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2022年9月18日 (日)

大河ドラマ鎌倉殿の13人・(36)武士の鑑(かがみ) ~激闘!義時vs重忠 坂東武士の鑑~

畠山重忠が武蔵で兵を調えていて、北条時政は実朝を守るために畠山一族を滅ぼすと下知します。とても驚く和田義盛をよそに、三浦義村は「かしこまりました」と頭を下げます。まずは息子の重保を由比ヶ浜へ誘い出し、生け捕りにするのです。そうすれば名将重忠も観念するでしょう。義村の弟・胤義は北条義時に知らせなくてもいいのかと尋ねます。「いい。板挟みになってヤツが苦しい思いをするだけだ」

結果的に実朝が畠山追討を命じた形になり、それを知った義時は「どうしてそういうことになる!?」と床を叩いて立腹します。重忠には戦をするつもりは毛頭ないのに、時政に押し切られてしまってこういう結果になってしまいました。そこに現れた北条泰時は、のえのことで息子として言いたいことがあると義時の前に現れますが、今はそれどころではなく、出直してきなさいと北条時房が帰します。

そのころ武蔵国では、夫の無事を祈る妻・ちえ(時政の娘)に重忠がニッコリほほ笑んでいました。「行ってまいる」

──頼朝死後の熾烈な権力争い。それを制した北条がすべてを手にしたかに見えた。しかし、その力に屈しない男がいる──

実衣は重忠が謀反を企んだのだから討ち取るのは当たり前と主張しますが、その企んだ謀反の証拠がどこにもありません。実朝も自ら花押をしたためた下し文を取り消せないのかと義時に持ちかけますが、取り消せば鎌倉殿の威信に傷がつくため容易には取り消せません。いま重忠は、実朝と話をするために武蔵から鎌倉に向かっている最中です。義時がそうするように説き伏せたのでした。

だまして呼び出した義村たちに取り囲まれ、はかったな、と重保は刀を抜きます。殺すなと言ったはずだと時政は義村を責めますが、やっていなければやられていたと義村は平然としています。鎌倉に向かっていた重忠が鎌倉の手前の二俣川で歩みを止めますが、止めたということは重保のことを知ったとみるのが妥当なところです。武蔵へ引き返すか鎌倉へ進み続けるか、それによりこちらの出方が変わります。

畠山は謀反人ですよとわめき出したりくを、政範を失った無念を重忠に押し付けるのはよくないと時房はたしなめます。重忠は鶴ヶ峰に移って陣を敷きます。迎え撃つには絶好の場所に陣取ったということは、重忠は腹をくくったということです。望みをかなえてやりましょうなどとしゃしゃり出るりくに、時政の堪忍袋の緒が切れます。「それ以上口をはさむな! 腹をくくった兵がどれだけ強いかお前は知らんのだ!」

対象に志願した義時は政子と対面します。重忠の謀反のことは時政が言っているにすぎませんが、執権が言っている以上従うしかないのです。義時は、政を正しく導けない者が上に立つというのはあってはならないことだと、誰かが正さなければならないと政子に覚悟を求めるのです。何かを感じ取った政子は義時に詰め寄りますが、「これまでと同じことをするだけです」と厳しい表情を向けます。

 

義時の陣は丘の上に位置する重忠の陣からは丸見えです。まずは説得を試みようと義盛が志願します。重忠は今の鎌倉は北条のやりたい放題だとため息をつきます。「戦など誰がしたいと思うか!」と叫んだ重忠は、ここで引けば北条に屈した臆病者とのそしりを受けるため、畠山の名を歴史に刻むことにしたのです。正々堂々、手加減抜きで戦で決着をつける。そう言ってふたりは別れます。

しょんぼりした表情の義盛を前に、「これより…謀反人、畠山次郎重忠を討ち取る!」と下知した義時。義盛はみんなが正面から攻め込み、自分は脇腹を突くと提案し得意顔ですが、その戦法は重忠に見抜かれています。泰時は戦に向かう義時に怖くないのかと尋ねますが、相手は戦上手な重忠です。怖くないわけがありません。

鶴ヶ峰に近づいてくる軍勢を見ると、左に北条、右に三浦。和田軍の姿がないことで、側面から攻め来ることは確実です。重忠は天に向かって弓を引き絞り、矢をヒョウッと放ちます。

実時は鎌倉まで攻めてくるのかと不安がりますが、御所を守る八田知家は、畠山軍は手勢も少なくどんな戦上手でも勝ち目がないと説明します。ただ、重忠の潔白に御家人たちが気づき始めていて、攻め手の兵たちは戦に身が入りません。正直なところ、この戦はどう転ぶか分からないところがあります。

