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2022年6月12日 (日)

大河ドラマ鎌倉殿の13人・(23)狩りと獲物 ~富士で頼朝暗殺計画 曽我の敵討ち~

富士の狩りの前に北条時政とふたりきりになり、曽我兄弟について梶原景時が動いていることを北条義時はこっそり打ち明けます。しかし時政に「あれはただの敵討ち」と動じる様子はありません。敵討ちに見せかけて源 頼朝への謀反を企んでいると伝えると、時政の表情が急変します。「父上は……利用されたのです」

──最高指導者の暗殺。歴史上、権力の絶頂で命を落としたものは多い。鎌倉殿、源 頼朝もまた、冷たい刃が迫っている──

巻狩りに出発する頼朝は、初陣となる万寿を連れての出発です。この巻狩りを大規模に行うことによって、万寿が次の鎌倉殿であると世間に知らしめるつもりです。父の意向を聞いて万寿も身が引き締まります。巻狩りとは猪や鹿を仕留める大規模な狩りのことで、何日もかけて行われる大軍事演習でもあります。この日、坂東の各地から多くの御家人が集結しました。

万寿は功を焦ったか、ウサギを仕留めようとして失敗してしまいます。気落ちする彼を頼朝や比企能員が、焦ることはないと励まします。一方で、成長著しい義時の嫡男・金剛は孤児の鶴丸とともに参加し、見事に鹿を仕留めています。「鎌倉殿にご報告を」と向かおうとする金剛を、義時はやめておけと引き止めます。

 

頼朝の宿舎では、迎える準備におおわらわです。調度品の準備に余念がない時政のところに義時と畠山重忠が現れ、3人で打ち合わせします。時政は家人を呼び戻したいのですが、巻狩りを取りやめにしない限りは無理な話です。しかも頼朝は企ては知らないし、知ったところで中止となれば源氏の威信にかかわります。であれば守りを固めるのみと、重忠はニッコリ笑って出ていきます。

八重の兄を討った工藤祐経も巻狩りに参加していますが、万寿に獲物を得られなければ北条の責任と、以前よりも格段に発言力が増しています。今や頼朝の覚えめでたくお側近くにおり、それだけで発言もなにやら上から目線なのです。それでも義時はいち家来として祐経にも接していて、明日の配置を考えろという祐経の指示に従って義時は動きます。

酒の相手のために伯父とともに来た比奈は、酒の席から遠く離れた静かな場所で配置を考える義時の横にちょこんと座ります。鹿は群れで動くから1匹いると何匹もいる──とアドバイスする比奈を伴って、鹿がいそうなところを案内してもらうのですが、途中でイノシシが追ってきて、ふたりで逃げ出します。転んで身体が重なり合うと、恥ずかしそうに身体を起こすふたりです。

 

翌日もしくじる万寿に、三浦義村や和田義盛、重忠らがああだこうだと集まってきますが、万寿は隣にいた金剛に矢を手渡し、やってみるように促します。天に向かってひょうと放つと、鴨が落ちてきました。やった! という表情で振り向く金剛ですが、誰もそれを求めていないという雰囲気で、たまらず「すいません」と頭を下げます。万寿はいたたまれなくなり、走って戻っていってしまいます。

威信にかかわると考えた安達盛長は、義時に動かぬ鹿を用意するように依頼します。八田知家は金剛が仕留めた鹿を板に立たせ、それを引っ張って動いているように見せる細工を作り上げます。万寿はその鹿に矢を向け 矢はかすめるのですが、草むらから知家が矢を放ち、射抜いたと同時に鹿を倒すからくりです。頼朝たちは大喜びしてみせますが、万寿はその細工に気づいていました。

「矢口祝い」は、武家の男子が初めて獲物をしとめた際に3色の餅を山の神に供える儀式です。万寿もそれにならい、お供えします。その儀式で振る舞われた餅と酒を手に義時の前に現れた祐経は、比奈のことについて尋ねたいことがあるとどっかと座ります。一方、万寿の活躍を報告しに来た能員に、北条政子は塩対応でまったく喜ぶしぐさを見せません。「何なのだ!」と能員は怒りを露わにします。

 

事件が起こったのは5月28日、比奈の居場所を義時から聞き出した祐経によって、盛長が止めるのも聞かずに頼朝が比奈のところへ向かいます。お堂にこっそり忍び込んだ頼朝を待っていたのは、比奈と義時でした。「よいお方をお引き合わせくださったと思うております」という義時の言葉に、あっそう! とすごすご戻る頼朝。そこに雨が降り出しました。雨宿りする頼朝……実に最悪な夜でした。

敵討ちとして出発する曽我兄弟たちですが、祐経の宿舎ではなく頼朝の宿舎に向かう五郎たちを不審に思った仁田忠常は、兄弟と斬り合いになります。十郎が忠常と戦っている間、五郎たちは頼朝の宿舎へ急ぎます。宿舎では重忠たちが待ち構えていて、ここでも斬り合いが発生。そのすきに五郎は宿舎に押し入り、寝ている頼朝を斬り捨て討ち取ります。

