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2021年5月 9日 (日)

大河ドラマ青天を衝け・(13)栄一、京の都へ

渋沢栄一たちが企てていた横浜焼き討ち計画は、
尾高長七郎の必死の説得により中止となりました。
栄一と渋沢喜作は、新たな攘夷への道を探るため、
血洗島を後にして京に向かうことにします。

何のつても持たないふたりが京に向かうために、と栄一が考えたのは
江戸で出会った一橋家家臣の平岡円四郎を頼るのがよさそうです。
江戸で交流があった者たちは、ほとんどが生死が分かりませんし
円四郎が頼みの綱であることには間違いありません。

とはいえ、円四郎の家来になるつもりは全くないのに、
京に行く力だけを借りるというのも身勝手な話ではあります。
熊谷宿までやってきた栄一は、今ごろになって
頼っても大丈夫なのだろうか? と不安な気持ちを喜作に吐露します。

栄一の目の前には、碁を打つ薩摩藩士がいました。
逃亡中の五代才助と栄一は、いずれ出会うことになるのですが、
それはまだまだ先のおはなし……。

ようやく円四郎の邸宅を探り当て、ふたりで門をたたくのですが
応対したよねは、取次ぎいたしかねます、と困った表情です。
そこに帰ってきた妻のやすは、栄一たちが名乗る渋沢という名字に覚えが。
あんたたち生きてたのかい! と手のひら返して歓迎モードです。

ひょっとしたら、渋沢がここを訪ねてくるかもしれない、と
円四郎はやすに言いおいて江戸を発ったそうで、それで覚えていたわけです。
しかし円四郎の邸宅に上がらせてもらっても、円四郎は不在なのです。
「そうなんだよ。一橋様のお供で京に行っちまったのさ」

やすは、円四郎から預かった証文をふたりに差し出します。
困っていることがあったら、この証文を持って自分のところに来い、と。
栄一はありがたく証文を受け取ろうとしますが、やすは念を押します。
円四郎の家臣となって、うちの人を守ってくれるんだろうね!?──

栄一と喜作は、一橋家の家臣に見えるように身なりを整え、
いよいよ京に向けて再出発です。

 

血洗島では、若き働き手をふたりも失ったことに
渋沢宗助とまさが栄一の家に押しかけて皮肉ばかり並べますが、
市郎右衛門は、世の中を知るのも悪いことじゃない、と笑います。

尾高の家では、長七郎が惇忠に江戸行きを志願していますが、
惇忠は、栄一たちの知らせが来るまで待てと長七郎をなだめます。
それにしても、長七郎の様子がちょっとおかしいのが気がかりです。
夢でうなされたり、キツネが見えると言い出したり……。

 

京にたどり着いた栄一たちは、夜の街の賑わいに感動しています。
そんな中、逃亡するひとりの志士を追って
浅黄色の羽織をまとった武士たちが、栄一たちの前を駆け抜けていきます。
「はぁ~、何だいありゃ、すげぇ目つきだ」

川沿いで酒を飲んでいた男によれば、会津藩主の元で京の町を取り締まる
新選組だそうですが、もとはと言えば一橋慶喜の発案、
さらに言えば諸悪の根源は「一橋家の佞臣(ねいしん)・平岡円四郎」の企てで
円四郎は一橋家の獅子身中の虫の扱いなのだそうです。

それを聞いた喜作は、自分たちは攘夷の志士であり、
徳川一門の一橋の威光にすがるのはあってはならないと言い出しますが
栄一はあくまでも、自分たちは一橋にすがったのではなく
円四郎に個々に助けてもらったんだ、と言って納得しようとしています。

とはいえ、やはりスッキリするものではありませんで、
きちんと礼を言って、円四郎との関係を終わりにしようと思ったふたりは
慶喜宿舎の若州屋敷に赴き証文を提出しますが、円四郎は不在です。
「礼は尽くした…よな?」「ああ。きちんと挨拶に行ったんだ」

栄一と喜作の当初の目的である、京に行くという希望は叶ったので
これからは攘夷の志を果たすべく、京の様子をもっと探ることにします。
攘夷の志士たちを訪ね歩き、接待し、酒を飲ませて
聞き出した情報を書き留めておくのです。

 

文久4(1864)年、政治の中心は江戸から京へ大きく変わっていました。
一橋慶喜、松平春嶽、松平容保、山内容堂、伊達宗城らを
孝明天皇は「朝議参与」に任命し、参与会議を開かせます。
会議の中心は、武力に勝る薩摩(薩摩藩主実父・島津久光)でした。

慶喜は、京で政のまねごとをしていることに腹立たしさを覚え
久光のこともいろいろと疑って見ているわけですが、
春嶽は、今の国難は将軍や幕府の職務を越え、幕府の力だけで
日本を守るのはもはや無理になってきているわけです。

