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2022年1月14日 (金)

プレイバック武蔵坊弁慶・(04)鞍馬の稚児(ちご)

御所を抜け出して弁慶と逢瀬を楽しんだ玉虫ですが、あの時の“奥州藤原の秀衡殿のように天下の旗頭となって玉虫を迎えにくる”という弁慶の言葉に、右京太夫は「どこまで本気なのかのう」と玉虫を気遣います。本当に玉虫のことが好きなのであれば、理想郷を作るなどとは言わずにいつどこででも一緒に暮らせるはずだともっともらしいご意見なのです。

玉虫としても不安がないわけではないのですが、弁慶が人をだますような法師には思えないのです。足手まといになって弁慶の出世の妨げになってはいけないと考えている玉虫ですが、本当は今日からでも一緒に暮らしたいというのが本音でありまして、右京太夫としては、そんな玉虫の女ごころを応援してあげたい気持ちです。


五条大橋のたもとで弁慶は、稚児との対決について考えていました。あんな稚児に負けるはずがない、夢を見ていたとしか思えないと考える弁慶は、遮那王に対して再び闘志をメラメラと燃えたぎらせます。

──(話は15年前の平治の乱にさかのぼり)この戦いで平 清盛に敗れた源 義朝には、当時13歳の頼朝を含む6人の子どもたちのほかに、常盤御前に産ませた今若丸、乙若丸、牛若丸の3人の男の子があり。この時、母・常盤の胸に抱かれていた嬰児(みどりご)こそ、幼名牛若丸、成人して九郎義経と名乗る鞍馬の遮那王である──

ついに会われましたか、と弁慶との対面に関心を寄せる常陸坊海尊は、遮那王の話を面白がって聞いています。遮那王は弁慶を、なかなか知己のある面白そうな法師であった、と評していますが、まもなく仕返しに来るであろう、と予想しています。「む……来た!」

 

「遮那王出てこい! 約束通り武蔵坊弁慶が訪ねて参った!」との叫び声でひょっこり顔を出した遮那王は、弁慶を境内の奥まで案内します。弁慶が勝ったら遮那王の腰の刀をもらい、遮那王が勝ったら…何なりとお望みどおり と弁慶が言うので、「私の家来になるか」と遮那王が提示。よかろう、と弁慶も納得して勝負を始めます。

2度目の対決となる今回は、いくぶんかは弁慶も冷静に対決に臨んでおり、このままいけば五条の二の舞、次は飛ぶ、などと対策を打って攻撃を仕掛けてくるのですが、遮那王の軽い身のこなしは弁慶も感心するところで、高い橋から下に落ちてそのまま弁慶を誘い込んだり、枯葉に埋もれたつるで弁慶を転ばせようとしたり、逃げているだけかと思いきや不意を突いて攻撃してきたり。走りながら竹を伝って高い丘に登った遮那王に「勇気があるなら降りてこい」とけしかける弁慶ですが、逆に「知恵があるなら登って参れ」と挑発を受けます。弁慶は半ば呆れながら、遮那王という少年に興味を持ち始めていました。

ふたりごろんと大の字になって寝ころび、遮那王は空に雁の群れが飛んでいくのを見つけます。「母とはどんなものかの」とつぶやく遮那王に、会えばなんのかんのと口うるさいババアよ と笑う弁慶ですが、遮那王の表情が暗くなり、無言のまま館に帰っていきます。

夜になり、遮那王を追って館に入った弁慶は、自分は父に棄てられたが父を恨んではいない、気を強く持たれよ、と諭します。遮那王は、弁慶を見ていると不可能なことも可能に思えてくる気がするのです。遮那王は、私のそばにいてくれぬか、と思い切って弁慶を誘います。弁慶は少し考えた後、未だ修行中の未熟者なれど、と断ったうえで微笑みます。「遮那王殿と一緒に……旅がしたくなりました」

 

弁慶は御所の玉虫を呼び出し、旗頭となる方に仕官したことを伝えます。「源氏の棟梁 源 義朝公のお子、鞍馬山におわす遮那王様だ」と嬉々として話す弁慶をよそに、玉虫の表情はどんどんと暗くなっていきます。「わらわは平家にゆかりの者、わが君は源氏の御曹司の家人に……これでどうして喜べましょう。わが君とわらわは敵味方ということに」玉虫は悲観にくれています。

そして弁慶が遮那王の家人になったことは、頑入によって平 知盛の知るところとなります。大入道が弁慶であることはおよそ間違いなく、巻き上げた刀も旗揚げに使われる予定であったことを考えれば、平家の足元を揺るがすことになります。知盛は頑入に、弁慶を処分するように命じます。そこに平 資盛が現れ、叔父の知盛を吉野の花見に誘います。右京太夫が知盛に好意を持っているようで、ぜひ知盛も誘ってくれと言っているらしいのですが、知盛は右京太夫の気持ちに応えるつもりは全くありません。ただ甥の資盛が右京太夫が好きなのは知盛も知っていて、お口添えをとお願いするところを見ると、「それでわしを誘ったのか」と言いたくなる気持ちも少しは分かります。

 

夕方になり、玉虫はまだ機嫌を損ねて黙っています。弁慶はすっかり参ってしまい、とりあえず玉虫を御所まで送ろうとするのですが、帰らないと駄々っ子のようになる玉虫に、つい「いい加減にせぬか!」と声を荒げてしまいます。すると玉虫が泣き出してしまい、それでまたうろたえてしまう繰り返しです。「ああぁぁ……悪かった。なぁ、ならばどうしたらよいのだ……」と完全にお手上げです。玉虫は、弁慶の自分への気持ちが薄れた不安で頭がおかしくなりそうになっていて、若いまま弁慶の心の中にいられるからと「殺してたもれ」と叫んだり、殺す代わりに抱いてたもれと言われて、弁慶は玉虫に言われるがままギュッと抱きしめます。


原作:富田 常雄
脚本:杉山 義法
テーマ音楽:芥川 也寸志
音楽:毛利 蔵人
タイトル文字:山田 恵諦
語り:山川 静夫 アナウンサー
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[出演]
中村 吉右衛門 (武蔵坊弁慶)

川野 太郎 (遮那王)
荻野目 慶子 (玉虫)
岩下 浩 (常陸坊海尊)
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真野 あずさ (右京大夫)
堤 大二郎 (平 資盛)
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隆 大介 (平 知盛)
藤村 志保 (常盤御前)
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制作:村上 慧
演出:松岡 孝治

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