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2022年9月20日 (火)

プレイバック北条時宗・(27)ご謀反(むほん)許さず

文永9(1272)年新春、安達館で誕生したばかりの北条時宗の嫡男・幸寿丸を祝う宴が開かれます。養育係(乳母父)には平 頼綱が選ばれます。蒙古を前にして一寸先も見通せないこんな時代に、あまねく人々に幸をもたらすことを願ってつけた「幸寿」という名前に、安達泰盛らは大きく頷きます。松下禅尼は、子どもと思っていた時宗が父親らしく立派になったと目を細めています。

一方 京では、六波羅探題北殿に就任した北条義宗がその挨拶に北条時輔の館を連日訪問していますが、時輔は病と称して門前払いを食っています。今日こそは会わせていただくと食い下がる義宗ですが、対応した服部正左衛門は平謝りで話は平行線です。執権として時宗の名前を出しても埒が明かず、義宗は打つ手がありません。

その義宗からの報告によれば、宗尊親王の御所に京の公家衆の他、名越の北条時章や足利泰氏らまで出入りしているようです。時輔は誰にも会っていないらしいと知ると、泰盛はやはり自分が京に出向こうと言い出しますが、時宗の中には「兄弟の絆を取り戻したい」と涙ながらに訴えた兄の姿が念頭にあり、時輔は謀反には加わらないと断言します。

時輔は博多で、蒙古からの使節と対面したいと謝 国明に伝えます。返書を出さない日本は蒙古を軽んじているわけではないと伝えるつもりなのですが、時宗に内密な会見を手引きできないと謝 国明は返答します。外に国を開かねば滅びると考える時輔は、使節に会って言葉を交わさなければどんな道も開けないと謝 国明を説得します。

桐子が世話になっている寺に時宗主従がやって来ました。時宗は日蓮をほとぼりが冷めたら佐渡から呼び戻すことを桐子に伝えますが、桐子は蒙古へ返書を送らず西国に御家人を派遣する時宗が、戦をしようとしていることに反発します。今 日本を守るのはこれしかない……という時宗は、海を知り大陸を知る桐子と会えば判断に迷うと、もう会わないと決別の意思を固めて帰っていきます。桐子は落胆します。

 

いよいよ時は熟しました──宗尊親王は、朝廷の名代として中御門実隆を鎌倉へ派遣します。返書を出すべきとの意見書を突きつけ、時宗が反対すれば朝廷に反旗を翻す賊として討ち取る計画です。鎌倉に戻った時章と泰氏が、幕府に不満を抱く御家人たちを集めています。50年前、承久の乱で幕府に敗れて以来、政の実権を奪われた朝廷が、蒙古の波を利用して政を取り戻そうと画策したのです。

しかし事態は思わぬ方向へ動き出します。今日から戻った泰氏が長旅の疲れと持病で卒中を引き起こし重体に陥ったのです。止めるのも聞かず桔梗が泰氏の身体をゆすって叫ぶと、泰氏は意識を取り戻し最後の力を振り絞ります。「我が足利は北条得宗家の鱗を食らう龍……」と声を絞り出すと、そのまま亡くなってしまいます。焦った桔梗は、兄の時章と教時に名越が先頭に立てと迫ります。

泰氏の死は時宗たちの知るところとなりますが、泰氏がなぜ病を推して鎌倉へ戻ったかを考えれば、京の動きは謀反と見てよさそうです。北条政村は時輔が2ヶ月も姿を現さないのは何らかの動きをしていると見て、泰盛も北条実時も今こそ時輔を疑うべきと主張しますが、時宗は今こそ兄を信じたいと説得します。政村はもう一度だけ待つ代わりに、少しでも時輔に謀反の疑いがあれば断罪すると時宗に約束させます。

時輔は蒙古使節の趙 良弼と対面します。執権の名代ではないのかといぶかる良弼ですが、兵を用いるという言葉がある限り返書は出せないと主張する時輔に、ならば兵を用いるまでと突っぱねます。日本国王の返書が欲しい良弼に、戦をしないと約束するなら帝の親書を持参して、かつ国を開くよう執権を説き伏せると時輔は見据えます。ここに来て初めて嬉しい言葉を聞いた、と良弼は笑顔を見せます。