これ以上、朝廷から無理難題の提案が続けば、徳川は
政を朝廷に返上したほうがいい、というのが春嶽の持論です。
「我らの手で、新しい時代を作ろうではありませんか」

慶喜のそば近くでその様子を見ていた円四郎は、
宿舎に戻ってきてもイライラが募っておりまして、
忠誠をつくすと約束した奥方に筋を通していないと気づいた栄一が
何度も円四郎に会いに行っても、イライラにかまけて会おうとしません。

 

栄一たちがいろいろと探っているうちに、冬になりました。
無駄に高い宿屋で暮らし、毎晩のように飲み食いを繰り返したおかげで
彼らの懐事情は借金まみれになってしまいました。

ただ、京に来て分かったのは、攘夷の志士たちは幕府の不満を
べらべらと言っているだけで、まったく動こうとしないことでした。
ふたりは故郷血洗島に向け、京の内容を書状をしたためます。

ふたりに長七郎の京行きを打診された惇忠は、
長七郎の様子も気がかりのため、中村三平に同行させて京に向かわせます。
その途中 長七郎は、亡き河野顕三のふるさと・下野吉田村を訪ね
無二の友を悼み、未だに忠義の血を流せていない己を悔しく思います。

夜、後方からの錫杖(しゃくじょう)の音に長七郎が振り返ると、
婚礼と称してキツネのお面を後頭部に乗せた一群が近づいてきます。
なぜ俺をたぶらかそうとする! と長七郎は前後不覚に陥り、
断ち切ろうと刀を振り下ろすと、足元には知らぬ飛脚が横たわっていました。

 

長七郎たちの到着を今か今かと待ちわびる栄一たちのもとに、
惇忠から早飛脚で文が届けられます。
早飛脚を使うなんて何事だ? と栄一は面白がりますが、その内容は
長七郎と三平が捕縛され、栄一たちの文も幕府の手に渡ってしまったとあります。

「俺たちの謀はすでに漏れてる。俺たちも確実に捕まる」
慌てふためく喜作を一喝し、冷静に考えつくす栄一ですが、
進退窮まったのはどう考えても間違いなさそうです。
そんな時に、栄一たちを訪ねて川村恵十郎がやってきました。

かつて円四郎に誘いを受けた時、横で控えていたのが恵十郎で
その顔に見覚えのあるふたりは、恵十郎が命じるままに
とりあえず円四郎に会いに宿舎に向かいます。

円四郎の目的は、ふたりに関して幕府から一橋家に問い合わせが
あったそうで、円四郎としても知らぬ仲ではないため、
江戸で画策したことがあれば正直に話せ、ということでした。

仲間が何かしらの罪で捕らえられたという文が届いたこと、
彼らに自分たちからも文を書いていたこと……。
幕府は政を怠り、今のままでは日本は成り立たず、
一刻も早く幕府を転覆せねばと悲憤慷慨していることを打ち明けます。

しかし、こうという目的を持たぬまま前にも後ろにも進めなくなり
これからどうしようか全く分からないふたり。
馬鹿っ正直なヤツだねえ、と半ば呆れながら聞いていた円四郎は
そろそろ腹を決めろとふたりを見据えます。

お前らがたとえ幕府をダメだと思っていても、一橋が同じとは限らねえ。
前途有為の君公に仕えるなら草履取りをしたって役に立つ。
いたずらに幕府を倒すために命を投げ出したところで、それが
本当に国のためになるのかどうか、そこんとこを分かっちゃいねえ。

「そんだけ無鉄砲でいつ死んでたっておかしかねえのに、
こうして二人そろってもう一度顔を見せてくれた」
一橋の家来になれ、と改めて円四郎に言われて、
ただ円四郎を見つめるふたりでした。


作:大森 美香
音楽:佐藤 直紀
題字:杉本 博司
語り:守本 奈実 アナウンサー
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[出演]
吉沢 亮 (渋沢栄一)
高良 健吾 (渋沢喜作)
橋本 愛 (渋沢千代)
田辺 誠一 (尾高惇忠)
満島 真之介 (尾高長七郎)
町田 啓太 (土方歳三)
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草彅 剛 (徳川慶喜)
要 潤 (松平春嶽)
津田 寛治 (武田耕雲斎)
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ディーン・フジオカ (五代才助)
石丸 幹二 (大久保一蔵)
池田 成志 (島津久光)
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手塚 理美 (尾高やへ)
朝加 真由美 (渋沢まさ)
木村 佳乃 (やす)
和久井 映見 (渋沢ゑい)
平泉 成 (渋沢宗助)
堤 真一 (平岡円四郎)
小林 薫 (渋沢市郎右衛門)
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制作統括:菓子 浩・福岡 利武
プロデューサー:板垣 麻衣子・藤原 敬久
演出:田中 健二

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