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2022年5月13日 (金)

プレイバック草 燃える・(06)密使は走る

治承4(1180)年4月、頼朝の叔父・新宮十郎行家が、京から「以仁王の令旨」をもたらします。「以仁王の令旨」は平家を追討するべしという簡単な文面でしたが、取り次ぎ者として記されているのは伊豆守・源 仲綱です。仲綱は源三位頼政の嫡子で、この親子を中心に今回の謀反の計画は起こされたのです。頼政は76歳の高齢ながら後白河法皇の第二皇子・以仁王を奉じて平家を滅ぼさんと、全国の源氏に呼び掛けたのでした。

お受けなさるか と行家が促すと、文面を見て顔色を変えていた頼朝はチラリと北条時政を見ますが、時政は天井を見つめたまま微動だにしません。頼朝は行家の方を向き直し、改めて姿勢を正し手をつきます。「かしこみて……受け申す」 しかし頼政の謀反の計画は事を成す前に平家方に発覚します。

5月25日、頼政軍は東国の武士たちはおろか畿内隣国の源氏を結集するいとまもないまま、京都宇治川をはさんで平家軍との合戦となります。平家軍28,000余、頼政軍はわずかの手勢と園城寺などの僧兵を率いて戦います。頼政は南都興福寺を中心とする勢力を頼んで奈良に向かう途中でしたが、平家方の追撃は激しく、平家の大軍が宇治川を渡って攻め込むと平等院に立てこもります。勝敗は火を見るよりも明らかでした。

 

北条館に文覚上人という法師が頼朝を訪ねてきました。実は文覚は源 義朝の頭蓋骨を持参しており、平治の乱で討たれた後は獄舎の前の苔の下に埋もれて誰も弔う者もおらず、文覚が獄守からもらい受けたものだそうです。非業の死を遂げた義朝の首に、頼朝は手を合わせて拝みます。文覚は、平家の滅亡と源氏の再興を待ち望んでいる者が多く、頼朝に挙兵を迫ります。

池禅尼に命を助けられて、父や一族郎党の菩提を弔い法華経を読経することしか考えていない頼朝ですが、父親の供養と言うのなら経を読み上げるよりも仇を討てと言いおいて文覚は出ていきます。義朝の首を手渡された頼朝はしばらく茫然としますが、どこで拾ってきたかも分からない首を出されても、あんな坊主のおだてに乗るわけにはいきません。

夕方、三善康信の文を携えて弟の三善康清がきました。康信からの文によれば、頼政も仲綱も討ち死にし以仁王は行方不明とのことで、頼朝はショックを受けます。平家は令旨の流れ先を追跡するだろうからここにも捜索の手は伸びる、ゆえに奥州の藤原秀衡を頼って逃げるように勧めるものでした。ん、と短く返事をした頼朝は、そのまましばらく考え込んでしまいました。

北条宗時は、頼朝が奥州に逃げたところで平家が秀衡に頼朝追討の命令を出せば同じことと、三浦たち豪族の力を結集して頼朝を匿うために北条義時に話し合いに向かわせようとしています。平家を迎え討てるだけの兵力を持っていないため、坂東で匿うことに時政はあまり賛成しませんが、宗時の押しに負け、うんと言わざるを得ません。

牧の方は、政子が親を裏切って頼朝と一緒になったから、この北条にもこういう災いが降りかかるのだと、政子と頼朝には館を出て行ってもらおうと時政に提案しますが、時政は軽くあしらい、政子には心配しないように言いおいて土肥実平の館へ向かいます。その後も牧の方の愚痴は止まらず、この家は娘には甘いと皮肉って閉じこもってしまいます。

 

義時は途中飲まず食わずで三浦館にたどり着きました。三浦義村の話では、平家は大番役で京にいた父・三浦義澄に、在京の期間を引き延ばしてまで頼政追討の加勢の命を下したそうで、とても難しいことになってしまいました。しかしここで頼朝を見殺しにしてしまっては坂東武者の名折れというものです。

一方、土肥館に入った時政ですが、実平からは、時政が頼朝とともに令旨を受けてしまっている以上、頼朝と運命を共にするか、頼朝の首を取って平家に忠誠を尽くすかの二者択一だと言われてしまいます。かつての伊東祐親のように頼朝の子を殺すようなことにはなりますが、時政にどこまでやる気があるのか……と言われ、天を仰ぐ時政です。

政子は思い切って、北条館を出ることを頼朝に提案します。頼朝は出るのは自分だけで充分だと言いますが、仮に政子と大姫が北条館に残ってもろくなことにはなりません。しかし頼朝は、もうしばらく様子を見ようと言います。もしかしたら事態は変わるかもしれません。政子はそんな頼朝を悠長だとあきれますが、頼朝はいろいろと考えていました。

