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2022年2月 8日 (火)

プレイバック武蔵坊弁慶・(11)源氏揃え

高倉宮以仁王を討ったという知らせがなされるも、未だに遺体が見つかっておりません。家人たちの情報もバラバラで、平 知盛もついつい声を荒げてしまいます。以仁王の生死が分からないということは、令旨も生きていることになるのです。見つかるまで帰るな! と厳命する知盛に、頑入が床下から口を差しはさみます。「高倉宮は生きておわします。播磨の傀儡の群れに助けられたとのうわさ」

頑入はもともと播磨の傀儡子衆を出た者なので、瞬く間に棟梁の太平の居場所は突き止められるわけですが、知盛直々の取り調べに、群れには厳しい掟があり、部外者を仲間内には決して入れることはないと答えるのですが、仮に群れの近くで行き倒れがあれば食べ物を与え薬を施すこともあるそうです。そして今回もそういう行き倒れがあり、食べ物を与えるとしばらく休息した後に東海道をひとりで落ち延びたようだ、と答えます。

 

東海道の宿駅に異変が起こり、高倉宮(←中の人は ほくろ)が現れました。先導する弁慶は、頭が高いとみなをひれ伏せさせ、宿駅を通り過ぎていきます。高貴な人になった気分を聞かれて、ほくろはなかなか気分がよさそうですが、馬の早がけならいざ知らず、こうもゆっくり歩いていたのではケツの皮がむけてしまうと笑います。

ほくろは途中の池では気分転換に裸になって泳ぎ、その姿に直視できずにうろたえる弁慶ですが、色仕掛けで自分のものにしようとするほくろに、弁慶は「玉虫がな、焼きもちを焼きおって出てきおった」と捕まえたテントウムシを見せるのです。それを払いのけて、ほくろは拗ねてしまいます。

そのころ熊野では、玉虫が「小玉虫のととさまは、今ごろどこでどうしておじゃるのやらのう」とほほ笑んでいます。小玉虫にせがまれて弁慶の子守歌を歌う玉虫は、どこかで目の色を変えて走り回っているのだろうと弁慶のことを思い浮かべます。

 

知盛の報告では、弁慶とその一党に守られ、高倉宮はゆく先々で護符をまき散らしながら東国に向かったとのことです。激怒した清盛は、令旨の効果をなくすためにも高倉宮を討てと命じます。平家方が躍起になればなるほど、高倉宮の東下りは信憑性を帯びて人々の口から口へ広がっていきます。群衆の中を、ひとり馬に乗って弁慶や徳の先導でゆっくりすすんでいくほくろは、とても気持ちよさそうです。

 

そして高倉宮が発したホンモノの令旨は、新宮十郎から源 頼朝の手に渡っておりました。20年来、源氏の者たちが待ちに待った平家追討の令旨であり、頼朝も喜んでくれるであろうと十郎は期待していましたが、やはり長年の監禁生活を経験すると人を疑ってかかるようです。令旨を斡旋した源 頼政は、頼朝の父・義朝を裏切って平家方に味方した人物であり、にわかには信じられないと苦々しい表情です。

十郎は、頼政はついに平家打倒に舵を切ったとし、高倉宮討伐の兵の勢いが衰えないところをみると、何度となく窮地に陥りながらも未だに存命で、坂東に下りつつあるという噂はホントらしいと分析します。十郎はこれから木曽谷に向かい、頼朝のいとこ(異母弟の子)にあたる義仲にも伝えて旗揚げの準備をはじめる予定です。さらに奥州平泉では、頼朝の弟・九郎義経が千載一遇の好機を今か今かと待ちわびているのです。

九郎? と怪訝な顔をする頼朝に牛若の名を出す十郎ですが、「おぉおぉ」とあまり興味がなさそうな返事です。十郎は深いため息をつき、これだけは言っておく、と伝えます。「源氏旗揚げの兆しがいささかでも見えたならば、御身の好むと好まざるとにかかわらず、入道相国はすぐさま追っ手をここに差し向ける。それだけじゃ」

頼朝が高倉宮の令旨にもさしたる反応を見せず、一向に煮え切らないのも無理はありませんでした。流人の身なれば腹心の部下を持たず、心を寄せてくるものはあってもそれらは政子の父・北条時政の家人たちであり、うかつに返事ができないのも当然なのです。「立つべきか…立たざるべきか」 頼朝の気持ちは揺れ動きます。

 

