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2022年8月23日 (火)

プレイバック北条時宗・(19)戦か属国か

返書を与えて蒙古とよしみを通じるか、国書を破り捨て蒙古を無視して意地を通すか、道は2つに1つ──。北条時宗は謝 国明を招き入れます。謝 国明はクビライを「大陸の雄大さにふさわしい寛大な人物」と評し、蒙古を敵とみなす前にと同伴した桐子とともに蒙古の地図を広げてみせます。並んで座していた御家人たちも、その地図を見ようと集まってきました。

関白・近衛基平から鎌倉へ派遣され、その途上にいる北条時輔は、蒙古からの国書を受け取った以上、戦は避けられないと険しい顔です。郎党の服部正左衛門は、戦を避ける道を探すのが時輔や幕府の役割といい、何をしに鎌倉へ向かうのかと尋ねます。「蒙古の国書についてただす。他に何がある」

クビライが作らせた蒙古地図の日本の場所を桐子が指さします。蒙古に比べてとても小さな島国に、みな「小さく描いている」などと憤慨します。謝 国明はさらに、民の数も鎌倉が15万に対し、蒙古本国で100万、周辺諸国を合わせれば300万ほどと説明し、みな言葉を失います。そんなクビライが昔のローマを模範として志で国づくりに当たっているのです。安達泰盛は、その志で日本を属国にするのかと険しい顔です。

国書の結びに「不宣」とあり、身分が同格の相手に用いる表現だと謝 国明は説明するのですが、時宗はクビライが「戦をする」という表現を用いている以上、受け入れるわけにはいかないのです。謝 国明は、国と国とが戦をした場合の悲惨さを伝え、戦をしてはいけないと必死に訴えます。しかし宋の国を捨てた謝 国明に国の重さが分かるのかと泰盛は睨みつけ、謝 国明は黙ってしまいます。

属国になるぐらいなら戦をして果てたいという考えの御家人が多い中、時宗は、戦か属国か、それ以外に第3の道が必ずあるはずだと説得を続けます。北条実時はあらかた意見は出そろったと、執権北条政村にどうするか投げかけますが、政村は胸を押さえて倒れ込み、大騒ぎになります。仮病と見破った泰盛は、実時と顔を見合わせて呆れてしまいます。

鎌倉で国書を受け取り大騒ぎとなっているころ、クビライは日本と中国歴代王朝の関わりを家臣に調べさせ、吟味していました。このころのクビライは日本は攻め滅ぼすべき敵ではなく、宋の国を孤立させて手に入れるための道具と考えていたわけです。

 

異国が迫って来ている状況を悲観する松下禅尼は、涼子に意見を求めます。涼子はこれまで得宗家にことごとく背いてきましたが、何も間違いを犯しているわけではありません。哀しいことは哀しいと嘆き、大切なものは大切と叫ぶだけと涼子は答えるのですが、松下禅尼は一門の隆盛を望んで時宗を導き、涼子は人の世の悲しみを訴えて時宗を包む。鎌倉を率いる時宗にはその双方が必要だと諭します。

時宗は、自邸で病に伏す政村の居室に押しかけます。相手があることだし博多では返答を待っているからと、幕府としてどう返答するか急かすのですが、政村は全ては自分の病気が治ってからと問題を先送りします。連署は執権を補佐するだけ、あくまで幕府の方針を決めるのは執権であり連署の時宗ではないとくぎを刺すのです。そして政村の屋敷からの帰り道、桐子が待っていました。

政村もいよいよお疲れかとため息交じりの実時は、泰盛が返書を与えないという意見には賛成しますが、意地や誇りでそう考えたのではありません。下手に返書を与えれば蒙古に付け入るスキを与えて、かえって戦を招いてしまうので、まずは静観して蒙古について知ることが大切だと考えているのです。泰盛は、大軍で攻め込むとしても海を船で渡らなければならないと、恐れることはないとつぶやきます。

 

桐子を館に招いた時宗は、今の鎌倉は同族が手を結んだり憎み合ったり、小さいところで終わりのない諍(いさか)いを繰り返すと嘆きます。もっと広い視点で異国とよしみを通じたいと考えた時宗ですが、桐子は見るべきものは見ていると感心します。日々揉まれている割にはすがすがしい顔をしていると笑います。時宗は、博多から戻る際に桐子から埋めてほしいと渡された巻き貝を見せます。

