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2021年6月27日 (日)

大河ドラマ青天を衝け・(20)篤太夫、青天の霹靂(へきれき)

一橋家の財政立て直しに自分の居場所を見つけた渋沢篤太夫。
しかしその運命が、大きく変わろうとしていました。
第二次長州征伐で大坂入りしていた将軍・徳川家茂が、
胸を押さえて倒れてしまったのです。

急いで病気見舞いに訪問する一橋慶喜は、家茂が慶喜と対面すれば
病気が嵩じてしまうからと会わせてもらえませんでしたが、
ようやく見舞いがかない、言葉を交わすこともできました。

「私はまだ死ねぬのじゃ」
家茂は、今の徳川を残して死んでしまっては、前将軍徳川家定や
命を懸けて家茂を立ててくれた大老の亡き井伊直弼に面目が立たないわけです。

帝の妹を御台所として得ながら、攘夷が果たせなかった悔しさもあります。
だからこそ、天皇が憎む長州だけは倒さなければならないのです。
家茂は、その覚悟はあるかと慶喜に問いただします。

慶喜は、将軍は家茂でなければならないと考えてきました。
慶喜は、病気を治したあと復帰し徳川をお守りください、と言葉をかけます。
「私はずっと、あなたとこうして腹を割って話してみたかった」
この3日後、家茂は亡くなりました。

 

訃報は瞬く間に、京の一橋邸にも届けられます。
喪は伏せるとのことで、口外無用とのお達しです。
とはいえ、若い家茂にはお世継ぎがおらず、今後の江戸幕府の体制が気がかりです。
ひょっとしたら、慶喜が将軍になるかもしれない、と考える者もいます。


──こんばんは、徳川家康です。

今までも何度も言いましたが、徳川の世は長らく戦のない時代だった。
徳川将軍14人の中で戦の陣で亡くなったのは、この家茂ただ一人です。
ご苦労、本当にご苦労さんだった。

そして家茂の死によって徳川の運命も、
また篤太夫の運命も大きく動き出します──。

 

一度京に戻り、再び大坂へ下るという慶喜に、篤太夫は
今の将軍家を継いではなりませぬ! と進言します。
慶喜がいくら賢明であるとはいえ、いち、にの修繕を加えても
幕府の倒壊を免れることはできないというのが明らかだからです。

倒壊寸前の幕府を継ぎ、いざ倒壊してしまったならば、
その非難の矛先は必ず慶喜に向けられるわけで、
全国の志士たちが打倒慶喜で動き出すに違いありません。
言いたいことはそれだけか? と聞いた慶喜は、黙って行ってしまいます。

 

「ならぬ。一橋はならぬ」
幕閣の面々が次の将軍に一橋を推挙する中、大御台の天璋院は
次の将軍について生前の家茂から直接承っている、として
田安家の亀之助を将軍の跡継ぎとして定めてほしい旨、明らかにします。

しかし和宮は、家茂は将軍であったからこそ苦しんだのだと、
次の将軍は慶喜が継げばいいと投げやりに天璋院に伝えます。
慶喜が将軍になって、次は慶喜が苦しめばよいのだと。

決断の時がきました。
慶喜は、徳川はもはや滅んだほうがいいのでは? などと言っていますが
後を継いだなら思うように大なたを振るうが、いいのかと老中に確認します。
数日後、慶喜が徳川宗家を相続し、将軍となることが事実上決定しました。

篤太夫たちは、一橋家家臣から徳川宗家の家臣になったわけで、
家臣たちはそれぞれ喜び、盛り上がっていますが、
長州征伐は徳川慶喜家でやる必要が出てきて、浮かれている場合ではありません。

発表された軍勢割りでは、渋沢成一郎と須永虎之助が俗事役、
篤太夫は川村恵十郎とともに御用人手附という役回りです。
慶喜にあれだけ失礼な発言をしたにも関わらず、直々にお声がかかって
本営入りとは大出世ではありますが、勘定方の仕事を離れるほうが嫌です。