良弼から、すでに返書の期限は過ぎているため、1ヶ月で返書を用意するように条件を出された時輔は、翌日博多を出発して京にもどることになります。謝 国明は、蒙古は自分たちの要求を有利に進めるために相手国の中に自分たちの味方を作ると伝え、時輔が日本の民から裏切り者と罵りを受けるようになるかもしれないと警告します。

鎌倉の名越の館に入った実隆は、帝の書状を時章に預けます。時宗が拒絶すれば得宗家を討ち取る絶好の機会と教時らは盛り上がります。時頼によって泰氏と離縁させられ人生めちゃくちゃになったと恨みを持つ桔梗ですが、時章は恨みだけでは単なる謀反になってしまうと、桔梗に寺にでも隠れているように命じます。時章としては、志を持って号令したい気持ちがあるのです。

 

2月11日、祝子は産所の安達館から鎌倉御所へ帰ると言い出します。時宗は頼綱を迎えにやりますが、入れ替わりに現れた実時は名越の館に兵が集まっていると時宗に耳打ちします。集まっているだけでは咎めるわけにはいきませんが、時宗は念のため御所の警護を厚くするように実時に命じます。

祝子の一行が歩を進める中、民衆や僧に化けた者たちがそれぞれ鎌倉の様子を伺っています。輿の中で幸寿丸が泣き声を上げ、輿をいったん止めて侍女の若菜が声をかけますが、その隙に何者かの襲撃を受けます。急いで輿が運ばれていくのを見て頼綱は異常を察知し駆け寄りますが、頼綱も背中に矢を受けてしまいます。

ひとまず祝子と幸寿丸は無事に御所に入ります。帰りたいと言い出したわがままを詫びる祝子をなぐさめる時宗です。ケガを負った頼綱は襲撃した男たちの雇い主が教時であることを突き止めます。あまりの衝撃に言葉を失った時宗は膝から崩れ落ち、冷たい表情でまっすぐ見つめます。「兵を集めよ……今すぐじゃ」

名越北条家では、時章が教時に「なぜこんなことを」と責められていました。聞けば桔梗の発案らしく、時章に企てを決心させるためにこのような命令を出したようです。幕府が兵を繰り出したとしても対抗する兵を集めればいいと反発します。執権嫡男の命を狙う卑怯な真似をする者に付き従うものはいないと、時章は桔梗を平手打ちします。

時宗にとっての初めての合戦です。鎌倉がこの騒ぎになっていることは、まだ京には知らされていません。

 

そしてこの日も時輔館を訪ねる義宗は門前払いをされそうになりますが、今日こそはと強気の姿勢を見せます。そこに時輔がスタスタ歩いてきて、親しげに義宗に挨拶します。肩透かしを食らい狼狽(うろた)える義宗に、時輔はニッコリほほ笑みます。「ちょうどよかった。わしも時宗に伝えたいことがある」

刃は振り下ろされてしまった。振り下ろされた刃は立ちで受け止めなければならない──。集まった兵たちを前に、時宗は号令します。「必ず討ち取るのじゃ!」

──蒙古襲来まであと970日──


脚本:井上 由美子
高橋 克彦「時宗」より
音楽:栗山 和樹
語り(覚山尼):十朱 幸代
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[出演]
和泉 元彌 (北条時宗)
渡部 篤郎 (北条時輔)
柳葉 敏郎 (安達泰盛)
木村 佳乃 (桐子)
西田 ひかる (祝子)
池畑 慎之介 (北条実時)
ともさか りえ (祥子)
牧瀬 里穂 (梨子)
寺島 しのぶ (禎子)
西岡 徳馬 (足利泰氏)
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原田 美枝子 (桔梗)
江原 真二郎 (高 師氏)
吹越 満 (宗尊親王)
白 竜 (北条時章)
井上 順 (一条実経)
大木 実 (西園寺実氏)
修 宗迪 (趙 良弼)
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伊東 四朗 (北条政村)
室田 日出男 (服部正左衛門)
富司 純子 (松下禅尼)
北大路 欣也 (謝 国明)
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制作統括:阿部 康彦
演出:吉村 芳之

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