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2022年6月 7日 (火)

プレイバック草 燃える・(13)若君誕生

養和2(1182)年1月。鎌倉御所は前年6月に造営が成り、侍所の別当には和田義盛が かつての源 頼朝との約束通り任命されていました。頼朝はさっそく伊勢神宮に奉納する文案を作るように命じ、三善康信が考え全成が清書をするという分担制で完成させます。その康信は名を「善信」と改めて頼朝の有能な事務官僚として活躍し始めていました。

御所内で暮らす大姫は北条政子に、自分にはどうして弟や妹がいないのかを尋ねます。北条保子が懐妊して今月が産み月らしく、「きっと男のお子さまですわよ」とのさつきの言葉も合わさって、政子はこればかりはと戸惑い気味です。お付きの佐々木盛綱(三郎)から頼朝が由比の浦で犬追物を催すと聞いた政子は、犬追物のどこがおもしろいのかと少し苛立ちながらつぶやきます。

夜、頼朝が甘えたような声で男の子が欲しいと言い、政子の肩をさすります。気分がすぐれないからと営みを断る政子に、頼朝は隣で横になりながら、男の子が欲しい…男の子が欲しい…と何度も何度も呪文のように言い続けます。そして翌朝早くに頼朝は家人たちを引き連れて由比ヶ浦へ出かけていきました。それを見送りながら、こんな寒い1月に出かけなくてもと言いつつ、不穏な何かを感じ取っていました。

保子が男の子を出産しますが、政子の顔はいよいよ複雑な表情になります。全成の館にかけつけて赤子の顔を眺めて柔和な顔つきになる政子ですが、保子の出産が軽かったという話も授乳の話も冷めた顔で聞いていますし、父親としての実感が沸かない全成には「男の人というものは初めは誰でもそう思うもんです」と顔を背けてしまいます。いつもと違う様子の政子を、保子は少し気になっています。

 

犬追物の最中に頼朝に呼び出された北条義時は、伏見広綱の飯島屋敷に迎えにいってくれと頼まれます。広綱と聞いて顔をこわばらせる義時ですが、伏し目がちになりながらも承知して迎えに向かいます。安達盛長は、その役目は義時には残酷だと言いますが、義時が自分の願いをどこまで聞き入れるのかを頼朝は試しているのです。

迎えに行った義時は、飯島屋敷から亀の前という女性を馬に乗せて、海沿いの道をゆっくり戻って来ます。義時は無表情のまま、前をまっすぐに見つめたままです。亀の前が乗る馬を引く左源太は、頼朝のやり方に怒りを露わにしますが、「言うな」と義時はやんわり注意します。

全成の館から御所に戻ってきた政子ですが、顔色が悪く足取りもおぼつかないようです。皆が政子を出迎えますが、日ごろからの心労が祟ったのか、皆の目の前でフッと意識を失って倒れてしまいます。御所内は大騒ぎになっています。

亀の前と頼朝が愛し合っているところへ駆け込む盛長は、見てはならぬものを見てしまったと廊下まで下がり、「御台さまが大変でございます!」と報告。政子にバレたか!? と頼朝は身構えますが、浮気がバレたのではなく倒れたと知ると、さすがの頼朝でも表情を曇らせます。

 

政子が倒れたことは、送り出した側の全成と保子の耳にも入っていました。全成は、男の子を欲しがる政子に保子が男の子男の子とうるさいからだと笑いますが、保子の表情がパッと明るくなります。「身ごもってらっしゃるからよ! 姉上はおめでたです」

急いで戻ってきた頼朝は、懐妊3ヶ月の政子のお腹に耳を当てて何も感じないと懐妊自体を疑いますが、政子につわりがきて初めて納得します。男の子が産まれるように神仏に祈願し、若宮の表参道を海までまっすぐに延ばす。そして恩赦で伊東祐親・祐清父子を許そうと義時を派遣しようとしますが、政子は難色を示します。義時と茜があれだけ助命を頼んだのに、頼朝は大庭景親を許さずその首を刎ねたのです。

義時は近くに小さな家を借りて茜を住まわせ、ふたりで暮らしています。「ここに来るとホッとするなぁ」とつぶやく義時の顔を眺めて、茜も癒されてとても幸せそうです。義時はそんなお使いは受けないだろうと政子は言いますが、そう言われれば言われるほど試したくなるのが頼朝です。「そうかな、断るかな」と挑むような眼で政子を見ています。

しかし義時は頼朝の命令を受けてきました。時政でさえ「人が良いにもほどがある!」と激怒ですが、義時はさほど気にしません。牧の方は、公明正大すぎてかえって蔑(ないがし)ろにされていると感じているようで、これには牧の方の兄・牧 宗親も同じ思いです。このままでは北条がかすむと、時政にもっと単刀直入な態度がいいと進言します。そんな会話が交わされている間に義時は三浦館に行ってしまいます。

 

祐親と祐清が預けられている三浦館に赴き、恩赦のことを祐親の娘・伊沙(三浦義村の母)に伝えるととても喜びます。それは祐親も同じで、憎き相手に温情と、肩を震わせて感涙していました。それはそれとして、義時は祐之の居場所を伊沙に尋ねますが、心配しつつ居場所までは掴んでいないようです。兄を殺した男を心配するなんてと義村には理解できませんが、北条の人間は腹が読めなくて困ると笑います。