引き続き土肥館に居座る時政は実平の顔を見つめていますが、実平は腕組みをしたまま目をつぶって動かず、何も話しません。灯芯が切れて明かりが消えてしまい、部屋が真っ暗になりますが、それに実平が気づいた時を見計らって、時政は思い切って北条の挙兵時に加勢を頼むと、実平は時政と頼朝とともに戦うと約束してくれました。

翌朝、馬で北条館へ戻る義時と義村ですが、途中で大庭の茜の侍女に再会します。そろそろ坂東に戻ってくると期待していた義時でしたが、福原へ都が移されるのに合わせて茜も建礼門院徳子らとともに福原へ行ったと教えてくれます。義村は茜との関わりをからかいますが、戻ってこないことを残念がる義時です。

 

京都大番役から戻ってきた三浦義澄と千葉胤頼が北条館に立ち寄ります。宇治川での合戦の平家の戦いぶりは、頼政を倒すのに平家軍総がかりで辛くも勝ったというのが正確のところです。考えてみれば平治の乱から20年が経ち、その間は戦もなく武者の魂もどこへやら。平家の軍など恐れるに足りず、挙兵の時には共に戦うと、時政や義澄たちもみな、頼朝に頭を下げます。

大庭館には茜の姿がありました。福原へ行ったのですが、まさかこんなに早く戻ってこれるとは思わなかったようで、義時は未だに自分が福原にいると思っていると知って、茜はがっかりします。茜は侍女に文の使いを頼みますが、会話を聞いていた大庭景親は、実らぬ恋だと諦めるように諭します。「いずれ我が家は北条と敵味方になる時がくる」 義時には会わないようにと景親は茜に念押しします。

山木兼隆を囲んで酒宴が開かれています。頼朝の首を挙げてみせると酒に任せて言いたい放題の兼隆ですが、末席で酒を飲む伊東祐之は、頼朝の首は自分が取るから邪魔するなと恐ろしい表情です。兼隆にしてみれば祐之は政子を奪い取った張本人であり、それを穏便に済ませてやったのにと怒り狂うのですが、祐之の暴言は止まりません。祐親は祐之を殴りつけ、頭を冷やして来いと追い出します。

その間、涼みに庭に出た茜ですが、そこに千鳥足の祐之が来ました。自分が受けた侮辱を返す時が来たと頼朝と北条を討つと言い出します。茜は、祐之が従者を斬った時に義時は濡れ衣を着たほど祐之を思っていると訴えるのですが、祐之はあざ笑うだけです。いずれ義時も北条一族とともに討ち死にするだろうと言って去っていく祐之に、茜はショックを隠し切れません。

 

思いを抑えきれなくなった茜は、いつかの海岸に義時を呼び出し、松原の中で再会を果たします。会うなと言われれば言われるほど当人同士の恋は燃え上がるわけで、小屋の中でふたりはきつく抱きしめ合います。しかし茜はもう会えないと悲しみます。景親が軍勢を率いて北条に攻め込むという話をしていたのを聞き、義時はもうすぐ死ぬんだと思い詰めているのです。

義時は、その挙兵がいつなのか聞き出そうとしますが、茜は、義時に伝えたら北条の側に情報が流れることに気づいてしまいます。今まで見たことがないような義時の恐ろしい表情を怖がりますが、茜を追い込んではならないと聞くのを躊躇します。義時の命が助かるのならと、茜は19日と言ってしまいます。

土砂降りの中、とぼとぼ帰ってきた義時を宗時は叱責し、頼朝を囲んでの話し合いに参加させます。平家方は頼朝討伐として大庭に攻めさせるということが分かりました。平家が京からゆっくり進むならまだしも、敵が間近にいるとなれば準備の時もあまりありません。攻め手の兵力は2,000、それに見合うだけの兵力を武蔵・上総・下総から募って揃えなければなりませんが、その攻め込まれる日が分かりません。

厳しい表情の義時は迷っていましたが、ついに口を開きます。「大庭は19日に出陣します! あと6日です! 一刻も早く坂東に急使を走らせねば間に合いません!」 部屋を飛び出す義時ですが、言ってしまったと激しい後悔に襲われています。


原作:永井 路子
脚本:中島 丈博
音楽:湯浅 譲二
語り:森本 毅郎
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[出演]
石坂 浩二 (源 頼朝)
松平 健 (北条義時)
中山 仁 (北条宗時)
滝田 栄 (伊東祐之)
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大谷 直子 (牧の方)
武田 鉄矢 (安達盛長)
藤岡 弘 (三浦義村)
観世 栄夫 (文覚)
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松坂 慶子 (茜)
真野 響子 (北条保子)
金田 龍之介 (北条時政)
岩下 志麻 (北条政子)
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制作:斎藤 暁
演出:伊予田 静弘

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