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2022年10月 9日 (日)

大河ドラマ鎌倉殿の13人・応援感謝!ウラ話トークSP ~そしてクライマックスへ~ (ディープバージョン) + 佐久間宣行のオールナイトニッポン0

(敬称略)

スーパー
──大河ドラマ──

「鎌倉殿の13人」テーマ音楽にのせて。
スーパー
──応援感謝! ウラ話トークSP──
 N  「鎌倉殿の13人」応援感謝! ウラ話トークスペシャル! 視聴者のみなさま、放送開始からおよそ9ヶ月、熱い応援をありがとうございます! 物語はいよいよクライマックスへ。今日は、キャストがこれまでの撮影を振り返るスペシャルトークをお送りします!
──────────
佐藤浩市 ご苦労さまです(笑)。
──────────
 N  そして懐かしのあの方々からのメッセージ。びっくり仰天の舞台裏映像も一挙大公開! 脚本の三谷幸喜さんも登場! 物語の創作秘話を語ります。スタジオの舵(かじ)を取るのは、今注目のテレビプロデューサー・佐久間宣行(のぶゆき)さん。最後の最後まで見逃せないウラ話トークスペシャル、いざ開演です!

杉浦友紀アナウンサー(以下杉浦) 本日は「鎌倉殿」ファンのこの方とともに、番組を盛り上げていきます。
スーパー
──佐久間 宣行・TVプロデューサー──
佐久間宣行(以下佐久間) テレビプロデューサーの佐久間宣行です。あの、各所でですね、「鎌倉殿」が面白い面白いって言っていたら、まさかこの本丸のMCをやらされるとは思わないですよ。
全 員 (笑)。
スーパー
──杉浦 友紀・アナウンサー──
佐久間 しかも僕、別に地上波のMCをやったことがないんすよ。
杉 浦 (笑)。初めてですか?
佐久間 初めてが日曜8時のこのメンバーってあります?
杉 浦 そしてスタジオには、北条ファミリーのみなさんに集まっていただきました!
全 員 (拍手)
小池栄子(以下小池) よろしくお願いします。
スーパー
──小栗 旬・北条義時──
──坂口 健太郎・北条泰時──
小栗 旬(以下小栗) こんばんは!
スーパー
──坂東 彌十郎・北条時政──
──小池 栄子・北条政子──
小池・坂口健太郎(以下坂口) こんばんは~。
坂東彌十郎(以下坂東) こんばんは。
佐久間 あの先週の放送を見てからだと、逆にこの4ショット……泣きそうです(笑)。
小 池 あ~、本当ですか?
佐久間 だってねえ?
杉 浦 今日実は、小栗さんと坂口さんは撮影を……から駆けつけてくださってます。
小 栗 はい。
杉 浦 今日はどんな撮影だったんですか?
小 栗 今日は、今 あの鶴岡八幡宮の大階段というところの撮影をしていまして、雪が降っております。
佐久間 わあ~!
杉 浦 おお~! いろんな話、ちょっとウラ話も含めて聞いていければと思うんですけれど、まず佐久間さん、北条ファミリーの中で好きなシーンってありますか?
スーパー
──佐久間Pが注目 北条ファミリー──
佐久間 北条ファミリーのシーンはですね、1、2話? あのみなさんで見返してみてください。めちゃくちゃ泣けます。
小 池 はっはっはっ!
佐久間 もう1、2話のその……幸せな感じと、あの感じで、もう今の父上を追放するまでの物語を思い返して、だからその、この大河でしか描けない感情の描き方っていうのは感じるんですよね。
坂 東 人生と同じ……感じですね。僕、今回初めてでしたけど、あの……1年間なのに一人の人生って、昔の幸せなころを思い出しちゃうっていうか、今話しててもヤバい(笑)。
小 池 ヤバい(笑)。
佐久間 あと番組が終了の匂いがしました(笑)。
全 員 (爆笑)。
佐久間 これから始まるんすよ!
杉 浦 エンドトークみたいになってきました(笑)。
小 栗 後にも先にも、クランクアップであんなに泣かれた人は初めて。
坂 東 (笑)。恥ずかしい……。
小 栗 もうね、なん……嗚咽とかってね、あれ何て表現したらいいんだろうね?
坂 口 そうですね。
小 栗 赤ちゃんみたいに泣いていました。
全 員 (笑)。
小 池 こうやって「だあああぁぁぁぁ」っつってね(笑)。
坂 東 本当に、自分でどうなっちゃったか分かんないぐらい、感動した……ですね。今思い出しても。
佐久間 そうか、番組スタートで泣くことになっちゃいますからね。
全 員 (笑)。
小 栗 歴史だからしょうがないじゃないですか。だけどなん……なんで(時政は)ああいうことをしたの?
坂 東 いやあの……りくがね(笑)。
全 員 (笑)。
小 栗 本当に。
小 池 惚れちゃったからね、しょうがないしね。
佐久間 そうですよね。でも1、2話を見ると、僕ちょっと思ったのが、政子と……政子とか変わっていくじゃないですか。でもそのお父さんは、実はその要素初めからありましたよね?
小 池 アハハハ。
佐久間 人間的に性(格)……別に変わってないんですよ。
小 栗 父上は変わってないんです。
佐久間 変わってない。立場と……。
小 栗 はい。田舎のいいおじちゃんなんですよ。
小 池 うんうん。
佐久間 田舎のいいおじちゃんが、惚れた女にどんどん……。
坂 東 そうそう。
佐久間 ということですよね?
坂 東 そうですね(笑)。本当にそのまんまだと思います。
佐久間 それがだから、1、2話でまた発見しました。
杉 浦 もう一巡……。
佐久間 もう一巡出来たら何回でも感動できちゃう。あと亀の前事件のときは。
小 池 はい。
佐久間 だって娘のためにキレるじゃないですか、お父さんが。要は……もう帰るって頼朝に。
小 栗 キレて伊豆帰っちゃう。
佐久間 キレて伊豆帰っちゃうんですよ。そのお父さんがですよ?
小 池 やっぱ幸せ……だったんじゃないですか? どうですか? 愛する女子と最後まで一緒に。
坂 東 ま、そうですねえ、こ、ま、この……この人を守ろうと思ったらとことん守る。で、子どもたちや孫たちはもう大丈夫だ! ……って思ったんですよね。
小 池 (小栗に)だって。だってよ。
坂 東 全然大丈夫。
小 栗 (笑)。
佐久間 あの、もう一人登場する人がいるから。
小 池 ああ!
杉 浦 そうだ。
小 栗 でももうこのまま4人でいいんじゃないですか?
全 員 (笑)。
杉 浦 でも滅ぼされた側のね、お気持ちもちょっと聞きたいなと……。
佐藤二朗(以下佐藤) (セット裏から) いいかげん早く呼べ! 早く!!
杉 浦 ご登場いただきましょう。比企能員役、佐藤二朗さんです!
全 員 (拍手)
佐 藤 どうも。えー、北条……を許さない、御家人の会代表・佐藤二朗です。
全 員 (笑)。(拍手)
佐 藤 今日はあの、トーク番組と……トーク特番ということですけども、そんなこと、僕はもうトークなんて関係なくてですね、あの……この4人を討ち取りに来ました。
全 員 (笑)。
小 池 被害者の会だからね。
佐 藤 被害者の会。あの本当にあの……特に小栗と彌十(やじゅ=坂東彌十郎)さんは、トーク中も僕から目を離さないほうがいいです。
全 員 (爆笑)。
佐 藤 襲い掛かります(笑)。ありがとうございます。
全 員 (拍手)
佐 藤 もういつ出てくるかいつ出てくるかってさ、私一回家帰ってまたここ来るぐらいずっと話してるからみんな。もう……ま、まぁいいや。
──────────
能 員 これ以上、話すことはなさそうだな。

 N  憎たらしい敵役で話題となった比企能員。一族の繁栄を追い求め、彌十郎さん演じる時政と火花を散らしました。劇中ではライバルのお二人ですが、プライベートでは大の仲良しなんだとか。

能 員 我が比企一門を……。
──────────
スーパー
──歴代 義時の衣裳が勢ぞろい──
佐 藤 あの、小栗の……あのええと、(クリーム色の直垂衣裳を指さして) いま、杉浦アナの、そ……その色の……。
杉 浦 はい。
佐 藤 僕、彌十さんの誕生日に、ワインをプレゼントしたんですけど、そのリボンの色は、その色にしました。
坂 東 あっ、そうでしたね。
杉 浦 へえーっ。
佐 藤 ごめんなさい、ちょっとイマイチ撮れ高の薄い話をしました。(うつむく)
全 員 (笑)。
佐 藤 すいません僕……。
小 栗 これが一番最初の、あの……ま、少年・青年期に着ていたものですね。
小 栗 比企を倒してこれになってる。
(グレーの直垂)
佐久間 なるほど。
佐 藤 ものすごいこれ覚えてるもん! 夢に出るぐらい覚えてますからね。
全 員 (笑)。
小 栗 父を追放して、これに。
(黒の直垂)
佐久間 うーわー。
小 池 ポスターはこれだもんね、ポスターは。
小 栗 です。
佐 藤 これな? これな?
小 池 そうそう、これはね。
杉 浦 何でもない田舎の若者・義時が、こう武士の頂点に上り詰めるという予測不能の物語ですけど、その脚本の秘密をですね……。
スーパー
──大の三谷幸喜ファン──
杉 浦 佐久間さんが三谷幸喜さんにインタビューしてきてくださいました。
小 池 えーっ。
佐久間 対談してきました。
杉 浦 はい。


スーパー
──脚本 三谷幸喜×佐久間P 対談──
佐久間 (一礼して) よろしくお願いします。
三谷幸喜(以下三谷) お願いします。
(小 池 (スタジオから) 貴重なツーショット!)
佐久間 テレビプロデューサーの佐久間と申します。よろしくお願いいたします。(一礼)
三 谷 ああ、いつも……YouTube拝見してまして。
佐久間 (笑)。本当ですか?
三 谷 本当ですよ。
佐久間 本日は、えー視聴者のみなさんの、あの……代弁ともなりながら、みなさんに鎌倉殿の魅力を伝えたいと思います。よろしくお願いいたします。
三 谷 緊張されてます?
佐久間 そりゃめちゃくちゃ緊張してますよ。
三 谷 あんまりこういう姿、僕見たことない。
佐久間 (笑)。
スーパー
──脚本・三谷 幸喜──
佐久間 僕は福島のいわき市っていうところで、最初はえーっと大学を、その……地方の国立に行こうと思ってたんですけど、どうしても三谷幸喜の芝居が観たいなっていう憧れで。
三 谷 ええ。
佐久間 三谷さんが、上京した理由です僕は。
三 谷 本当ですか。
佐久間 はい。サンシャインボーイズが、えっと僕が93年に高3だったんですけど、解散するらしいって聞いて、間に合わなかった! と思って。
三 谷 あ、間に合わなかったの?
佐久間 間に合わなかった。サンシャインボーイズは観れなかったんです。
三 谷 あーそうですか。
佐久間 それで、悔しくて、やっ……小劇場が観たい。三谷さんの作品や、もちろん三谷さんだけじゃなくてですけれども、観たいなと思って。
三 谷 ええ。
佐久間 えー、大学を東京に変えて、えー……上京してきたっていうのは、本当三谷さんの……せいというかおかげというか……はい。
三 谷 ……本当ですか?
佐久間 (爆笑)。本当ですよ!
三 谷 大泉 洋さんも似たようなことを僕に言ってたんですけど、いろんな人に言ってるらしい。
佐久間 (笑)。
三 谷 聞きましたよ。
佐久間 まずですね。
三 谷 はい。
佐久間 めちゃくちゃ面白いです。「鎌倉殿」。
三 谷 あー、ありがとうございます。なんかいろんなとこでね、言ってくださってるのは聞いてたんですよ。
佐久間 三谷さんて、あの普通に……褒められると嬉しいんですか? やっぱり。
三 谷 褒められて嬉しくない人はいないと思うんですけども。
佐久間 三谷さんのレベルになっても?
三 谷 ただ、じゃあ「ほかの作品は見てねえのかよ」とか、なんかそういうふうに悪い方に考えちゃうんですよね。
(杉 浦 (スタジオから) (笑)。)
三 谷 だから「ラヂオの時間」とか、よくみなさん、あの……大好きですって言ってくださるんですけど、ほかにも映画いっぱい作ってるんで、それに気をつけてしゃべってください(笑)。
佐久間 (爆笑)。でもあの「鎌倉殿の13人」は……あの三谷さんの大河、全部拝見してますけど、その中でもちょっと……驚くほどおもしろいなと。
三 谷 それがいちばん良くないんですよ。
(全 員 (スタジオから) (笑)。)
三 谷 「真田丸」と「新選組!」がもうひとつだったっていうこと?
佐久間 いやいやいや……違いますよ(笑)。
(小 池 (スタジオから) 確かに。)
佐久間 「鎌倉殿」って序盤に、ま、笑いも交えて、登場人物に思い入れたっぷりにさせられた上で、仁義なき戦いのような内部抗争が始まるじゃないですか。
三 谷 うん。
佐久間 だからちょっと、逆にちょっと笑いの部分があって、人間味が出てくる人を見ると、人間味を持ってきたから、こいつ殺されるんじゃないかとかって思っちゃうっていう。
三 谷 (笑)。善児とかもね。
佐久間 善児とかも、ちょっと好きになってきちゃった辺りで、殺すじゃないですか。
三 谷 うーん。
佐久間 なんてことしてくれるんだと思ってます。
三 谷 ひどいですよね。
佐久間 (笑)。
──────────
善 児 善児が、川で魚を捕ってあげまする。
──────────
三 谷 善児はですね、まずとにかく、今回たくさん人が死ぬ……。
佐久間 はい。
三 谷 というのはもちろん分かっていて、で毎回なんか、誰か分かんない人に殺されたりたりとかするのはあんまりおもしろくないから、だったらできるだけ同じ人に殺させようっていう。
佐久間 うんうん。
三 谷 で一人キャラクターを作ろうってことになって、まあ昔から梶原 善に殺し屋をやらせたかったんですよ。
佐久間 あ、そうなんですか。
三 谷 うん。飄々(ひょうひょう)と悪いことしていく、みたいなね。
佐久間 (笑)。
三 谷 僕しか知らない、絶対ヤツは殺し屋が向いているっていう。
佐久間 (笑)。
三 谷 善にプレッシャーを与える意味でも、あの……これは代表作になるので頑張ってねーみたいな話をしました。
佐久間 「代表作になるんで頑張ってね」って、始まる前の役者に言ったんですか?
三 谷 言いましたね。
佐久間 すごいですね!
三 谷 そしたら最近彼は、あの……「代表作になりました」っていろんなとこで言ってんですけど、それ本人が言うべきじゃない。
佐久間 (爆笑)。
三 谷 もっと年取ってから「あの時あの役が代表作になった」って言うのはいいんですけど。
佐久間 まだ放送中ですからね。
三 谷 そうなんですよ。
佐久間 善児は、思ったよりも評判がいいから早めに殺したっていう……。
三 谷 まぁもともとどっかで退場させようとは思っていたんですけども、そのタイミングは考えてなかったんですよ。もっと最終回に近いイメージもあったし。
佐久間 はい。
三 谷 ど……どうしようかなって思ったんですよ。
佐久間 そうですよね、史実にないキャラクターですから。
三 谷 いくらでも、ぼ……僕の好きにできるキャラクターだから、そしたらちょっとみなさんがその……すごく善児に注目してくださった分、これは、……なんだろ、なんか今が一番いいころかなって思ったんですよね。
佐久間 なるほど。
三 谷 これを過ぎてくとだんだんみんな飽きていくだろうし。
佐久間 うんうんうん。
三 谷 ちょっとタイミング的にちょっと……思ったよりも早い方が、一番かっこいい去り方ができるんじゃないかなって思って、あのタイミングに。だからそんな人気出なかったら最終回まで生きてた……男なんです。
佐久間 (笑)。人気が出たばっかりに?
三 谷 そうそう。かわいそうなことしましたけど。

