊直弼が攘夷派の志士たちに暗殺され
老中・安藤信正がその代わりに政務を執ることになりました。
安藤老中は、天皇の妹・和宮を将軍家へ迎え入れることで、
朝廷との結びつきを深めようとしていました。

有栖川宮という許嫁(いいなずけ)がいながらの この政略結婚では、
武士は相手の首を取り合う野蛮な族、将軍はその族のトップであり
その将軍に嫁げという話はひどい話だ、と涙に明け暮れます。

江戸では物価が上昇し、麦が3倍の値になるなど
人々の生活はますます苦しくなっていました。
8年前、父と来た時に見た江戸の町とはまったく違う様子に栄一は戸惑っていました。
そんな栄一を、江戸に先乗りしていた喜作が迎えに行きます。

連れられたのは「尊王攘夷」の掛け軸がかかる思誠塾で、
江戸の様子が違うことについて、栄一は塾頭の大橋訥庵から
「江戸は呪われたのじゃ」と聞かされます。

とてつもない大地震で町は崩れ、火の海となり、
ようやく天の怒りが収まるかと思えば、桜田門で大老が血祭りにあげられ…。
すべて、幕府が神の国日本に異人を入れた天罰だ!と塾生が主張します。

天罰と聞いて栄一は「ん?」と思ってしまったようで、
どうして日の本の神様は神風を起こしてくれないのか? と疑問を持ち
神風で異人も病も吹き飛ばしてくれりゃいいのに、と言ってしまい
神を冒涜するのか! と猛批判を食らいます。

大橋は、もはや神風を吹かせてくれるつもりもないのだろうと答え
病弱な将軍ではなく、せめて水戸出身の一橋慶喜が将軍であれば
こんなことにはならなかったはずだ、と栄一に答えるのです。
「よいか減らず口よ! 我らが神風を起こすのじゃ」

 

尾高長七郎とも合流した栄一と喜作は、ささやかに歓迎会です。
栄一と千代をくっつけたきっかけは長七郎であり、
剣術の試合後に実際にくっつけたキューピットは喜作なので、
ふたりとも千代の様子を聞きたがっていますが、

千代はとても働き者で、渋沢家にもなじんで申し分ないわけです。
ただ、なかなか子供が授からないので、ほかの家の子どもを見ると
羨ましく感じているんだろうなぁ、と栄一は慮ります。
「そればっかりは仕方ねえさ、お千代を頼むな」

江戸の話に移り、尊王攘夷の志士たちが目の敵にしているのが
夷狄の言いなりとなっている安藤老中であると栄一は聞かされます。
言いなりとなっている幕府要職にある人物を、尊王攘夷の志士たちは
「幕吏」と呼んでいるのだそうです。

現状では水戸と長州が手を組んで安藤を倒そうとしているのですが
水戸も長州も薩摩も自分の国の中でのもめ事で手一杯です。
水戸は、徳川斉昭亡き後、国内が真っ二つに割れて荒れています。
そう考えれば、どこにも属さない草莽の志士の方が事を成しやすいわけです。

それを説明していたのが、途中で合流した思誠塾の河野顕三ですが
こいつら百姓に何ができる! と馬鹿にしてきたので、
栄一はカチンときたのでしょう、立ち上がって河野をにらみつけます。
「しかしお前の言葉には胸を打たれた。俺も草莽の志士になる!」

 

約束の1ヶ月が経ったのに、栄一が江戸から戻りません。
隣村から来た渋沢まさが、千代の器量の悪さを遠回しに批判しますが、
まさが帰った後、ゑいは「指は細いのに力持ち、何も心配してねえよ」と
市郎右衛門とともに千代をかばい、励まします。

そこへ栄一が戻ってくるのですが、気は済んだか?の問いに、
栄一は中途半端に「あぁ」と答えるだけです。
きっと、千代もゑいも、栄一はまた近いうちに江戸に行くだろうな、と
女の勘を働かせます。

翌朝から畑仕事に精を出す栄一ですが、江戸で河野が言った
「こいつに人を斬れるわけがない。鍬や鋤で土でも掘ってんのが似合いだ」
という言葉が、ずっと脳裏から離れません。

このころから血洗島には日本各地から志士や脱藩浪士が
立ち寄るようになり、尾高惇忠の道場も人数が増え活気にあふれていました。

 

──こんばんは。徳川家康です。

このころ幕府は、将軍家茂と天皇の妹君・和宮さまの
婚姻さえうまくいけば、幕府の権威は取り戻せると信じていました。
私も江戸幕府を開いたとき、孫の和子(まさこ)を天皇家へ嫁がせましたよ。
さて、同じようにうまくいくかどうか……。

幕府の威信をかけた花嫁行列のコースには中山道が選ばれました。
総勢3万人を超え、全長50kmに及ぶ前代未聞の花嫁行列。
その世話をするのは、街道沿いの百姓たちでした──。

