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2022年7月 8日 (金)

プレイバック北条時宗・(06)博多恋心

北条時宗の船の旅、その最中に突然海賊の船団が謝 国明の船を取り囲みます。居眠りをしていた北条時頼は時宗の叫びで飛び起きますが、自身も初めての経験でなす術がありません。謝 国明は、おとなしく捕らわれの身となるか潔く戦うかの二者択一を時宗に迫ります。捕らわれるのはいやだと言う時宗にその覚悟を見た謝国明は、刀を時宗に手渡します。

そうしている間にも海賊たちはカギナワを使って謝 国明の船に乗り移ってきます。海賊の頭領らしき大男が時宗の前に立ちはだかると時宗は刀で応戦しますが、たちまち刀を取り上げられてしまいます。大男は時宗に切りつけようと刀を目の前に振りかざしますが、じっと耐える時宗を見てガハハと笑います。「なかなかみどころのある小童(こわっぱ)じゃ……佐志 房じゃ」

房は肥前松浦の佐志水軍の頭で、謝 国明とは一緒に商いをする仲間なのです。時宗は海賊と嘘をついた謝 国明に怒り心頭ですが、船に酔って弱っている時宗に喝を入れたかったと弁明したかったわけです。時宗は謝 国明に対する怒りを抑えきれず 掴みかかり、同船している子どもたちはそんな時宗を笑って見ています。そうしているうちに、博多の港が見えてきました。

博多の港は活気にあふれていました。舟から荷下ろしした商品を手際よく指示を出してさばいていく美岬(みさき)は謝 国明の妻です。美岬が海を見ると、謝 国明の船が港に入ってきました。「着いたぞ時宗」と桐子が声をかけますが、呼び捨てをされたことにイラッとします。時頼は、ここは鎌倉ではないと言い、早く降りるように促します。

時頼と時宗は謝 国明の屋敷に招待されます。房は桐子に、謝 国明の娘がいいか自分の娘になるかを尋ねます。一瞬考えた桐子は、房の子どもになると決意します。房の3人の男の子のうち2人はもらい子で、桐子は特に肩身の狭い思いはせずに済みそうです。異国の香りただよう町並み、国にも生まれにもとらわれない人々に、時頼も時宗は驚きっぱなしです。

鎌倉御所では、6代将軍宗尊親王が主催する歌の会に北条時利が呼ばれました。表向きは将軍が呼んだということになっていますが、足利家が時利を担ぎ上げて北条家の転覆を図っていることぐらいは分かっています。何か謀反が起こったらと心配する泰盛に、何かが動き出すまでは黙って耐えねばと実時。泰盛は、実時に相談したのが間違いだったと怒って出ていってしまいます。

そうしている間にも足利家による布石は始まっておりまして、歌の会に参加していた足利家執事の高 師氏は時利に、将軍の叔母が出た西園寺家の公子という姫君との縁談を持ちかけてきました。北条政村は思わず身構えますが、執権北条長時は将軍と縁続きになれることで舞い上がり、承諾してしまいます。

 

時頼と時宗は博多から30里の対馬まで進んできました。浜辺から見える陸地を対馬だと時頼は勘違いしますが、案内役の房が高麗だと教えてくれました。これほどまでの距離ならば、やがて日本と高麗の大きな戦になると時頼は危惧しますが、対馬の人間は遠い鎌倉より近い高麗との交易を行ってきたのです。「己の身は己で守る。何もせぬ幕府を当てにしても無駄じゃからの」

時頼のそばで流れ着いた木札を拾った時宗は偶然に真珠を見つけ、洞窟の中にぐんぐん入っていきますが、夢中になっているうち、潮が満ちてきて洞窟の中に閉じ込められてしまいます。時宗の叫び声に気づいた時頼は衣類を脱ぎ捨て、洞窟に入っていった時頼は無事に時宗を救出しますが、高潮になり泳いでも泳いでも洞窟から出られそうにありません。時頼は、潮が引くまで待つことにします。

涼子が政村を訪ね、時利の縁組を問いただしますが、とぼける政村は涼子には関わりないと突っぱねます。時頼不在中に縁談という大事を進めていいのか、これで時利を盛り立てる者が出てくると鎌倉が騒動に巻き込まれるのではないか。時頼が政に携わる以上は恨み続けると言う涼子に政村は、身も心も北条家の人間になる覚悟があるのか問いかけます。

どんどんと潮が満ちてきて、時頼の顔にも焦りが見え始めます。おんぶをする時宗に、時頼が鎌倉に戻ったら隠居をするとつぶやくのですが、房が小舟で助けに来てくれました。時頼も時宗もようやく安堵の表情を見せ、房は大笑いしています。「対馬の海は……荒いのう」「どうじゃ! ここの海の水は大陸の味がするじゃろ!」

