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2022年5月 8日 (日)

大河ドラマ鎌倉殿の13人・(18)壇ノ浦で舞った男 ~義経、壇の浦で舞う 源平合戦決着~

源 義高を討ち取られ、完全にふさぎこんでしまった大姫。義高の首を見たわけではありませんが、大姫なりに察したのでしょう。子どもたちと庭で遊んでいる八重に大姫の世話を託し、八重がふざけて鼻の下に筆でひげを書いて大姫を笑わせようとしても、大姫は全く心を開きません。無理やり戸を開こうとすると逆効果になると考えているちょびひげ姿の八重は、とにかく気長にと政子に報告します。

──都に足掛かりを築いた源氏に対して、平家は瀬戸内海を押さえ、最後の抵抗を繰り広げる。最終決戦が目の前に迫っていた──

一の谷で敗れた平家は、四国の屋島に逃げました。対する頼朝の戦略は、源 義経には四国を、源 範頼には九州を攻めさせ、逃げ道を塞ぐというもの。しかし範頼は、九州に渡る船を集められずにいました。

元暦2(1185)年、周防・松崎天満宮で動けない範頼軍は、届かぬ兵糧に和田義盛がイライラを募らせていました。義経の四国攻略もあまり進んでいないようで、鎌倉に帰ろうと言い出す義盛を、範頼はなだめるしかありません。そこに、豊後水軍を味方につけた三浦義村が戻って来ました。豊後水軍が九州の平家方と戦っているのに目をつけたのです。

豊後の緒方一族から舟を借りた範頼軍は九州に渡り、筑前に攻め込みます。逃げ道を絶たれる平家軍です。

一方、摂津国では嵐の影響で船を出せずにいました。梶原景時は舟を出せない今、櫓(ろ)を舟の舳先(へさき)に結び付けてみるという実験をやってみたいと提案します。そこで義経と「前に進むことしかできぬ猪武者」「行ったり来たりの鶏武者」と言い合いになりますが、畠山重忠に止められます。躍起になる義経は、この嵐の中を出陣すると言い出して皆の反発を食らいます。

降り続く雨を睨みつける義経。そこに景時が現れ、義経の主張に従うと言ってきました。義経は、いま舟を出せば3日かかるところを風に乗って半日で着けると考えたのです。義経は、自分の手勢だけで先に行くから屋島で待つと言い残し、嵐の中を出発します。義経は5艘の舟で海を渡り、平家軍に奇襲をかけます。不意を突かれた平家軍は屋島を捨て、長門の彦島に落ち延びていきました。

義経勝利の報を受けた頼朝ですが、意外にもその表情に喜びはありませんでした。頼朝から見て義経はすぐに調子に乗る男だけに、とても強い義経が「自分こそ鎌倉殿だ」と言い出しかねないことを危惧しているのです。まさか、と北条時政や安達盛長は笑いますが、頼朝は総大将を景時とし、義経は戦に出さないように景時に文を出すことにします。

 

長門・壇ノ浦──。頼朝からの命を受けて義経に伝えますが、当然ながら義経は不承知です。景時とまたもいがみ合いになり、義経を欠くわけにはいかないと重忠も景時に加勢しますが、「今度も九郎どのでいいと思いますがなぁ」と比企能員は面白がっています。それを聞いた景時はあっさりと手を引きます。能員は娘婿の義経を買っているのです。

実はこれ、頼朝の命を受けて景時が考え出した妙案で、義経と景時がいがみ合うことでやはり総大将は義経にと話を持っていくための寸劇だったのです。頼朝の下知の意味が分からないと愚痴をこぼす義経ですが、景時は戦に勝てばいいと義経の背中を押します。義経は、舟の漕ぎ手を狙って舟を立ち往生させるというタブーな戦略を提案します。

3月24日 朝、壇ノ浦で戦が始まりました。開始早々、義経軍は不利な形勢で矢を防ぐのに必死です。九州側から戦を眺める範頼たちは、泳いで逃げてきた敵兵たちを生け捕りにするために待ち構えています。義経は、敵を十分に引きつけておき、漕ぎ手を狙えと命じます。重忠は矢を防ぎながら、漕ぎ手は兵ではないと義経を止めますが、義経は構わず矢を射かけ、鎧を着ていない漕ぎ手を射抜きます。

形勢は逆転、義経は敵の舟に飛び移り、次々と兵を斬り倒していきます。決着がつこうとしていました。安徳天皇が乗る御座船では、戦況を見た平 宗盛が「もはやこれまで」と泣きそうな表情です。そして後方の天皇を振り返ります。

九州の地から、あれを、と義村が指さします。舟に乗る三浦義澄もアッと気づき、息をのんでいます。御座船から平 時子ら女たちが3種の神器を胸に抱き出てきたかと思うと、次々に海中に身を沈めていきます。天皇も、女官に抱きかかえられて身を投じます。義経はとっさに「やめろーっ!!」と叫びますが、むなしく届きませんでした。

戦が終わり、波打ち際には無数の兵たちの死骸が転がっています。ぶつけようのない感情の義時ですが、多少の犠牲はやむを得ないという義経に、多少でしょうか? と反抗します。戦に負ければ死んでいったものたちが無駄になる、だから勝たねばならない戦だったのです。漕ぎ手を手厚く葬るように指示した義経は、表情を変えずにつぶやきます。「義仲が死に、平家も滅んだ。この先私は誰と戦えばいいのか」

 

