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2022年8月28日 (日)

大河ドラマ鎌倉殿の13人・(33)修善寺 ~頼家、修善寺に幽閉 時政執権就任~

征夷大将軍となる源 実朝に、北条政子は源 義朝と言われているどくろを見せ、「すべてはここから始まりました」と、将軍としての心得を教え込みます。お前が持っていなさい、と言われて恐る恐るどくろを手にする実朝です。
一方、源 頼家は追放された伊豆修善寺で、鎌倉殿は自分だと酒におぼれる日々を送っています。

──源 実朝が三代鎌倉殿となった。あまりに歪(いびつ)な代替わり。源氏の棟梁(とうりょう)を巡る駆け引きが、再び始まろうとしている──

建仁3(1203)年10月9日、実朝の政務開始の儀式「政所はじめ」が行われます。取り締まったのは執権別当・北条時政です。執権別当は行政の筆頭で実質的政治主導者です。時政は、実朝への忠誠を誓う起請文の提出を命じます。朝廷へは婿にあたる平賀朝雅に任せることにします。さらに比企能員の領地の武蔵国は時政が治めることにし、武蔵守にしてもらおうと言い出します。北条義時は冷ややかな目で父を見ています。

「ずいぶんと派手にやっているようだな」 義時と北条時房と酒を飲んでいた三浦義村は、皮肉を込めて言います。やり口が汚いと、比企の一件から北条へ不満を募らせる者たちが増えているようで、みな北条の者たちを避けているようです。義時はそんなことぐらい分かっているようですが、調子に乗りすぎるとしっぺ返しを食らうと義村は忠告します。

時政と酒を交わすりくは、時政がついに御家人の頂きに立てたことで、自分の思い描いた通りに物事が進んでいると大満足です。時政が武蔵守を申請した時には、さすがに評定衆は引きつっていたと笑うのですが、りくの目線はまだ先を向いていました。武蔵の次は、朝廷から実朝の御台所として姫君を迎える……。ふたりは笑いが止まりません。

朝雅はさっそく後鳥羽上皇の御殿に上がります。都から御台所を差し出せとの注文に苦々しい表情の上皇は、それが時政の考えであることを朝雅から聞き出します。身の程知らずの田舎ものが! と吐き捨てる上皇ですが、実朝の名付け親でもある上皇は、一肌脱いでやってもよいと朝雅に色よい返事だけしておきます。

朝雅が下がると、源 仲章が入れ替わるように入ってきます。仲章は、比企を滅ぼしたのは北条の陰謀であり、頼家から実朝へ代替わりさせたがっていたと報告します。源氏は天皇家の忠臣で、その棟梁の座を北条が思い通りにするのに納得しない上皇に、仲章は北条を滅ぼすことを提案しますが、実朝が大事なコマだと考える上皇は、北条らの言いなりにならないように、仲章に鎌倉へ下らせ実朝を導くように命じます。

 

頼家から鎌倉幕府に書状が届き、近習の派遣と安達景盛の身柄を引き渡すように求めています。かつて頼家は、景盛の妻・ゆうを寝取り略奪しようとして果たせなかった過去があり、その恨みを晴らしたいわけです。義時は、頼家がいまだ鎌倉殿として力を示したいのだろうと考え、謀反の火種になりかねないと頼家の要求は受け入れられないと聞き流すことにします。

要望を蹴られた頼家ですが、分かった上なので特に腹も立てません。しかし頼家は、鎌倉殿としていつか戻りたいという気持ちが強く、石橋山で敗れて1ヶ月後に大軍を引き連れて鎌倉入りできた父に倣い、すぐに鎌倉に押し寄せて火の海にし北条を滅ぼすと、要望の返事を持ってきた義村に伝えます。さらに頼家は義村にその助勢を頼みますが、義村は表情を変えません。「お断りいたします」

そのことは義村の口から評定衆に伝えられます。しかし挙兵するにも兵がいないわけで所詮は無理な話なのですが、八田知家は「鎌倉殿はふたりいらねえ」と核心を突いた指摘をします。義時は、しばらくは様子を見て、不審な動きがあれば我々も覚悟を決めようということになりました。警備役は知家に任せることにします。

覚悟を決めるとはどういうことかと泰時は激しく反発します。義時はあくまでも仮の話で通しますが、何もかも北条のために写る泰時には納得できません。北条亡くして鎌倉は成り立たないし、鎌倉が無くなれば再び戦乱が起き頼朝が望んだことがすべて消えてなくなってしまうのです。まだ決まったわけではない……と、自分に言い聞かせるようにつぶやく義時です。

 

政子は三善康信を呼び、政争の具になりやすい将軍を実朝に継がせたくなかったと言い出します。和歌を学ばせたいと考えているのですが、そこを通りかかった実衣は対面の場にずかずかと入り込み、このようなことをしてもらっては困ると訴えます。実朝には武士の手本となって正しい政を行ってもらう。「実朝は私が育てたんです。余計な口出しはしないで」

建仁4(1204)年正月、実朝の読書はじめの日。儒学の講義を行ったのは仲章です。その後、政子の依頼を受けて面白おかしく和歌の指導を行う康信ですが、その場に実衣と仲章がやってきて、康信の教えを全否定します。和歌は帝が代々詠み継いできたものであり、和歌に長ずるものが国を動かすと仲章の説明です。下がってよろしい、と実衣は康信に伝え、立場をなくした康信は逃げるように立ち去ります。