三 谷 梶原景時。
佐久間 はい。
三 谷 梶原景時をいろいろ調べていくと、不思議でしょうがなかったんですよね。
佐久間 うん。
三 谷 あの……ものすごく彼は頭がいいし、何というか人として優れた人物なのに、今までの描き方で言うと、義経に会うとすごくなんか悪いやつになっちゃうっていうのが気に入らなかったんですよ。
佐久間 うん。
三 谷 何で、あんなに頭のいい人が、義経のああいう斬新な作戦に対して、その……分かってあげないんだろうか。絶対分かってたはずだ。
佐久間 うんうん。
三 谷 じゃあその、えー僕の感情と、実際に残ってる史実と、を、が合致するには梶原景時はどんな人なんだろうかって考えて、今回みたいな、あのーすごく義経のことを分かってるがゆえに、彼を許せなくなるみたいな、そういうキャラクターにしていった。だってもう、あの最後、あのー義経が考えた、あのー鎌倉……。
佐久間 はい。どうやって討つか?
三 谷 討つかのあの手紙を読んだ時、本当嬉しそうだったですもんね。
佐久間 はい。
三 谷 俺にこの手紙を送ってくれたのかみたいな。あれがやりたかった。
佐久間 なるほど。僕、意外だったのは、あの……義時が決定的な事件でダークになるんじゃなくて、ちょっとずつ変わっていくんですよね。
三 谷 たぶんそれがあの、大河ドラマの面白さだと思うんですけど、その……急激に変わらないんですよね、人って。行ったり来たりする。
佐久間 はい。それがすごい面白いなと思いました。
三 谷 なんかそっちがリアルな感じが。人はなんかそんなにすぐに変わるもんじゃないんだみたいな。


(劇中で使用された「源 義朝のどくろ」から)
小 池 ふーん。貴重だなぁ……おもしろい。
佐久間 いやー、たくさん貴重な話聞けたんですけど、その……三谷さんがおっしゃってた、やっぱ大河でしか描けない人間の揺れ? あの例えば実衣と政子も、いったん仲悪くなるけど、それでも決定的に仲悪くなるわけじゃなくて、揺り戻しがありながら、人間ってそういうもんなのが、大河だと描けるっておっしゃってて。
小 池 うんうん。
佐久間 だから義時って決定的な出来事が起きて、叫んだりして闇落ちみたいなもんかなって思ったら、徐々に徐々に変わっていくじゃないですか。しかもそれがなんか、悪に変わるっていうより仕事……に徹していくばっかりに変わっていくみたいな。
小 池 うーん。
佐久間 それの描き方に……が、面白いと思ったんですけど、三谷さんがそこに……が、書き甲斐があったっておっしゃったんで、はい。そうやって変わっていく役っていうのは、一年間その……演じ切るっていうのはどういうお気持ちなんですか?
小 栗 なんかもうでも、本当に彼が生きた人生を追体験しているっていう感じですかね。
佐久間 なるほど。
小 栗 やっぱり本当に何も、もちろん事前にいろんな資料に目を通したり、北条義時っていう人がどんな人生を歩んできたのか、頭にはもちろん入れてあるんですけど、あの、あまり……なんか「先がこうだからこのへんでこういうふうにしておこう」とか、そういうことあまり考えずに。
佐久間 なるほど。
小 栗 はい。とにかくなんかジャズのセッションのように、毎回毎回その瞬間に思ったことで動いていくみたいな。自分だったらどうするかなとか、そういうところでなんか役を作ってきた感じがするんで。
佐久間 一年間の計算の上でのその場所じゃなくて。
小 栗 うーん、なんかもうあの……転がった石のことはその石に聞いてくれみたいな(笑)。
佐久間 なるほど。
小 栗 はい。そんな感じでやってきたって感じはあるかもしれないですね。
佐久間 小池さんいかがですか?
小 池 でも確かに、その通りだなっていうのは私も思って、まああの……史実は変えられないですから、今言ったとおり先々のことは分かってて、こうペース配分して役を作っていくのでなくて、相手と……セッションって言葉ありましたけど、現場で相手と義時と向き合ったときに初めて感じる感情っていうのを、すごく芝居ってシンプルなことなんだなって、やっぱ(胸に手を当て)ここなんだなって気が、すごい一年通して感じてます。
小 栗 本当それじゃないと、その……父……上を、あの……追放するっていうところで、ま最後にご挨拶に行くシーンが……あったと思うんですけど、あそこなんかやっぱり彌十郎さんと自分だからああいうふうになったっていう。
小 池 うーん。
坂 東 (頷く)
小 栗 シーンにはなったんじゃないかなぁっていうふうに思います。
佐久間 坂口さんいかがですか?
小 栗 坂口さん、いた? ひとことしゃべった?
坂 口 ……まだしゃべってないです。
全 員 (笑)。
佐 藤 マイクと……マイクと受信機を落としたから。
全 員 (笑)。
坂 口 僕は途中……からなんですね。で、ここで北条家の中に……こう「ぽん」って自分が入った時に、ここでもう培われている空気感だったりとか、あのーなんだろう? 芝居のそれこそセッションだったり、こう……波に乗る作業だけでよかったというか。だからそこで感じて、じゃあそれを発してみて、で父上にこう思うんだったら、それをじゃあお芝居に乗っけてみてみたいな、ことをすごく……その繰り返しを今撮ってるっていう感じではありますね。
佐久間 なるほど。
スーパー
──コロナ禍での撮影秘話──
杉 浦 この撮影自体、コロナ禍での撮影だったと思うんですけれど、本番直前までみなさんマスクしたりとか、いろんな苦労もあったと思いますが、なんかこう、特別苦労したこととかってありますか?
小 栗 難しいなぁと思う反面、なんか逆に最近では、その表情が見えないテストから、初めて本番で表情が見えることで、あの……違うリアクションがとれるみたいな。
佐久間 あっ、なるほどなるほど。
小 栗 逆にそれが、その今回言ってるようなセッションみたいな言い方で言うと、「あっ、そんな表情をしていたんだ!」みたいなこととかがあるの……も、今となっては逆に楽しめるようになってきてるのかもしれないですね。
杉 浦 そんな中で、小栗さんが毎日あの、マスクをつけてそこにメッセージを書いていたのが話題になったんですけれど、今日はそのマスクを一覧にしてみました、はい。
スーパー
──話題の“小栗マスク”一挙大公開!──
小 池 うわー、すごいね!
杉 浦 お願いします!

(160枚程度のマスクが広げられた大きな台が運ばれてくる)
佐 藤 うわ! すごいのが来たよ。素晴らしい。すごい。
小 池 (拍手) うわー、すごーい。
杉 浦 ずらっと並んでいますけれど、今日あの、用意しただけでも164枚あります。
全 員 うわー。
杉 浦 はい。スタッフや共演者へのメッセージから時事ネタ、あと心の声。
佐 藤 時事ネタ(笑)。時事ネタ……はあはあはあ。
杉 浦 収録に関わるフレーズなどが書かれているんですよね。
坂 東 僕……マスク見られないんですよ。恥ずかしくて。
杉 浦 えっ? 恥ずかしくて?
坂 東 だって顔見なきゃいけないんだもん。その……今日何書いてあるかなってこうやって(覗き込むようなしぐさ)見なきゃなんないんだから。
全 員 あー!(納得)
坂 東 で、分かった時とかは、逆に泣いちゃうからやだっていうのもあったです。「今生の別れ」って書いてあった。
全 員 あー。
坂 東 もうそしたら……スタジオ入る前に泣いちゃうんです。
全 員 (笑)。
佐 藤 本当に今日彌十さんずっと泣いてますね。
全 員 (笑)。
──────────
(「上総介」と書いたマスクでリハーサル中の小栗)
 N  主演の小栗さんは、その日の思いやトピックスをマスクに書き、撮影に臨んでいました。
──────────
佐久間 小栗さん、どんなお気持ちでこれは書かれてたんですか?
小 栗 えっと……本当に最初のころは、ただなんかこう……現場で、あの……会ったスタッフさんたちが、その日「あっ何かまた面白いこと書いてあるな」とか、こんな「今日はそういう日なんだ」とか思ってくれたり、途中からはやっぱり物語に引っ掛けたり、今日一番頑張んなきゃいけない人の名前を書いたりするのが一番いいのかなと思って。
佐 藤 「死ぬな高岸」(笑)。
小 栗 「死ぬな高岸」は、この日あの……仁田どのが自分で自害してしまう撮影の日だったんですけど。
小 池 「死ね二朗」の横のさ、「生きかえるんかーい」は頼家?
小 栗 あ、これ頼家(笑)。
全 員 (笑)。
小 池 この日か! あの日ね。
佐久間 なるほど。
小 池 あの日かぁ……。
杉 浦 いいですねー。
坂 口 クランクインの時に、小栗さんその、クランクインされる方とか、その日もう最後散る方とかに、メッセージを結構書いてくれてて、その時僕も……僕が……どこにあるんだろう?
佐久間 あーいや、ありましたよ?
坂 口 「俺たちの泰時が……来た」っていうのを。
佐久間 あれか! 「俺たちの泰時」っていうことは、朝ドラの。
小 栗 そうですそうです。俺たちの菅波先生。なので、本当に健太郎くんの撮影初日に「俺たちの泰時」っていう。
坂 口 なんかやっぱ緊張もするし、その家族の輪にパッて入るんで、ど……大丈夫かなと思ってたんですけど、なんかそれでもう、ちょっとだけほっこりして、そのまま入れるというか。
佐久間 なるほどなるほど。
坂 口 そういうのはありましたね。
小 池 なんせ「成長著しい金剛」だから(笑)。急に大きくなって。
佐久間 そうですねー、あれは衝撃でしたよ!
小 栗 でもあれ意外と……前の話で、結構しっかりこう、金剛を僕が抱いて、お前は俺が育てるみたいなことを言った次の週に、突然……。
全 員 (爆笑)。
小 栗 金剛が坂口になって出て来ちゃうから、あれはなかなかびっくりするね。
坂 口 でもちょっと……あのテロップに助けられたなってところはあったりして。
佐久間 ご自分は? ちょっと育ちすぎじゃないかと思いながらやってたんですか?
坂 口 ちょっと……でかくなりすぎたなあと思ったんですけど、でもあれに助けられましたね。
佐久間 いやー、すばらしかったです。
杉 浦 このたくさんあるマスクをですね、内容を内訳にまとめますと、いちばん……。
(「キャスト名・役名」42枚・「心の声」35枚・「撮影関連」22枚・「時事」22枚・「対決」14枚・「 ? 」・「誕生日」8枚・「スタッフ」8枚・その他)
佐 藤 ハハハハ! 内訳にまとめたの!?
杉 浦 はい、まとめたんですスタッフが。
佐 藤 あぁそう(笑)。
杉 浦 いちばんネタにされていた……人が、いるんです。この方です、はい。
(モニターに大泉をネタにしたマスクの画像、「大泉不在」「鎌倉に帰ろうよ大泉」「全部大泉のせい」「ついに晴れました大泉」「大泉パンありがとう」「大泉さん天候悪いっすね」「雨もってくれませんかね大泉さん」「大泉ラス2」「ありがとう大泉 又、会う日まで」)


