« プレイバック草 燃える・(10)鎌倉へ | トップページ | プレイバック草 燃える・(11)兄の涙 弟の涙 »

2022年5月29日 (日)

大河ドラマ鎌倉殿の13人・(21)仏の眼差(まなざ)し ~八重が守るものとは 運慶の仏の顔~

丘の上の石に腰かけて、亡き源 義経を偲ぶ北条義時と土肥実平。鎌倉市中の道を普請しているのを見て、実平は「バチが当たらなければよいが」とつぶやきますが、その工事を担っている八田知家が加わります。知家はひとりの男の子を義時の前に連れて行き、長く続く飢饉で両親を失った天涯孤独な男の子を預かってほしいと言ってきたのです。名前は「鶴丸」というそうです。

──藤原泰衡は義経の首を差し出した。しかし、それは頼朝の罠。義経という武器を失った平泉は、もはや鎌倉の敵ではなかった──


源 頼朝は全国から兵を集めて奥州へ攻め込みます。戦は鎌倉方の圧勝に終わり、頼朝は伽羅御所に足を踏み入れますが、高く積まれた財宝の山に「貯め込んだものだのう」と感嘆とも呆れともとれる言葉をつぶやきます。そこに、泰衡の家人だった河田次郎が泰衡の首を討ち取ったと、和田義盛が泰衡の首桶を持ってきました。頼朝は、主人への恩を忘れて首を持参した次郎を非難し、首を刎ねさせます。

平泉を制圧したことで、日本を手中に収めた頼朝は、源氏の世はもうすぐそこだと万感の思いですが、頼朝の目指すところはまだ先にあります。やっておかなければならないことがあるのです。「京の大天狗を何とかせねば」 このやり方でよかったのか自問する義時に、己が正しかったのかどうかは天が決めることだと言う頼朝ですが、義時はその言葉にさらに苦しめられます。「……罰が当たるのを待て、と」

戦勝祝いの席は、いつしか義経追悼の場になっていました。義経が住んだ高館に手を合わせようと言う声の中に、梶原景時が頼朝に讒言しなければ義経が死ぬことはなかったという、御家人たちの声があることは当の景時自身もよく承知していて、景時はとても寂しい思いをしています。義時は黙って景時に寄り添い、酒を注ぎつつも無言で座っています。

 

鎌倉に戻った頼朝は上洛に向けて準備を始めます。京から戻った北条時政は息災にしているかと後白河法皇からの手紙があり、よほど法皇に気に入られたようです。より力を持ちたい比企能員は「たまたまじゃ」と悔しがっています。そして奥州攻めの恩賞の話が法皇から出ていることについては、頼朝は軽く鼻で笑います。

鎌倉からの返書が届きました。恩賞を断る、と頼朝。武者であれば法皇からの褒美は喜んで受けようものを、もったいないと嘆く丹後局ですが、平 知康が推測するに、頼朝追討の院宣を下したことを頼朝は怒っているのかもしれません。「こんな時に平家がおったらのう……義仲! 九郎!」とため息をつく法皇ですが、すべて法皇が望んだことだと丹後局が答えると、法皇の怒りは今度は知康に向かいます。

鎌倉御所に義時の子・金剛を呼んだ頼朝は、嫡男の万寿と会わせます。子どもたちを預かる八重のとても幸せそうな表情に北条政子は目を細めますが、頼朝は八重と会えたことが嬉しくて、あれこれと昔ばなしに花を咲かせます。政子はとても不機嫌そうに「わざとなら人が悪いし、わざとでないなら気遣いがなさすぎる」と夫をたしなめます。ごめんなさいね と政子が謝ると、八重は呆れたように微笑みます。

 

「金剛はわしに似ておるのではないか?」と言い出した頼朝に、八重は腹を立てています。夫をからかう頼朝が許せないし、義時にももっと自分に自信を持つように言うのですが、相手は天下の鎌倉殿、抗(あらが)えない自分は頼朝に言われるままに非道なことをしている。そんな自分が情けないと吐き捨てる義時に、「小四郎どのでよかった、私もあなたをお守りします」とほほ笑みます。

