プレイバック北条時宗・(33)蒙古襲来前夜
日本と蒙古の間に緊張が続く文永11(1274)年の秋、北条時宗が心労に倒れます。しかし時宗は寝ておられぬと早々に床上げをし、執務に取り掛かります。「わが命と引き換えに」「仇を討たれてもかまわぬ」など、命を粗末にする言動を祝子はたしなめますが、時宗は祝子や幸寿丸のことだけを考えて生きるのはできないと、祝子をなだめます。
松下禅尼は、女たちは戦うことはできないが、男たちを勇気づけて送り出すことはできると、得宗家の妻たちに訓示します。禎子と芳子は出世を巡って言い争いになりますが、松下禅尼は男たちが望むように戦わせなければ女たちが望む安泰や出世は訪れないと諭します。しかし無事に帰ってこれる確証はないわけで、梨子は兄の命を奪った時宗が憎いと訴えます。祝子は顔面蒼白です。
そこに出家した涼泉尼(涼子)が入ってきて、蒙古と戦になってしまったのは我が子時宗の責任と頭を下げます。祝子は時宗が日本を守るため、民を守るためにこの道を選んだとかばい立てしますが、どんな理由があれ戦の責めは国を率いる者が追わなければならないと涼泉尼は聞き入れず、再び頭を下げます。
10月2日・高麗 合浦──。書記官・趙 良弼はクビライからの命として、明朝出発し日本を攻撃せよと伝えます。船900艘・4万人の軍勢です。蒙古の総司令官・忻都(きんと)、北宋の将軍・劉復亨、高麗の将軍・金方慶と洪茶丘が軍議を開きますが、趙 良弼はその場に情報提供者として北条時輔を招き入れます。
博多に到着した平 頼綱を「まさか執権どののご側近が」と大歓迎する少弐資能・景資父子ですが、あくまで執権名代として命令をするという尊大な態度の頼綱に、みな閉口してしまいます。菊池武房はその態度に腹を立て、竹崎季長は、まあまあ! とその場をとりなし、酒を注いで回ります。
将軍たちは、時輔を信用できる者かと疑いますが、趙 良弼はその心配を一蹴します。試しに九州上陸の拠点をどこに置けばいいか質問してみると、時輔は博多をいきなり攻めれば双方に血が流れると、博多湾外に拠点を置くことを勧めます。背後から脅かし、食料補給路も確保できるという読みなのです。「どこなら良い?」と尋ねられて、時輔の指が机上の地図の海岸線を博多から西へなめていきます。
失意の桐子が松浦党へ帰ってきて、佐志 勇ら三兄弟は喜んで桐子を出迎えます。そこに入ってきた佐志 房は桐子の顔を見るなり黙り込んでしまいます。桐子とは親子の縁を切ったつもりだったのですが、「親父どのの骨を拾いに参った」と詫びる桐子を固く抱きしめます。房の目には涙が溜まっています。「バカもんが! 心配させおって」
軍議のあと、趙 良弼とふたりきりになった時輔は、戦を長引かせたくないからと、速やかに博多を押さえ無用な血は流さないように約束を求めますが、趙 良弼はクビライに日本を滅ぼすつもりはなく、国を開けばいいだけと答えます。時輔は日本への船に乗せてほしいと趙 良弼に願い出ます。日本に帰らないつもりだった時輔は、しっかりとこの目で日本の最期を見届けるつもりなのです。
時宗はひとりで海に向かいます。もしかしたら時宗の勘だったのかもしれません。対馬沖に一艘の船がやってきたのを、漁民が発見します。気に留めない漁民でしたが、再び海を見た時には、何艘もの大船団になっていました。「蒙古じゃ! 地蔵さまに教えにゃ!」
──次回 蒙古襲来──
脚本:井上 由美子
高橋 克彦「時宗」より
音楽:栗山 和樹
語り(覚山尼):十朱 幸代
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[出演]
和泉 元彌 (北条時宗)
渡部 篤郎 (北条時輔)
渡辺 謙 (北条時頼)
浅野 温子(涼泉尼 [涼子])
柳葉 敏郎 (安達泰盛)
木村 佳乃 (桐子)
西田 ひかる (祝子)
池畑 慎之介 (北条実時)
牧瀬 里穂 (梨子)
寺島 しのぶ (禎子)
西岡 徳馬 (足利泰氏)
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原田 美枝子 (桔梗)
江原 真二郎 (高 師氏)
川野 太郎 (少弐景資)
うじき つよし (竹崎季長)
小西 博之 (菊池武房)
吹越 満 (宗尊親王)
白 竜 (北条時章)
井上 順 (一条実経)
大木 実 (西園寺実氏)
修 宗迪 (趙 良弼)
バーサンジャブ (クビライ・カアン)
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伊東 四朗 (北条政村)
藤 竜也 (佐志 房)
奥田 瑛二 (日蓮)
富司 純子 (松下禅尼)
北大路 欣也 (謝 国明)
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制作統括:阿部 康彦
演出:真鍋 斎
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