大河ドラマ鎌倉殿の13人・(38)時を継ぐ者 ~決着!義時vs時政 父と子の覚悟~
源 実朝と北条時政の攻防が続いていました。その攻防の外で見張っていた三浦義村のところに、和田義盛がかけつけます。義村は、時政が実朝に出家を迫っていることを話した上で、今は時政の味方をしているが、北条義時が来た時点で義時側に寝返るつもりだと打ち明けます。そのあたりのかけひきがよく分からない義盛は、止めるのも聞かずに強引に中に入っていきます。
──伊豆の小豪族に過ぎなかった男。二十五年かけて築いた地位が、今まさに崩れ去ろうとしている。その間、わずかひと月──
状況が分からないまま突入した義盛は、刀を抜いている時政の前に立ちはだかり実朝をかばいますが、時政から実朝が起請文を書いてくれないと聞いて振り向き、「書いちゃいなさーい!」と実朝を諭します。
りくは、何としても起請文を書かせるように時政に迫ります。しかし屋敷の表では、北条時房の「屋敷はすでに囲まれています!」と実朝の引き渡しを要求。りくは、実朝に囲みを解くように言わせろと焦りの色を見せ始めます。「痛い思いをさせればあの子なんて……鎌倉どのを引き渡せば、攻め込まれて終わりです」と恐ろしい形相のりくに、時政は絶句します。
許すわけにはいかないという態度の義時に、北条泰時は時政をどうするのかと尋ねますが、口を挟まずに見ていろと怒鳴られます。実朝を守るためなら父も子もないと言い放つ義時に、間違っている……と泰時はこぼしますが、横で見ていた八田知家はいい加減に分かってやれよと代弁します。「親だからと許したらどうなる? 御家人全てを敵に回すことになるんだよ」
時政は、りくに鎌倉を離れて京の平賀朝雅ときくを頼るように言い、その警護として義村をつけることにします。実朝の横にいて手出しができないうちにりくを逃がし、それを見届けてから実朝を解放し、降参するつもりなのです。頭を丸めて手をついて謝れば、親思いの義時はきっと許してくれるとニッコリほほ笑みます。「ほとぼりが冷めれば、また会える日も来る」
時政が去っていき、義村は下人の着物をりくに差し出し着替えるように求めます。りくは「いやです!」と涙ながらに訴えます。その後、義村は屋敷の門を開き、待っていた義時に時政を説得するのは骨だとつぶやいています。義時は人質になっていた時政屋敷の下人たちをいたわって解放します。その中に、みすぼらしい格好をしたりくの姿をとがめる者はいませんでした。
実朝は義盛に『武衛』の本来の意味(兵衛府の唐名)を教え、今は武衛の上の『羽林(うりん=近衛府の唐名)』だと説明します。へぇ~っと感心する義盛の横で、憮然と座る時政です。そのころりくは北条政子と対面していました。今回の企ては全て私が仕組んだことで、時政は私に従っただけ……悪いのは私、と聞いた政子は、りくを置いて急ぎ足で出ていきます。
時政邸をどう攻めるか義時と知家が話し合っています。そこに急ぎ足の政子がやって来ました。「父上の命は助けてあげて」と頼む政子ですが、義時は実朝を助け出したら攻め込むと伝え、政子の言には耳を貸しません。政子は頼朝の逸話を出し、非情な人物ながら慈悲の気持ちも持ち合わせていたと義時に食い下がりますが、北条時房に「尼御台をお連れしろ!」と聞き入れません。
そろそろ頃合いかな──。時政は実朝の前に座り直して無理な要求をしたことを詫び、義盛に実朝と屋敷から出るように促します。度重なる要求にも曲げず、実朝の芯の強さに感服した時政は、「爺は来ないのか? 来てくれ」と言う実朝の言葉には黙って首を振ります。義盛には義時への言葉を残します。「後は託した。北条を、鎌倉を引っ張ってゆくのはお前だ、と」
実朝と義盛が屋敷の外に出て来ました。義時への伝言を忘れた義盛に代わり、実朝が義時に伝えて御所に戻っていきます。早速攻めこむ準備に入る義時に、政子は子が親を殺すことはあってはならないと義時の前に立ちはだかりますが、政に私情を挟むことはできないと拒否します。政子は従う兵たちに手をつき土下座します。「娘として父の命乞いをしているのです! 方々どうか……父をお許しください」
刀を首に当てる時政ですが、背後から知家の手が伸び、力技で刀を取り上げられてしまいます。そして御所に戻ってきた実朝を、実衣と千世が出迎えます。千世は何も言わず実朝の胸に飛び込み、一瞬躊躇しながらもしっかりと抱きとめる実朝です。
時政は名越屋敷に、りくは鎌倉御所に監禁されています。そもそも時政を討ち取ろうとしていた義時のことだから、泰時は義時が裏から手を回すことを危惧しているのです。何にも分かっていないと言う初に同調する泰時ですが、初は強く主張します。「あんたよ。義父上は自分のようになるなと……だからあなたを呼んだのよ。違う?」