山木兼隆攻めから5年、ようやく平家を滅亡に追いやることができました。ただ天皇は救えず三種の神器のうち草薙剣を失い、たとえ平家は倒せても戦に勝ったことにはならないと、頼朝は義経が戻ったら叱りつけてやると静かにつぶやきます。しかし政子と2人きりの空間では、義経の戦功を褒め、今にも泣きそうな顔の頼朝です。政子と抱き合って喜んでいます。

 後白河法皇の御所に呼ばれた義経は、天皇を救えなかったこと、草薙剣を取り戻せなかったことを謝しますが、法皇は大して問題にはせず、義経の活躍話を聞きたいと笑っています。その間、義経の下で戦った御家人たちは「武功を独り占めかよ」と冗談めかして笑いますが、重忠は、漕ぎ手を射るというルール違反を景時がなぜ止めなかったのか疑問に思っています。

その景時は、一足早く鎌倉に戻ってきていました。義経の戦にかけての神がかり的な武功を評しつつ、先走るあまり人の情けを蔑ろにするところがあると頼朝に報告します。戦に勝つためには手段を選ばないわけです。おまけに京では、次は義経の世だと口にする者もいるらしく、すぐに呼び戻せと命じる頼朝ですが、義経は検非違使に任じられているので京から動けません。頼朝はチッと舌打ちをします。

 

静御前が釣りをする川のほとりで頼朝からの書状を読む義経ですが、女たちが遠巻きに見て手を振ったり黄色い声を上げたりしています。どこにいてもなぜ義経だと分かるのだろうかと武蔵坊弁慶はつぶやきますが、義時に即座に「あなたがいるからでしょ」と突っ込まれ、義経にも あっちに行っててくれ、と追い出されてしまいます。

それにしても、戦に勝ったのに頼朝に怒られてしまうのが理解できません。義時は義経が強すぎるからだと言い、早く戻って自分の口で弁明するために検非違使返上を勧めます。明日法皇に掛け合ってみると言って義経は釣りを続ける静のもとへ向かいますが、その様子を藪の中からじっと見つめる妻・里の姿がありました。くやしそうな表情の里に、義時は見てみぬふりをして去っていきます。

鎌倉に戻りたいと願い出る義経ですが、法皇は義経にそばにいてほしくて、鎌倉に帰したくないのが正直なところです。丹後局は、義経が検非違使であることを活かし、死にそびれた宗盛を鎌倉へ護送する役目を義経にさせれば、義経は晴れて鎌倉へ凱旋できるわけです。ただし、宗盛の首を刎ねるのは京でという条件付きです。つまり宗盛を連れて京に戻ってこいと遠回しに言っているわけです。

 

鎌倉に向かっている義経が検非違使の役目を返上していないことに疑問の頼朝ですが、法皇と義経が示し合わせた猿芝居であると景時が察知します。頼朝は景時の助言に従って対面するのは宗盛のみとし、義経は腰越で留め置くように命じます。義経に野心はないと主張する義時ですが、義経も頼朝も天に選ばれた御仁であり、その2人が並び立つはずがないと景時は考えているのです。

腰越に到着した義経を待っていたのは時政でした。どういうことだと迫る義経に、それが頼朝の考えとしか答えてくれません。兄の考えが分からないと悩み始める義経に、頼朝に文を書いてみてはと宗盛は勧めます。戦しか能がないと吐き捨てる義経ですが、宗盛は義経の代わりに文を書くことを買って出ます。そして時政の警護で宗盛が鎌倉入りを果たした際、宗盛は義経からの文を預かってきたと時政に差し出します。

宗盛と対面した頼朝は、すでに平家を滅ぼした後とあってか、何の怒りも沸いてきませんでした。それよりも、義経からの文が癪に障ります。これは頼朝が右兵衛権佐(うひょうえごんのすけ)という官職にあることを知らない者が書いたと、代筆したものであるとバレてしまいます。なぜそんな小細工をするのだと、頼朝は宗盛とともに京に追い返すことにします。

義時は、義経に頼朝と会って思いを伝えるべきだと説得しますが、ここまで蔑(ないがし)ろにされてしまっては、さすがの義経でも無用だとつぶやき、頼朝の命に従って京に帰ることにし、そして宗盛には別に捕えていた嫡男・平 清宗と対面させます。「今夜は、親子でゆっくりと語り合うがいい」 宗盛は義経に感謝します。義経は今回のことを踏まえ、これからは法皇第一に仕えると宣言します。

ここ腰越は頼朝と対面する前、鎌倉入りを前に立ち寄った場所で、その時に腹を空かせていた義経主従にいもを食べさせてくれた藤平太が義経に会いに来てくれます。大喜びする義経は藤平太との約束を忘れていませんでした。かごいっぱいの大量のいもを藤平太へ与えたのです。頼朝や景時の知らない、情に厚い別の一面を持つ義経を義時はじっと見つめて、いものうまさを堪能しています。


作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
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小栗 旬 (北条義時)
新垣 結衣 (八重)
菅田 将暉 (源 義経)
小池 栄子 (政子)
中川 大志 (畠山重忠)
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山本 耕史 (三浦義村)
横田 栄司 (和田義盛)
栗原 英雄 (大江広元)
佐藤 B作 (三浦義澄)
小泉 孝太郎 (平 宗盛)
中村 獅童 (梶原景時)
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佐藤 二朗 (比企能員)
鈴木 京香 (丹後局)

坂東 彌十郎 (北条時政)
宮沢 りえ (りく)

大泉 洋 (源 頼朝)
西田 敏行 (後白河法皇)
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制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:大越 大士・橋本 万葉
演出:吉田 照幸

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