 N  マスクの登場回数最多は、物語前半を盛り上げたこの人でした。
スーパー
──全部大泉のせい 本人を直撃──
大泉 洋(以下大泉) いや光栄ですねー、うーん。でもこれ、やっぱあれなんでしょ。正確に大泉ってとこ、「大泉さん」じゃないんですよね? 「パンありがとう」の時ですら呼び捨てにしましたからね。
スーパー
──源 頼朝・大泉 洋──
大 泉 いやーやっぱり、燦(さん)然と輝く「全部大泉のせい」ね、うーん。
スーパー
──“全部大泉のせい”が生まれた石橋山(第5話)のシーン──
大 泉 「鎌倉殿の13人」っていうお話、やっぱりこう、つらいんですよね。物語がなかなか。そこでやっぱり人々は、その物語のつらさからなんとか逃れるために、大泉という。
(佐 藤 (スタジオから) ハッハッハッ。)
(小 池 (スタジオから) なに言ってんだよ。)
大 泉 この……どれだけぶつかっても、優しく包み込んでくれる。
(佐 藤 (スタジオから) やかましいわ。やかましいわ!)
大 泉 さ……最強の男を見つけたんですよね。
(杉 浦 (スタジオから) ハハハハッ。)
大 泉 大泉だったら「全部大泉のせいだ」って言っても、受け止めますから僕は。
(佐 藤 (スタジオから) いや泣いてんだろ?)
大 泉 全国民をこう、僕は抱きしめることが出来るんです。
(佐 藤 (スタジオから) ハッハッハッ。)
大 泉 そこで人々は「全部大泉のせい」だって言ったんでしょうね。これね、他の役者だったら受け止めきれませんよ。
(佐 藤 (スタジオから) これ……ちょっとどうかカットしてここで。)
大 泉 でも僕は大丈夫、倒れないから。
(佐久間 (スタジオから) ハッハッハッ。)
大泉 僕のせいにしていいよ。僕はそう思ってました。
(全 員 (スタジオから) (笑)。)
大 泉 頼朝さんが死んでからってものはやっぱ厳しいですよ、やっぱりね。「全部大泉のせい」だってやっぱりこう言えなくなったから。月曜日が重たいですよ。私もそうですもん。死んでからというものはね、大変楽しみに見てます。台本もいただけないし! もちろん完パケ(完全パッケージ=完成品)ももらえないのでね。いち視聴者と同じ気持ちで、日曜日の……8時を、待ってるんですよ。家族みんなで。もう終わった後、もうどよーんとするね。もう……終わった瞬間に、おおお……お前何してくれんだよこのドラマみたいな(苦笑)、なんかこう。
スーパー
──大泉洋 クランクアップの日──
 N  大泉さんのクランクアップは、このシーンの撮影でした。
──────────
餅をのどに詰まらせ、気を失う頼朝。
義 時 ええいっ!(と頼朝の背中を叩く)
(ポンっと何かがのどから飛び出る音。)
実 衣 五郎が作ったやつだわ。
──────────
大 泉 最後の私の、私のラストカット、あのシーンのラストカットって、私が吐いた餅の寄りなんですよね。「それじゃあチェックいたします!」「餅の寄りでしょ? これ。いやいいよ俺……」「いやいやあの、チェック! チェック! チェックするよ! チェックするよ!」とかってやたら言うんですよ。餅の寄りをなんで俺がチェックすんのよ? って思ってチェックしてたら、バーンと大河のあの主題歌かかって、そして私のVTRが。
──────────
(スタッフの「はい、ではちょっとチェックお願いします」の声)
(小 池 (スタジオから) おおっ。貴重!)
 N  その時の映像を、特別にお見せしちゃいます!
(「鎌倉殿の13人」テーマ音楽と、スタッフが用意した映像「鎌倉殿の撮切」)
大 泉 あーらーらー。(拍手) あららら!
 N  スタッフが用意した、頼朝名場面の動画。
政 子 (頼朝の背中に) 姫! 行ってらっしゃいませ。
頼 朝 (甲高い声で) はい!

頼 朝 政子どのと蹴鞠(しゅうきく)を。
義 時 (ばれないように小声で) 早く! さあさあ。
頼 朝 蹴鞠を……。(困惑)
──────────
大 泉 泣きたくなかったんですよねやっぱ。おじさんがもうクランクアップで泣くとかもう、気持ち悪いから嫌だと僕は思ってて。ところがね? 彌十郎さんだとかなんか、栄子ちゃんだとか、なんか小栗くんとかなんか泣いてんですよ。で結局泣いちゃった。しっかり感動しました。
──────────
(スタッフの「頼朝役大泉さん、オールアップ!」の掛け声と盛大な拍手)
大 泉 (深々と一礼) ありがとうございます。(小栗から花束を受け取り) いやー、ありがとうございます。(固い握手とハグ)
(何度もスタッフに頭を下げる)
スーパー
──野添義弘──
(野添義弘とハグ)
大 泉 なんで野添さんとハグして泣かなきゃいけない……(笑)。
(全員、爆笑)
大 泉 野添さんとハグして泣く必要はない……。
──────────
大 泉 なんかそのVTRが、たぶんサブ(副調整室)から正しくその時に出るかどうか(スタッフが)チェックしたんですね、(クランクアップの)シーン撮る前に。で私たちはメイク終わって、メイク室で小池栄子ちゃんがこうやって、メイク室にあるモニター見てたんですよ。そこに早とちりで出しちゃった。頼朝さんのVTR。栄子ちゃんがこうやって(腕組みして)見てて、「(大泉) えっ何見てんの?」「(小池) んー知らないけどなんか懐かしいVTRやってるよ!」とか。「(大泉) えっ? 何? それ今やってるテレビ?」「(小池) わかんなーい」とかやってて。で2人で「あ!」ってことになって(笑)。そしたらもうなんかメイクチームとかが飛んできて、「やめてください! やめてください!」とかって言って。「何も見てない! 何も見てない!」みたいな。大騒ぎするから、もう余計「ああ……ああ……これ……後で流れるやつやぁ……」みたいな。見れちゃった。気づいちゃったにも関わらず、餅の寄りチェックしてくれって言ったとき俺気づいてないの。なんで餅の寄り見なきゃいけねえんだよ! って思ってたら……だから結局成功してるんですよね。それで私が……なんか、あっ俺のVが出るって思ってないのね。うん。そこはやっぱかわいいとこだなって思いますけどね私はね。騙され上手! 騙されてここまで来ましたからね。
スーパー
──第23話 初公開! 誰も知らないウラ話──
 N  ここで大泉さんから驚きの情報が。まだ知られていない撮影秘話を教えてもらいました。
大 泉 あの日は……あの……僕が、頼朝さんがその、比奈のね、寝室に、まぁ……を訪ねるシーンですよね。
──────────
(比奈が滞在するお堂に向かって、物音を立てずに石段を上っていく頼朝。)
頼 朝 比奈、起きておるのかな?(と扉を開く)
(中には比奈が正座している)
(しかしその横には義時も座っている)
頼 朝 (驚いて)……!!
義 時 (呆れて) 本当に来られるとは。
(全 員 (スタジオから) (爆笑))
──────────
大 泉 NHKに行ったらあの……ね? みなさんがこう待機する場所に、いろんな写真貼ってあるじゃないですか。そん中に、頼朝なんだけど俺が演じたことのないシーンが貼られてたの。
スーパー
──スタジオの待機場所に貼られた写真──
大 泉 で何となく俺も、これ……どのシーンだろうと思ったわけ(笑)。
 N  このシーンが撮影された日。
スーパー
──この日 大泉は体調不良のため収録を欠席──
 N  大泉さんは体調不良で収録に来られなかったんです。では、この人はいったい?
大 泉 そのセットはその日しか建たないらしくて。どうしてもそこだけ撮るしかなくて、頼朝さんの代役を……小栗 旬くんがやった。
(全 員 (スタジオから) へえ~。)
大 泉 すごいですよね、彼。僕の歩き方を……ねぇ。あいつ、なんでそんな似てんの!? ってぐらい俺の歩き方が似てんだよね。あれ絶対、いまだに誰も気づいてないでしょ。俺見ても俺だと思うもんね。
──────────
(スタッフから「はいカット」の声)
(笑い声が上がる)
──────────
大 泉 小栗 旬の「鎌倉殿の13人」での隠れた名演ですよね。

大 泉 今日ってあれですか、こんなに僕のトーク、使ってもらえるんですか?
(全 員 (スタジオから) (爆笑))
大 泉 ブーブー文句言いそうな連中ばっかりだから。長えだなんだとか絶対言ってくると思うんだけど?


小 池 あー最高!
坂 東 いやー。
小 池 いやなんか……会いたくなっちゃうねー。
全 員 (笑)。
小 池 相変わらず、でもうるさいね。
小 栗 うるさい。長い。
全 員 (爆笑)。
小 栗 もう見ました? だってあの最初のなんか……。
小 池 マスクの?
小 栗 ねえ、マスクのくだりの。なーんかねぇ、すごい大物俳優みたいな感じの、なんかすごいすばらしい映画のメイキングみたいな語り口調でしたね。
小 池 俺だから受け止められたって。二朗さん。
佐 藤 いや本当だね。ほざいてたね。
全 員 (爆笑)。
佐 藤 大泉ほざいたなぁ……いま。
小 栗 ハハハハハ。
杉 浦 あの後ろ姿、頼朝の後ろ姿が、まさか小栗さんだったっていう。
小 池 あれ……研究したんでしょ?
小 栗 研究しました。で、あれ2パターン撮ってるんですけど。
佐久間 はい。
小 栗 それこそ本当に、その日、当日に、チーフ(演出)の吉田(照幸)さんから、あの……「小栗さん……やりませんか?」(笑)。
全 員 (爆笑)。
佐 藤 それ……吉田さんも吉田さんだな。主役に頼んだんだ。
小 栗 じゃちょっとやってみましょうかって。意外と僕ら背格好もそんなに変わらないので。
佐久間 なるほどなるほど。
小 栗 大泉さんってあの……(立ち上がり)、ちょっとこう……こう歩くんですよ。これが意外と頼朝さんをやってる時の大泉さんの特徴で。結構それをずっともう現場で、ああ大泉さん、右手からああやって歩くんだなーっていうのを見ていたので、「ちょっとやってみます」つって。
小 池 気づきました?
佐久間 いや全く気づかない。衝撃を受けました。
小 池 ねえ。
佐久間 だって……歩き方、まんま大泉さんでしたもんね。
佐 藤 そうそうそうそう。歩き方の特徴つかんでましたね。
小 栗 (笑)。
佐久間 つかんでますね。大泉さんが演じられた頼朝というのは、みなさんにとってどういう存在だったんですか?
小 池 いやいやもうもうもう、あの……かっこよかったですよ。やっぱ大泉さんが現場から去ってから、やっぱしばらくロスみたいな気持ちにはなりましたね、うーん。さみしかった。
佐 藤 あのー、主役の小栗でさ……も、その頼朝からいろいろ学ぶっていうような存在だったから、非常に頼りがいがありましたよ。ただね、僕覚えてるのはね、鎧がすっごい重くて。
佐久間 はい。
佐 藤 ふらふらになって、中村獅童から「パイプ椅子、あっ二朗さん座って」って気遣われるぐらい、あれだったんですけど、えっとスタッフさんが言うには、ここまで「重い重い重い、鎧重い」って文句を言ったのは、あの……大泉 洋さんと二朗さんの2人ですって。
全 員 (笑)。
小 池 言いそうだわあ(笑)。「痛い!」とかよく言いますもんね。
佐 藤 痛いとか。
小 池 旬くん言わないじゃん。
佐 藤 小栗とか菅田将暉は、あんま言わない。
小 池 言わない言わない。
佐 藤 大泉 洋とか俺とかはすぐ「痛い」とか「暑い」とか「寒い」とか、すぐ言っちゃうんだよ。
小 池 (笑)。
小 栗 僕が演じている小四郎義時にとっては、頼朝さんはやっぱり全てだったので、本当に彼に出会ったことによって人生が大きく変わってしまって、本当に義時としては、こうぽっかり穴が開いてしまったっていうか、そういう感じもありましたし、まぁ栄子ちゃんも言うように、現場も少しだけなんかこう……穴が開いたような感じがあって、こういうのを見るとまた喜ぶんで。
小 池 確かにね。
小 栗 あまり使ってほしくないなとは思います。
小 池 そうそう。やっといなくなるって言って私もアップの時うれしくて泣いたんだけどなぁ……。
全 員 (爆笑)。
杉 浦 まぁその頼朝も含めてなんですけど、ここまでたくさんの人が退場してきました「鎌倉殿の13人」。ぜひみなさんに振り返っていただこうと思います。
佐 藤 いやもう振り返ろうよ、本当に。
杉 浦 パネルを用意しました。(パネルが用意される)

坂 東 うわぁパネルがある……。
小 池 いっぱいいるんだねー。
小 栗 すごい!
小 池 そっか……千鶴丸から始まって。
佐久間 そうだー。
杉 浦 なんか一人ひとりに、たぶんみなさん思いがあると思うんですけど。
佐 藤 私ね、まぁこの、ここにいる彌十さん演じる時政と、小栗の義時……にね、まぁやられるわけですけど、僕自身もですね、本当に……迫ちん(迫田孝也さん)演じた蒲どの、それから新納(慎也)さん演じた……全成、には本当に申し訳ない。
佐久間 (爆笑)。確かに比企のせいのところも結構ありますもんね。
杉 浦 坂口さん印象に残ってる思い入れのある登場人物っていますか?
坂 口 やっぱ頼家……。
佐久間 そっかぁ、そうですよね。
坂 口 ですかね。僕は本当に竹馬の友としてこう……一緒にこう育ってきて、なんかその2人のもうちょっと見たかったなっていう気持ちもあったし、まあ僕はちょっと、頼家さまが最後、あの襲われるとき気絶しちゃったりして(笑)。
小 池 そうなんだよー。
坂 口 起きたらもう……。
佐久間 そうね。
坂 口 あんなにこう、まっ暴君じゃないですけど、そういうふうに言ってる頼家の、なんかその……板挟みの責任とかもなんか分かってあげたいなって気持ちではやってたんで。
杉 浦 ええ。
坂 口 うん、なんか……この頼家の死にざまというかは美しいなぁ……ある種美しいなっていうのを思いました。
佐久間 頼家の……にまつわるいろんなことで、あの頼朝と義時があったような関係が、その義時と泰時の間に生まれるじゃないですか。
小 栗 うん。
佐久間 現実の厳しさを伝えていくみたいなところ。それは……その演じられて小栗さんどうだったんですか。
小 栗 いや、本当になんか……あれ? ちょっとデジャブ……。
佐久間 (笑)。ですよね。
小 栗 かな? と思うような、自分が言われて反発していたことを、今度は泰時に自分が言っているっていうのは、すごく不思議な感覚でしたね。でそれをやっぱり、意外と義時は、全て頼朝さまから教えていただいたことですという言葉で、いつも必ずこう……点を打つんですけど、なんかズルいなあって思いつつも。
佐久間 愛憎半ばだったけど、ほぼ全て頼……なんか頼朝から受け継いだんだなってのはすごい伝わるんですね、泰時の関係で。
小 栗 あー。で、やっぱり泰時のリアクションを見てると、在りし日の自分を……。
佐久間 うんうん。
小 栗 思い出すんですよ。あれなんか同じようなこと言ってたな。
佐久間 そうそう。ね。
小 栗 はい。

