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2022年7月26日 (火)

プレイバック北条時宗・(11)時頼絶命

「父亡き後の鎌倉をいかに導けばよいか、3人に申し渡す」 座禅を組む我が子3人に向かって、北条時頼は静かに語り出します。毒を盛った下手人は探すな。兄弟3人それぞれの役割を全うせよ。北条時輔は家臣として北条時宗と北条宗政を補佐せよとのお達しに時宗は我慢なりませんが、いずれ劣らぬ辛き運命と時宗を突き放します。そして最後の3つ目を言おうとした時頼は、その場で昏倒してしまいます。

時頼が病床に伏したことは大騒動になりますが、最明寺亭に見舞うことも許されず、事実確認が取れません。ただ、北条経時や檜皮姫と全く同じ症状ということだけは分かっています。「毒を盛られたと申すか!?」と安達泰盛は怒りをにじませますが、北条政村は、時頼が倒れた情報が漏れないように、すでに伝えた松下禅尼以外は鎌倉内部の者にも秘密にします。時頼を恨むと公言していた涼子にも言うは及ばずです。

屋敷の中が急に騒がしくなり「北条の者どもが」と笑う喜々ですが、祝子は安達から北条に来て、実家をなくした義母涼子の気持ちが分かった気がしています。しかし涼子は「分かろうとするからすれ違いが生じる」と言い、自分の思いを素直に相手に直接伝える方がマシと祝子に微笑みます。

御簾の中で背を向ける時頼に、松下禅尼は顔を見せてほしいと懇願します。泰盛も松下禅尼の願いを叶えてほしいと御簾を上げようとしますが、時頼は母親だからこそ見せたくないのです。その本音に松下禅尼は、経時と同じ毒を盛られたと感づき悔し涙を流します。時頼の心のよりどころは、松下禅尼からもらい受けた美しい数珠が、これからの長旅の供をしてくれるということだけです。

 

北条長時、政村、北条実時、泰盛の間で緘口令が敷かれたとは言え、好機と見た長時は6代将軍宗尊親王の元に赴いて、ちゃっかりすべてを伝えてしまいます。聞いた宗尊親王は自らの企てではないと潔白を主張しますが、宗尊親王は自分のために長時がしてくれたのだと思い込んでいました。長時でないとすれば、いったい誰が? と考えると、宗尊親王もなかなか愉快な気分です。

幕府内部がざわつき始めたことに気づいた涼子は、宗政を呼び出して真相を問い詰めますが、口止めされていて言えません。「母上が父上を憎んでおられるからこのようなことに!」と叫んでしまって、涼子は時頼の身に何かが起こったと察知します。

時頼のことについて泰盛は時宗から聞き出そうと説得を続けますが、他に漏らしてはならないと時宗は口を開きません。泰盛は、時頼は幼いころから兄弟同然に育ってきた間柄でもあるし、妻祝子の兄でもあります。自分だけでもと食い下がる泰盛ですが、ついに時宗はしらを切り通します。眉間にしわを寄せて泰盛は皮肉を言って立ち去ります。「さすがは北条得宗家の嫡男……人を信じぬ」

 

妻の祥子が具合が悪く横になっていて無理して起きようとするのですが、時輔は時頼のこともあり、祥子も毒を盛られたのではないかと恐ろしくなっています。祥子は、自分に毒を盛って誰が得するのかと大笑いするのですが、「どうせならもっとめでたきことを」とほほ笑みます。祥子が子どもを身ごもったのです。涙を浮かべて幸せをじんわり噛みしめる時輔です。

高 師氏の案内で足利屋敷に向かう時輔は、その途中で泰盛が自分たちの行動を探っているのに気づきます。屋敷に入り、時頼の容態を尋ねた桔梗に驚きますが、時頼のことは何も言いません。さらに足利に来るのは今日が最後と言うと、桔梗は逆上します。宗尊親王とともに新しい鎌倉を率いると誓ったことになっていて、時輔の表情はみるみる険しくなっていきます。