時政とりくの子どもが北条一門に披露されました。大姫は「葵」と名乗って変な呪文を時政に教え出すし、魔除けやらを配り出すという奇行に走り、みんな困惑しています。時政の娘・ちえの懐妊を報告した畠山重忠、あきと結婚した稲毛重成が北条一門に加わって大所帯になりました。幼名五郎の北条時連(ときつら)は大姫からの頼まれごとがあって遅れて参上しています。

話題は八重が預かる子どもの話になりますが、りくはどうしてもお気に召しません。北条家跡継ぎの金剛を孤児たちと一緒に養育すべきではないと異を唱えるのです。りくの怒りは重忠に飛び火し、もっと活躍するように叱咤されます。万寿の乳母である比企家が頼朝と縁が深くなっていくことをりくなりに危惧しているのです。

屋敷に戻った八重は、金剛と鶴丸が取っ組み合いのけんかをしているところを目撃します。金剛を呼んだ八重は、孤児の鶴丸の気持ちを分かってあげてほしいと諭しますが、子どもは自分だけではだめなのかと問いかけます。八重は金剛の手を握り、まっすぐに金剛の目を見つめます。「あなたが、一番大事」 そう言って、ギュッと抱きしめてあげます。

 

伊豆にある願成就院は奥州攻めの年に時政が創建したものです。阿弥陀如来を見に時政と義時、時連がやってきました。彫り上げた運慶は、奈良から運んできた像を表で仕上げていて、木くずまみれになって現れます。見せてください、という義時の求めに応じて覆っていた布を引くと、そこに現れたのは柔和な表情の仏像、あまりの出来栄えにみんな言葉を失います。感激した時政は運慶に一献勧めます。

川で遊ぶ子どもたちですが、鶴丸が川に流され、岸から遠く離れた石にしがみついて泣いています。慌てて駆けつけた八重は、鶴丸の鳴き声が 川に沈められた自分の子ども・千鶴丸のものと重なり、気付けば川に入って鶴丸に向かっていました。厠から戻った三浦義村が駆けてきて鶴丸を預かり、岸に運んで救助するのですが、それを見届けた八重はほっとしたのか、力尽きて川に流されてしまいます。

急報はたちまち政子の耳に入り、大姫は無情にも「助かるわけない」と言うのですが、政子は大姫のその声に抗(あらが)って全成に祈祷を手配します。助かるように祈りましょうと探索に向かう義村も、助かる見込みはないと諦め、義時もつくづくついてないと吐き捨てます。夜、御所に戻った頼朝は、鎌倉中の御家人で八重の捜索に当たらせ、自らも御所を出て探しに向かいます。

しかし夜遅く、川下で八重が見つかったと仁田忠常は政子に報告に上がります。八重の様子を尋ねる政子に、泣きじゃくったまま首を横に振るだけです。政子の思いは、ついに届きませんでした。

 

伊豆で泊まりの義時は、阿弥陀如来の前で酒を飲みながら、ふと八重の顔を思い出していました。御仏の前だからと酒に口をつけていない運慶は、阿弥陀如来は母に似ていると笑っています。義時は、八重の急変をまだ知りません。


作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
──────────
小栗 旬 (北条義時)
新垣 結衣 (八重)
小池 栄子 (政子)
瀬戸 康史 (北条時連)
中川 大志 (畠山重忠)
──────────
山本 耕史 (三浦義村)
市原 隼人 (八田知家)
横田 栄司 (和田義盛)
堀内 敬子 (道)
阿南 健治 (土肥実平)
相島 一之 (運慶)
小林 隆 (三善康信)
栗原 英雄 (大江広元)
中村 獅童 (梶原景時)
──────────
菅田 将暉 (源 義経(回想))
──────────
佐藤 二朗 (比企能員)
岡本 信人 (千葉常胤)
鈴木 京香 (丹後局)

坂東 彌十郎 (北条時政)
宮沢 りえ (りく)

大泉 洋 (源 頼朝)
西田 敏行 (後白河法皇)
──────────
制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:大越 大士・吉岡 和彦
演出:末永 創

|

« プレイバック草 燃える・(10)鎌倉へ | トップページ | プレイバック草 燃える・(11)兄の涙 弟の涙 »

NHK大河2022・鎌倉殿の13人」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« プレイバック草 燃える・(10)鎌倉へ | トップページ | プレイバック草 燃える・(11)兄の涙 弟の涙 »