スーパー
──In Memoriam ~在りし日を偲んで~──
千鶴丸・堤 信遠・北条宗時・江間次郎・大庭景親・平 清盛・義円・伊東祐親・伊東祐清・亀・上総広常・木曽義仲・源 義高・佐々木秀義・武田信義・安徳天皇・平 宗盛・源 行家・藤原秀衡・里・静御前・武蔵坊弁慶・源 義経・八重・後白河法皇・工藤祐経・岡崎義実・大姫・源 範頼・源 頼朝・千葉常胤・土肥実平・梶原景時・三浦義澄・安達盛長・阿野全成・比企能員・せつ・道・比企尼・比奈・仁田忠常・一幡・源 頼家・善児・九条兼実・足立遠元・畠山重忠・平賀朝雅・中原親能
スーパー
──辻 萬長 (1944~2021)──
(スタッフの「本番! よーい、はい!」の音)
(カチンコの音)
スーパー
──伊東祐親役を病気のため降板後 去年8月逝去されました──
伊東祐親 (見据えて) 悪いことは言わん。一日も早く頼朝とは縁を切れ……。
スーパー
──In Memoriam ~在りし日を偲んで~──


スーパー
──SNSで話題となった あの回──
杉 浦 「鎌倉殿の13人」は、あの……Twitterもかなり話題になっています。あの毎週の日曜の放送の度に、世界のトレンド1位に、ワードがなるんですけれど。
小 池 すごいね。
杉 浦 このTwitterでの盛り上がりを佐久間さん、どのようにご覧になってましたか。
佐久間 あの……まず鎌倉時代を、あの視聴者の皆さん、僕もですけど、そこまで詳しく知らないし、あやふやな部分もあるから、そう自由に描けるのもあって、ネタバレなしで皆さん楽しめてるっていう。大河としては珍しい形式になってるんだと。
杉 浦 特にこの死に際、死にざまみたいなところもTwitterは反応しますよね? この方の最期では、悲しむつぶやきがあふれたんです。


(小 池 (スタジオから) わぁー!)
佐藤浩市(以下浩市) こんばんは!
(坂 東 (スタジオから) ああー。)
浩 市 え……大河ドラマの中で、上総介をやらせていただきました、佐藤浩市です。
スーパー
──上総広常・佐藤 浩市──
(小 栗 (スタジオから) かっこいいなぁ!)
(小 池 (スタジオから) うわぁ……すごい。かっこいい~!)
──────────
 N  坂東最強の武士でありながら、不器用でチャーミングな一面も。その姿は多くの人を魅了しました。
広 常 武衛。
頼 朝 (自分を呼んだ? と思いつつ後ろを振り返る) ?
広 常 はっはっはっ。
──────────
聞き手 「上総介を偲ぶ会」というトレンドワードがですね、現時点で約3万件ほど……。
浩 市 (笑)。
聞き手 ツイートされているという。「自分でも驚く行動力だけどお墓参り……上総介の実際のお墓参りに行きました」という声だったりとか「すごくつらい気持ちになったので、100円をお墓に捧げてきました」という声だったり。
浩 市 ちょっとうかがって、まあびっくりしたなぁーっていうのもありましたけど、正直言ってそれほどこの歴史の中で日の当たるような、そういうふうな人物像ではなかった上総介……を、こういう形で知られるというのはね、また一つ面白みというか。えー、今回の三谷大河の、なんかひとつ……面白い、今までの大河にはなかったようなね。そういう、えー部分ではないのかなと思うし、うーん。ちょっとびっくりでしたけどね。時代劇の死の描き方としては、えー、ある種の妙な、フックのあるリアリズムというか、なんかそういった場面をみんなで作れた。で、それをいろんな意味で喪失感、悲しみ、絶望、いろんな意味合いのことを、見る側のお客さんたちが受け止めてくれたっていうことは、自分で思ったよりその反響も含めて驚きました。
 N  忘れられない上総介のこの姿(頼朝へ進言する「やることリスト」を床にはいつくばって熱心に書く)は、浩市さんのアイデアだったそうです。
浩 市 なんとなくイメージで、ちょうどね、演出家と話をしてて。あの棟方志功さんのイメージがあって。
スーパー
──板画家・棟方 志功 (1903~1975)──
(佐 藤 (スタジオから) あー。)
浩 市 棟方志功氏がこう……這いつくばりながら、こう……作り物を作ってる。なんかそんな形で、なんかこう一生懸命、字を書くのに熱中してしまって、なんかこう……そういうふうな絵面になるのもおもしろいんじゃないかというのを保坂(慶太=サード演出・第15回演出担当)さんと話して、ああそれでいきましょうっていうことになったのかな、あの時は。

浩 市 (小栗 旬へメッセージ) ご苦労さまです(笑)。本当……ね、そうあの時やっぱり、なんか……すごく義時、小栗が「あの15話のシーン、つらいっす」って言ってくれた中でね、あのシーンが撮れて、何かを受け止めながら、そして、次に進むためにそのステップを踏んでいくという、ある種その義時像というものをどんどんどんどん構築してった。してくれたと思うし、そして今があると思います。まだまだ先は長いかもしんないけど、がんばってください!


(上総介が劇中で書いていた手習いの紙の数々から)
小 池 (拍手) いやー、すごい!
全 員 (拍手)
杉 浦 小栗さんいかがですか?
小 栗 いやありがたいですね。とってもありがたいですし、本当にあそこは一つのターニングポイントだったと思うので、とても悔しかったシーンでしたね。うーん……ただまぁ、物語上どうしようもないんですけど、なんかこう……自分の無力さみたいなのをものすごく感じる瞬間でしたし、それでいてこう……頼朝に逆らえない自分の弱さみたいなものをものすごく痛感したシーンで。
佐 藤 あのさっきの浩市さんの話ですごい印象的だったのは、その……小栗が「いやもうつらいっす」って言ったって。だからまあ小栗とそういう話したこともあるんですけど、あの北条家の人はどんどんみんなを、みんながどんどん退場していく話じゃないですか。だ……どんどん送り出さなきゃいけないじゃないですか。だから僕の時も、まぁ殺すんだけど、「いや俺本当あの……比企のおっさん別に嫌いじゃなかったんだけどなぁ」とかって言うわけですよ(笑)。
全 員 (笑)。
佐 藤 そういうどんどんでも……史実に基づいてるので、まぁ殺めて闇落ちして、でも本当浩市さんさっきおっしゃるとおり、そういうのでどんどんどんどん小栗は、あの……義時をこう膨らまして作ってるんだろうなっていう気はしますけどね。
坂 東 その、つらいのも嫌いじゃなかったというのも、小四郎の気持ちなんですよね。それがすごくよく分かる。
佐久間 「鎌倉殿」って退場のドラマでもあるじゃないですか。
小 栗 そうですね。
佐久間 いろんな方が去り際のドラマというか。でそれを、特にその政子と、あの義時は、送り出すじゃないですか。
小 池 はい。
佐久間 そのシーンを、小栗さんとかどうやって作ろう! っていう気持ちで向かってますか、毎回。
小 栗 あーでも、実際三谷さんが書かれた脚本が……やっぱりものすごくしっかり書かれていて、でまぁ、毎回いつも読むとみんなすごいかっこいい退場の仕方するなぁ……。
佐久間 (笑)。
小 栗 と思うんですけど、まぁそれ……を結局脚本読んだときに感じた自分が、どうその人の散り際……にあの、立っていられるのかっていうことを、いつも第一に考えて。ま、実際にそれで、それが結局僕の栄養になって、次の義時のステップになっていくので。
佐久間 なるほどなるほど。
小 池 なんかねぇ。しゃべるよね。なんか去っていく人はかっこいいし、残された方はきついねって話をしてて。
杉 浦 あー。
佐久間 確かに。
小 池 あまりにもみんないい時に惜しまれつつ去られるから。
杉 浦 ええ。
小 池 なんかズ……ズルいなと思って(笑)。
杉 浦 まだ残ってるーみたいな。
小 池 うーん。
佐久間 そうですね。
小 栗 早くできれば退場したいですよ。
全 員 (爆笑)。
佐久間 退場したら終わっちゃうじゃない!
杉 浦 最終回になっちゃう(笑)。
小 池 なんか……惜しまれつつ。いいっすよね? ずーっと語り継がれてみんなの印象に残って。
佐久間 本当に「鎌倉殿」は去……人の散り際がかっこいいですね。
小 池 うーん。
佐久間 素晴らしいと思います。全部印象に残るというか。
佐 藤 (頷く)
杉 浦 この方も大きなインパクトを残しました。メッセージいただいています。


(小 池 (スタジオから) おおー……義経!)
菅田将暉(以下菅田) 鮮烈な歴戦の数々と、あの……うーん、歌舞伎含めいろんな物語にもなってたりする。短期間でなんか……超有名になったロックスターみたいな、若くして亡くなってしまうっていう、なんかそういう……生き急ぎ感というかね。
スーパー
──源 義経・菅田 将暉──
菅 田 (義経を演じて見て) 気持ちよかったですね、やっぱり、うん。その天才軍略家みたいな、三谷さんの紹介がやっぱあったから楽しみでしたし、何でそんな奇天烈な行動をとれるのかみたいなところって、やっぱ理由付けが難しいんですよ。「なぜなら彼は天才だから」で終わってしまうと面白くないし、演じてても多分こう中身がなくなっちゃうから、どうしよっかな? というのが、多分僕に任された、多分仕事だなとも思ったんですけど。でもやっていくと、なんかやっぱり、もうそうせざるを得ない状況だったり、このままだと負けてしまうとか。でガラもちっちゃいし、真っ向から行くと、この大柄な男には勝てないみたいな、多分そういう中で考えるしかなかったんでしょうね、ずーっと。うーん。
スーパー
──小池栄子の膝枕の感想──
 N  義経が政子に膝枕させるシーン。
(小 池 (スタジオから) おー。)
 N  その時の感想を聞いてみました。
菅 田 温かかったですよ(照)。温かかったですけど……。
(佐 藤 (スタジオから) (苦笑) どういう感想だ?)
菅 田 意外と所作が厳しくて。一番稽古しましたよね膝枕。あんな厳しいとは思わなかった。うーん。あんな怒られるとは思わなかった。
(全 員 (スタジオから) (爆笑)。)
菅 田 おじさん助監督で何回も練習して(照)、やりました。
(稽古場で助監督の膝を借りて練習をする菅田の画像)

(小 池 (スタジオから) 本当だ!(笑)。)
菅 田 だから正直小池さんよりもおじさん助監督の膝のほうが僕は覚えてるかな。今思い返すと、そうですね。
(小 池 (スタジオから) この顔!(笑)。)
菅 田 あんまり小池さんの温かさを……そうですね、覚えれてないですね、はい。……残念。
──────────
スーパー
──クランクアップ後 静の舞のシーンを見学に訪れた義経──
 N  実は菅田さん、クランクアップした後でしたが、静御前の舞の撮影を見に来たそうです。
静御前 しーづーのーおーだーまーき、くーりーかーえーしー
──────────
菅 田 いやあ素敵でした。見れてよかったです。なんか……ね、撮影時期のいろんな関係上見れなかったし、ま、そもそもね、義経は見てないシーンだから。なんかお互い、もうちょっとこう……何かを注入できないかなみたいな状態でもあったんで、見に行かせてもらいましたね。だから義経的にも見たいし、ふつうにいち役者としても、やっぱ石橋静河(しずか)さんの舞は見たいなっていうのもあって。
──────────
石橋静河 (広い稽古ルームでひとりで稽古中) しーづーのーおーだーまーき……
──────────
菅 田 いややっぱり……ぐっときましたね。うん。その本当 覚悟決めて「妻なんで」って言ってくれるシーンなので、うーん。すんごいかっこよかったですね。
──────────
スーパー
──鎌倉殿の13人 現場の雰囲気について──
義 経 私が戦のやり方を変える!
景 時 物の道理の分からぬ御方じゃ!
 N  撮影現場についても、菅田さんに振り返ってもらいました。
──────────
菅 田 なんかみんな楽しそうで、うん。やっぱあんだけの……ね、歴戦の猛者がいる中、何か変にこうまとまるだけじゃなく、なんかおのおの自由なんだけど、なんか一つの作品にこう向かっていく。なんか本当、気持ちのいい場所でしたね。おかげさまで。

菅 田 ただあの、台本ができたあたりから、ずっと小栗さんが「いいなぁ、いいなぁ」つって。「義経最期かっこいいなぁ」って会うたんびに言ってくるんですよ。あれやめた方がいいと思うだよなぁ。やりにくいからこっちは(笑)。アハハハハ! この後俺、それかっこいいのやんなきゃいけないんだから、あんま言わないでくださいよっていう。すごい言われたんすよね……。まぁだから、僕にとっての一番のプレッシャーは小栗さんでしたね。ハハハハ。でも最後のシーンの後は、そこにまた大泉さんも加わって、「ズルかったなぁ、ズルかったなぁ」って……こう言われましたね。誉め言葉として。