祝子は、時宗が居室で知らぬ女と歓談中との侍女・若菜からの報告を聞き、慌てふためきます。自分のことが嫌いになって他の女に手を出したのかと自信をなくす祝子ですが、そういう女ではなさそうとの答えに、祝子の頭の中は「???」になっています。

松浦党の娘となって海の上で生きる桐子は、強く生きたいから男の形(なり)をして男言葉を話します。「わしはそなたがうらやましい」と時宗は吐露します。桐子から見れば時宗は恵まれているでしょうが、ほんのわずかな気ままも許されない立場なのです。時宗は桐子に、謝 国明に蒙古に渡ってクビライの真意を確かめてほしいと伝えさせます。そこに時輔が到着しました。

 

謝 国明の屋敷に戻った桐子は、時輔と再会した時宗を心配しています。謝 国明は他人は踏み込めないとドライですが、こと蒙古からの国書については、自分たちは踏み込んでしまったのではないかと激しい後悔が襲います。そこに佐志 房が博多から到着しました。連れてきた勇を座らせ、美岬の髪飾りを謝 国明に差し出します。博多で起こった出来事を聞き、絶句する謝 国明です。

時輔は、幕府内でもまだ意見がまとまっていないと知るや、外交は朝廷が行うと国書の件を一任するように求めます。そこに、時輔が戻ったと聞き実時と泰盛が駆けつけます。六波羅探題南殿は幕府の要職で時輔も得宗家の一員と主張する泰盛に、京にいれば朝廷に近い人間になると言う時輔です。口を尖らす泰盛ですが、気に入らぬ! とは言えません。時輔を六波羅へ送ったのはここにいる者たちの総意なのです。

「殺ってくれ。命は命でしか償えぬ」と房は短刀を差し出します。謝 国明にできないのならと房は自ら短刀を手に取りますが、桐子は房に覆いかぶさり激しく抵抗します。謝 国明は「命は命でも償えぬ」と桐子から房を引き離します。勇は、クビライが国書を送らなければ美岬は死ぬことはなかったと言い、クビライが美岬を斬ったと言い出します。謝 国明は勇につかみかかり、二度と姿を現すなと声を絞り出します。

 

政村を見舞った時輔は、国書についての朝廷の反応が「大変ご立腹」とし、この件を朝廷に一任するように強く要請します。朝廷を軽んじ幕府で裁断しようとしたのは時宗と言い出した政村は、あっけなく国書の件を時輔に任せることにします。時輔は、政村が病なら幕府の答えも時宗に任せるように言います。「執権の職は時宗にお譲りくだされ」

政村の状態が良くないと、執権職は務まらず不安になるわけです。父・北条時頼が亡くなるときとは違い、時宗は大きく成長しました。そもそも政村が継ぐものでなかった執権職を、元通りにすべく返上を求めてきたのです。いきなりの言い分に政村は立腹しますが、怒れば病気がひどくなると口封じまでしてきました。政村は何も言えず、病気の人とは思えない足取りで出ていきます。

時宗は、そこまでして時輔が自分を執権職に据えたい気持ちを測りかねています。時頼から執権を託された身ではないかと時輔は返しますが、ともに蒙古に立ち向かってくれるということかと時宗は希望を持ちます。笑っていた時輔は、再び時宗のほうを振り返った時には、ギロリと睨みつけていました。

──蒙古襲来まであと2426日──


脚本:井上 由美子
高橋 克彦「時宗」より
音楽:栗山 和樹
語り(覚山尼):十朱 幸代
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[出演]
和泉 元彌 (北条時宗)
渡部 篤郎 (北条時輔)
浅野 温子 (涼子)
柳葉 敏郎 (安達泰盛)
木村 佳乃 (桐子)
西田 ひかる (祝子)
池畑 慎之介 (北条実時)
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川野 太郎 (少弐景資)
錦野 旦 (潘阜)
藤 あや子 (美岬)
白 竜 (北条時章)
修 宗迪 (趙 良弼)
バーサンジャブ (クビライ・カアン)
室田 日出男 (服部正左衛門)
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伊東 四朗 (北条政村)
藤 竜也 (佐志 房)
富司 純子 (松下禅尼)
北大路 欣也 (謝 国明)
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制作統括:阿部 康彦
演出:城谷 厚司

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