大河ドラマ鎌倉殿の13人・(24)変わらぬ人 ~範頼の謀反疑う頼朝 大姫入内計画~
無事に鎌倉へ戻ってきた源 頼朝と万寿を、北条政子らは喜んで出迎えます。今回は万寿に助けられた形ですが、やるべきことをやったまでと、その活躍を特にひけらかすようなこともありません。「わしはまだまだ死なぬ」と頼朝はみなを安心させます。せきばらいをする大江広元を見て、政子たちはそそくさと退場するのですが、出ていこうとする北条義時を頼朝は引き止めます。
頼朝不在中に源 範頼が鎌倉殿になろうとしていたという広元の告げ口は、三善康信が早とちりして鎌倉に謀反が起きる前に代理を立てねばと焦ったことから始まるわけで、範頼に謀反の気持ちはさらさらないことは康信は重々承知をしています。ただ、将軍逝去と次の将軍の申請の書状を頼朝側が入手したことで、火消しに回る前に頼朝の疑念の気持ちが大きく膨らんでしまいます。
──富士の巻狩りで起こった、頼朝の暗殺未遂。その余波が鎌倉を揺るがしている。野心を見せた者を頼朝は許さない──
書状が頼朝の手に渡ってしまった以上、範頼が頼りとするのは比企能員しかいません。康信が焦って書状を送ったのも、そもそもは能員がけしかけたことに端を発するのですが、頼朝に釈明に向かおうとする能員を、あずかり知らぬこととしらを切れと道は押しとどめます。面会に訪れた範頼に、仮病を使って門前払いをします。
頼朝の元に出頭した範頼は、頼朝が討たれたと思い込んで鎌倉を守るために誰かが采配を振るうべきと思ってやったまでと釈明します。しかし広元は、範頼がしたためた起請文に『今後末代まで鎌倉殿に忠義を尽くす』と書きながら、源氏嫡流しか名乗れない源名を名乗っていると指摘。それは言いがかりと義時は反発しますが、範頼は姿勢を正し、頭を下げます。「もう……結構にございます」
頼朝が居室に戻ると、そこには比企尼が座していました。安達盛長の妻は比企家の出身で、そのつてで呼んだのです。政子は範頼が謀反を企むような人間ではないと弁明しますが、疑われるようなことをしただけで罪になると頼朝は聞く耳を持ちません。比企尼は、立場は人を変えると、幼いころの優しかった頼朝を回顧します。差し上げた観音様も大事にして、尼の思いは片時も忘れないと誓った頼朝。
あの時の頼朝はどこに行った? と訴えかけますが、挙兵の時に源氏の棟梁として甘く見られてはならないと観音様は捨てたと頼朝は伏し目がちに答えます。「こうやって私は命をつないできたのです!」 比企尼は平手打ちしますが、頼朝は座を蹴って立ち去ります。比企尼の思いをくみ取ったのか、範頼は死罪を免れ伊豆の修善寺に幽閉されることになりました。
一方、曽我事件の関与を疑われた岡崎吉実の元には、梶原景時がやってきました。景時が来たということは死罪と覚悟を決める吉実ですが、頼朝が挙兵した時に真っ先に駆け付けてきた吉実の恩義は、頼朝は忘れてはいませんでした。「そういうことも……あったな」と寂しそうに笑う吉実は、鎌倉を去ることになりました。事件はこれをもってひとまず決着を見ます。
三浦義村が義時の屋敷に遊びに来ました。聞けば比奈はすでに同居しているらしく、頼朝から決して手放さぬと起請文を出せと言われているようです。義村は、起請文の書き方には気をつけろと義時に悪い冗談を言い、そして金剛には義村の娘の初との結婚話を持ち出し、「あれはいい女子だ」などと言って父親らしからぬ言葉で金剛を照れさせます。
比企尼の使者に対応するため比奈がいなくなり、金剛も去った時、義時は今回の始末について義村の率直な意見を求めます。義村から見れば坂東武者が信じられず身内ばかり重用したが、その身内すら信じられなくなっただけと簡単に言ってのけますが、裏切ったり裏切られたりは飽きてしまった義村は、隠居をして家督を弟に継がせたいと突然の告白です。「もう少し付き合ってくれよ」と義時は笑います。
後白河法皇が世を去ったことで、大姫の帝の后になる話は立ち消えとなりました。頼朝は、妹の子でめきめきと力をつけている一条高能に嫁がせようと画策しますが、大姫の心の中には未だに木曽義高がいて、高能には嫁げないと言い出します。高能は呆れて京に戻っていきますが、それを知った頼朝は激怒します。このままでは婿の成り手がいないと、頼朝は政子になんとかしろと命じます。
政子は大姫を呼び、阿野全成の新しい呪術を受けることになりました。しばらくすると大姫の前に義高が現れ、大姫は三島明神の祭りに一緒に行ったこと、その時食べたお持ちの味が忘れられないと言うのですが、それに合わせていた全成の演技が大姫にバレてしまいます。義高と三島明神に行ったこともないし、お餅を一緒に食べたこともなく、大姫は腹を立てて出ていってしまいます。
大姫は思い切って、和田義盛の家人になっている巴に会いに行き、大好きな人を亡くした同じ境遇の女として、義高の話を聞かせてもらおうとします。巴は、義仲を失い一時は死のうと考えましたが、義盛に出会い死ななくてよかったと思っています。人は変わる、生きている限り前へ進まなければならない。面影が薄らいだということは義高が前へ進めと言っていると、大姫の背中をポンと押します。
「私、京へ参ります。帝のお后となるお話、もう一度進めてください」と、大姫からの突然の告白です。頼朝も政子も驚きますが、お役に立てるのならと決意を固めたようです。頼朝は笑いが止まりません。