スーパー
──共演者から見た菅田将暉──
杉 浦 メッセージいただきました。であの、実は「鎌倉殿」の助監督から、菅田さんがスタジオ収録にいらっしゃっていた時に、小栗さんが密かにスキップをしていたという情報が入りました。
小 栗 はっはっはっ。
佐久間 菅田さん演じる義経と絡むのが楽しみだったってことなんですか?
小 栗 そうですね。でも本当に楽しかったです、はい。菅田くんとお芝居何度かさせていただいてるんですけど、やっぱいっつも全然違うアプローチをしてくる人なので、本当にワクワクするっていうか。で義時、小四郎としてもものすごく好きだったんですよ、義経ってやっぱり。
佐久間 うんうんうん。
小 栗 なんか、自分では発想できないこと、自分ではできない行動力とか、そういう全部、あの……義時としてはあこがれる要素を全部、九郎義経っていうのは持っていて、ある意味こう嫉妬もありながら、だけど会うのがすごく楽しみだった人っていう、うん。
佐久間 で、意外だし、でも三谷さんが書かれた後だと、そうとしかちょっと考えられないっていう感じもありますよね。
小 池 いや確かに。
佐久間 今となっては義経って。
小 池 こういう人だったんだろうなぁって。
佐久間 こういう人だったんだろう……あの、歴史上の戦いを行える人間なんで、こういう人だったんじゃないかなって思ってしまいますよね。それがすごいと思いました、やっぱり。
小 池 私も、わずかだけどやっぱり、菅田さん演じる義経と会うのってやっぱワクワクしましたね。なんかこんなに素直に、自分を母のように慕ってくれるんだっていうのが、かわいいー! と思って演じてました。
佐 藤 やっぱ大河って、一つ特徴的なのは、あの俳優共演陣が、年齢の幅がすごく、老若男女があるってこともあるけど、あとなんていうの? 出自。あの小劇場だったり映画畑だったり、歌舞伎の方だったり、お笑いの方だったりミュージカルの方だったりっていう人たちが、もうみんなで一つのところに向かって一緒にセッションできるっていうね。これは菅田将暉も、さっき「すごくそれが楽しかった」ってVで言ってましたけど、これやっぱ楽しいってね、改めて今回思いました。
佐久間 特に坂東武者が集まってるところの、みなさんの出身が違う……けど。
佐 藤 そうそうそう。
佐久間 それが荒々しさを生んでますよね。
佐 藤 なるほどね!
佐久間 その坂東武者の、気が合わないっていうガッチガチというか、でも目標のためには行くってのが、役者の皆さんが全員、出身とかキャラクターが違うけど、この「鎌倉殿」を良くするんだって言ってるのと空気と、似てますちょっと。
佐 藤 なるほど! なるほどなるほどね! それを今初めて……なるほどね!
杉 浦 さあドラマはいよいよ最終クールに突入します。佐久間さんが三谷さんに見どころを聞いてきてくださったんですよね。
佐久間 はい。
小 池 おっ。


スーパー
──三谷幸喜が明かす ここからの見どころ──
佐久間 後半戦なんですけど。ここから放送される。その中で、三谷さんが「ここを見てほしい」もしくは「ここを書いてて楽しかった」みたいなところは。
三 谷 僕は……いろいろ無理難題に立ち向かっていくのが好き……好きなタイプなんですね。
佐久間 はい。
三 谷 今回ね、コロナで……あの急に俳優さんが出られなくなる。
佐久間 なるほど。
三 谷 あるわけです。
佐久間 まあそうですよね。
三 谷 そのために書き直さなきゃいけなくて。
佐久間 はい。
三 谷 それが、なんでこの人ここにいないんだろう? みたいなふうに視聴者の方に思われたくないから、そのいない理由はちゃんと作んなきゃいけないみたいな。
佐久間 はい。
三 谷 だから見てる人はまったく気がつかないと思うけど、あの……本当はここにあの人いたんだよみたいな。この時期、コロナだったんだよみたいな。これはあんま言えない。
佐久間 (手を横に振り) 聞きたいのは……そういうことじゃなくて(笑)、あの……みどころというか。これからあるじゃないですか、承久の乱とか!
三 谷 そっち?
佐久間 そっちです!
三 谷 そっちかあ……。
(小 池 (スタジオから) そっちね! じゃないよ(笑)。)
三 谷 北条政子の、えー……キャラクターが、今まで、まぁここに至るまで、あれだけ悪女悪女いろんなとこでっていうか、歴史上で言われてたんだけども、僕はどうしても悪女に見えないんですよ。
佐久間 はい。
三 谷 その都度その都度彼女は必死だったし、そうでなければいけない。母として妻として、その選択をしていっただけであって、それがまぁ結果的に悪女の烙印(らくいん)を押されてしまったのかもしれないけども、全然彼女の中には、その悪とかね、そういうふうな、こう……色が、僕には見えなかったんですよね。じゃあいつ北条政子は、みんなの知ってるあの悪女になるのかっていうとこですよね。……なんないんです。
佐久間 なんないまま、でも歴史上はあの悪女のように見える……。
三 谷 そうそうそう。
佐久間 ところにたどり着くってことですか?
三 谷 それ……をやってみたかったんですよね。

三 谷 唯一の希望というか、唯一の救いは、やっぱり泰時なんですよね。
佐久間 はい。
三 谷 で彼が、その……最後に、全ての登場人物の夢をかなえるみたいな感じの存在になっていくので、その……でまた坂口さんがなんかすごくこう……汚(けが)れのない感じでね。なんかすごくその泰時の……ピュアな部分であるとか、希望みたいなものをすごく一心に背負ってる感じがとてもよくて。彼がいるからほんのちょっとですけども、最終回になんかこう、幸せな気分にみんながなれる。なんかそんな存在ですね。あとだから、あれですね。あの見どころでいうと、これはすごく悩んだんですけど、その義時の人生を描くにあたって、最期彼はどこに到達するんだろうか? それは物語として最後何を描くんだろうか、と同じことなんですけども。
佐久間 はい。
三 谷 僕が思った以上に義時は、結果ダークになっていくんですよね。いろんな人の死に関わってきた彼が、最期幸せに亡くなっていいんだろうかっていうのをすごく……あって。
佐久間 はい。
三 谷 で、やっぱ彼なりの最期っていうものを、きちんと描くべきじゃないかっていう感じがしての最終回ですね。
佐久間 はい。
三 谷 だから、あんまりない、大河ドラマではない主人公のラストシーンになる……なった気がしますね。ちょっと……僕なりにドキドキしましたね。
佐久間 ほー。
三 谷 あ、こういう終わり方なんだ。でもこの終わり方しかないんだなっていう。これ書いてて一番うれしかったのは、最終回が決定稿が出来てそれが本になって、でみんなに配られたあとに、えー……小栗さんと小池さんからメールが来たんですよ。で、2人ともほぼ同じ内容で。
佐久間 はい。
三 谷 「最終回、すごいです」っていう短いメッセージがほぼ同時に来たんですよ。
佐久間 えっ。
三 谷 一緒に暮らしてるのかなって。
(全 員 (スタジオから) (笑)。)
(小 池 ええええええ。)
佐久間 ……ぐらいのタイミングで? はい。
三 谷 それはやっぱりうれしかったですね。なんかその言葉が欲しくて書いてたみたいな。1年間……2年以上か。書いてたという思いもあるぐらいだし、やっぱ役者さんたちが喜んでくれてるということは、すごくやりがいのある本を僕は書いたんだな、彼らは今、なんかそれを読んで、なんか武者震いしてる感じなのかなとかって思って、その瞬間が、やっぱ僕は幸せな感じがしましたね。
佐久間 そしてここからは、その受け取ってくれた役者さんと、演出陣のみなさんが作る最終回を見るんですもんね。
三 谷 (スタッフを見渡し) ホントお願いしますよ!!
全 員 (爆笑)。
三 谷 (カメラを見つけて) お願いします、もう。小栗 旬、頼むよ!
全 員 (笑)。
三 谷 ものすごく僕、期待をしているんで!


スーパー
──キャストを震わせた衝撃のラストへ──
杉 浦 いやー、プレッシャーかけられてました。
小 栗 まずいっすねー(笑)。
佐久間 三谷さんおっしゃってたんですよ。あの……本を書いたのを、あの……演出陣のみなさんと役者のみなさんで超えてくれるのが何回もあったと。だから、渾身の最終回を書いたから、もうそれを託すっていうお気持ちだと思います。三谷さんのインタビューの後、プロデューサーの方が「そうなんですよ、撮るんですよね……」って言いながら「そう何度も撮れる芝居じゃないからなぁ……」とかってポロッとつぶやいて……らっしゃったのを、僕耳に残ってます。
小 池 なんか……でも、でも、そうか。あんましゃべっちゃうと、これラストがどういうシーンか分かっちゃうもんね。ただ最終話は、読みながら自分も、どういう感情になるんだろう? とか、どういう芝居になるんだろう? というのは、「予想つかないです」ってチーフの吉田監督に言ったら、「僕もです」って。
全 員 (笑)。
佐久間 なるほど。
小 池 武者震いしたもんねー。
小 栗 うん。
佐久間 そうですか。
小 池 あたし三谷さんと、あともちろん旬くんにもメールして、ちょっともう本当あ……口があんぐりしちゃって。自分、想像だにしてなくて。
坂 東 へえー。(クランクアップ後 台本をもらっていない)
小 池 そしてこれを、そこの最終話に携われているんだっていうことで、もう役者冥利(みょうり)に尽きるといいますか。「やっば!」とも思ったけど(笑)。
小 栗 よくぞ、こういう終わりを書いてくれたなぁと思って、全然自分が思ってたイメージとは違う……。
佐久間 なるほど。
小 栗 はい、ラストシーンだったんで。なんかうーん……すごく幸せでしたし、結果、やべえな。
佐久間 (笑)。
小 栗 これやるのか……っていう。
佐久間 これからやるんだなということですね。はい。
小 栗 だから本当に……。
小 池 震えるよね。
小 栗 ここまで48話、もしもお客さんがとっても喜んでくれる作品作ってきたのに、あのラストシーンで台なしにするわけにはいかないっていう感じがあるので。
佐 藤 無茶苦茶楽しみだなぁ!
坂 東 ね!
杉 浦 ですよね!
佐 藤 無茶苦茶楽しみですよ!
佐久間 ですよね!
坂 東 二朗さんと僕は絶対楽しみですよね。
佐 藤 そうですよ、僕らあのほら、亡くなったらその後の台本はいただけないんで。
佐久間 そっかそっか!
杉 浦 はいはい。
佐 藤 だからもう……。
坂 東 今の話聞いただけで……。
佐 藤 だって相当だと思うよ、この二人がそこまで武者震い、あとすごいと思ってやべぇなって思った? いやぁこれ楽しみですね!
坂 東 僕は毎週見てますけどね。
小 栗 でも二朗さん見てない?
佐 藤 (頷く)
小 栗 二朗さん多分見ないもん(笑)。
小 池 見ないんでしょ?
佐 藤 見る見る。なに言ってんだ、全然見る。もちろん見るよ。なに言ってんだ(笑)。
佐久間 や……泰時は三谷さんが、泰時が唯一の希望になっていく、とおっしゃったじゃないですか。
坂 口 どう……ですかねー。希望になれたらいいなとも思うし、それこそ三谷さんがその今の……今のところのこの泰時が、こうピュアにやってくれてるっていうのはすごくありがたい言葉だなと思いつつ、それこそ最終回、いろんなことがあって、まぁ僕はその後も……その後もというか、こう……。
佐久間 まぁそう、行きますからね。
坂 口 先が……未来を何となく予想させる人でもあるし。
佐久間 はい。
坂 口 やっぱりラストシーンはちょっと、うわっすごいなこれっていうのは……。
全 員 (笑)。
佐 藤 ちょっと何それ!? ちょっと教えてよ……本当?
坂 口 本当に思ったんですよね。小栗さんにも何度もお話ししましたけど。あぁす……なんかこう……こうですよね、こうですよねっていうのがなかなか形容しがたいというか。
佐 藤 あらゆる……想像を超え……なんか……とは違うってことだよね。
小 池 多分そう。うん。
佐 藤 みなさんのお話を聞いてると。
杉 浦 うわー。
佐久間 そのラストシーンの前になって、その……承久の乱とか。
小 池 はい。
佐久間 あの……まぁ雪のね、その今日撮られたって件、事件とかあるわけじゃないですか。
小 栗 はい。
佐久間 それが後半戦待ってた上での、その、ま、読んだ……あの、主役の二人が。読んで震えたっていうシーンが待ってるってことですよね。それはすごいですね、二朗さんね。
佐 藤 これでも今回のこの番宣の番組は、100点満点だね!
全 員 (爆笑)。
佐 藤 だって見なきゃいかん気になるもん。俺も思ったもん今、絶対見なきゃって。
佐久間 そうですよね! これは見たい。
佐 藤 すごいわ。術中にハマってるわ。
杉 浦 そうですよ! そこまで溜まってるのを見てもらって。
佐 藤 もちろんもちろん。
杉 浦 見てもらって……。
佐 藤 溜まってるのを子ども息子と見て。で最終回のラストを、息子に「いいか」と。「ヤバい……ヤバいよ」と。お父さん詳しくは知らないけど(笑)。
全 員 (爆笑)。
佐久間 この番宣番組の情報しかないですもんね、二朗さんね。
佐 藤 そうそう(笑)。そうだよ。
小 栗 分厚い……番組ですね。出てくるゲストの方たちもね。
佐 藤 なあ?
小 栗 ひっくるめてね。
佐久間 そうですね、俺もね、撮り終わる今思ってますよ。俺がMCでいいのか!?
全 員 (爆笑)。
杉 浦 いいんですよ! ファン代表として。
佐久間 この時点で思ってますけど。すごい分厚い番組でしたね、今日ね。
杉 浦 ということでまぁ、最後になりますけれど、小栗さんあの、この「鎌倉殿」のファンの視聴者のみなさんに、メッセージをお願いします。
小 栗 まぁそうですね、でもあの……とにかく今日のこれを見ていただけたら、あの……この先も楽しんでいただけるのかなと思いますが、えー最後まで、えー僕たちみんなで、この「鎌倉殿」を、えーみなさんに、ワクワクドキドキしてもらえる作品として届けて行こうと思っていますので、まだ残り少しありますが、僕たちも気合を入れて、まだまだ役を生きていこうと思いますので、最後まで見届けていただけたらと思います。
佐 藤 これ……あれですね、今日みなさんと一緒にこの番宣いろいろVTR見てて、ごめんなさい本当、違う役でいいからもう一回出してくんねぇかな?
全 員 (爆笑)。
杉 浦 復活?
佐 藤 全然違う役でいいから。出たくなるよ。ここまでね、武者震いとか聞いたら。
杉 浦 そんな……仁義なき戦いみたいな、別の役にっていう(笑)。
佐 藤 なん……か違う、比企じゃなくていいです。なんか……農民とか、そういうの。
坂 東 2人で。はっはっはっ。
佐久間 2人で(笑)。いやいやいやいや。
杉 浦 みなさん今日はお忙しい中、ありがとうございました。
全 員 ありがとうございました!(手を振る)
佐 藤 これいい番宣だなぁ本当に。


<出演>
小栗  旬
小池 栄子
坂口 健太郎
坂東 彌十郎
佐藤 二朗
─────
佐久間 宣行
杉浦 友紀
─────
大泉 洋
菅田 将暉
佐藤 浩市
三谷 幸喜
─────
<制作統括> 清水 拓哉・長谷 知記
<プロデューサー> 早川 淳
<技術> 武田 篤史
<美術> 平田 彩
<音響効果> 岩尾 亮太
<撮影> 村田 旭
<照明> 高橋 温志
<音声> 伊藤 寿
<映像技術> 小川 正一郎
<編集> 小野 貴之
<ディレクター> 新井 絵梨花
<制作・著作> NHK

 


今回この特別編のMCを務められた佐久間宣行さんが、自身がパーソナリティを務める『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』で、特別編の裏話について語っておられましたので、こちらもご紹介します。題して!
『鎌倉殿の13人』裏話トークスペシャルの裏話!