篤太夫は、決死の手紙と形見の懐刀を血洗島の千代に宛てて送ります。
それもこれも篤太夫が自ら選んで決めた道なんだからと
市郎右衛門は黙って千代を見守りますが、千代は何も言わず涙を流します。

 

北九州で善戦していた幕府軍は、小倉城を失って逃げ出す事態に陥り
幕府軍の敗北が決定的となってしまいました。

もはやこの戦は、長州憎しの帝を除いて誰も望んでいないと、
慶喜はここが引き際として、帝に和睦の勅命を下さるよう
関白にとりなしを頼みます。

孝明天皇は、攘夷もできず長州も倒せず、失望してしまいますが
朝廷のことを一身に考えてくれていた、岩倉具視のことを思い出しています。

その岩倉ですが、朝廷に対して少しモヤモヤしたものを感じていますが
大久保一蔵が、薩摩や長州は天皇をいただき新しい政治の仕組みを
考えていることを打ち明けると、パッと表情が明るくなります。
「武家の世を終わらせて、お上が王政復古を果たすのじゃ!」

 

慶喜が将軍となったことで、一橋家家臣の一部は将軍家に召し抱えられ
篤太夫と成一郎も一橋家を離れることになりました。
一橋家に残る猪飼勝三郎や亡き平岡円四郎にかけてもらった温情に感謝しつつ
これまでの一橋での2年半の生活を思い出して涙を流します。

幕府に勤め始めた篤太夫たちは、陸軍奉行所の書記官となります。
これまで慶喜に直接進言してきた篤太夫としては、
慶喜が将軍となってしまってお目見えすることもかなわなくなり、
より遠い遠い存在になったと寂しく感じています。

そんなとき、謀反人を取り調べるために捕縛せよとのお達しがあり
奉行の名代として篤太夫が向かうことになったわけですが、
その護衛に新選組がついて行くことになりました。

篤太夫としては、まだ決定ではなく疑いの段階なのだから
腹を割って事情を聞き出せばいいのだと新選組の護衛を断りますが、
単身乗り込んだ屋敷では篤太夫ひとりに無数の敵と対峙することになり、
結局は新選組の護衛に頼ってしまう結果となりました。

篤太夫は、新選組副長の土方歳三に自らが元農民であることを打ち明け
百姓時代に嫌っていた幕臣になってしまったと愚痴を言いますが、
土方も同じく元農民でありながら、日本を守るために武士になったことは
後悔していない、と笑います。

篤太夫は この土方のおかげで、血洗島での熱い志をもっていたころの
自分を思い起こせたわけで、出会いに感謝しています。

 

幕府で勘定奉行を務める小栗忠順ですが、自分たちは幕府を守るのみと
慶喜を盾に徳川家を守る決意を固めます。
手始めに、フランスのパリで行われる博覧会にだれを参加させるか、
忠順は慶喜に意見を求めてみることにします。

この後に訪れる転機を、篤太夫はまだ知りませんでした。


作:大森 美香
音楽:佐藤 直紀
題字:杉本 博司
語り:守本 奈実 アナウンサー
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[出演]
吉沢 亮 (渋沢篤太夫)
高良 健吾 (渋沢成一郎)
橋本 愛 (渋沢千代)
町田 啓太 (土方歳三)
尾上 右近 (孝明天皇)
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草彅 剛 (徳川慶喜)
磯村 勇斗 (徳川家茂)
上白石 萌音 (天璋院)
川栄 李奈 (美賀君)
尾上 寛之 (原 市之進)
深川 麻衣 (和宮)
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北大路 欣也 (徳川家康)
武田 真治 (小栗忠順)
美村 里江 (徳信院)
遠山 俊也 (猪飼勝三郎)
山内 圭哉 (岩倉具視)
梅沢 昌代 (トメ)
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和久井 映見 (渋沢ゑい)
石丸 幹二 (大久保一蔵)
小林 薫 (渋沢市郎右衛門(回想))
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制作統括:菓子 浩・福岡 利武
プロデューサー:板垣 麻衣子・石村 将太
演出:村橋 直樹

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