十郎は旅を続け、義仲を訪ねるべく木曽谷に入ります。馬で早掛けする騎馬武者2騎がこちらに向かってきていて、危険を察知した十郎は大木の方に避けますが、その2騎は十郎に縄をひっかけ、周囲をぐるぐる回って十郎を大木にくくりつけてしまいます。「久しぶりじゃな、叔父上」と笑う馬上の人は、3年後に疾風怒濤の京の都を恐怖のどん底に叩き込む木曽冠者義仲と巴御前。さすがの十郎も「それが叔父に対する出迎えの作法か!」と激怒しています。

 

「ここまでくれば目的は達した、そろそろ徳に返してやらねばな」とこの旅の終わりをほのめかす弁慶ですが、まだまだ旅を続けたいほくろは弁慶の説得も聞かず、馬で先に行ってしまいました。と思ったらすぐに引き返してきまして、弁慶の目の前でバタッと倒れます。背中には矢が射られていました。そして一行は急襲を受けます。ほくろを射られて頭にカーッと血が上った徳は敵兵の中につっこみ、次々と倒していきます。弁慶も徳の後を追いかけるのですが……。

敵を追い払った後、洞穴の中にほくろを隠して手当をする弁慶と徳。ほくろは、弁慶が求めた役割を無事に果たせたことを知り、弁慶を義経の元に早く向かわせます。そして、徳が自分のために敵に立ち向かっていった後ろ姿を見たからか、これまでの毛嫌いの態度から 俺の命は徳に預けると言わしめるまでに変わります。「鬼若…早う行け。夫婦の邪魔をするな! 徳…寒うなってきた…」

 

頼朝が平家の目代(代官)・山木兼隆を襲ったのはそれから2ヶ月後の8月17日、頼朝にとってはこれが事実上の旗揚げでありますが、この7日後には早くも敗走することになります。いわゆる『石橋山の合戦』です。前途多難な旗揚げでした。

 

奥州平泉──。義経は、兄・頼朝が石橋山の合戦で大庭景親らの軍勢に敗れたことを知り、藤原秀衡の館に向かいます。頼朝軍500に大庭軍2,000では結果は見えたようなもので、頼朝はどこかへ落ち延びたと吉次に教えられます。ただし生きているかどうかはまだはっきりとは分からない、と。泰衡ら三兄弟は、頼朝はどうして無謀な戦を仕掛けたのだろうかと口々にいろいろ言っています。

「お屋形さま、九郎は兄を探しに参りとうございます」 突然義経が言い出しました。源氏再興の日を夢見ながら秀衡の庇護を受けて6年、兄が旗揚げに失敗したと聞けば居ても立ってもいられないわけです。興奮気味の義経にまだその時期ではないと秀衡。頼朝が旗揚げに失敗しているので、他の坂東武者たちも再度の旗揚げに二の足を踏んでしまうのが目に見えています。もし頼朝が生きていれば、陣営を立て直して全国の源氏武者たちに大号令を発して再び旗揚げするに違いないわけで、それから加勢しても遅くはない、と判断したのです。

 

ちょうどいいタイミングで、弁慶が戻ってきました。弁慶の報告では、敗走した頼朝は船で房州に落ち延び、三浦義澄や和田義盛らが頼朝の元にはせ参じ、安房の豪族たちも次々に結集し始めている様子です。秀衡は義経をまっすぐ見て「止めても無駄か…」と対面所を後にします。義経は吉次に促されるように、戦の支度を始めます。

義経は、この6年間ずっとそばにあって、失意の時も励まし続けてきた侍女の妙に、その感謝の気持ちを込めて小袖を贈ります。そして秀衡は、出陣のはなむけに佐藤継信・佐藤忠信の兄弟と喜三太を従者として加えさせます。「帰りたくなったらいつでも帰って参られよ。御身の故郷はこの平泉じゃ。それをお忘れ召さるな」

 

水を得た魚のように、平原をかけていく義経一行、いざ鎌倉へ──。


原作:富田 常雄
脚本:杉山 義法
テーマ音楽:芥川 也寸志
音楽:毛利 蔵人
タイトル文字:山田 恵諦
語り:山川 静夫 アナウンサー
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[出演]
中村 吉右衛門 (武蔵坊弁慶)

川野 太郎 (源 義経)
荻野目 慶子 (玉虫)
加藤 茶 (徳)
高品 格 (太平)
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佐藤 浩市 (木曽義仲)
大地 真央 (巴 御前)
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隆 大介 (平 知盛)
ジョニー 大倉 (伊勢三郎)
新 克利 (新宮十郎)
寺尾 聰 (金売り吉次)
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芦田 伸介 (平 清盛)
神崎 愛 (北条政子)
菅原 文太 (源 頼朝)

萬屋 錦之介 (藤原秀衡)
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制作:村上 慧
演出:重光 亨彦

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