 

(2022年9月28日放送より)

 えーっとね、それで、あの今日話したかったのは、1ヶ月前ぐらいのことなんすけど、1ヶ月前ぐらいに、急にその……NHKの知ってるプロデューサーから連絡が来て、「ちょっと知り合いのNHKのプロデューサーが連絡取りたいらしいんで、番号教えてもいいですか?」ってきて「あぁいいですよ」って言って、それで電話がかかってきたの。そしたら……その初めての方からね。で「NHKのホニャララです」って。「佐久間さんちょっとお仕事をお願いしたいんすけど。で連絡先を聞きました。あの『鎌倉殿の13人』の関連トーク番組みたいな、それでちょっとご出演願いたいんですけど」っていう電話をもらった時が、ちょうど収録と収録の合間で、バタバタしてたのもあったのと、その……本当に短い時間しか話せなかったから「あぁはいはい、あぁはい。全然もう喜んで」って言って電話を切ったのよ。でその時に「詳細はメールで送りまーす」って言われて「はい分かりました」って言って電話を切って。

 俺なんでそんなに軽く返事したかっていうと、その……ちょうどその週に『NHKぷらぷらす』っていう、NHKの見逃し配信の番組を紹介する番組を、10分番組出たのね。アンガールズの田中と。それって夜22時ぐらい、夜10時ぐらいに10分で。なんか「面白かった番組紹介してください」って言われて、俺は星野 源さんがやってた『おげんさんのサブスク堂』と、あの……爆笑問題の太田さんと奥さんが旅行に行った、番組……を取り上げたのよ。それNHKの番組紹介ばっかりだったから、俺その電話だけだったら、またそれだと思ったの。「10分番組ぐらいの、その……もう紹介で『鎌倉殿』を紹介すればいいのね。OK、OK」って。「俺、だって生粋のというか、もう三谷幸喜ファンだから、そんな『鎌倉殿』全話見てるし、ラジオでも言ってるぐらいだから、そんなのもう全然大丈夫。10分ぐらいの紹介だったら」って。この時点で俺がイメージしたの、お昼か深夜か、その元々やっていた10時台の10分番組ぐらいの番宣番組で、『鎌倉殿』ファンが集まって魅力を語る。そこに俺は出るか、アンケートで出るか……ぐらいのつもりでいたの。

 で「メールで詳細を送ります」って言われてから、俺、その自分の事務所のメアドを送んのを忘れてて。あの……ただの電話だったから、それで「ああ、ヤベェヤベェ」って思ってショートメールで送ったのがその日の夜かなんかだったから、そこから2日ぐらい、気づかなかったのよ。メールが来てたことに。で、Gmailってさ、Gmailとかさ、迷惑メールフィルターすごくない? その知らないメール、結構迷惑メールに入ってることってあるじゃん? だから定期的に見なきゃいけないんだけど。そしたらやっぱり案の定、そのNHKの方のメールも迷惑メールに入ってて、俺、2日ぐらい見過ごしてて。すぐ送ってくれてたんだけど。

 で開けたの。開けたらこう書いてあったの。「先ほどはお電話での対応ありがとうございました。あの個人事務所なのでそうかなとは思ったんですけど、いきなり佐久間さんが出たからちょっとテンパっちゃって、ちゃんと説明できませんでした」みたいな。これよくあるんだけど、俺も即、自分で出ちゃうから「マネージャーいる」って勘違いしてる人はびっくりするの。でそれがあって。「企画概要を添付にしてお送りしたんで、お目通しください」ってあって。それで添付ファイル開いたの。そしたら概要に、その……「『鎌倉殿の13人』大感謝祭トークスペシャル(仮)と題して、出演者と共にこれまでのドラマを振り返るトーク番組を制作し、番組ファンと盛り上がります。スタジオトークゲスト/小栗 旬、小池栄子、坂口健太郎、佐藤二朗、坂東彌十郎」って書いてあって。1回閉じて、あれ? と思って。「ちょっと違うな? 俺の想像と」と思って(笑)。「待て待て待て」と思って。『大感謝祭トークスペシャル』、これはいいよ。次の行ね。「スタジオトークゲスト」っていうところに小栗 旬、小池栄子、坂口健太郎、佐藤二朗、坂東彌十郎って書いてあって。「えっタレントは?」って思って(爆笑)。ファンのタレント、ファンのタレントは? っていう、うん。俺の中のMAXの想定が東野幸治だったのよ(爆笑)。なんだったら東野幸治さんと俺でしゃべるのかな? って思ったらいないのよ。「スーパーキャストじゃん!」と思って。あの「スーパーキャストってか……ご本人じゃん!」って思って。

 で、そこになんかVTR出演みたいなのでも、VTRとか出てくる人みたいなところにも「予定」って書いてあって、大泉 洋とか、菅田将暉とかって書いてあって、で佐藤浩市とか書いてあって。「これはVTRゲスト……えっ、ちょ待って。フルメンバーじゃん!」と思って。「えっ……ファンは!?」と思って(笑)。ファン大集結スペシャルじゃないの! 俺が聞いたのはファン大集結スペシャルっていうんだけど……ファン、俺だけじゃん! っていう(爆笑)。で、ただ、俺はこの時点ではまだ、スポット参戦だと思ってるんだよ。出演者のトークスペシャルに、ファン代表の俺がプレゼンしに行くぐらい。「うわっ、プレッシャー重いなぁ」ぐらいの感じでいって。それでそのまま、最後に「お願い」っていうのが書いてあるわけね。番組概要があって、最後にそのお願いっていうの見たら「佐久間様が『鎌倉殿の13人』をご覧になっているとお聞きしました」。これはその通りその通り。「ですので」って。「司会者をお願いできたらと思います」って書いてあって。「ですので」の使い方が一番間違ってると思うんだけど、「司会者をお願いできたらと考えております」って書いてあって。「司会者ってMCだよな?」と思って。「マスター・オブ・セレモニーのMCだよな?」って思って。「ほう……」って俺、声に出して言ったからね(笑)。「ほう……」って、それを開けたその新橋の喫茶店で(笑)。

 で「つきましては、打ち合わせを」っていうので、そのメールには打ち合わせを「このぐらいにやりたいです」って言われて、その打ち合わせ返して、打ち合わせが結局、台本できてから打ち合わせって言われたから、結局そのメールをいただいたのは8月の中旬、下旬ぐらいだったけど、「打ち合わせが9月の上旬、収録は9月の中旬です」って言われて、ひと月ぐらいあったから、その……ま、その現実感がないままフワフワ現……なって、本当かなぁぐらいの感じで、そのペラだけだし。なんだったらドッキリかなって思うぐらいの感じだから。

 

 なにせ俺、本当に三谷幸喜好きだから。と思ってて、現実味もないまま打ち合わせの日取りでいろいろ聞こうかなと思ってたら、打ち合わせの前日ぐらいに、その収録まで1週間、10日ぐらいの時にまたメールが来て。NHKのそのプロデューサーの方から。その……それをテレ東の控え室から開い……収録の前室で開いたら、えー「緊急のお願いです」と。緊急のお願い!? 「今回の特番で佐久間さんにご出演していただけることを三谷幸喜さんに伝えたところ、三谷さんが『対談したい』とおっしゃっています。急で申し訳ありませんが、今週の土日あたり、どこか空いてる時間で三谷さんと合わせて、三谷さんと佐久間さんが対談して、三谷さんの創作術について聞き出す対談、それをスタジオのVTRにして、出演者のみなさんで見たいです」って書いてあったの。それ……林 修じゃん? と思って(爆笑)。『初耳学』でやってることじゃん? その……対談した上でその自分のVTRを見るっていう、あの意味がわかんないシステムね(笑)。自分の対談のVTR見るシステム。「えっ、それやんの? しかも三谷幸喜と!?」と思って、度肝抜かれて。

これね、「三谷さんが『対談したい』って言ってる」っていうのも大事件なんだけど、俺ね、上京した理由なのよ三谷幸喜さんって。中学で『やっぱり猫が好き』っていうあのコメディを見て衝撃を受けて、その後『子供、ほしいね』っていうのを見て、めちゃくちゃ面白くて。そっから追っかけるようになって……ま、結構そういう人は多いと思うけど、で高校のころ「東京サンシャインボーイズっていう劇団がえらく面白いらしい」って聞いてて。で、友だちの友だちから、そのVHSテープをもらって見たことがあったけど、まぁめちゃくちゃ面白かったのよ。『ショウ・マスト・ゴー・オン』かな? それで見たい! って思ったけど見れないわけ。東京にあるから。で、俺は筑波とか国立の、東京じゃないとこ受けようと思ったんだけど、それが我慢できなくて親に頭を下げて「東京の私立に行かせてくれ」って言って上京してきたから、上京の理由が「三谷さんの芝居を見たいから」で、結局サンシャインボーイズには間に合わなかったけど、三谷さんが、その……また今後も作るだろうからと思って、その……サンシャインボーイズの後の芝居は、ほぼ見ているのよ、学生時代から。

 ……っていう、その進学の理由みたいな人に創作術を聞くって言われて。で、「マジかよ?」って思って、翌日NHKのスタッフと、まぁリモートで打ち合わせしたから「大変なことになりましたね」ってNHKの人とか言って。「三谷さんから言い出してるから、我々も、あのあれですけども。でですね、ここは佐久間さん、三谷さんファンって聞いたんで、質問も任せます」って言われて。「質問を任せます」って言われて(爆笑)。「『鎌倉殿』を見て、聞きたいことを三谷さんに聞いてください!」と言われて。いやそこはもう、お互い駆け引きなのよ。「そっちではないんですか?」っつって。「もう任せます!」って言われたから。「我々も聞いてほしいこと1個ぐらいは用意しますけど、基本任せます」って言われて。「演出そっちですよね?」つって(爆笑)。「俺、演出家じゃないですよね?」っていう(笑)。うーんと思ったんだけど、まぁ、「我々、バラエティは門外漢ですから」って言われて。で、結局ドラマのプロデューサーのみなさんなのよ。で、トークスペシャルなんでって。で「わかりました」って言って。

 で、そん時にちゃんと確認したんだけど、俺、22時の番組だと思ってたんだけど、日曜8時だったんだよ。『鎌倉殿』の週を1週休んで、そこでやる日曜8時ゴールデンバラエティだったの。俺、そん時まで誤解してて、別枠でやるんだって。だから大河ファンが全員見るのよ。だから『鎌倉殿』の今週放送分で、(バラエティは)来週放送なんだけど、今週放送分までの前半戦から中盤戦、めちゃくちゃ盛り上がって、Twitter世界トレンド1位とかになるやつを1週休止して、俺MCのバラエティをやるんだぜ?(笑) その現実を知って震えたわけ。怖っ! って思ったのと、あとさ、まぁ日本で一番見られてるドラマのひとつなわけじゃん? もう大河って。だから1個でも事実を間違えたりしたり、あと、その三谷さんとの対談で大したことを聞けなかったら、もう俺の勝手なね、昔の自分に申し訳が立たないのもひとつあるけど、何より、何千万人いる大河ファンに(爆笑)、焼き討ちにあうんじゃないかっていうこの怖さ? 「ドラマ休んで知らねぇおじさんが何やってんだよ!」ってなるじゃん? これは。だってさ、大河を見てる人たちの中で、そのメイン……今発表したメインキャストは、全員知ってるわけじゃん? 俺だけだよ? 知らない人は(笑)。で、その知らないおじさんがMCやるっていうイカれた采配を、「あれ? こいつ何役だったっけ?」って(爆笑)。「ちょっと待って? うーん、はい坂東彌十郎さんは時……はーいうん、義時、うーん。ええと……えっお前何役?」っていう(笑)。「13人にいた?」っていう人だから、それがこれ大変なことなのよ。

 しかもその、当日あの……流れるVTRもやるんだということで。こっから三谷さんと対談まで1週間もないわけ。で、質問を考えると思ったけど、とりあえず質問考えるにしても、事実誤認があっちゃいけないから、見返すしかないじゃん? 見返す!? と思ったら、その時点で32話ぐらいあるのよ(爆笑)。で「1週間で32話!?」と思って。1日に4時間ぐらいずつ行かないと、もう間に合わないんだけど。でも仕事的にどうしても無理だったから、まずその「スタジオ収録までには見返そう」と思って、まず三谷さんと話したい印象的な回だけ書き出して、そこだけ10話ぐらい見返して、質問案を作って、それで当日、三谷さんの……日曜日だったんだけど、夕方NHKに行って。で、もうガチガチのままメイクとかだけして。そしたら「三谷さん、入られました」って言うから、「挨拶した方がいいですか?」って言うから「どうす……どっちかね?」って言ったんだけど、とりあえず軽くだけ挨拶をしようって思って。「三谷さん、佐久間と申します。あのはじめまして、よろしくお願いします」っつって。で、応接室で待ちながら、もうホント「うわっ、人生こんなことあんだなぁ……」と思って。その「高校のころから憧れていた人と、その代表作のやつを対談することなんかあるんだな」と思って。「30分っていう時間、だから大事に使おう」と思って。

