大河ドラマ鎌倉殿の13人・(27)鎌倉殿と十三人 ~御家人13人で支える新しい鎌倉殿~
建久10(1199)年1月、京では昨年末の源 頼朝逝去の報が入ってきていました。ただ病気を得て出家→逝去の日数が短いことに、後鳥羽上皇は不審がります。4年前に上洛した際、水をよく飲んでいたことから、飲水の病を疑います。かつては藤原道長もかかったと言われる病で、水が足りないとめまいを起こす……そこからの落馬。「つながった」と上皇はニヤリとします。
鎌倉殿として初めて御所に向かう源 頼家に、出家し尼の姿となった北条政子は、頼家にとっては祖父の源 義朝のどくろを渡します。これはにせもの、と政子は断言しますが、北条義時が言うには、全てはこのにせもののどくろから始まり、人々の心を突き動かしたのです。「これは鎌倉殿が代々受け継ぐべきもの」と、頼家が持っているように言われます。
──権力継承の時はあまりにも突然訪れた。頼朝亡き後の大きな空白。若き頼家はそれを埋めることが出来るのか──
御家人の前に現れた頼家は、頼朝がやってきたこと、成しえなかったことを引き継ぎ、父を超えると宣言。乳母父を務めた比企能員は、これから頼家に言上する時は必ず自分を通すようにとくぎを刺しますが、頼家は比企も北条も特別扱いせず直接聞くと断ります。
実は、これらはすべて梶原景時の入れ知恵でした。「頼朝さまは最後まで御家人を信じてはおりませんでした。それがしを除いては」
ないがしろにされた能員は、自邸に戻ると怒りに震えます。能員の娘・せつも遠ざけられ、道は裏切られた思いと地団駄踏みます。しばらく頼家を泳がせておき、比企がいなければ鎌倉が回らないことを分からせるつもりです。一方北条時政は、立派になった頼家に目を細めています。りくは、頼家と比企が一枚岩ではないことが判明したと、北条にとって好機だと時政を焚きつけています。
頼家と景時のやりとりを目撃した義時は、頼家が景時を最も信頼しているようだと政子に報告しますが、「あの御方は私心なく働かれる」と政子も景時を評価している部分があるようで、とくに問題にはしません。若くて力のある者を集めるように頼家から命じられた義時は、太郎頼時と五郎時連に加わるように伝えます。
子どもたちが遊んでいるのを微笑ましく眺めている阿野全成ですが、実衣は今でも頼朝の跡継ぎは全成であると信じて疑いません。夫婦の間でその話はしないように決めていても、実衣はつい愚痴を言いたくなるわけですが、読んでいた書物を乱暴に閉じると、全成は珍しく感情を露わにして「その話は二度とするな!」と出ていってしまいます。実衣は怒りに任せて譲り受けた琵琶をガチャガチャ弾きます。
京で事件が起こりました。上皇の後見役である土御門通親の暗殺計画が露見したのです。捕らえられたのは一条高能の遺臣たちでした。高能はかつて頼朝が大姫を嫁がせようとした人物で、頼朝亡き後に通親に虐げられるのを恐れての計画だったようです。
能員と時政は、御家人を助け出して鎌倉殿の威厳を示すように進言しますが、上皇から鎌倉方が処罰せよとのお達しもあり、今は朝廷ともめごとを起こしたくない頼家は中原親能を京に派遣し、御家人たちを処罰するように命じます。ちなみに首謀者の中に、頼朝に決起を促した文覚もいましたが、頼家は「知らん」と冷たくあしらいます。
時連の紹介で結城七郎朝光に琵琶を習うことになった実衣。琵琶の名手といえば、唐の国の楊貴妃のような絶世の美女ほど似合うと言われて、実衣はほほを赤らめます。ともかく、政治の世界に翻弄されてきた実衣には一時訪れた穏やかな時間でした。
頼家が求めていた「若くて力のある者」が集まります。頼家はやる気のない者ややる気はあっても力がない者はどんどん落として行く方針で、彼らを教育して経験を積ませようと三善康信に教育係を命じます。そして朝廷と渡り歩くには蹴鞠が大事と、後白河法皇の側近であった平 知康を招いて指導役に任じます。
頼家の前に運ばれてきたのは大量の訴状でした。あまりの多さにさすがの頼家も引きますが、ともかく1つずつ片付けていくことにします。まず呼ばれたのは景時と、彼に侍所別当の役目を奪われた和田義盛の件です。うんざりしている頼家を慮り、義時は休憩をはさむことを提案します。康信は記録を見れば分かると伝えますが、頼家は何も言わず出ていってしまいます。
教育という意味ではこちらでも。頼家の正室となったつつじ(鎮西八郎為朝の孫)に御台所としての心得を施す政子です。そこに政務所から戻ってきた頼家ですが、突然現れたのは能員の娘・せつでした。一幡が歩いたとはしゃぐせつに、歩けるようになればケガをするから目を離さないようにやんわり諭す政子ですが、せつとつつじのいがみ合いが勃発し、ムッとした頼家は出ていってしまいます。
政務についてから困惑ばかりしている頼家を心配する頼時ですが、義時としてもどうにか力になりたいと考えてはいます。比企家にいた比奈は「困っている時ほど助けを求められない性分」と頼家をかばいます。何をしても頼朝と比べられる……これまで八重と比べられてきた比奈には分かることかもしれません。思わず顔を見合わせる義時と頼時です。
確かに初心者の頼家には荷が重すぎるかもしれません。義時は景時に、訴訟については文官4人に景時を加えた5人衆で評議をしてもらい、絞り込んだうえで頼家に取り次ぐという方法を提案します。大江広元は、5人衆で決定までしてしまった方が早いと言うのですが、義時は頼家のやる気を削ぎたくはありません。
頼家は「私に政には加わるなと言うことか」と拗ねますが、最終的には頼家の判断を仰ぐのです。頼家はそれが最もよい方法なのかと念押しし、相分かったと承服します。しかしこれは各方面で異論が噴出します。能員は自分を加えた6人衆にしてくれないと比企は一切力を貸さないと言うし、くだらない見得と笑う時政は、北条が入らないのはおかしいと7人衆を主張してきました。義時は呆れてしまいます。