政子は頼家の大好物の干しあわびを差し入れに来ましたが、頼家は会うつもりはありません。よもやま話をしていた畠山重忠と足立遠元は武蔵国に所領があるのですが、頼家は武蔵守の座を時政が狙っていることをささやきます。まさか、と信じられない重忠ですが、その情報源については、自分に味方してくれるなら話すと交換条件を突きつけます。

重忠はさっそく評定の席で報告し、なぜ頼家が武蔵守の件を知り得たのか議題に上がりますが、重忠は実際に時政が武蔵国を狙っているのかどうかの方が大事です。答えに窮した時政はごまかしで繕います。そこに、上皇が派遣し頼家のもとにいる猿楽師のひとりが京に向かおうとしていたところを捕らえたと知家が駆けこんできます。上皇に北条追討の院宣を願い出る頼家の書状(扇子)が提出されます。

頼家を討つと決めた義時に、頼家には死んでほしくないという気持ちを泰時はぶつけますが、それは義時自身も同じです。しかし謀反を企てた以上、これしか道は残されていないのです。泰時が修善寺に行って逃がしてしまうと後を追いかける時房ですが、義時は放っておけと引き止めます。「太郎はかつての私なんだ……」

 

時房とともに善児の家を訪問した義時は、兄の宗時がいつも腰から下げていた飾りのついた巾着袋を見つけます。なぜここに? という答えはひとつしかありません。善児を斬ると言う時房ですが、善児は必要な男だと斬るのは義時が許しません。「私に、善児が責められようか」 そうしているうちに、トウが家に戻って来ました。

善児は薪を割りながら、端に作った墓を見つめて生前の一幡を思い出しています。机に向かって一生懸命に手習いをしていた一幡、思いを断ち切ったつもりが、やはり思い出されて心をえぐるようです。トウに呼ばれて振り返ると、義時が立っていました。仕事だと言われて、すっくと立ちあがります。

一方、時房が予想したように修善寺に向かった泰時は、頼家に逃げるよう説得しますが、いずれ私は殺されると頼家は動きません。命を大切にするように説得を続けても、頼家の心まで届かないのです。ただ座して死を待つのではなく、最後まで鎌倉に盾突くつもりです。今から上皇肝いりの猿楽が始まると、泰時に見ていくように勧めてニッコリします。

誰かと酒を呑みたいと、義時は珍しく和田義盛の屋敷を訪問します。しかしそこに運慶がいるとは思いませんでした。義時が運慶と会ったのは15年前、八重が亡くなった日のこと。願成就院の阿弥陀如来を彫り上げたのが運慶でした。悪い顔になったなぁ、と運慶に言われて苦笑する義時です。いつかお前のために仏を彫ってやりたいと運慶はつぶやきます。「悪い顔だがいい顔だ。いい仏ができそうだ」

夜、修善寺で猿楽が始まります。誘われた泰時も一緒に猿楽を楽しみますが、彼の眼はひとりの笛吹きに注がれていました。笛の音が鳴る割に彼の指が全く動いていないのです。立ち上がった泰時は、刀を抜いてその男の前に進み出ると、男は黙って面を外します。男は善児でした。あんたは殺すなと言われてる、と泰時を突き飛ばして気絶させ、トウとともに斬り捨てながら頼家に向かっていきます。

トウが他の者を相手している間、善児は無表情で頼家に向かっていきます。頼家も刀を抜いて全力で戦うのですが、斬り結んでいる時、頼家が位牌のつもりで書いておいた一幡という文字を善児が見てしまい、その隙に善児は頼家に刺されてしまいます。とどめに刀を振り上げた時、背後からトウに斬られて頼家は倒れます。

 

気絶から目覚めた泰時は、頼家の亡骸を見つけます。黙って近づき、声を上げて泣き叫びます。源 頼家、偉大なる頼朝の子。享年23。

出血がひどく、息が荒くなっている善児は、しくじった…とつぶやきます。その善児の背後から刀を貫いたのはトウでした。かつて修善寺で源 範頼に甲斐甲斐しく世話を焼いていた五藤太夫妻を範頼ともども斬ったのが善児だったのです。「ずっとこの時を待っていた。父の仇! 母の仇……」


作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
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小栗 旬 (北条義時)
小池 栄子 (政子)
坂口 健太郎 (北条泰時)
瀬戸 康史 (北条時房)
金子 大地 (源 頼家)
中川 大志 (畠山重忠)
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片岡 愛之助 (北条宗時(回想))
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尾上 松也 (後鳥羽上皇)
市原 隼人 (八田知家)
横田 栄司 (和田義盛)
山寺 宏一 (慈円)
宮澤 エマ (実衣)
相島 一之 (運慶)
小林 隆 (三善康信)

生田 斗真 (源 仲章)
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山本 耕史 (三浦義村)
梶原 善 (善児)
栗原 英雄 (大江広元)
坂東 彌十郎 (北条時政)
宮沢 りえ (りく)
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制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:大越 大士・吉岡 和彦
演出:末永 創

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