 そしたら、三谷さんが入ってこられて。「はじめまして」って言われて。俺も「はじめまして。てててて……テレビプロデューサーの……」て言って(爆笑)。「ててててテレビプロデューサーの」(笑)。「佐久間」もちゃんと言えなくて。全部噛んだっていう(笑)。で「緊張してますか?」って言われたから、緊張してるからこれを正直に言うしかないと思って、三谷さんをどれだけ好きだったかっていう話をまずして。そこは多分放送されないと思うが、それを話したらちょっと楽になって。そしたら三谷さんが逆に「佐久間さんのYouTube見てますよ」って。「本当ですか?」「カカロニ栗谷が佐久間さんの……なんかに乗り移るやつ。あれすごい好きなんです」って言ってくれたから、「マジかよ!」って思って。これはまぁ……もしかしたら俺と対談するから見てくれたかもしんないけど、それでも嬉しいなと思って、やっとちょっとそこで緊張取れながら、話したの。で『鎌倉殿』の何が、自分が素晴らしいと思うかっていうことと、聞きたかったことね。その創作術。「ここの部分はどうやって組み立ててたんですか?」とかっていうの全部、聞いたんだけど。

 今となってはね、あっという間に過ぎすぎてもう全く覚えてない。1時間。1時間しゃべらせてくれたの。30分(のはずなのに)。で1個覚えてるのは、結構早々に今回の『鎌倉殿』を褒めようと思って「とにかく素晴らしいです」って言って。「三谷さん、大河3作やられてますけど、それでも一番ぐらい」って言ったら「あの一番と言われると……あの真田幸村とか『新選組!』がかわいそうだから、一番っていうのは言ってほしくない」って言われて(笑)、「ヤベえ!」って思って(爆笑)。速攻……速攻地雷踏んだっていうのと……(爆笑)、まあ半分冗談だったけど。

 っていうのと、あと三谷さんに、その「後半戦の見どころは?」って聞いたら、「いや、見どころはですね……」つって。三谷さんってさ、すげえ真面目な感じでボケるじゃん? 「見どころはですね、その……みんな今回コロナとかになったりして、誰が休んだりとかするんだけど、そういうのをその即座に聞いて、すぐ本を書き直して、コロナの人はいなくても大丈夫なように自然にね、組み立てて。そうやってやってる僕のパズルのようなね、その危機管理の方を見てほしい」って言われて。「こりゃどっ……うーんそれは……いや、そういうことじゃねぇんですよ」って突っ込んだの。そしたら……勇気がいるよね。これ突っ込んだら怒られる可能性もあるから。「いや、そういうことじゃないんですよ」って言ったら、三谷さんが「突っ込んでくれた」っていう感じで笑顔になってくれたらホッてして。そっから「本当の見どころ話してください」っつったら、ちょっとこれは放送を見てほしいんだけど、めちゃくちゃいいことを言ったんだよ(笑)。あの会場のココにいる人たち、スタッフ、周りのスタッフがしびれるぐらいのいいことを聞いて、それが撮れたからよかった! っていうのと……を言ってくれたから、「ああ、この対談でやってよかったな」っていうので終わって。

 

 でNHKのプロデューサーのみなさんと「いや、すごいしびれる言葉聞けましたね。よかったです。三谷さんすごいっすね」とかってみんなで言っていたんだけど、よく考えたら、これ前座なのよ。その……これ本番じゃないわけ。俺これから、このVTRを見つつ、林 修やらなきゃいけないから(笑)。「マジかよ! これただの……これ本番じゃねえのか」って思って。その数日後が、あの……収録なのね。3日後かな? で、三谷さんの対談を受けて、スタジオ台本が送られてきたの。で、そのスタジオ台本には、その……まぁまぁ、小栗さん、小池さん、坂口健太郎さん、佐藤二朗さん、彌十郎さんがいらっしゃる。で俺は誰も会ったことないの。よく考えたら、そんなMCいる? その……出演者と誰も会ったことないMCなんかいるかっていうのが1個と、あとその台本に、その……とにかく細かくドラマの内容を知らないといけない質問が、俺発信であるのよ。だから、その全部の回やっぱり見直してないとできないMCなの。俺、見てるけど、その細かいところ? その「北条ファミリーの好きなシーン3つ、を出演者と話す」とかどれも知っていないといけないじゃん? みたいな台本だったのよ。その……後はその、大泉さんの頼朝のこのシーン、とか細かかったから。「うわっ、俺これ、やっぱり全……どう考えても把握しなきゃいけないな。えっ、でもこれ3日前に読む台本じゃねえな」とか思いながら、「これ見返して全メモ取んないと、やっぱダメだ」と思って。

 でその週はオールナイトが休みだったんだよ。アーティストウィークで! ありがたい話というか、もう巡り合わせというか。だからそっからもう見るしかねえと思って見返したよ。30話(笑)。だってしょうがないじゃん。30話……まあね、ちょっと飛ばしたところもちょっとあるけど、基本的には見返して、見終わったんだけど、そん時気づいたことがあって。収録は9月の中旬なのね。放送は10月の上旬なんだよ。「放送してない回も見てください」って言われたの。要は……あの今週までのやつね。なんでかって言うと、視聴者はそれを見てから、たどり着くんでしょ? で、そっちの方が大事なのよ。どっちかっていうと。それが送られてきて。また5話(笑)。それ前日に、結局徹夜してその5話分見て(笑)。最後の1話はオフラインで見たからね。出来上がってないから。脚本とオフラインで見て、「なるほど、こうなるのか!」って今週のオンエア分。で、フラフラでメモ全部取って。

 当日……そのスタジオ入り、スタジオ入りしたの。で、緊張してるから30分前に入ってさ。30分前に入って、何をやりたかったかっていうと、当日の台本にメモをしたかったわけ。その早めに入って。その俺が自分で個人的に取ったメモを当日の台本にして。台本は持ち込めるじゃん? でも、携帯のメモは持ち込めないかなって思ったから、当日の台本にメモっていったの。で『鎌倉殿』を見返したメモってみたいな。でメモってる間に、時間が来た時に、その……外の廊下がね、ざわざわし始めたの。明らかにこれは役者陣が入ってきたなっていう感じの取り巻きの人の多さ……の感じる廊下の感じ。はたと気づいたのよ。「これは俺、楽屋挨拶に行くべきなのかな?」って。初対面で。でも行ってなぁ……ちょっと何か変な空気になったりしたらやりづらいし。もう俺は、正直一生会わないよ、うん(爆笑)。俺は三谷幸喜が好きで、『鎌倉殿』が好きだからこの魅力を伝えるだけ。別に役者さんと仲良くやろうとか、うまくやろうと思うと邪念が入るから。「もう挨拶はしない」って決めて、うん。ただのファンだから、俺は(笑)。ただのファンがMCやるってわけわかんないだけど、ただのファンだからと思いながら、とにかくメモを取って。

 で、あの……廊下が静かになるまで、ずっとトイレに行きたかったから、廊下が静かになるのを待って、扉を半分だけ開けたら、誰もいなかったの。「この隙でトイレに行くしかない」と思ってトイレに行って。これ「誰にも会わないまま、スタジオに行こう」って思いながらトイレに行ったら、あの……トイレに入った瞬間に、あの佐藤二朗さんがおしっこをしてて(笑)。佐藤二朗さんだけいて。佐藤二朗さんに「おおっ、佐久間さん。すいません。はじめまして!」って。いい人だから、めちゃくちゃ挨拶してくれて。で、俺「おしっこのところすいません!」つって、俺別に小だったんだけども大の方にガチャーン! って閉じこもって。で、佐藤二朗がいなくなど待ちながら「俺、なんでMCなのにこんなコソコソしてるんだろうな?」と思って(笑)。で、俺も「えっ、俺の思うMCってこういうことじゃねぇんだけどな」って思って。でも、こういう思いをしないように、ここでもうおしっこを全部出し切って。もうトイレに行こうと思わないって。そして「誰よりも早くスタジオに入って、誰にも会わないように本番を迎えよう」と思って。で、えーメイクし……させてもらって、簡単に打ち合わせして、で、台本のメモを完璧に取って、どこを聞かれても大丈夫なようにして、その台本だけ持ったままスタジオに行ったのよ。

 で、スタジオに向かっていったら、そのスタジオの前室にもういたの。小栗 旬さん、坂口健太郎さん、小池栄子さん。超かっこいいんだね。あの……小栗さんと坂口さん。で、まず見てびっくりしたのは、その……小栗 旬さんクラスになると、あの……バラエティ、そのゴールデンのトークバラエティに出るのにニットなんだね。俺とかさ、あのスタイリストさんにさ、「出演者さんに失礼じゃないように、あんまり着ないんですけど、ちゃんとしたジャケットとかお願いします」って言ったんだけど。坂口健太郎さんと小栗 旬さん、ざっくりしたニットだったの。かっこいいんだよ(笑)。で、小池さんもいらっしゃって。で、これは挨拶しないわけにいかないから。「どうもすいません。テレビプロデューサーの佐久間といいます。今日はよろしくお願いします」って言って、そそくさとスタジオ入ろうとしたら、小池栄子さんが「佐久間さん」って呼び止めてくださって、「はい」って言ったら「あの東野さんに『鎌倉殿』面白いとか、おすすめしていただいてありがとうございます」って言って頭下げてくれて。で、小栗さんとかに「佐久間さんがいろんなところで、とにかく『鎌倉殿』を見る人を増やしていただいて。東野さんにも面白いって言ってくださったんですよ」って言ったら、みんな笑顔になって。「めちゃくちゃいい人だな!」って思って、うん。「一生会うことはないかもしれないけど、この後。応援します!」って(爆笑)、心の中だけで思った。そしたらまぁまぁ、小栗さんとか坂口さんも「ありがとうございます」って言ってくださって。「ありがとうございます、こちらこそ」って言ったけど、一瞬その場にいて談笑をしようかなって思ったけど、話すことが何も思いつかないから、これはもうとにかくスタジオに入ろうと思ってスタジオに入って。

 

 スタジオ入ってマイクつけてもらって、メモを見返しながら、えーMC席に座ったの。MC席の真ん中で、左側に出演者が並んで、俺のMC席の右手にアナウンサーの杉浦さん、あのNHKのエースアナウンサーの方がお座りになって。で、俺の左側に台本を置く台みたいのがあったから。「これ、台本置きですか?」って聞いたら「ああ、そうです。台本置きです」って言われて、じゃあここに台本を置いて。台本を置いて完璧にセッティングしたから「これを見ればもう大……もうこれでいこう!」って思って。「俺のやることはこの台本のメモをもとに、『鎌倉殿』の魅力をとにかく存分に話して、で、そのスタッフの思う番宣番組を作ることだ」って思って。そしたら、キャストのみなさんが入ってこられて。坂東彌十郎さんとかもいらっしゃって。で、佐藤二朗さんだけ……あのなんか、要は北条家の人じゃないから、後で登場しますと。「佐久間さん、後で呼んでください」っつって、スタジオの裏にスタンバイされて。「わかりました。じゃあ、北条家のみなさんと僕らで始まるんですね」つって。

 そしたら、プロデューサーの方が来て。「そろそろ始まります」っていう時にプロデューサーの一番偉い方が来て。「みなさんよろしくお願いします。これあの……結構ダークな回が続いたから、1回こういうのを挟もうっていうことになりまして。で、魅力を伝えたいと思います。MCは佐久間さんにやっていただくんですけど……あのですね、みなさん。台本ありましたけど、佐久間さん中心に自由にやっていただいていいんで。これね、台本にとらわれないで、段取りはありますけど、もういろんな話佐久間さんとかとやっちゃってください!」ってなって。俺は心の中で……もう本当に心の中で「バカ野郎!」って(爆笑)。「台本通りやるんだよこっちは! NHKだろ!(爆笑) 台本を守れバカ!」とか思いながら(笑)。「あのね佐久間さん。これ佐久間さんは本当にファンなんで、自由に話し合っちゃってください」なんて言われて。「なあ杉浦、な?」みたいな。アナウンサーに。「台本の段取りだけじゃないからな?」みたいな。ドラマ班のみなさんね、バラエティってそんな自由にやってねぇから! 「勘違いしないでください、ドラマのプロデューサーのみなさん!」って言いながら、「わかりました」って言いながら、まぁまぁね、って俺は。まぁまぁまぁまぁ……って顔をしたのよ(笑)。で、「そうですね!」って役者のみなさんは「あ、じゃあ佐久間さんにお任せで」みたいな顔をするから。「いや、まぁまぁね、台本のね……」って言って。で、台本置きを確認しながら始めようと思った。

 始めようと思った瞬間、真ん中のあたりで、なんかカメラマンとそのフロアチーフみたいのがコソコソ、なんか揉めてるっていうか話し合っているの。「あれ、あれだな?」みたいな。で俺が、うっすら聞こえるんだけど「あれいらねぇだろう?」みたいな。「あれ、あれなに?」って。それでこっそり、そのフロアチーフの人が近づいてきて「あの佐久間さん、そのさっき……その台本なしの自由みたいなのがあったじゃないすか。なんで、佐久間さんのお隣に置いてる台本……ちょっと目立つんですよね」って。要は、アナウンサーの杉浦さんの置いてる台本は一番端っこなのよ。だから画面で切れると。カメラマンが言ってんだよ、そう。「あっちは切れるけど」って。佐久間の台本は出演者と俺のど真ん中に、すごいきれいに作っているセットの中にその汚ねぇ台本が、くしゃくしゃの俺のメモだらけのようなのが置いてあるから、カメラマン的に「あれ、ない方がいいな」っていう。「邪魔だな」っていう風になったらしくて。「申し訳ないです佐久間さん、これちょっと、撤収させていただいていいですか?」って言われて。

 俺が、丸3日ぐらい徹夜して取ったメモで、で、そのメモを移し替えて、一問ずつQ&Aを書いた台本が、「撤収……申し訳ないです、ちょっとやっぱり見切りがちょっと……」って。「ははーん」つって。で「いいですよ」とも言わなかった俺は。「ああ、そうっすかー」つって(笑)。そしたら「あ、申し訳ないです」って、それ撤収されていったんだよ。で、撤収されてって「じゃあ何のためにこの台本台……置きを置いたんだよ?」とか思いながら「ヤベえ、始まるのか!」って思ったら、今度そのフロアチーフが……「まあ、でも段取りはカンペ……あるっぽいし」って思ったら、フロアチーフ「さあ、始めましょう。あ、佐久間さん。こっち……きっかけのコメントしか出しませんので。VTRとか。あの……質問もろもろ、フリーでやっちゃってください!」って言われて。「おまかせでやっちゃってくださーい!」って言って。「さあ、楽しんでいきましょう!」みたいなことをフロアチーフが言って。「待て待て! 待て待て待て!」って思いながら「はい5秒前!」って始まって(笑)。「待て待て! 待て待て待て!」つって(笑)。俺台本もなしで、カンペもなくてやるの? って思って。マジでカンペ出ないんだよ、段取り以外!