実朝は、時政は手荒な真似はしなかったと処分の軽減を懇願します。義時は時政の処分について文官に諮りますが、この中でも賛否割れ、謀反人は全員討ち取ってきた中で、時政だけがなぜ許されるのかという声と、実朝の意向は無視できないという声とがあります。三善康信は、時政が伊豆で源 頼朝を助けたから今日があると強く主張し、伊豆へ帰らせる処分を提案します。「息子として、礼を申し上げる」
よく骨を折ってくれたと息子を労わる時政ですが、首を刎ねられてもやむを得ないと考えていた義時は、感謝するなら実朝や文官の人にと父を突き放します。義時の本心は、時政にこの先もずっとそばにいてほしかったわけですが、父の謀反によってそれが叶わなくなりました。時政とは今生の別れとなることを無念に感じた義時は「お恨み申し上げます」と涙を流します。
元久2年 閏7月20日、初代執権・北条時政が鎌倉を去ります。彼が戻ってくることは、二度とありません。腕組をして難しい表情のまま屋敷に戻ってくる義時に、トウが膝をつきます。「お呼びでございますか」
そのころ最後のご挨拶と政子と実衣がりくの元を訪れます。着物を取り寄せて精一杯おめかししているりくと、しばし3人で思い出話を語った後、政子と実衣は帰っていきます。
入れ替わりでトウが夕餉の支度に入ってきました。腰のあたりから刀を取り出し腰を浮かせるトウですが、のえが突然入ってきました。北条の人たちとうまくやっていく秘訣を聞いたのえは、りくの「無理やり馴染もうとしないこと、誇りに思うこと」との教えに納得したようで出ていきます。今度こそと再び腰を浮かせると、のえと入れ替わりで今度は義村が入ってきました。
伊豆に会いに行きますよ、アンタは会わなきゃいけないと笑う義村は「オレに借りがある」とニヤリ。その瞬間、トウの左手を掴みます。トウは身を翻し、着物を投げつけて逃走を図りますが、義村の執拗な攻撃についに捕まってしまいます。「オレの女になれ」と耳元でささやくと、一瞬ほほ笑んだトウは義村の腰のあたりを強く殴りつけ、義村が怯(ひる)んだスキに逃げていきます。
時政と鎌倉を出発するりくは、義時が自分を殺そうとしたと疑いの目を向けます。去っていく義時にりくは、義時が執権職を継がなかったと知って、この親子には意気地がないとあきれ果てています。「手の届くところに大きな力があるなら奪い取りなさい! 歯がゆいったらありゃしない!」と、義時は執権として立つべき人物であると叱咤します。
義時は、手始めとして在京御家人に朝雅殺害を命じます。北条政範を毒殺し畠山重保にその罪をなすりつけ、実朝に成り代わり鎌倉殿の座を狙ったというのが罪状です。その下し文を読んだ後鳥羽上皇は、朝雅の主は実朝であって自分(上皇)ではないということに怒りを覚え、下し文を丸めて捨てます。
朝雅は応戦するも、あっという間に取り囲まれて討ち取られてしまいます。夫の死にきくは驚愕し、中原親能は「鎌倉は怖い」と絶句します。危険を察知した親能は早く逃げるようにきくに勧めます。
京を大軍勢が行き来したのは源 義経が木曽義仲を討ち取った時以来と、実朝に勝手な真似はさせてはならないと藤原兼子は上皇に進言します。しかしこれは、実朝の考えとも 失脚している北条時政の命令とも思えません。慈円は「さしずめその跡取り……北条義時」と上皇に教え、上皇の胸にその名がしっかりと刻み込まれます。「調子に乗りおって……許さぬ!」
「これよりこの北条義時が、執権時政に代わり鎌倉の政を取り仕切る!」 そんな義時に反発の声も上がりますが、義村は鎌倉を守り御家人たちの筆頭になれるのは義時しか知らないと賛同します。異議を唱えた御家人たちも、義村の勢いに押されて口をつぐむしかありませんでした。
作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
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小栗 旬 (北条義時)
小池 栄子 (政子)
坂口 健太郎 (北条泰時)
瀬戸 康史 (北条時房)
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尾上 松也 (後鳥羽上皇)
市原 隼人 (八田知家)
横田 栄司 (和田義盛)
山寺 宏一 (慈円)
宮澤 エマ (実衣)
小林 隆 (三善康信)
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山本 耕史 (三浦義村)
菊地 凛子 (のえ)
栗原 英雄 (大江広元)
坂東 彌十郎 (北条時政)
宮沢 りえ (りく)
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制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:長谷 知記・吉岡 和彦
演出:吉田 照幸
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