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2022年4月 8日 (金)

プレイバック武蔵坊弁慶・(28)荒ぶる海へ

義経追討の院宣を後白河法皇に取り消させ、その企てに敗れた弁慶たちは比叡山を脱出して奥州平泉へ赴くことを決意します。義経主従が比叡山を脱出した知らせは、直ちに鎌倉の頼朝の元にもたらされます。「奥州には入れるな。弁慶を斬れ」と頼朝は命を下します。

義経主従は琵琶湖の最南端・瀬田から舟で北上します。途中、矢の攻撃を受けますが、なんとか避けていくことができました。

後藤新兵衛たちが乗り捨てられた小舟2艘を発見しますが、そこに義経たちの姿はありませんでした。恐らくは伊吹山の中を進んでいるものと思われます。新兵衛は全ての兵をかき集め、進んだであろう道を後から追いかけることにします。


必死に逃亡する主従一行ですが、常陸坊海尊の容態が思わしくないようで、義経は海尊に水を与えて介抱します。ほかの家人たちは疲れ切った様子で肩を寄せ合って眠っていますが、そこに追いかけてきた鎌倉方が攻撃を仕掛け、いったん草むらで身を潜めた後、近くのほら穴に入って隠れます。

そのほら穴で、天井から落ちてくる水滴を必死に口に入れる者や草を食べる者など、一行の窮状が伝わってきます。そしてそこには、行方六郎と片岡兄弟の3人の姿がありません。弁慶は申し訳なさそうに、夜が明けたら3人を探しに行ってくれと郎党たちに頼み、底を尽きたため食料を探しに行くと言う喜三太には、海尊の薬草も取ってきてほしいと依頼します。

翌朝、こっそりとほら穴を抜け出して3人を探しに行く郎党たちです。そして病で横になっている海尊を義経がそばで見守っています。弁慶は塩津で若の前が待っていると義経に伝えに来ます。一緒に行動したいらしいと知り、裁量を弁慶に任せます。意識がもうろうとしている海尊は、若の前が待っていると聞いて「おぉ、静どのか、それはようござった……」と声を絞り出します。

 

鎌倉ではそのころ、静が義経の子を産もうとしていました。長い眠りから覚めて静が隣を見ると、寝かされているはずのところに赤子がいません。横では侍女が「男の……お子でございました」と泣きじゃくり、たまらず出て行ってしまいます。静は、男の子が生まれたと聞いて最悪の事態が起こることを覚悟していたのでしょう。

 

北条政子は、静が生んだのが男子だったので頼朝の命令通りに腰越の海に捨てたと報告します。頼朝は弓の鍛錬をしながら、「ぬしには人をだませぬ」とニッコリほほ笑みます。見抜かれたようで政子は目をそらしてしまいますが、ついには隠してよそにやったと白状します。木曽義仲の子・義高の命を奪うのに手を貸してからというもの、安らかに眠れた日がないと涙をこぼす政子に、頼朝は「わかった」と厳しい表情を浮かべています。

 

鎌倉方の義経包囲網は、徐々に範囲を狭めていっていました。峰のどこかに潜んでいるのは確かで、新兵衛は義経方に弁慶がいる以上、直接対決は大きな犠牲が出てしまうからと、兵糧攻めで挑むことにします。

 

ほら穴に、片岡兄弟が帰ってきました。弟の為春は崖から滑り落ちたそうで額には布が巻かれています。そして行方六郎は、兄の経春が言うには為春を崖から引き上げた時になぜかいなくなってしまったのです。「オレたちから逃げたんだよ」と言う伊勢三郎に、憶測でものを言うなと注意した弁慶は、とにかく片岡兄弟をしばらく休ませることにします。

とはいえ、腹を空かせる一行は次第にギスギスしていきます。海上のプロ・片岡兄弟の海での判断がきっかけで起こった兄弟げんかが、そのまま伊勢三郎や喜三太に飛び火したような形で大げんかに発展してしまいます。仲裁に入った弁慶はため息交じりです。

大げんかに発展した要因ですが、伊勢三郎だけは他の片岡兄弟たちとは理由が異なるようです。彼は若の前のことがとても心配でたまらないわけです。今でも妹のように慕っていて、早く迎えに行ってやりたいと考えているのです。「お前はみんなを励ます立場だぞ」と諭しつつ、三郎の気持ちも分からないでもない弁慶は、ちょっとだけニヤニヤしています。

 

若の前は、播磨の傀儡子衆の徳たちとともに鬼若(=弁慶)の迎えを待っていました。しかしなかなか鬼若が来る様子がありません。徳は、いっそ先に若の前を奥州まで送ったらどうだと太平に提案しますが、余計なことはするなとたしなめられます。そうでなくとも鬼若には、若の前の一件で約束に反することをしでかして迷惑をかけてしまったばかりなのです。

鬼若の言う通りにしていればまず間違いはねぇ、と言う徳に太平は、昔は鬼若を越える男になりたいと言っていたんじゃないのかとからかいますが、男の意地は肝心な時だけ張り合えばいい、と徳はつぶやきます。「まだその肝心な時が来ちゃいねえ」と笑う徳を見つめる太平です。

 

鎌倉の夕暮れを過ごす静ですが、政子の許可を得て鎌倉から出たいと表明します。義経の動向を尋ねる静ですが、義経に会って我が子を殺されてしまったと詫びたいという静は、感情が極まって突っ伏して大声で泣きわめきます。政子は、本当のことを話そうとしますが、一瞬迷って敢えて訂正することもない、と思い直します。