そして建久6(1195)年、頼朝は2度目の上洛をすべく鎌倉を出発します。後白河法皇亡き後、実権を握るのは関白・九条兼実ですが、兼実の前に立ちはだかったのは中納言・土御門通親(みちちか)です。東大寺再建供養に一番の貢献をした頼朝を招き、宋の職人・陳 和卿も頼朝に会わせる予定ですが、陳は多くの殺生をした大悪人には会いたくないと言い出し、頼朝など放っておけと通親は突き放します。
上洛を果たした頼朝は、通親にもたっぷりの金を送り、政子は大姫と世話役の丹後局に対面します。丹後局は入内が決まったような政子の口ぶりに反抗します。「厚かましいにもほどがある!」という叱責にも、政子はぐっと堪えて指南を頼み込みます。一門全ての行く末を帝の男子が産めるかどうかに賭けて入内させるという厳しい現実を突きつけ、政子にも大姫にもその覚悟を求めます。
「武力を笠に着て、何ごとも押し通せるとは思われぬように」と頼朝への伝言を受けた政子は、そのまま本人に伝えるのですが、言わせておけとにべもありません。ただ、今回は朝廷を敵に回したくない思惑が強く、政子に我慢を強います。頼朝も、陳 和卿に会えなかったとさんざんだったようです。「都は好かん」と頼朝は苦虫をかみつぶしたような顔でつぶやきます。
もし大姫に帝の皇子が生まれたら、北条時政は皇子の外曾祖父にあたるわけで、双六をしている三浦義澄と土肥実平はそれだけで大喜びですが、そんな姿を見ていて義村は情けなくなってきました。かつては北条よりも力を持っていた三浦家が、今ではこれほどまでに差がついてしまった。それが悔しくて、義村は一足先に宿所に戻ることにします。そこに、大姫がいなくなったとちょっとした騒ぎになります。
政子は、最近の頼朝は何かに怯えていて焦っているようだと感じています。そして雨の中探しに出る御家人たちですが、義村は庭に潜む大姫を見つけ、話を聞きます。姫の生きたいように生きるべきと諭す義村は「人は、己の幸せのために生きる……当たり前のことです」と考えを伝えます。そう言ったところで、息づかいが荒くなった大姫は高熱で病に倒れてしまいます。入内の話は延期となりました。
鎌倉へ戻った大姫の容体は悪化する一方です。大姫に無理をさせたと自分を責める政子は、自分の好きなように生きていいのかとの大姫の問いに頷きます。「好きに生きるということは好きに死ぬということ……」 大姫は、死ねば義高に会えるから死ぬのは怖くないのです。政子は手を取って涙を流しますが、生きることを拒んだ身体はそのまま衰弱の一途をたどり、建久8(1197)年7月、20歳の生涯を閉じました。
大姫の亡骸を前に、政子は頭にぽっかりと穴が開いたようで、こんな思いはもうしたくないと悲しみに暮れます。時政は泣きじゃくり、りくは「強くなるのですよ」と黙ってその死を受け入れます。後から入ってきた頼朝は、まだ諦めないと義時に三幡の入内の話を進めるように命じます。頼朝にはまだなすべきことがあるのです。信じられない表情で頼朝の顔を見上げる政子です。
観音像に手を合わせながら、頼朝は広元に誰かが源氏を呪っているとつぶやきます。「思い当たるのは一人しかおらぬ……やはり生かしておくべきではなかったか!」 頼朝は怒りに任せて、景時を呼ぶように命じます。
農民の五藤太夫妻に育てて収穫した野菜を見せ、政とはかかわりない暮らしをしている範頼です。範頼が井戸から水をくみ上げているスキを見て五藤太夫妻を殺し、範頼の後ろに忍び寄る、善児の影。振り返った範頼の腹部に小刀を刺し、倒れたところを夫妻の娘が見ていました。震える娘に小刀をかざしますが、善児はその刀を引っ込めます。
──頼朝はこのところ、熟睡したことがない。天から生かされてきたこの男は、気づいているのである。自分の死が間近に迫っていることを──。
作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
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小栗 旬 (北条義時)
小池 栄子 (政子)
坂口 健太郎 (金剛)
堀田 真由 (比奈)
中川 大志 (畠山重忠)
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山本 耕史 (三浦義村)
横田 栄司 (和田義盛)
田中 直樹 (九条兼実)
新納 慎也 (阿野全成)
宮澤 エマ (実衣)
堀内 敬子 (道)
阿南 健治 (土肥実平)
小林 隆 (三善康信)
中村 獅童 (梶原景時)
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佐藤 二朗 (比企能員)
梶原 善 (善児)
佐藤 B作 (三浦義澄)
鈴木 京香 (丹後局)
草笛 光子 (比企尼)
栗原 英雄 (大江広元)
坂東 彌十郎 (北条時政)
宮沢 りえ (りく)
大泉 洋 (源 頼朝)
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制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:長谷 知記・橋本 万葉
演出:安藤 大佑
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