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2022年5月17日 (火)

プレイバック草 燃える・(07)頼朝起(た)つ

治承4(1180)年8月14日。義時が馬場で、北条宗時と三浦義村から大庭の娘の茜についてからかわれているのを聞いて、北条政子はピーンときました。かつて義時が伊豆山で落ち合う人がいると言っていたのは大庭の姫のことで、その姫から大庭の“19日に出陣”という内部情報を得たのだと。義時は、自分にも北条の血が流れていたのだと、昨夜の暴露について本当に後悔しているようです。

一方の茜も、とても浮かない表情です。父の大庭景親は、義時のことはよく聞き分けてくれたと、その償いに平家の公達から非の打ちどころのない毛並みのいい婿を選んでくると言っていますが、茜の気持ちのモヤモヤはもちろんそういったことではなく、一時の感情に流されて内部情報を言ってしまったことにあるのです。しかしそんなことを父に言えるはずもなく……。


頼朝は実は、法華経一千部の読経を祈願して胸の内に留めた大事を明かすつもりだったのですが、事が差し迫って間に合わないと、伊豆山に向かって覚淵律師に祈祷を願い出ます。頼朝は伊豆山に各地の豪族を呼び寄せて一人ひとり対面して手を握り、頼りにしていると言葉をかけ、御家人たちはいずれも感涙して忠誠を誓います。義時はなぜああいうふうに泣けるのかと、冷静に眺めています。

一方、安達盛長は首藤館を訪れ首藤経俊と会い、いよいよ挙兵の時と加勢の依頼をします。経俊は頼朝とは乳兄弟にあたり、特に源氏の累代の家臣として頼りにしている人物なのです。まずは伊豆の目代・山木兼隆を当面の目標とし、血祭りにあげることが肝要だと説得をしますが、なかなか経俊は態度を明らかにしません。「しばらく様子を見させてもらおう」との返事に、盛長は拳を握り締めてわなわな震えています。

引き続き盛長が説得に当たった波多野義常も、突然バカモノ! と盛長を怒鳴りつけます。「この平家全盛の時代に、あの流人は気でも狂ったんじゃねえのか」と暴言を吐いて加勢を拒否します。盛長は怒り心頭です。

 

8月15日、盛長は失意の帰還を果たし、あと頼れるのは三浦家だけです。源氏の縁もさほど通用しないのか、と口を滑らせた北条時政に、頼朝は時政の力で何人集められるのかと皮肉たっぷりに返します。口ごもる時政と頼朝の間で口げんかが始まりますが、盛長が仲裁します。そこに岡崎義実が20騎余りを率いて到着しました。頼朝は義実の手を握り、義実は感涙する──義時は「またやってる」と冷ややかに眺めます。

覚淵律師から「八の字は吉瑞(きちずい)だから幸先が良い」と言われて、頼朝は米8石、布8匹など品数を8種類に揃え、伊豆山権現や箱根権現、三島大社に祈願の寄進として送ると決めます。政子はその費用を時政に負担してもらいたいと伝えに来るのですが、娘の頼みとなれば時政は聞かざるを得ず、そんな時政に不満な牧の方です。

頼朝は幼いころの「猛吹雪の中、単騎逃避行を続ける頼朝が賊に襲われた時の夢」を見ていました。大声を上げて目を覚ますのですが、源氏の嫡流の証である「源太の産衣の鎧」と「髭切の太刀」の所在を確かめ、ホッとする頼朝です。出陣を控え、もしかしたら今夜が最後の夜になってしまうかもしれないと頼朝がつぶやき、政子は頼朝の胸に飛び込んでいます。

 

8月16日、兼隆襲撃を明朝に控え、三浦半島の豪族・三浦義明の元にも続々と一族が集結していました。大軍で動けば感づかれるという三浦義澄と、明日襲撃であれば少しでも早く動くべきとの和田義盛が意見を交わす中、義村は義盛と手勢を率いて先に頼朝の元に駆け付ける案を出します。そのほうが頼朝の印象はよさそうです。

