大河ドラマ青天を衝け・(24)パリの御一新 ~今夜再会!運命の分岐点~
血洗島の渋沢家では、正月前に餅をついてみんなにふるまわれます。
渋沢栄一が血洗島を出て5度目の正月、愛娘うたもとても大きくなりました。
そこに「失礼いたす」と、外国奉行支配調役の杉浦愛蔵が入ってきます。
お武家さまだ、とみんな土下座して頭を低くします。
愛蔵が千代に手渡したのは、民部公子・徳川昭武の写真です。
桐箱に入っているのですが、もう一枚板があり、そこには栄一の写真が。
しかし千代は、それを一瞬見て、見なかったふりをします。
栄一が髪を下ろし、西洋風の髪形になっていることに衝撃を受けたのです。
あれほど異人を嫌っていた栄一が、姿までも一緒になったとは
なんとあさましいお姿! と千代はうろたえていますが、
市郎右衛門は「栄一は大和魂をなくしたりしやしねぇ」と諭します。
手紙を書いてやっておくれ、と頼まれても、書けそうな自身はありません。
慶応4(1868)年1月2日、パリでは新年をささやかに祝います。
そこに幕府から御用状が届き、代表して栗本鋤雲が受け取るのですが、
その中の「政態御変革」の文字に、表情を曇らせます。
「上様が、政を朝廷に返上した、と」
篤太夫は昭武の乗馬についていきます。
昭武の乗馬の技術も上達し、家庭教師のヴィレットにも褒められます。
しかし頭の中は、江戸幕府がない今の自分の処遇でありまして
まだまだ西洋で学びたいのですが、学べるかどうか不安なのです。
不安なのは篤太夫も同じで、今や月5,000ドルの送金だけが頼りです。
そこへ銀行オーナーのエラールが篤太夫に会いに来ました。
エラールは、篤太夫に金を持たせて証券取引所へ連れていきます。
その金を短期間、フランス政府に貸し付けてみては? というのです。
政府に金を貸せば利子がつく。
現金が必要な時にはその時の相場で国債を売ることができる。
社債も考えは同じで、会社にお金を貸すことで会社はその集めた金で事業を行う。
金を眠らせておくのではなく、動かせとエラールは言っているのです。
2月、江戸からまた御用状が届けられます。
徳川慶喜は薩摩との衝突を避けるために大坂へ引き上げ、
現在大坂城には幕府軍が集結しているらしいことを情報として得ます。
にわかには信じがたいものであり、それを確かめるにはパリは遠すぎます。
同じ便で、篤太夫宛ての手紙を受け取ります。
養子に指名した平九郎は江戸で元気にやっていること、
尾高長七郎の罪が赦され牢を出ましたが、よほど牢屋でひどい目にあったのか
かつての快活な長七郎の姿はそこにはない、とのことです。
しかし千代からの手紙には、やはり西洋に染まった格好が
気に入らないらしく、かつての勇ましい姿に戻ってくれという内容で
千代からの手紙を心待ちにしていた篤太夫は、苦笑するしかありません。
3月、横浜から届いたニュースペーパーをカション神父が届けてくれます。
それによれば、1月初旬に京と大坂の間で戦があったそうで、
これまでの情報はすべてうそであってほしいという
栗本たちの思いは無残にも砕かれてしまいました。
「尾張様と越前様は、上様に朝廷の政に加わるようお勧めしたが、
上様は、天子様のおそばの悪者を除くために上京を決められた」
「正月2日、京に向け先蜂隊を出発させたところ、突如として
薩摩の兵が砲弾を放ち、伏見・鳥羽をはじめ淀・橋本で
3日夕方から7日朝まで昼夜を問わず戦となり、
ついには全軍が敗走して枚方・守口まで撤退」
「6日には、上様が大坂を立ち退き、開陽丸にて江戸に戻られた」
「朝廷は「朝敵」の名を上様に負わせ、関東征討の勅命を出し、
兵隊を率いて江戸へ向かうとの風説」
同じころに届いた御用状には、慶喜からの直々の書状が同封してあり
昭武には、せっかく参ったのだから急いで帰国する考えを持たず
十分に留学の目当てを達するように、としたためられていました。
政権を朝廷に返上したのなら、なぜ大坂に兵を集めたのか。
戦をするつもりで兵を動かしたのなら、なぜ最後まで戦わなかったのか。
この先、暗愚と罵られるのを分かりながら、兵を置き去りにして
江戸へ戻ったのはどういう考えからだったのか。
みな一様に薩摩に対する恨み一色に染まってしまっていますが、
篤太夫は、慶喜の行動が全く持って解せないと感じていました。
朝敵の汚名を着せられ追討軍に追われても、勇敢な家臣と共に戦わず
こんな有り様で神祖300年の偉業を自ら捨て
東照大権現に何と申し開きをなされるつもりなのか!
