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2022年8月 9日 (火)

プレイバック北条時宗・(15)母上ご乱心

クビライ・カアンと謝 国明は再会を喜びます。この大草原で対面したのは、クビライはここに偉大な「大都」を建設するつもりで、謝 国明に木材調達を依頼するのです。力を尽くすと約束する謝 国明はクビライの信頼を得ます。日本には古い都と新しい都がある──そう説明を受けたクビライは、新しい都を治める者の名を尋ねます。「大都が完成するころには、おそらく北条時宗」

そのころ時宗は、弟北条宗政を連れて涼子のところへ赴きます。宗政が政村の娘芳子との婚儀を行うことになったと報告しますが、涼子は北条時頼を殺めた下手人が見つからないうちに時宗は連署に、宗政が婚儀と皮肉ります。時頼の遺言だと時宗は弁明しますが、であれば北条時輔をなぜ六波羅へ追放したのかと問い詰めます。一日も早く明日に目を向けていただきたい……、時宗の願いは涼子には届きません。

時輔は京・六波羅探題の南殿に入りますが、20年近く空位だったためか屋敷は荒れ放題で、時輔の郎党となった服部正左衛門も呆れる有り様です。そこに杖を突いた老婆が入ってきました。源 頼朝が平家を滅ぼし六波羅に守護所を設置して以来79年にわたって仕える如月(きさらぎ)という女性で、北殿の北条時茂は明日対面するからそれまでこちらでお休みを、と言いに来ました。

 

宗政と芳子の婚儀の最中、6代将軍宗尊親王が突然の来訪です。誰も呼んではいませんが、このような婚儀に将軍が来訪し、上手くもてなせなかったところを非難する謀(はかりごと)と北条実時は考えます。奥の侍女も人数が揃っておらず、執権の政村は決断を時宗に任せてあとは知らんぷりを決め込みます。窮地に陥る時宗ですが、同席の松下禅尼は「堂々とお受けなされ」と背中を押します。

流鏑馬を見た帰りに立ち寄ったという宗尊親王は長居するつもりはありませんが、もてなしとして出されたのが白湯であることに親王は驚き、北条時章は激怒します。時宗は胸を張り、日照り続きで作物に窮する民の手前、将軍が盛大なものでなく白湯のみのもてなしを命じたと触れ回れば、民から恨みを買うこともなく評判が上がると考えての仕儀と明かします。宗尊親王はぐうの音も出ません。

そこに涼子が突然現れ、「時頼の命を奪った者をご存じないか」と宗尊親王に迫るのです。時宗と宗政は涼子を止めに入りますが、それでもかまわず声を上げます。奥方ご乱心! お連れしろ!と政村が命じて、掴まれて遠ざけられる涼子ですが、涼子の般若のような表情の恐ろしさから宗尊親王はのけぞり、追いかけようとする時宗を政村は引き止めます。

 

足利家では、涼子ご乱心と聞いて桔梗は大笑いします。北条得宗家の落日を心より願い、名越北条家の力を借りて足利が台頭する。それが桔梗の希望です。眉間にしわを寄せる足利泰氏は、自らは出家させられ、頼氏を失い、今は孫の足利家時が心の支えです。将軍や名越と手を組むより、得宗家の中に入り込んだ方がとつぶやく泰氏に、桔梗は「邪道じゃ! 殿も乱心するほど何かを願ってみればよいわ!」

政村は時宗を呼び、涼子を鎌倉から追放することを強く勧めます。涼子が得宗家に嫁いで以来、時頼を親の仇と罵り、時宗への家督継承を拒み、幕府批判の日蓮に施しをし、時頼亡き後も出家せず下手人探しに躍起になっている──。政村は、時宗がいずれ執権職を継ぎ鎌倉を率いていく者とした上で、その立場をよくよく考えろと突き放します。

六波羅探題北殿を訪問した時輔は、時茂と対面を果たします。時輔を見下げた扱いの時茂は、宗尊親王の前で兄の長時が病死ではないと言い出した時輔を追及します。命を奪われたと言われれば家の体面に関わるわけですが、それでも時輔は、時頼と長時は命を奪われたと主張するのです。時茂は半ば追い出すように時輔を帰しますが、時輔も無表情で挨拶をし、さっさと帰っていきます。

 

自邸で書物を読み漁る実時ですが、泥酔状態の北条顕時に、人を物扱いし心を踏みにじる父が政にあたるから皆が幸せになれないのだと言われてしまいます。後妻の享子は実時をかばいますが、顕時にはその声は届きません。実時はギロリと顕時を睨みつけると、さすがに気まずくなったのか、目をそらして出ていきます。

家庭内のトラブルは、安達家でも発生していました。泰盛の妻は務まらないと梨子が離縁を申し出たのです。梨子が屋敷を出、歩き出したところで倒れ込んでしまいます。そこに駆け付けたのが八郎でした。梨子は泰盛との子を宿していました。しかし梨子は、長時の生まれ変わりのような気がして恐ろしかったと松下禅尼に吐露します。松下禅尼は、何の因縁もない新しい命だからと、産み育てるように説得します。

