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2022年8月19日 (金)

プレイバック北条時宗・(18)国書来(きた)る

蒙古から高麗と博多を経由し鎌倉に運ばれてきた国書を前に、北条実時らは何やら恐ろしげに眺めています。さっそくに、と北条政村が開封しようとすると、安達泰盛から待ったがかかります。「まだ時宗どのが来ておられぬ」

そのころ北条時宗は、謝 国明の屋敷に来てクビライについて情報を得ていました。隋や唐の時代のように国同士で付き合いたいという意向を謝 国明から聞き、それでも信じられない時宗ですが、クビライに実際に会った謝 国明は太鼓判を押します。魔物が襲ってくるなどと陰口をたたく者もいるが、曇った眼で国書を読まず誰にも左右されずに見極めるように伝えます。

美岬の亡骸を前に、佐志 房は勇がやはり潘阜を殺そうとしたのかと肩を落とします。謝 太郎はその不安があるならなぜ目を離したのかと訴えますが、房の謝罪があっても美岬は生き返るわけではありません。房は必ず勇を捕まえて太郎や美岬の前に連れてくることを約束し、勇を探しに屋敷を後にします。美岬を刺し殺してしまった勇は、追われるように博多の町を逃亡し続けています。

 

時宗が戻ってきて、いよいよ開封することになりました。『上天の命を受けたる大蒙古国皇帝、書を日本国皇帝に奉ず──』

国書は、チンギス・ハンが蒙古を支配して以来、領土を接する国同士が信頼し合いよしみを通じてきたと前置きした上で、日本とも付き合いをしたいと呼びかけていました。丁重な言葉遣いの中に、蒙古を大国、他国を小国と呼び、王と家臣・父と子という例えを使って蒙古の立場が上であることを匂わせていました。そして最後には「兵など用いたくはないものだ」と意味深な言葉で締めくくられていました。

蒙古の国書のことは京でも話題に上がっていました。関白・近衛基平の館では、京を通過して鎌倉に先に届けられたのは政村の考えか時宗の考えかと意見が割れ、京での時輔の活躍ぶりにひがみだす有り様です。蒙古が戦を仕掛けてくるということだと訴える基平ですが、意見を求められた時輔は涼しい顔で首を横に振ります。「国書とやらをこの目で見てみるまでは、分かりませぬ」

国書を受け取った鎌倉でも、内容の解釈について意見が分かれていました。鎌倉いちの知恵もの・実時は、この国書は丁重で気遣いも見えることから“親睦を深めましょう”に尽きるものの、日本が断れば武力で制圧するとの脅しで結んでいる。つまり蒙古を“大”とした上で親睦を深めたいと言いたいのだろう、と解説します。時宗は、意見を広く求めるため評定を緊急で開くことにします。

 

「日蓮どのの申したとおりになりましたな」と日蓮の庵を訪ねた涼子がつぶやきます。鎌倉を率いる者が道を正さない限り戦は避けられないと言う日蓮に、知恵を授かりたいと涼子は食い下がりますが、知恵で戦は止められないと突き放されます。後ろばかり見て前を見ようとしないと日蓮は涼子を非難しますが、一人ぐらい後ろ向きに見て死者を弔わなければ鬼の住処だと言い、涼子は出ていきます。

思い悩む時宗の居室を北条宗政が訪ねます。かつてのわがままを素直に詫び、評定の席に加えてほしいと頭を下げるのですが、時宗は国の大事だからこそ勝手は通らないと諭します。宗政は態度をコロリと変え、時宗のような小さい人間が蒙古という大国に対することができるか心配だと吐き捨て、睨みつけて出ていきます。

関白である基平を差し置いて、風説だけで蒙古が攻めてくると判断するのはおかしいと主張する時輔を、基衡は強い人間だと感じています。何も望まぬ者がもっとも強いと笑う時輔ですが、望んでこその強さもあると基平は考えています。この蒙古からの国書の件で、うまくいけば政を鎌倉から取り戻せる絶好の機会であるという基平は、時輔を鎌倉に派遣することにします。

時宗は平 頼綱を謝 国明の館へ遣わしていました。評定衆を前に蒙古の話をしてほしいという依頼です。単なる博多の商人でもあるし、葡萄酒を呑みながら時宗と語らうのとはわけが違うと謝 国明は固辞しますが、実弟でさえ参加を拒んだ表情の場に出てきてほしいという気持ちを聞き、これ以上断るわけにはいかないと参加を決断します。