鎌倉市中に出た涼子は、説法をしている日蓮のところに出向きます。日蓮に石を投げつける民たちを退け、落ちていた巻物を日蓮に手渡します。日蓮は、涼子が時頼の正室と知った上で、来世の成仏のみを信じて現世を見捨てては鎌倉に平穏はない、と言い切ります。「天変地異と飢饉が続き、やがて外敵が襲うてきましょうぞ」 日蓮はこの後、『立正安国論』を著して時頼に献上することになります。

 

このころ蒙古軍は黄河を渡って宋に入り、四川(しせん)各地を占領する勢いでした。しかし、先陣切って蒙古軍を率いてきた皇帝のモンケ・カアンは、長い遠征がたたって病に倒れてしまいます。後に日本と戦を交えることになるクビライが、新しい皇帝になる日はすぐそこまで迫っていました。

謝 国明は蒙古の地図を広げ、時頼は蒙古と日本の大きさに興味を示します。日本の小ささに驚き、大国に飲み込まれるのを待つばかりと悲観しますが、小さい国なりのやり方があると謝 国明は伝えます。時頼が隠居を決意したのも、小さい鎌倉でいつまでも権力をほしいままにしているようでは、日本はいつまでたっても外に向かないと感じたからです。それだけでも、博多に来た甲斐があったというものです。

博多の浜辺では、鎌倉に帰る時宗と博多に残る桐子が並んで座っていました。時宗は父と博多に来れたことをよかったと思い、桐子は父親がいることを羨ましく思っています。桐子は、鎌倉に戻れない自分の代わりに八幡様に埋めてほしいと、浜辺に落ちていた貝を時宗に預けます。美岬が時頼を呼びに来て、駆けていってしまうのですが、再会を約束する言葉すら知らない二人です。

 

安達屋敷の讃岐局のところに、桔梗が訪問していました。将軍と縁続きになれる礼を述べる讃岐ですが、帝も将軍も今やお飾りであり、勝負はこれからだとけしかける桔梗。その話を居室の外で聞いていた泰盛は桔梗を問い詰めますが、“企み” “女だてらに”という泰盛の言葉を捉えて言い返してきます。そこに時頼と時宗が帰還したと知らせが入り、泰盛はその場を後にします。

数ヶ月不在にしている間に、時宗は少し大きく成長したように感じます。「船に乗り海を渡りましたから!」と胸を張る時宗は、海を渡ってみたいと羨ましがる涼子に いつかお連します! と約束します。時頼は涼子に隠居することを伝えるのですが、そこにやってきた泰盛に、話があると別室に連れ出されてしまいます。時頼が隠居──と、涼子は笑みにも困惑にも似た表情を見せます。

戻ってきたばかりの時頼を囲んで、「勝手に話を進めたのではなく伝える手段がなかった」「将軍家との縁組は時頼を待ってからにするのが筋」「いつ戻るか分からない時頼は待てない」と泰盛と政村の言い合いになりますが、まずは将軍に礼を言わねばなるまいと時頼はつぶやき、泰盛は時頼の反応に黙ってしまいます。

話の渦中に置かれた時利ですが、将軍が詠んだ和歌を書き写してお勉強の最中です。時宗は時利を驚かそうと、桐子に預けられた貝を見せるのですが、時利は日蓮に助けられた娘のことは忘れたとそっけない態度を見せます。時宗は寂しい表情を浮かべながら、姿勢を正して時利の顔色を窺っています。

宗尊親王の前に参上した時頼は、この話はなかったことにしてほしいと頭を下げます。時利にはすでに小山長村の娘・祥子と婚姻を約していて、その約束を違えることは鎌倉武士としてできない、と。長時は血の気が引き、言われた親王は作り笑顔で話を聞いていますが、わなわなと震え、出て行きざまに長時を扇で叩きます。時頼は、一度は隠居を決意しながら前にもまして幕府内で力を振るうようになります。

正嘉2(1258)年、時利11歳の夏、祥子との婚儀が執り行われます。花嫁の顔は誰も見てはならない習わしながら、時利と時宗もこっそりと見ていて、祥子の美しさに目を奪われています。


脚本:井上 由美子
高橋 克彦「時宗」より
音楽:栗山 和樹
語り(覚山尼):十朱 幸代
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[出演]
渡辺 謙 (北条時頼)
浅野 温子 (涼子)
柳葉 敏郎 (安達泰盛)
池畑 慎之介 (北条実時)
篠原 涼子 (讃岐局)
牧瀬 里穂 (梨子)
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原田 美枝子 (桔梗)
江原 真二郎 (高 師氏)
吹越 満 (宗尊親王)
藤 あや子 (美岬)
バーサンジャブ (クビライ)
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伊東 四朗 (北条政村)
平 幹二朗 (北条重時)
藤 竜也 (佐志 房)
奥田 瑛二 (日蓮)
富司 純子 (松下禅尼)
北大路 欣也 (謝 国明)
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制作統括:阿部 康彦
演出:吉川 邦夫

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