弁慶たちの迎えが来ないので、若の前も奥州に向けて出発しようとしていました。それは徳主導で行われていまして、太平はあくまでも“余計なことはするな”という立場ですが、徳たちがいる辺りにも鎌倉の兵がチラチラと出始めていますし、隠れてしまえばそれこそ動きが封じられて奥州にすら行けなくなってしまいます。

 

ほら穴に潜んで数日、一行の空腹と疲労は極に達しようとしていました。弁慶は思いつめたように義経の前に正座しますが、それを見透かしたかのように、義経は「どのようなことでも、わしに異存はないぞ。任せる」とニッコリ笑います。

弁慶は郎党を前に、自分は海尊を担いで義経とともに穴から出るから、敵を引きつけている間にみんなは他の穴から出て落ち延びてほしい。しかし「主を囮(おとり)に使うのか」「先陣は自分たちが」「それよりもみんなで討って出た方がいいのでは」と主張がバラバラでまとまりません。自分たちの結束が固いことが敵方に知れれば、それが仇となって全滅するまで叩きのめされてしまいます。弁慶は、あくまで目的はみんなで生きて奥州にたどり着くことであり、ここでみんなで野垂れ死ぬことではないと諭します。

弁慶に一人ひとり送り出されて、義経とは別の穴で待機をする郎党たちですが、やっぱり殿のもとに……と経春と喜三太が言い出します。三郎は、すべては弁慶に任せると言って、言いつけ通りに動くことを改めて提案します。「来年の花見は奥州でな、きっとできるさ!」

海尊は、自分が足手まといになっているのを承知していて、このほら穴に置いて行ってほしいと弁慶に懇願するのですが、弁慶は聞く耳を持ってくれません。「お主をここに置いて行ったら、殿もここに残るぞ?」 弁慶は海尊に、仏法の書物が揃っている奥州で心行くまで読ませてやるのが夢なのです。そう言われてしまっては、海尊には返す言葉がありません。「いくぞ!」

海尊を背負った弁慶が立ち上がろうとしたとき、玉虫が手にしていた柄杓が割れてしまいます。何か因縁めいたものを感じた玉虫は、小玉虫と弁慶の無事を祈らずにはいられませんでした。

 

見張りの兵たちに向けて大岩を転がし、うろたえている間に雄叫びを上げて鎌倉方を襲撃する弁慶と義経。
その間に穴を抜け出し、落ち延びる郎党たち。
海尊は弁慶の背中で、敵を切り倒す動きでグラングランと揺れて今にも気を失いそうです。

 

手を合わせて必死に無事を祈る玉虫──。

 

片岡兄弟は川の中に身を潜めて逃亡し、
伊勢三郎は仕掛けを作って馬上の兵を落とし、その馬で若の前を迎えに向かいます。
鷲尾三郎と喜三太も逃げますが、足を踏み外して崖から落ちたりと苦難しているようです。
敵を蹴散らし、林の中を駆け抜ける義経と弁慶。

 

そして朝を迎えます。弁慶が近くから調達してきた食料を義経と海尊に渡します。ほら穴から出て海尊の顔つきも少し良くなってきたようです。どうやら追っ手は撒いたようで、しばらくここで休息するとして、その間に弁慶は若の前を迎えに行くことにします。

 

若の前を匿う太平一行は、徳と伊勢三郎が鎌倉方の攻撃を防ぎながら、そのスキに奥州を目指して進んでいます。合流した弁慶は、太平にこのまま奥州に向かってほしいと頼みます。そして徳と三郎の加勢に向かう弁慶とほくろです。

徳は因縁の相手・頑入と戦っていました。頑入が逃げて姿を消すと、徳は彼を追いかけていくのですが、木の上で潜んでいた頑入が小刀を手に飛び降りると、徳ともみ合いになり……。気が付けば頑入は命を落としていました。

駆けつけた弁慶に「お前が来るまでもなかったぜ」と精いっぱいの笑顔を見せる徳ですが、弁慶がふと気が付けば流血がひどいです。弁慶は三郎にほくろを呼ぶように頼むと、徳は「鬼若……オレは……お前以上の……男だ」と言って弁慶の足元に崩れ落ちます。三郎に呼ばれてほくろが走ってきますが、弁慶は徳が自分以上の男であると言います。「聞いたか……ざまぁみろ」とほほ笑んで、徳は死んでしまいます。

弁慶には徳を悲しむ余裕はありませんでした。一日も早く奥州へ向かわなければならないのです。ほくろもまた、徳を失った悲しみを超え、若の前の後を追いかけます。

 

再び義経と海尊と合流した弁慶は奥州を目指します。その途中でひとりの男が座りこんでいました。片岡経春とはぐれた行方六郎です。しばらくの再会に感動している間に、それぞれが合流を果たした三郎たちが弁慶たちに追い付いてきました。結局はひとりも落伍者を出すことなく、ひとつにまとまることができました。

ひとつにまとまった命を咲かせねばなりません。しかし彼らには、さらなる苦難が待ち受けていました。


原作:富田 常雄
脚本:杉山 義法・下川 博
テーマ音楽:芥川 也寸志
音楽:毛利 蔵人
タイトル文字:山田 恵諦
語り:山川 静夫 アナウンサー
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[出演]
中村 吉右衛門 (武蔵坊弁慶)

川野 太郎 (源 義経)
荻野目 慶子 (玉虫)
麻生 祐未 (静)
山咲 千里 (若の前)
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ジョニー 大倉 (伊勢三郎)
岩下 浩 (常陸坊海尊)
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加藤 茶 (徳)
岡安 由美子 (ほくろ)
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高品 格 (太平)
神崎 愛 (北条政子)

菅原 文太 (源 頼朝)
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制作:村上 慧
演出:外園 悠治

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