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2021年5月23日 (日)

大河ドラマ青天を衝け・(15)篤太夫、薩摩潜入

一橋家宿舎に入った渋沢栄一と喜作のふたり。
目の前に座る平岡円四郎は、彼らの前に「俸禄」(給料)を置きます。

一橋家の家臣となってひと月が経ち、お百姓の出である栄一たちは
生まれて初めて、俸禄というものを手にしたわけです。
四石二人扶持(ぶち)、京都滞在中の月手当が金4両と1分。
米には手形が出されており、一橋蔵から米を受け取ることができます。

久々に酒をと歓喜する喜作を、金はあまり使うなと栄一はたしなめます。
3両5両と借りているうち、今ではもう25両も借金があるのです。
4両1分から25両を返していくなら、無益なことには銭を使わないこと、
そして必ず借金を返してしまうことだ、と。

ちなみに岡部藩に内緒で二人を預かることはできないため、円四郎は
岡部藩主にも届け出ていて、その許可は得ているのだそうです。
つまり、晴れて二人は正真正銘の武士、ということになります。
円四郎はこのタイミングで、武士らしく名前を変えよと言い出します。

心根の篤さを持つ『篤太夫』(とくだゆう)…響きが爺さんっぽいですが、
この名前を気になった円四郎は、篤太夫の名前を栄一に与えます。
「円四郎さまに、(喜作改め)成一郎に、そして篤一郎では?」
「いいや、おめえは篤太夫が似合ってる!」

こうして正式に、一橋家家臣の「渋沢成一郎」と
「渋沢篤太夫」が誕生しました。

──こんばんは。徳川家康です。

さて、年号が文久から元治にかわり、栄一…もとい渋沢篤太夫と
成一郎が、ようやく我がファミリーに入ってまいりました。
ちょうど京では、慶喜の大愚物騒ぎをきっかけに島津久光ら朝議参与が勢いを失い
一橋慶喜への期待が高まっていました。と同時に

慶喜の一番家臣・平岡円四郎の名も広く知れ渡るようになります。
篤太夫たちはさっそく、この慶喜のもとで働き始めましたよ──。

 

一橋家の家臣である猪飼勝三郎や川村恵十郎らの話を聞いていると
この一橋家にはすでに身分の別はなく、関守だろうが百姓だろうが
有能の者を集めて家臣に登用していて、篤太夫も少し鼻が高いです。

川村も原 市之進も、そして円四郎も攘夷論者だったのが驚きですが
篤太夫はせめて、自分たちだけでも攘夷の志を忘れないようにして
世の中の動きをつかみ、一橋家の連中を巻き込んで立ち上がる!

 

尾高長七郎が牢に入れられている板橋宿に、尾高惇忠が来ました。
咎なき人を殺めたことを後悔し、涙ながらに何度も詫びる長七郎ですが
幕吏も長七郎を怪しんで、簡単に許される立場ではないようです。
話を聞いた血洗島の者たちは、失意で静まり返ります。

栄一と喜作のことで呼ばれていた渋沢市郎右衛門が帰ってきます。
長七郎の件で重い雰囲気がそうさせたのか、栄一も喜作も
八州廻りに捕まっちまったんだ!ああっ!とざわつきますが、
笑う市郎右衛門の話では、ふたりは岡部藩の領分から外れたらしい、と。

代官は、あの二人は二度とここに入れるなとたいそうご立腹ですが
一橋家から岡部藩に掛け合いがあったとはいえ、ふたりと一橋家に
何の関わりがあるというのか、みなの頭の中は「???」であります。

 

「お主に頼みたいのは、いわば隠密だ」
円四郎に呼ばれた篤太夫は、その命を受けます。

幕府はいま、天皇のおひざ元の摂海(大阪湾)を異国船から守るために
そこに台場を築くことになりました。
海岸防備に詳しい折田要蔵が御台場築造掛に抜擢されますが
折田は薩摩人であるため、彼を調べてほしいというわけです。

将軍家茂が19になるということもあり、慶喜は近いうちに
「将軍後見職」を降り、将軍に幕政をお任せするつもりでおります。
そして慶喜自身は内裏、京を守るという任務に専念したいのです。

折田の評判次第では手懐けて、薩摩から引き抜きたいわけです。
大坂の台場御用にどうにか入り込み、折田の人となりを探れ。
薩摩の腹の内を知るのは至極大事な務めであると考えた篤太夫は
隠密とは性に合いませんが、と言いつつ引き受けます。

 

大坂入りした篤太夫は折田要蔵に会い、詳細にこの仕事を学びます。
海を見ず、砂を手に取らずして成り立つ仕事ではないからと、
まずは屋敷の掃除、それが終われば要蔵が書いた文書と下絵図を書き写し。
困惑しながらも篤太夫は一つ一つをこなしていきます。

要蔵のもとには薩摩藩士のみならず、幕府の役人や会津・備中・土佐など
台場作りを学ぶ多くの武士たちが出入りしていました。
そこに、要蔵に文句をつけに来た人物がひとり……西郷吉之助です。
吉之助は、旗本顔して偉そうに教鞭を振るう要蔵に会いに来たようです。

ひょんなことで吉之助と要蔵と酒を飲むことになった篤太夫。
吉之助には、顔のわりにド派手な名前の篤太夫を気に入り
要蔵の言うことは信じちゃいかんど! と言って笑います。

それから篤太夫は要蔵の使い走りをし、書類や絵図を書いてと真面目に働いて
休みの日にいったん京に戻ってきました。
折田屋敷で書き写した書物や絵図を円四郎に渡す篤太夫ですが、
要蔵はさほど海岸防備に才ある人物とは思えないと報告をします。