 

房は勇を捕縛して約束通り太郎の前に連れてきます。さんざん殴られて勇の顔にはあざができています。ひと思いにやってくれ、と房から差し出された短刀で振りかぶる太郎ですが、「だんなさま……ご無事で」という美岬の声が聞こえたような気がして、太郎は泣きじゃくって刀を下ろします。

下ろした刀を預かったのは潘阜でした。潘阜は勇に、国書を届けたのは高麗のためだと諭します。蒙古と日本が戦になれば、その間にある高麗は荒れ果て生きる道を失うわけです。蒙古と戦って支配されるようになったとしても、それは結果的に故郷を滅ぼさずに生きながらえることができる。潘阜は捕縛の縄を切りほどき、それが分からなければ刺しなさいと勇に刀を差しだします。

 

評定に向かう前、戦は困ると言い出した祝子。戦はしたくないと頑張ったとしても、国と国との駆け引きではやむを得ず戦になることはあると時宗は祝子に言い聞かせるのですが、時宗との子がいまだにできない祝子は、それを望んで戦にならないようにしてほしいと言っているのです。時宗はその祝子の気持ちを汲み、精いっぱい努力すると約束します。

安達屋敷でも、梨子に見送られて泰盛が評定に向かうところです。泰盛は、日本国始まって以来の大戦になるかもしれず、そうなれば部門の者として戦わなければならないと言います。梨子は家を守ってくれ──。そう言う泰盛に梨子は「私は安達の者にござります」と返して泰盛を見送ります。

名越北条家では、桔梗が北条時章と北条教時に「これは得宗家の罠」などと吹き込みます。大国相手に戦となれば日本は否応でも一致団結して戦わなければならない。幕府を率いる得宗家が力を持つ絶好の機会だと主張するのです。蒙古などという国も知らないし、桔梗には得宗家が国書をでっちあげたとしか思えないわけです。時章は教時を焚きつけるのはやめろと言って評定に向かいます。

心を落ち着かせて書写をする実時に、昼間から酒をあおって酔っぱらっている北条顕時が絡みます。このような一大事に調べ物より弓の腕を磨いた方がよろしいのでは? と皮肉を言う息子に、実時はキッと顕時を睨みつけます。「これがわしの戦じゃ。よう覚えておけ」 父が立ち去った後、固まっていた顕時は我に返り、その言葉の真意をくみ取ろうとしてか机上に広がるものをあさっています。

 

夕方、鎌倉に総勢16名の評定衆が集結しました。時宗がことのあらましについて報告し、時章の求めに応じて国書を披露します。これが高麗から運ばれてきた国書か──と、評定衆は目を見開いて国書を見つめています。そしてそのころ京では、時輔が鬼の住む鎌倉へ旅立ちます。心配する祥子に笑顔を見せ、安心させる時輔です。

実時が国書を読み上げると、案の定「無礼だ!」「切り捨てよ!」という声が上がり出します。時宗はクビライに直に会って言葉を交わした者として謝 国明をその場に招き入れます。日本と蒙古とのすさまじい戦が、すでに始まっていました。

──蒙古襲来まであと2450日──


脚本:井上 由美子
高橋 克彦「時宗」より
音楽:栗山 和樹
語り(覚山尼):十朱 幸代
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[出演]
和泉 元彌 (北条時宗)
渡部 篤郎 (北条時輔)
浅野 温子 (涼子)
柳葉 敏郎 (安達泰盛)
木村 佳乃 (桐子)
西田 ひかる (祝子)
池畑 慎之介 (北条実時)
ともさか りえ (祥子)
牧瀬 里穂 (梨子)
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原田 美枝子 (桔梗)
川野 太郎 (少弐景資)
錦野 旦 (潘阜)
藤 あや子 (美岬)
白 竜 (北条時章)
井上 順 (一条実経)
大木 実 (西園寺実氏)
室田 日出男 (服部正左衛門)
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伊東 四朗 (北条政村)
奥田 瑛二 (日蓮)
藤 竜也 (佐志 房)
北大路 欣也 (謝 国明)
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制作統括:阿部 康彦
演出:吉川 邦夫

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