しかし、夜になって祐親は恩赦を受ける資格がないと言い出し、恩赦を告げる書状を伊東祐清に預けます。祐親にはどうしても消せない、頼朝の血筋を引く男の子を殺させた過去があり、誰が何と言っても許されることではないわけです。ただし祐清は別で、祐清のためにも祐親はこれ以上老残の恥をさらすわけにはいきません。

翌朝、三浦館に宿泊した義時は鎌倉へ戻ります。しかしそれを見送りに来た義村は、祐親がいま自害したことを告げます。慌ててかけつける伊沙と義時ですがすでに手遅れで、事切れていました。「私には止められなかった」と祐清は唇をかみます。伊沙には祐親がなぜ自害したのか分かりません。なぜ? どうして? とつぶやき、亡きがらにすがって号泣します。

 

「返す返すも残念なことよ……」 報告のために御所に上がった祐清から祐親の自害を聞いた頼朝は、沈痛な面持ちです。せめて直接対面できれば、昔のことは水に流してという頼朝の思いは届いていたのかもしれません。頼朝は祐清に、祐親の分まで働いて頼朝に忠節を尽くすよう伝えますが、祐清はなぜか固辞します。自分のことには構わないでと頭を下げるのみで、祐清の本心が見えない頼朝は苛立ち始めます。

かつて祐清は頼朝に仕えていたし、祐親が頼朝を討ち取ろうとした際にそれを頼朝に通報したこともある、功ある人物です。これ以上の辞退は無礼と迫られ、お受けしますがと答える祐清は、恩赦を得ればその日のうちに京へかけ上り、平家の陣に身を投じると宣言します。「それでも恩赦をいただけましょうか、御所」 祐清は挑むような眼で頼朝を見据えます。

頼朝は義時を呼び、祐清を斬れと命じます。宗時の仇である伊東を斬るのは義時が適任だと考える頼朝ですが、義時には宗時を殺された恨みはもはやありません。それに政子の安産祈願のための恩赦であるのにこれ以上の殺生は…と難色を示します。頼朝はあんなことを祐清に言われて、恩赦を出した自分に恥をかかせられたのが許せないのです。義時が直に斬れと念押しする頼朝です。

祐清成敗の命令に義時が従ったと政子は誰かから聞いたらしく、頼朝は仕方なく肯定します。政子に黙っていても日々いろいろな情報が政子に届けられるらしく、頼朝は「どうかな」と濁します。義時は自分の言うことは何でも聞くという頼朝に、そこまで忠実でないと気が済まないのかと政子は批判します。特に目をかける義時が鍛えられていくのを見たいからこそ無理難題を押し付けると、頼朝は当然のように言います。

河原に連れてきた祐清はどっかと座り、義時には もし祐之に会ったらこれまでの罪を許してやってくれと遺言を残します。「今はなぜかあいつの気持ちが分かるような気がするんだ」 そう言って前かがみになる祐清、刀を抜いて構える義時、そしてほど近いところで手を合わせて助命を懇願する伊沙の姿が見えます。一瞬ひるんだ義時ですが刀を振り下ろし、伊沙の泣き叫ぶ声があたりに響き渡ります。

 

苔丸の一団に加わった祐之ですが、人斬りの目的が次第に猟奇的になりつつあります。盗みに入った屋敷で高貴な人間を斬り、女を奪って強姦し、大声を出して暴れたからといって挙句は首を絞めて殺害する。初めこそ祐之の腕前を認めた小観音も猿太も、祐之から気持ちが遠ざかりつつあります。酒をあおった祐之は、義時は許さないと暴れます。

帰った義時は茜を強く抱きしめながら泣いていました。やさしく言葉をかける茜ですが、「優しくしてくれ……どうでもいいからもっと優しく……」と義時はいつもと様子が違います。茜は戸惑いながら、義時の感情をしっかりと受け止めています。

 

寿永元(1182)年7月、政子はお産のために比企ヶ谷(ひきがやつ)の比企館へ向かいます。身分ある女性は我が家では産まず、しかるべき産所に移るのが当時の習わしで、この時は比企館が選ばれたのでした。政子は1ヶ月後に産気づき、頼朝をはじめ家人総出で安産祈願を行い続けます。そして──梶原景時が若君誕生を知らせると、家人たちは色めき立ちます。
若君は「万寿」と名付けられます。後の源 頼家です。


原作:永井 路子
脚本:中島 丈博
音楽:湯浅 譲二
語り:森本 毅郎
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[出演]
石坂 浩二 (源 頼朝)
松平 健 (北条義時)
真野 響子 (北条保子)
滝田 栄 (伊東祐之)
武田 鉄矢 (安達盛長)
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金田 龍之介 (北条時政)
大谷 直子 (牧の方)
藤岡 弘 (三浦義村)
黒沢 年男 (苔丸)
伊吹 吾郎 (和田義盛)
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松坂 慶子 (茜)
佐藤 慶 (比企能員)
伊藤 孝雄 (阿野全成)
江原 真二郎 (梶原景時)
岩下 志麻 (北条政子)
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制作:斎藤 暁
演出:伊予田 静弘

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