一報を聞いて駆け付けた義時と金剛は、万寿の無事を確認。敵は甲斐武田か平泉の残党か分からない状態で、政子が心配だと、万寿はいくらかの兵を鎌倉に戻って守りを固めさせます。「お見事!」と声を上げた義時は、万寿の指示で頼朝の安否を確認しに向かい、金剛は自分を守るように命じます。そして忠常が座り込む遺体を見て途方に暮れる義時のところへ、「これは何事じゃ!?」と頼朝が戻って来ました。

 

混乱の中、襲撃の第一報が鎌倉にもたらされます。政子は取り乱し、心配なのはむしろこの鎌倉とりくが政子に落ち着くように言います。鎌倉を預かる源 範頼は、逃げる用意だけはしておくように政子に伝えます。能員のところにもその報が届き、頼朝のみならず万寿も討ち取られたらしいと聞いて愕然としていますが、比企の延命のため、範頼に跡を継がせようと能員は賭けに出ます。

万寿がいないとなれば、自分たちが乳母として育てている千幡が後継者……と実衣はあらぬことを考え、阿野全成にたしなめられます。さっそく能員は範頼に近づいて、鎌倉幕府の転覆を図る者たちが出てくる前に頼朝の後を継ぐように進言しますが、まだ範頼にはその実感が沸きません。「鎌倉が滅びますぞ!」 そう迫られて決意を固める範頼ですが、その横で能員はニヤリとしています。

まずは頼朝の生死を確かめてからという大江広元の意見を封じ、時間がないと焦る範頼は、三善康信に征夷大将軍を継ぐにはどうすればいいか尋ねます。征夷大将軍の代替わりは初めてのことなので、まずは頼朝の逝去を後鳥羽天皇に言上し、次の将軍に認めてもらうという手順になります。「私がなんとかいたします」という康信の言葉に従うしかありません。

 

富士野では、捕らえられた曽我五郎が頼朝を討った理由を景時に打ち明けますが、頼朝は生きていると景時が無情の宣告をします。一方、五郎の命だけは助けたいという時政は義時に掛け合いますが、それはできない相談です。しかし頼朝が口封じをしたという悪評を立たせず、兵を貸した時政に責めを負わせないために、義時はひとつの手段を考えます。

曽我兄弟と祐経は、彼らの父を討ったのが祐経という因縁深い間柄であり、“謀反を装った敵討ち”だと義時は頼朝に説明します。その上で頼朝に、敵討ちをした五郎はアッパレだと褒めたたえてもらい、その上で巻狩りの場を混乱に陥れた責めを負わせ斬首の刑を処すことにしたのです。「違う! 伊東祐親を死なせたのも坂東をおかしくしたのも頼朝だ!」と声を上げますが、兵たちに連れていかれます。

鎌倉に帰ることにした頼朝は、五郎の烏帽子親が時政と知って、今回の事件で北条は関わりないのか義時に念押しします。頷く義時に、頼朝は信じることにします。いつも命拾いする頼朝ですが、いつもは声が聞こえてくるのに昨晩は聞こえませんでした。たまたま助かったと言う頼朝は、次はもうないとつぶやきます。「小四郎……わしがなすべきことは、もうこの世には残っていないのか」

義時は自分の世話をしてくれる比奈に、宿舎を引き払うこと、鎌倉に戻ったら世話は無用と言いおいて去ろうとしますが、「ご迷惑ですか」と比奈は引き下がります。義時は、比奈が思っているよりずっと汚いと自嘲し、何より死んだ八重のことを忘れることができないとつぶやきます。それでも、義時が自分を見てくれなくてもいい、自分が義時を見ていさえすればと、比奈は思いを伝えます。

 

鎌倉に戻った頼朝の姿を一目見て、よかった! と胸に飛び込む政子。そして範頼も無事の帰還に安堵した様子です。しかし事はそれで終わりではありませんでした。大江広元が範頼に謀反の兆しありと報告したのです。まるで将軍のような振る舞いを聞き、頼朝は「信じられん」とショックを受けていますが、次の瞬間には範頼への憎しみに変わっていました。


作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
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小栗 旬 (北条義時)
小池 栄子 (政子)
坂口 健太郎 (金剛)
瀬戸 康史 (北条時連)
堀田 真由 (比奈)
中川 大志 (畠山重忠)
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山本 耕史 (三浦義村)
市原 隼人 (八田知家)
横田 栄司 (和田義盛)
新納 慎也 (阿野全成)
宮澤 エマ (実衣)
堀内 敬子 (道)
小林 隆 (三善康信)
中村 獅童 (梶原景時)
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新垣 結衣 (八重(回想))
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佐藤 二朗 (比企能員)
栗原 英雄 (大江広元)
坂東 彌十郎 (北条時政)
宮沢 りえ (りく)
大泉 洋 (源 頼朝)
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制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:長谷 知記・川口 俊介
演出:吉田 照幸

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