頼朝の元に集まった豪族たちは興奮気味に酒をあおっています。三浦勢の到着もまだで、戦の準備に帰った佐々木兄弟もまだ戻ってきていません。頼朝は待つと判断しますが、時政がすぐに出陣しなければ軍の士気に関わるとイライラしています。頼朝は時政の意見こそもっともとしながら、自分は待ちたいと動こうとしません。義時は頼朝を、理屈に合わないことを言う人だと冷静に分析しています。

 

8月17日、運命の朝を迎えます。素直に感情を表に出す頼朝について、それを素直な人と受け取る政子や宗時と、策略家と考える義時で意見が分かれます。もちろん義時は、感情を露わにしながら頭ではほかのことをちゃんと考えていられる頼朝に感心して褒めているつもりですが、義時の言いたいことが宗時や政子になかなか伝わらず、義時は大きくため息をつきます。

前夜から酒をあおっていた豪族たちは、陽が上っても発たないため大の字になって寝ています。起きている武将も、いっそ戦を止めて三島大社の祭りに行こう! と冗談を言い、急に空しくなって盃を叩きつけて悔しい思いをしています。そこにようやく佐々木兄弟が遅参しました。昨晩の豪雨で川が氾濫し、進軍できなかったのです。頼朝は佐々木兄弟を迎え入れます。

 

佐々木兄弟延着のため、早朝に予定していた兼隆襲撃はその日の夜に持ち越されますが、結果的にはそれが頼朝軍に幸運をもたらします。兼隆の主だった武将が三島大社の祭礼に出かけていて、夜襲をかけた頼朝軍に守りを簡単に破られてしまったからです。山木館の門を破り、頼朝軍の兵たちが館の中へなだれ込んでいきます。

三島大社のお祭りに、茜の姿がありました。義時と特に約束を交わしたわけではありませんが、もしかしたら来ているかもしれないと気になって祭りに赴いてみたのです。しかしあまりに人が多すぎて、探しても探してもその姿を見つけきれません。

兼隆の首を討ったら山木館に火をかけるという手はずですが、その火がなかなか見えません。もうそろそろ炎上していなければいけない時間となり、さすがの頼朝も焦りの色が見え始めますが、頼朝護衛の加藤景廉には薙刀を与え、佐々木盛綱とともに山木館へ行って兼隆を討ち取りに向かわせます。

三島大社のお祭りでは、踊りのさなかに男女がひと組、ふた組と抜けていきます。相変わらず義時の姿を探す茜ですが、そこに現れたのは伊東祐之でした。お互い相手がいないようだからと祐之は茜の手を握ろうとしますが、茜に拒絶されます。それで祐之は、茜の目的は義時を探しに来たのだとひらめくわけですが、そこを 平家目代の屋敷が襲撃されていると武士たちが駆け抜けていきます。

兼隆の姿が見つかりません。屋敷をくまなく探し、奥へ奥へ進んでいくと、少数の兵に守られて兼隆が座り込んでいました。警護の兵をたちまちに切り倒し、景廉は兼隆を討ち取ります。「取ったぞ! 山木の首は取った!」の声に合わせて館に火をかけます。

その天を焦がすほどの赤々とした炎は、祭りから抜けてきた茜や祐之にもはっきりと見えています。祐之が、北条の者たちが源氏の流人に味方して目代を血祭りに上げたと吐き捨てるように言ったことで、茜はその戦いの中に義時がいると知ります。茜はただ、目に涙をいっぱい溜めて炎を見つめるしかできませんでした。

北条館の頼朝は炎を見つめながらこぶしを握り締め、政子はその手をそっと握ります。これからが大変ですわね、との政子の言葉に、頼朝はうなずきながら「ああ、これからが本当の戦だ」と自分にも言い聞かせます。


原作:永井 路子
脚本:中島 丈博
音楽:湯浅 譲二
語り:森本 毅郎
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[出演]
石坂 浩二 (源 頼朝)
松平 健 (北条義時)
中山 仁 (北条宗時)
滝田 栄 (伊東祐之)
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大谷 直子 (牧の方)
武田 鉄矢 (安達盛長)
藤岡 弘 (三浦義村)
伊吹 吾郎 (和田義盛)
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松坂 慶子 (茜)
真野 響子 (北条保子)
金田 龍之介 (北条時政)
岩下 志麻 (北条政子)
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制作:斎藤 暁
演出:大原 誠

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