ただ、相手にされないとはいえ山城宮家に出入りしていると聞いて
円四郎の眼は鋭くなります。
ともかく、要蔵がどんな人物なのか大まかには理解できました。
篤太夫のお役目はこれで終わり、早々に引き上げてこい、と伝えます。

薩摩は、朝廷と深く関わって政治の表舞台に再び立とうと目論みます。
そのため、禁裏(京都御所)を警護する「禁裏御守衛総督」の座を
手に入れようと画策するのです。

報告を受けた慶喜は、薩摩が総督の座を狙っている噂が本当だと確信し
このままでは薩摩は朝廷を取り込んで京で政を行うと危惧します。
この日本に江戸幕府以外にもう一つ、薩摩77万石の政府ができるわけです。
何としてもそのはかりごとを止めなければなりません。

元々は、慶喜を担ぎ出したのも孝明天皇を担ぎ出したのも薩摩ですが
今や天皇の信頼が厚いのは、幕府と会津松平容保と慶喜です。
「禁裏御守衛総督の座は一橋中納言様に仰せ付けられたし」と
円四郎と黒川嘉兵衛とで公家たちを回って説得にあたることにします。

 

3月25日、慶喜は将軍後見職を免じられます。
それと同時に、朝廷から禁裏御守衛総督に任命されました。
京都守護職は会津藩主の松平容保が再任され、
京都所司代は容保の弟の桑名藩主松平定敬が就任することになりました。

京で、慶喜のもと 朝廷を取り込む新しい体制が始まります。
またも慶喜に邪魔をされた格好の島津久光は大激怒ですが、
大久保一蔵は、いったん薩摩に引き上げて異国との交易を盛んにし、
富を得て兵を整え、将来の戦に備える時期だと説得します。

久光は、吉之助たちを藩邸に残して一蔵たちと京を去ることにします。
この時から、薩摩藩の方針は打倒徳川へと向かい始めたのです。

 

尊攘の志を貫き通すために不足している兵を水戸家の援助で都合をつけたいと
慶喜は水戸藩の武田耕雲斎に手紙をしたためます。
その手紙に微笑み「今すぐ!」と準備に取り掛かる耕雲斎ですが、
そこに急報が入ります。

藤田小四郎以下62名が攘夷を主張し筑波山に挙兵……。

 

そのころ大坂では、引き上げる挨拶に折田屋敷に赴いた篤太夫ですが、
篤太夫が一橋の人間と知り、薩摩藩の一部の者たちは
篤太夫を目の敵にし、暗殺せんと動こうとします。
そういった陰でコソコソするのが大嫌いな吉之助は、篤太夫を酒の席に誘います。

吉之助も篤太夫が薩摩を探りに来たと疑っているところがあり
薩摩はどうだ、と正直に尋ねてみるわけですが、篤太夫は篤太夫で
円四郎の命で来たのもあるが、百姓から武士になったばかりで
何でも吸収してやろうという気概で来たと正直に答えます。

吉之助は、日本はこの先どうなるかを篤太夫に尋ねてみます。
おそらく強い豪族が徳川に代わって政治を行うことになるだろう、
と答える篤太夫に、吉之助は薩摩を挙げて反応を見てみるのです。
「薩摩のお殿様に その徳はおありですか。おありならそれもよいと」

西郷は、平岡円四郎も面白い男を拾ってきたと笑いますが、
一を聞いて十を知る円四郎も気を付けないといけない、と言います。
先のことが見えすぎる人間は、往々にして非業の最期を遂げる。
篤太夫は鍋をつつきながら、ピーンと何かを感じ取ります。

 

一橋宿舎の若州屋敷に入った篤太夫と成一郎ですが、
屋敷前に不審な武士がふたり、あたりの様子をうかがっていました。
篤太夫たちに気づくとそそくさと去っていくふたりに
先に入っていろ、と川村は逃げたふたりを追いかけます。

もっともっと人を集めたいという篤太夫の意見が慶喜に通り、
篤太夫と成一郎を関東の人選御用として出張を命じられます。
撃剣家や漢学書生の中から共に戦うに足る者を30~40人、
義あるところであらば命を捨てるも厭わぬものをより多く集めるつもりです。

順風満帆に見えた一橋家に、
思いもよらぬ波乱が待ち受けていました。


作:大森 美香
音楽:佐藤 直紀
題字:杉本 博司
語り:守本 奈実 アナウンサー
──────────
[出演]
吉沢 亮 (渋沢篤太夫)
高良 健吾 (渋沢成一郎)
橋本 愛 (渋沢千代)
田辺 誠一 (尾高惇忠)
満島 真之介 (尾高長七郎)
岡田 健史 (尾高平九郎)
藤野 涼子 (渋沢てい)

草彅 剛 (徳川慶喜)
尾上 寛之 (原 市之進)
波岡 一喜 (川村恵十郎)
成海 璃子 (渋沢よし)
尾上 右近 (孝明天皇)
──────────
北大路 欣也 (徳川家康)
ディーン・フジオカ (五代才助(回想))
石丸 幹二 (大久保一蔵)
博多 華丸 (西郷吉之助)
徳井 優 (折田要蔵)
津田 寛治 (武田耕雲斎)
池田 成志 (島津久光)
遠山 俊也 (猪飼勝三郎)
みのすけ (黒川嘉兵衛)
和久井 映見 (渋沢ゑい)
堤 真一 (平岡円四郎)
小林 薫 (渋沢市郎右衛門)
──────────
制作統括:菓子 浩・福岡 利武
プロデューサー:板垣 麻衣子・橋爪 國臣
演出:川野 秀昭

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