翌朝、泰盛はさっそく昨晩のことを実時に伝えます。時輔といい足利といい時頼のことに関わりあると考えてもおかしくないと怒りに震える泰盛ですが、時頼を恨みに思うのは何も時輔や足利だけにとどまらず、三浦家も涼子も宗尊親王も長時も、そして実時自身も関わりあると言えるわけで、早まるなと忠告しておきます。つまり時頼の周りは敵だらけなのです。

 

素直な気持ちを相手に伝えるのは大事だと涼子から教わった祝子のことばで意を決した時宗は、時頼が病床に伏していることを涼子に伝えます。涼子に伝えないことは涼子を疑うことにつながり、時頼が亡くなれば涼子の憎しみを認めたことになります。時宗は、涼子が毒を盛っていないのなら、恨み憎しみを捨てて時頼に会ってもらいたいと頭を下げます。

1日として約束を守れない自身を自嘲する時宗に、珍しいと時輔は笑いますが、その時輔は北条の名も鎌倉も捨てて祥子と暮らしていくと宣言します。疑念を抱かれても堂々としていればいいと時宗は返しますが、それは疑われない者の言葉だと時輔は一笑に付します。生きているだけで疑われる者もいる……その苦しみは、体験した者でしか分からないものです。

 

平常心で的に向かう涼子ですが、弓の弦が切れて矢はあらぬところに飛んでいきます。ハッと我に返った涼子は、馬上の人となって最明寺亭に急ぎます。

そのころ、最明寺亭には謝 国明が訪問していました。謝 国明は「業鏡高く掲ぐ七十三年、一錘(いっつい)打碎(だは)すれば大道坦然(たんねん)たり」という、宋の妙湛(みょうたん)が死ぬ間際に残した句を教えます。すべての業も苦しみも一錘の元に砕けばあとは広々とした道が開ける──。ありがたいと手を合わせる時頼は、時宗のことを頼むと頭を下げます。「承知いたした。よき旅を」

涼子が来たと聞き、誰にも会わないと言う時頼に謝 国明は会うように勧めます。涼子と対面した時頼は、詫びるのは涼子の両親を奪った戦の過ちを認めることになると考えていたのですが、戦をする限り過ちであるわけです。すまなかったと涼子に詫びを入れ、この言葉を伝えるのに17年もかかったと時頼は涙を流します。ふたりを隔てる御簾が落ち、ふたりは抱きしめ合って和解します。

蒙古から2ヶ月あまりの旅を終え、佐志 房と桐子が鎌倉の謝 国明の屋敷にやってきました。房は蒙古と通商ができると謝 国明に話を持ち掛け、蒙古に行ってみないかと誘います。謝 国明にとっては蒙古と商いをすることが長年の夢でしたが、途中で命を取られるかもしれないと忠告をする房の言葉に、時頼のことを思い出していました。せっかく用意したワインも、時頼には時間が足りなくて役に立ちそうにありません。

 

その日の夕方、時頼は言い残す3つ目を伝えるため時宗を呼びます。鎌倉は武士の都、その都を守り抜くには……鎌倉を滅ぼす「長時を殺せ」、そして時宗が生き抜くために「時輔を殺せ」と。あまりにむごい、恐ろしい使命に、時宗はガタガタと震えが止まりません。
弘長3(1263)年11月22日、時頼は息を引き取りました。

──蒙古襲来まであと3969日──


脚本:井上 由美子
高橋 克彦「時宗」より
音楽:栗山 和樹
語り(覚山尼):十朱 幸代
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[出演]
和泉 元彌 (北条時宗)
渡部 篤郎 (北条時輔)
渡辺 謙 (北条時頼)
浅野 温子 (涼子)
柳葉 敏郎 (安達泰盛)
木村 佳乃 (桐子)
西田 ひかる (祝子)
池畑 慎之介 (北条実時)
ともさか りえ (祥子)
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原田 美枝子 (桔梗)
江原 真二郎 (高 師氏)
吹越 満 (宗尊親王)
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伊東 四朗 (北条政村)
藤 竜也 (佐志 房)
富司 純子 (松下禅尼)
北大路 欣也 (謝 国明)
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制作統括:阿部 康彦
演出:吉川 邦夫

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