梨子を助けた八郎に泰盛は褒美を与えようとしますが、褒美をもらわない代わりに召し抱えてほしいと言い出します。泰盛は素性の分からない男を召し抱えられないと突っぱねますが、かつて八郎は泰盛の命を受けて長時を殺害しました。その件の口止めをする泰盛に「ならば召し抱えを」と迫る八郎。鎌倉のことは泰盛よりも知っていると、今夜小松原に人を走らせてみろと言って不気味な笑みを浮かべます。

安房国小松原──。ふるさとに母を見舞った日蓮が小松原にさしかかったころ、武士の一軍に取り囲まれます。鎌倉に通じる道を封じられ、都と民をつなぐ道をふさぐとは何事かと言う日蓮とその弟子たちに、男たちは大勢で斬りかかります。日蓮は頭に傷を受け、数珠が周囲に散らばりますが、睨みつける日蓮に圧倒されて男はそれ以上手出しできません。その中を日蓮たちは静かに進んでいくのです。

 

どうして日蓮を襲わせたのか! と時宗は政村の政務所に押しかけます。日蓮に帰依する涼子を鎌倉から追い出すために政村が日蓮を襲わせたと時宗は推測したのです。時頼が亡くなってからというもの、政村の自分に対する当たりが尋常ではないと時宗は訴えます。それでも政村は「まだまだ母親の乳房から離れられぬようじゃからの」と時宗を邪険に扱い、ふたりの溝はさらに深まります。

時宗は思い切って、涼子に屋敷から出るように促しますが、それはできない相談です。小松原で日蓮が襲撃された事件を知った涼子は、涼子とそれを黙認する時宗を良く思わない者のしわざから、次は時宗が命を奪われるかもしれないと心配しつつ、こんな形で口封じが行われることに毅然と立ち向かうため、屋敷は出ないとますます涼子を頑なな気持ちにさせます。

時宗が涼子の居室を出た時にやってきた政村は、涼子を無理やりにでも連れ出すと郎党に命じるのですが、5代執権の妻女に対して手荒な真似はふさわしくないと実時が止めに入ります。無駄じゃという政村のことばには耳を貸さない実時は、意地を貫けば生きにくくなるのにどうして常に険しい道を選ぶのか? 涼子と話がしたいと申し出、居室に入っていきます。

二親を奪われれば恨み夫を奪われれば下手人を捕らえたいと願う。長い間恨んでいたからこそ、その死を追及したいわけです。実時は、二親の話を持ち出します。毛利季光は三浦を道連れにあえて捨て石になったし、謀反人の娘にさせたくないから藤泉尼が涼子と縁を切ったのです。妻に自害され子に背かれた実時は、情けが必要だと身に染みて感じたのです。だからこそ涼子には生きなおしてほしいと強く訴えます。

その日の夜遅く、涼子は宗政の館に移ります。時宗は涼子の心を動かすことはできませんでしたが、父の死をなりふり構わず悼む母の姿は、時宗に命の重さを教えることになったのです。

 

六波羅探題北殿に呼ばれた時輔ですが、名門の公家たちを招待しての歌の会を催すのだそうです。もちろん時輔は何も知りませんが、時茂は気にも留めず鎌倉武士の歌を披露しろとあっさり。元関白の一条実経や関東申次の西園寺実氏が珍しそうに時輔を見ていますが、その行動を関白の近衛基平がたしなめます。実経や実氏のときとは打って変わって、時輔は基平には深々と一礼します。

謝 国明の館を訪問した時宗は、お留守番の謝 太郎と酒を酌み交わします。母を守り抜けなかったと沈む時宗に、時頼も迷い悩みながら力をつけていったと励まします。会わせたい者がいると太郎が呼び出したのは、八郎でした。日蓮襲撃を知らせてくれたのが八郎とあって、時宗は礼を言うのですが、時宗の神々しい顔に言葉を失いひれ伏します。

時宗も時輔も、今まであったことのない人々と出会い、試練の時を迎えようとしていました。


脚本:井上 由美子
高橋 克彦「時宗」より
音楽:栗山 和樹
語り(覚山尼):十朱 幸代
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[出演]
和泉 元彌 (北条時宗)
渡部 篤郎 (北条時輔)
浅野 温子 (涼子)
柳葉 敏郎 (安達泰盛)
木村 佳乃 (桐子)
西田 ひかる (祝子)
池畑 慎之介 (北条実時)
ともさか りえ (祥子)
牧瀬 里穂 (梨子)
西岡 徳馬 (足利泰氏)
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原田 美枝子 (桔梗)
江原 真二郎 (高 師氏)
吹越 満 (宗尊親王)
白 竜 (北条時章)
井上 順 (一条実経)
大城 実 (西園寺実氏)
バーサンジャブ (クビライ・カアン)
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伊東 四朗 (北条政村)
藤 竜也 (佐志 房)
奥田 瑛二 (日蓮)
室田 日出男 (服部正左衛門)
清川 虹子 (如月)
富司 純子 (松下禅尼)
北大路 欣也 (謝 国明)
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制作統括:阿部 康彦
演出:渡邊 良雄

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