 

和宮降嫁が決定し、中山道がルートに選ばれて、そのコース上にある
岡部藩も例に漏れず、人足を出すことになりました。
世話をしているその間、田畑はまた荒れ放題となるでしょう。
しょうがねえ、それが百姓の務めだ、と市郎右衛門は渋い顔です。

栄一と市郎右衛門が話している横の部屋で、大きな物音がします。
千代が倒れたのです。
しばらく横にして様子を見ていましたが、ゑいは察知します。
「多分これは…赤ん坊ができたんだい」

それから栄一は農作業に励み、千代が働けば思いやって休ませます。
なんかあったらえれえことだで? という言葉に微笑む千代は
最近の栄一は険しい表情ばかりで、この赤ん坊のおかげで
ようやくそんな笑顔を見れたと喜んでいます。

文久元(1861)年10月20日、和宮一行は江戸を目指して京を出発。
その花嫁行列が深谷宿を通る日が近づくと、農民は総出で大わらわ。
栄一は作業しながら、その様子を悶々としながら見ています。
一行は深谷宿を通過し、11月15日に江戸に到着しました。

 

和宮が江戸入りしたことで、志士たちは安藤老中を討つのを
いつまで待てばいいのかとイライラが募り始めます。
思誠塾では、大橋がその役目に長七郎を指名します。

久々に血洗島に戻ってきた長七郎は、惇忠や栄一たちに
来年1月に安藤暗殺に動く計画を打ち明けます。
もし事がなれば切腹するという長七郎の言葉に、栄一も喜作も驚きますが、
俺は武士になるんだ、武士の本懐を果たした後は潔く死ぬだけだ、と穏やかに話します。

いやそれはならねえ、と惇忠は長七郎に待ったをかけます。
安藤老中ひとりを斬っても幕府が攘夷に傾かないし、一橋は動かない。
「いいか長七郎、これは無駄死にだ」と
国を挙げての攘夷の志を果たす口火にはなり得ないと説得します。

井伊大老も安藤老中も動かしているのは幕府で
武士は武士、百姓は百姓と決めている幕府がある限り
もっと根本から糺(ただ)さなければ世の中は何も変わらないと
惇忠の意見に賛同した栄一は長七郎を説きます。

我らこそが口火となり挙国一致し、四方応じて幕府を転覆させる!

血洗島周辺で、見たこともない行商人がうろついています。
尊王攘夷と騒ぐ輩の動きを探っている隠し目付だという噂ですが、
渋沢宗助は、先頭に立って煽るだけの惇忠にその怒りの矛先を向けます。
さらには長七郎にも、血洗島への出入りをやめさせます。

 

大橋は、一橋慶喜へ共に決起するように書状を送ります。
その書状に目を通した慶喜ですが、それに応じることはなく、
思誠塾の者たちは江戸城坂下門において安藤老中を襲撃に及びます。
しかしその謀は失敗に終わり、刺客6人は護衛に斬り捨てられます。

幕府は首謀者である思誠塾塾頭・大橋訥庵を捕らえ、
謀に関わった残党を探し出して次々に捕縛していきます。
長七郎にもきっと疑いが及んでいるのでしょうが、
安藤襲撃を止めさせて上州で身を隠させたのでひとまずは安心です。

その長七郎を農民三太が深谷宿を出たところで見かけたらしく、
今から江戸へ行くところだと話していたのを栄一は伝蔵から聞きます。
「江戸? 長七郎があぶねえ!」


作:大森 美香
音楽:佐藤 直紀
題字:杉本 博司
語り:守本 奈実 アナウンサー
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[出演]
吉沢 亮 (渋沢栄一)
高良 健吾 (渋沢喜作)
橋本 愛 (渋沢千代)
田辺 誠一 (尾高惇忠)
満島 真之介 (尾高長七郎)
成海 璃子 (渋沢よし)
岡田 健史 (尾高平九郎)

草彅 剛 (徳川慶喜)
磯村 勇斗 (徳川家茂)
上白石 萌音 (天璋院)
深川 麻衣 (和宮)
藤野 涼子 (渋沢てい)
福山 翔大 (河野顕三)
──────────
北大路 欣也 (徳川家康)
岸谷 五朗 (井伊直弼(回想))
山崎 銀之丞 (大橋訥庵)
長谷川 公彦 (中根長十郎)
手塚 理美 (尾高やへ)
朝加 真由美 (渋沢まさ)
──────────
和久井 映見 (渋沢ゑい)
平泉 成 (渋沢宗助)
小林 薫 (渋沢市郎右衛門)
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制作統括:菓子 浩・福岡 利武
プロデューサー:板垣 麻衣子・石村 将太
演出:松木 健祐

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