で、「始まります。5秒前! 4、3、2……」拍手ウワーッ! クレーンブワーッ! って始まって。で、隣にはあの……俺を見つめる小池栄子、小栗 旬、坂東彌十郎、坂口健太郎がいて、で「挨拶」とだけ書かれたカンペが出てて。「挨拶・オープニングトーク」って書かれたカンペがあって。「マジかよ!」って思いながら(笑)、「準備の人なんだよ俺は!」って思って。で俺は、何だったら準備のために、今日体調悪いんだよ! って。2日ぐらい寝てないんだからっていう状態で「はい始まりました。テレビプロデューサーの佐久間宣行です」って。「えっ、俺、今、NHKのゴールデンでしゃべってんだ」と思いながら始まったのよ。で、始まったから、もう思いの丈を話すしかないと思って。『鎌倉殿』がどんだけ好きか話してる間に、そのすっかり佐藤二朗を呼び込むのを忘れて。30分ぐらいトークして、しびれを切らした佐藤二朗が自分で入ってきたんだよ(笑)。「いやいや、佐久間さん!」っつって(笑)。で、もうそこからもうほぼ覚えてないけど、とにかく、盛り上がったのは盛り上がったんだけど、2時間半収録したからどこ使われるのかわかんないけど、ええと……記憶にあんまりないから、とりあえずオンエアーを見てくださいっていう。いや、すごい出来事でしたよマジで。バラエティってそういうことじゃないんだよ(笑)。

 

(2022年10月12日放送より)

 あとエンタメニュースでいうと、第73回紅白歌合戦の司会が発表されたということで。大泉 洋さん、橋本環奈さん、NHKの桑子アナウンサー、そしてスペシャルナビゲーターとして櫻井 翔さんということで。チッ……選ばれなかったっすね、俺(笑)。俺、大丈夫かな? これ。このテンションあの……わかるよね? あの、本気じゃないからね(笑)。NHKの、ただなー、俺、やっぱり『鎌倉殿』のなー、MCやってるから。やっぱ……なくはなかったのよ(笑)。だって、日曜8時の『鎌倉殿』の番宣特番のMCやってるんだからね? 本当に……まあ、ラジオで聞いてた人はまぁ大丈夫だったけど。田舎のお袋とかに言ってなかったから、度肝抜かれてたからね。田舎のお袋(笑)。

 で、あの……あとはやっぱあの……、ちょっと恥ずかしかったのが、あの……俺その……ま、台本なしで急になくなったみたいな話をしたけど、それはそれで、あの……まぁNHKの演出意図もわかるから、別にあれなんだけど、ここのラジオで意気揚々と、その「オープニング20~30分かかって、佐藤二朗さん出てこれなかったんだよ」みたいなことを言ったじゃん? ばっさりカットされてたから、頭からいたっていう(笑)。で、二朗さんもそれをツイートしてたの。わざわざ、俺がその、言ってたことと同じようなことを。「北条家だけで盛り上がって20分以上しゃべりやがって。俺は後から乱入したんだ」つって。二朗さんもツイートしてたのよ。だから俺と二朗さんだけが恥をかいたっていう(爆笑)。ばっさり……よく考えたらそうだよな、それで番組終わっちゃうから、カットするはずだよなっていう。でもそういうことがあって、でもまあね、好評だったわけですから、これスケジュールは空いてるわけですから。審査員? えっ1回で?(笑) 1回MCをやっただけで?(笑)


脚本・三谷幸喜さんインタビュー
「不思議な因縁にインスピレーションを受けて」
──物語も終盤になってきましたが、これまでの執筆の中でどのようなことを感じていますか。
 今回この「鎌倉殿の13人」を書くにあたっては、今まであまり経験してこなかった不思議な偶然がたくさんあるんですよ。すごく大げさな言い方になりますが、神様が「書け」と言っているような。例を挙げると、まずは上総介広常の死について。彼が字を一生懸命練習していたという設定は、演じた佐藤浩市さんから「キャラクターに深みを与えられる設定が欲しい」とリクエストを貰もらい、「じゃあ、字が書けないというのはどうだろう」とアイデアを出したんです。一方で、上総介が死ぬのと北条泰時が生まれるのがほぼ同時期だったことが分かった。「これは泰時が上総介の生まれ変わりだという設定もあるな」と思い、ハッキリと明言はしなかったけど、泰時が赤ん坊のときの泣き声を「ブエイ」にした。これは上総介が頼朝を呼ぶときの決め台詞ぜりふ。実は僕はそれほど歴史に詳しくなくて、北条泰時が御成敗式目をつくることは知識としてあったけど、字の読めない御家人たちのためにわかりやすい文章で書いていたって知ったのは、この回を書き終えたあと。もうびっくりですよ。視聴者の方で、「三谷はそこまで考えて台本を書いているのか」と驚いてくれた人も多かったみたいですが、全くの偶然。不思議でしょ。
あとは、第33回で善児が修善寺で亡くなりましたが、これも「終わる善児」と「終善児」に掛けたんじゃないかと、たくさんの方に言われました。告白しますが、全く考えてなかった。指摘されて初めて気づいた。そもそも善児という名前は、「梶原善さんがキャスティングされますように」という思いを込めて付けた名前ですから。そういう不思議な偶然が今回は多いんですよね。がっかりしました?

──数多くの登場人物たちを手にかけ恐れられていた善児の退場には、どのようなプランを立てていたのですか。
まず第1回を書き出す前に、全体の綿密なプロットを作り、それぞれの登場人物がどのような人生を送るのかを、史実に添って考えていきます。でも細かいところまでは決めない。例えば、善児はオリジナルキャラだったから、途中で死ぬことは決めていたけど、それがどのタイミングなのかまでは、決めずに書き始めた。
善児は暗殺の仕事で2度修善寺に行きます。1度目は範頼を殺しに、2度目は頼家のとき。最初はね、1度目で行ったときに、命を助けた女の子が次に行ったらに大人になっていて、自分の養女にするという設定を、漠然と考えていた。ところがオンエアが進むにつれて、思いのほか善児が世間の注目を集めるようになってきた。絶対に人気者になる確信はあったけど、ちょっと僕の想像を上回った。「善児の名前がオープニングに出てきたら、それだけで怯おびえる」とか言われて。演じた梶原善も「河原で人を殺すシーンが多いので、みんなが怖がって、最近はプライベートで川に行けない」ってぼやいていた。
それで逆に、死ぬタイミングを早くしたんです。注目された分、飽きられるのも早いんじゃないかって思った。いちばん話題になっているときに退場させることにして、2度目に修善寺に行ったタイミングで死んでもらった。だからね、視聴者の皆さんが注目していなかったら、善児はもっと長生きしていたんです。
それが連続ドラマのおもしろさだと思うんですよ。第1回のオンエアの前に最終回まで書き終わっているというやり方もあるかもしれない。僕には無理だけど。でも、やっぱりテレビドラマは生き物なので、徐々にキャラクターが浸透していって、意外な人が人気になったりする。それが楽しい。そこをうまくすくい取って物語に当てはめていく。それが脚本家の醍醐だいご味のような気がするんですよ。

──これまでたくさんの方が退場されましたが、三谷さんの中で手応えのあった最期を教えてください。
やはり印象に残っているのは義経の最期ですね。菅田さんの芝居が見事だった。直接の死は描かなかったけど、梶原景時の予想外の涙も印象に残ってます。多分台本には泣くとは書いてなかったはず。脚本家の想像を、役者の演技が超えた瞬間でした。
それから畠山重忠。あんなに義時と殴り合うなんて思ってなかったから、映像を観みて驚きました。僕の指定ではないけど、いいシーンになりました。
しょせん、脚本家がパソコンの前で書いたものなんて、たかが知れているんです。僕は設計図を書いているだけ。それを現場でスタッフとキャストが肉付けしていく。そうやってドラマは完成する。殴り合いは小栗さんのアイデアだったと聞きました。鎧よろいを着てあれはないだろうと思った歴史ファンもいたかもしれない。でもあそこは殴り合うべきなんです。本当は僕が思いつくべきだった。情けない限りです。
だからね、手応えのあったシーンというのは、だいたい僕が書いていない場面なんです。

──放送をご覧になって、また、台本を書き進める中で、小栗旬さんが演じる義時の変化はどのように感じていますか。
そもそも小栗旬さんが義時を演じると決まったときに僕の頭にまずあったのは、晩年の義時の姿。いろんな悩みや苦しみを全部抱えたうえで最終的に死を迎える義時。それを演じる小栗さんのイメージが、最初から僕の頭の中にはあった。そこに向かって台本を書き進めました。若いころの義時を演じる小栗さんももちろんいいですよ。でもそれはみんなが知っている小栗さん。この先は誰も知らない、僕だけが知っている小栗さん。年老いてからの彼は本当にいい芝居をします。まだ観てないけど。多分間違いない。小栗さんはそれができる俳優さんだから。

──三谷さんは以前より「女性を描くのは苦手」とお話をされていますが、今回の女性たちはどのように描こうと意識されていたのでしょうか。
昔から「女性を描くのが下手だ」と言われ続けていますね。もうトラウマです。なんで書けないんだろう。照れちゃうのかな。あと、戦いくさを描くのが下手ともよく言われる。これもどうすればうまくなるのか、さっぱり分からない。戦と女性は僕の鬼門です。
女性に関しては、今回はなるべくそう言われないように心がけました。とにかく女性のスタッフの意見を聞くことを心がけた。もう自分では無理だと思ったので。彼女たちに「この女性キャラはこんなことは言わない」と指摘されることもありましたし、「こういう女性はみんな嫌いだと思う」と言われて、書き直したこともあった。すごく勉強になりました。もし今回、女性の描き方が以前よりちょっとでもマシになっていたとしたら、それは彼女たちのおかげです。
政子に関してはいちばん悩みました。これまで“悪女”と言われ続けてきた人ですが、僕からすると、どこが“悪女”なのか、さっぱり分からない。別に政子を美化して描くつもりもなかったけど、普通に考えて、彼女に悪女と呼べる要素は何もない。常に妻として母として悩み、行動してきただけ。僕には権力欲の塊のような女性にはどうしても思えなかった。そう考えると、このドラマにはほかにも上昇志向の強い女性はたくさん出てくるけど、最も権力に興味のなかった政子が最後に権力の頂点に立つという、歴史の皮肉みたいなものが、浮かび上がってきました。そんな政子を小池さんがとてもチャーミングに演じてくれた。大満足です。僕はひそかに、小池さんが演じている政子が最も本物の北条政子に近いキャラなのではないかと思っているくらい。
女性でいうと、長澤まさみさんのナレーションも素晴すばらしかった。殺伐とした物語が、どれだけ彼女の声で浄化されたことか。文体を現在進行形にすることで、視聴者に寄り添う感じも強まった。僕が脚本家として、一つだけこのドラマに貢献したと自信を持って言えるのは、ナレーションを現在進行形にしたことのような気がします。いい発明だったでしょ。

──執筆にあたってはさまざまな作品からインスピレーションを受けるとお話をされることがありますが、「鎌倉殿の13人」を描くにあたって参考にされた作品はどのようなものですか。
今回「鎌倉殿の13人」を描くにあたって、とにかく自分がおもしろいと思った古今東西の映画や舞台、小説を勉強し直しました。全体的には『ゴッドファーザー』。義時は、アル・パチーノが演じたマイケル・コルレオーネの親戚です。例えば佐藤浩市さん演じる上総介は、強くて怖いけど愛嬌あいきょうのある男という意味で、『アラビアのロレンス』で、アンソニー・クインが演じていた砂漠の権力者アウダ・アブ・タイの従兄弟いとこ。北条と比企一族との戦いを書いているときは、『仁義なき戦い』を参考にしていました。実は今まで観たことがなかったのですが、「あの時代は『仁義なき戦い』の世界観に似ている」とスタッフに教えてもらいました。
あとはシェイクスピア。やはり勉強になります。シェイクスピアには、おもしろい物語の要素のすべてがある。例えば、和田義盛と三代将軍・実朝。2人の関係は、『ヘンリー四世』に出てくるフォルスタッフとハル王子に重なります。三浦義村は『オセロー』に出てくるイアーゴー。頼家の苦悩は『リチャード二世』に出てくる若き王の哀かなしみと似ている。そして頼家の息子の公暁。彼が置かれた境遇はまさにハムレットそのものです。鎌倉時代とシェイクスピア。すごく似ています。今まで考えたことがなかったけど、新しい発見でした。皆さんもぜひ、興味があればシェイクスピアを読んでみるといいですよ。まるで鎌倉だから。

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