重忠軍は義時軍に正面から攻め込んできます。その果敢な戦ぶりに見とれるほどですが、重忠は義時をおびき出すため、踵を返して端にいる泰時たちの方へ向かっていきます。まずい! と義時が重忠の後を追います。「待っておったぞ」と重忠は義時と一騎打ち……。義時はすれ違いざまに重忠に身を投げ、重忠を落馬させます。

三浦の兵に取り囲まれても、重忠と義時の戦いは続いていました。短刀を抜き斬り合いになります。それが殴り合いになり、義時は重忠にさんざん殴られてフラフラです。重忠は寝ころぶ義時に馬乗りになり、短刀を振り下ろします。そして力なくそのまま馬上の人になり戦場を離れていきます。この戦は夕方には終わります。

 

重忠は手負いのところ、愛甲季隆(あいこうすえたか)が射止め討ち取られます。逃げるいわれがなく、戦ういわれもなく、己の誇りを守った重忠、その首は時政自身が改めるべきだと重忠の首桶を差し出します。「執権を続けていくのであれば、あなたは見るべきだ!」 義時の言葉に、時政は何も言わずに出ていきます。

大江広元は、重忠を討ち取った強引すぎる手法を批判します。御家人たちはうすうす重忠に非がないと感づいていて、失った怒りを誰かに押し付けることが必要だと義時に提案します。その提案を受け、義時は時政に、稲毛重成に罪をかぶせることを進言します。気が乗らない時政ですが、そうなれば御家人たちの矢面に立つのは時政です。「しょうがねぇ。死んでもらうか」

知家は、重成は重忠が務めていた武蔵の惣検校職の座を奪い取るため、時政の娘婿である立場を利用して重忠のあることないことを時政に吹き込み、畠山討伐を仕向けたらしいとうわさを流します。重成はじきに捕えられ、時政に聞けばわかると弁明します。いくら何でも理不尽だと時房は義時に訴えますが、御家人たちの心を 重成を見殺しにした時政から離すのが義時の狙いなのです。

義時に隠れて裏でコソコソ動いたバツとして、義村に重成を討たせます。それを報告に来た義村を「下がっていい」と追い返すと、義村はニヤリとした表情を浮かべます。

 

政範の仇を討てたし、重成の分まで時政に長生きしてもらいたい。それが何より重成の供養になる……。りくは時政に寄り添って甘えています。うつむいたままの時政に、畠山の所領をいただこうと言うりくですが、今回の戦に功のあった者たちに分配しなければと気前のいいことを言う時政です。

義時は、畠山旧領の分配を政子の手に委ねます。政子は、自分が口を出せば政は混乱すると固辞しますが、すでに混乱の極みです。義時は今こそ政子の力が必要と食い下がります。了承する政子ですが、重成の一件を持ち出し、どうして殺すのを止めなかったのかと義時を追及します。「私がそうするようにお勧めしたからです。今度のことは父上に政から退いていただく初めの一歩」

政子は、弟の義時が恐ろしい人になったと感じますが、全ては源 頼朝に教えてもらったことです。時政から執権職を奪ったその先ですが、義時が執権に就任すればそのために父を追いやったと思われてしまう危険性があります。政子は自分が引き受けるしかないと覚悟を固めます。ともかく政子には実朝しかおらず、頼家の時のような二の舞にはさせたくありません。

実衣は、いかにも政子の考えそうなことと反発します。しかし実朝は、今回の件は自分にも責任があると考えていて、今回は政子に任せたいと言い出します。

御家人たちからの訴状が届き、名を連ねた者の数は梶原景時の時の比ではありません。しかし時政は今回のことは義時の筋書きで息子にはめられたのだと読みます。義時は訴状を破りながら、これはなかったことにする代わりにしばらくおとなしくしてほしいと言うのです。畠山討伐の恩賞の沙汰でさえ手出しできない時政に、義時は引導を渡します。「全てご自分のまかれた種とお考えください」

7月8日、政子の計らいにより勲功のあった御家人たちに恩賞が与えられました。りくはなぜ政子がと怒り心頭です。父親を蔑(ないがし)ろにするとは言語道断と声を荒げ、好々爺であった時政は脇息を蹴り上げます。そのあまりの剣幕はりくが言葉を失うほどです。


作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
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小栗 旬 (北条義時)
小池 栄子 (政子)
坂口 健太郎 (北条泰時)
瀬戸 康史 (北条時房)
中川 大志 (畠山重忠)
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市原 隼人 (八田知家)
横田 栄司 (和田義盛)
宮澤 エマ (実衣)
小林 隆 (三善康信)
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山本 耕史 (三浦義村)
菊地 凛子 (のえ)

栗原 英雄 (大江広元)
坂東 彌十郎 (北条時政)
宮沢 りえ (りく)
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制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:長谷 知記・橋本 万葉
演出:末永 創

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