力を北条に渡したくない能員は、比企派を増やしたいという思惑で、頼朝死後に出家し頭を丸めた安達盛長(妻が比企尼の娘)を引っ張り出します。頼朝の菩提を弔うつもりの盛長は困惑しますが、意見が分かれたら比企の味方をして、あとは餅でも食って寝てなさいと言われ、目をむき出しにしてふくれています。
比企は節操がない! と愚痴をこぼす時政は、北条派を増やすために三浦義澄にも声をかけます。三浦義村も誘いますが、三浦から2人出すと角が立つと、義盛を推薦します。あまり難しいことは分からないからと固辞する義盛ですが、りくから力を貸してもらいたいと笑顔を向けられると、二つ返事で受けてしまいます。これで文官4、景時1、北条3、比企2の10人衆です。
欲を出した時政は畠山重忠にも声をかけますが、能員にくぎを刺されたと即答で断ってきました。あなたにはがっかりだわ、とりくに睨まれていますが、重忠はそういった状況を義時に報告します。やはりこのままでは鎌倉は崩れる寸前と、重忠はだれか新しい柱になる必要があると義時を説得します。それは鎌倉殿が、と言う義時を重忠は見据えます。「あの御方に、それができると本当に思っておられますか」
能員は八田知家を呼びますが、ざっくり話を聞いた知家は、比企の誘いに乗るということは誰かを敵に回すのかと、知家はその分の見返りはあるのかと能員に迫ります。大笑いする能員は金の入った袋をたくさん知家に差し出しますが、知家はそれを懐に入れながら、これで比企の味方になったと思ってくれるな、と言いおいて去っていきます。能員は「けっ」と吐き捨てます。
結局のところ12人に膨れ上がってしまいました。これまでも御家人たちの動きに目を光らせてきた景時は、能員や時政の動きぐらい簡単に入手することができるのです。北条派4人に比企派3人で、数の上では北条有利ですが、能員は文官たちを味方に引き込むべく金に物言わせて酒を呑ませているのです。こういうことではないのだ! と激怒する景時に、これ以上は増やさないと頭を下げる義時です。
12人衆について政子に報告した義時ですが、あと一人付け足すように義時に求めます。政子の視線を感じた義時は、察知して「私はやめておきましょう」と固辞しますが、まだまだ経験が足りない頼家を支えてほしいと懇願されます。「13人目はあなたです」と義時を見据える政子。義時は何も言葉を発しません。
頼家に呼び止められた義時は、5人から結局何人に膨れ上がったのかと問われ、「10人ちょっと……13人です」と答えます。自分はそんなに頼りないかと言葉を荒げる頼家ですが、今は少しでも頼家がやりやすい形を探っていると義時は弁解します。頼家としては、義時は自分のそばで中立の立場でいてほしいと願っていますが、義時はその13人に入っていないのだな? と念押しします。
義時が黙ってうつむいた反応で、義時も13人の中に入っていると悟ってしまい、「己がやりやすいようにと言ったのは誰だ! もう北条の言うことは信じぬ」と頼家に言われてしまいました。義時は、頼家を中心に新しい鎌倉を築いていきましょうと、御家人を信じてほしいと諭します。13人集まって、もしかしたらよかったかもしれません。少人数に力が集中すればよからぬことが起きやすくなります。
大江広元、三善康信、中原親能、二階堂行政、北条時政、三浦義澄、和田義盛、足立遠元、比企能員、安達盛長、八田知家、梶原景時、江間(北条)義時、総勢13名──が頼家の前に顔を揃えます。しかし頼家は、私を丸め込んだつもりだろうが騙されぬと口を開きます。御家人たちは頼朝と同じように誰ひとり信用できないわけです。「平三、残念だ」と景時に伝えます。
頼家はその場に時連や頼時らを呼び、信じられるのはこの側近たちのみだと言います。これからの政は13人衆と切磋琢磨しながら、頼家と側近たちとで行うと宣言。「新しい鎌倉をみなで築いて参ろうではないか」と、義時が頼家にかけた言葉をそのままオウム返しに言ってニヤリとする頼家に、義時は固まり、御家人たちは天を仰いでやる気を削がれてしまいました。
作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
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小栗 旬 (北条義時)
小池 栄子 (政子)
坂口 健太郎 (北条頼時)
瀬戸 康史 (北条時連)
堀田 真由 (比奈)
中川 大志 (畠山重忠)
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山本 耕史 (三浦義村)
市原 隼人 (八田知家)
横田 栄司 (和田義盛)
堀内 敬子 (道)
新納 慎也 (阿野全成)
宮澤 エマ (実衣)
阿南 健治 (土肥実平)
小林 隆 (三善康信)
尾上 松也 (後鳥羽上皇)
中村 獅童 (梶原景時)
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大泉 洋 (源 頼朝(回想))
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佐藤 二朗 (比企能員)
佐藤 B作 (三浦義澄)
市川 猿之助 (文覚)
栗原 英雄 (大江広元)
坂東 彌十郎 (北条時政)
宮沢 りえ (りく)
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制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:長谷 知記・吉岡 和彦
演出:末永 創
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