4月、栗本たちが一足先に日本へ帰ることになりました。
御典医の高松凌雲も帰国するのですが、彼なりの収穫はあったようです。
医者はどこにいようが相手が誰だろうが平等に正しい治療をするのみ
その真心をこの地で見つけられたような気がしています。
閏4月、篤太夫は渋沢成一郎からの手紙を受け取ります。
幕府軍として従軍している成一郎は、淀・橋本の戦で数か所を被弾しており
幸いにも江戸に戻ってきていました。
しかし薩摩や長州、土佐の勢いは盛んで、今や慶喜も
どんな勅命も甘んじて受け入れると上野寛永寺で蟄居されているそうです。
「生きるか死ぬかの瀬戸際だ」としながらも、慶喜が少しでも
尊王の大義に背いたことはない、とありました。
成一郎は、慶喜の汚名を雪(そそ)ぐため、旗本御家人の同志で同盟を組み
挽回の時を待っているのだそうです。
それを知った篤太夫は、肩を震わせて涙を流しています。
篤太夫は、幕府が各国に派遣していた留学生が無事に帰国できるよう、
ない金を少しでも割り当て、国の威厳のために取り計らいます。
学生たちは、床に直に寝かせられる不満をぶち上げますが、
苦労も意味も察せず知識を得れば偉いと勘違いしている学生たちを
「ここで嫌ならすぐさま出てけ!」と篤太夫は一喝します。
5月、新政府から昭武に公文が届けられます。
「御一新につき、民部公子も急ぎ帰朝せられよ」
フランス政府も、危害は及ばないだろうからと帰国を勧められますが
慶喜は昭武に、学問を続けるように言われていました。
篤太夫は、前フランス公使のロッシュが帰国するのを待って
彼に相談してみることにします。
そのころ、武蔵国では新政府軍の銃撃を受けた平九郎が
7月、水戸の徳川義篤が亡くなり、
その跡継ぎに新政府は昭武を指名してきました。
篤太夫は、誰かが昭武を帰国させようとしている陰謀だと騒ぎます。
帰国したロッシュも、今は会津藩が新政府軍と戦っているので、
今戻れば危ないので学問を続けましょうと言ってくれています。
しかし昭武は、帰国の道を選びます。
ただ本音を言えば、水戸へ帰るのが怖いのです。
昭武は篤太夫に、そばにいてくれと頼みます。
篤太夫は、国債と鉄道債で600両のもうけを得ました。
ひとりひとりのわずかな金が、やがて大きな資金を作ることができる。
ひとりだけが幸せになるのではなく、みんなが幸せになれる。
一人一人の力で世の中を変えることができる、という体験ができました。
これこそが、篤太夫が目指していたことなのです。
「俺が探し求めてきたのはこれだ! おかしれぇ!」
8月30日、徳川昭武一行は日本に向けて出発します。
作:大森 美香
音楽:佐藤 直紀
題字:杉本 博司
語り:守本 奈実 アナウンサー
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[出演]
吉沢 亮 (渋沢篤太夫)
高良 健吾 (渋沢成一郎)
橋本 愛 (渋沢千代)
田辺 誠一 (尾高惇忠)
満島 真之介 (尾高長七郎)
岡田 健史 (渋沢平九郎)
藤野 涼子 (渋沢てい)
草彅 剛 (徳川慶喜(回想))
志尊 淳 (杉浦愛蔵)
板垣 李光人 (徳川昭武)
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平泉 成 (渋沢宗助)
手塚 理美 (尾高やへ)
朝加 真由美 (渋沢まさ)
池内 万作 (栗本鋤雲)
山本 浩司 (山髙信離)
細田 善彦 (高松凌雲)
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和久井 映見 (渋沢ゑい)
小林 薫 (渋沢市郎右衛門)
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制作統括:菓子 浩・福岡 利武
プロデューサー:板垣 麻衣子・橋爪 國臣
演出:田中 健二
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