大河ドラマ鎌倉殿の13人・(41)義盛、お前に罪はない ~北条支配に抗う義盛 和田合戦勃発~
戦は起こさないと源 実朝と約束をして戻ってきた和田義盛。一門の暴発で襲撃のために執権館へ向かったことを知ると、慌てて止めさせようとしますが、勝機は我らにありと主張する息子たちに逆に説得されてしまいます。子どもたちの主張を無視できない義盛は、自分たちの敵はあくまで北条であり、実朝に弓を引くものではないことだけは肝に銘じておくようにします。
和田を滅ぼすいい機会を失った北条義時は悔しさまぎれに双六をしていますが、三浦義村への伝令を頼んだトウが急いで戻って来ました。「和田の館から軍勢が東へ向かいました」 義時は表情を変えず、双六をひっくり返して怒りを表します。
──頼朝が築いた都市、鎌倉が、戦火に包まれようとしている。北条転覆を狙う最強の一族。和田の乱が、始まる──
義村が義時とは幼なじみで義時と通じていることをうすうす感じ取っている義盛は、義村へ北条への寝返りを勧めますが、一笑に付されてしまいます。自分をなぜ斬らない? と義村は義盛に迫りますが、義盛と義村とはいとこ同士でもあるわけです。義盛は、戦場で対する時はお互いに容赦はしないとだけ約束します。
義盛に寝返りの約束を取り付け、大手を振って北条に寝返ることにします。知家も黙ってそれに従います。しかし起請文を飲み込んだこともあり、やらないよりはましと、知家の提案でのどに指を突っ込んで吐き出すことにします。ただ吐き出すにも悪戦苦闘し、井戸の周りでは大の大人の嗚咽だけが響き渡っています。
義時の館では、戻ってきた義村から和田勢の動きを聞き取っていました。和田勢は大江広元館、北条義時館、御所の3つに分かれて攻撃する手はずです。和田の目標が義時であることを知り、御所の南門に義盛、北門に北条時房を配置し、西門には謹慎を命じている泰時に守らせます。そして義時は実朝を守るべく鶴岡八幡宮の別当へ移すことにします。「鎌倉の行く末は、この一戦にかかっておる」
義時はのえにまもなく敵が攻めてくると伝え、自分と一緒に御所へ行き実朝とともに鶴岡八幡宮に逃げるか、実家の二階堂行政の館へ戻り匿ってもらうかのどちらかを選ばせます。一度は義時と行動を共にすることを選ぶのえですが、義時と一緒にいればかなり危険なわけで、それでもいいのか念押しすると、「二階堂に戻ります」と実家に戻る準備を始めます。
巴御前は義盛にともに戦うと訴えますが、巴御前が戦場に現れればたちまち、褒美欲しさの敵に囲まれてしまうと義盛は難色を示します。自分は生きて戻ると言う義盛は、戻ってきたときに巴御前がいないと困ってしまうとちょっぴり甘えた声で説得します。それを聞いた巴御前は吹き出しそうになりながら、にっこりして聞き入れます。「目指すは将軍御所、奸賊北条義時に鎌倉殿を奪われてはならぬ!」
しかし実朝の姿がありません。知家とともに手分けして探す義時は、義盛が攻め込む前に北条政子と実衣に御所を脱出するように伝えます。「和田を追い込んだのはあなたでしょ!?」と政子は義時を非難しますが、対応している時間はありません。そこに知家が駆けてきて、実朝を発見したと伝えに来ました。義盛に謀られたと知り、戦を止められなかった実朝は「無念だ」と唇をかみます。
北条の一大事なのに泰時は酔いでぐーぐー寝ています。平 盛綱は泰時を平手打ちし、西門を守れとの義時の命を伝えますが、戦うつもりはないと泰時は再び寝てしまいます。あきれ果てた初は何かを取りに出ていき、北条朝時は「期待されて生きるのがそんなに辛いですか。誰からも期待されないで生きているやつだっているんだ」と泰時を叱咤します。そこに、戻ってきた初が桶いっぱいの水を泰時に浴びせます。
義時の先導で実朝や千世、三善康信らは西門から抜け出ます。それに続いて知家が政子と実衣を守りながら出ていきます。そして義盛の軍勢が南門から御所に突入しました。立ちはだかるのは義村です。義盛は気合十分で義村軍に斬りかかります。西門にも和田勢が集まり、泰時の号令で斬り合いが始まります。
戦は深夜まで続きます。炎上する鎌倉の町を見下ろせる八幡宮で、結局は義時の思う通りに事が進んだと政子が皮肉ると、「戦は大義名分のある方が勝つ」と冷静です。トウが現れて義時が席を外すと、実朝は御所に源 義朝のどくろを忘れてきたとつぶやきます。知家は警護のために動けないと知り、御所を知り尽くした広元が戻って取ってくることになりました。政子は広元の手を取り感謝します。
西門警護にあたる泰時はいつの間にか酒を入手していて、御家人同士が戦わなければならないこの世の中について愚痴を言いながら、酒をあおって柱に寄りかかり、すぐに眠ってしまいます。そして和田勢の攻撃をかわしながら御所に戻った広元は、無事に八幡宮にどくろを持ち帰ることが出来ました。実朝も政子も、そして義時も、そのどくろを前にただただ無言です。
由比ヶ浜まで退却した和田勢は軍勢を立て直します。恐らく実朝は八幡宮と狙いを定めて攻撃する予定です。握り飯をほおばる義盛は巴御前を前に、北条や三浦は蹴散らしてくれる! と砂を蹴り上げます。自分が執権……いっそ鎌倉殿になると言い出す義盛に、不安げな表情をのぞかせる巴御前ですが、のんきな義盛につられて笑っています。
西相模の御家人たちが鎌倉に向かっています。彼らが和田勢に加わればこちらに勝ち目はないと、義時は、彼らに北条方へ味方するよう御教書(みぎょうしょ)を送ろうとしますが、それに花押を記せば北条と和田の戦が実朝と和田の戦になるという康信の助言によって、実朝はこれを拒否します。義時は康信をギロリと睨み、義盛は謀反を起こしたのでありこの戦を止められるのは鎌倉殿しかいないと迫ります。
気持ちよく寝ていたところを盛綱に起こされた泰時は、しばらく置き盾で和田勢からの矢の攻撃を防いでいましたが、後ろに並ぶ民家から戸板を集めて集団で一歩一歩和田勢に近づいていきます。その間に西相模の御家人たちが寝返ったと知った義盛は、怒りに任せて北条勢に攻撃を仕掛け、泰時らは戸板を盾に和田勢に斬り込みます。そしてついに和田勢を敗走させることが出来ました。
北条方の勝利は目前となったとき、義時は和田を降伏させるために実朝を陣頭に立たせて言葉をかけさせようとします。危険だと反発する実衣ですが、政子は戦とはどういうものか見て来いと賛成します。実朝は、自分の言葉であれば義盛は降伏に応じるかもしれないと義時の言う通りに動きますが、義盛の命は取らないようにと求めた実朝に、義時は黙ったままです。
これ以上の争いは無用! と、鎧に身を包んだ実朝は義盛に降伏を促します。憎くて挙兵したわけではない義盛の気持ちを理解する実朝は、「お前に罪はない、これからも私に力を貸してくれ」と叫び、その言葉に義盛は感涙にむせびます。ここまでじゃ、と義盛は息子たちに振り返った時、義村が示し合わせて櫓の上から義盛に向けて矢を放つように命じます。そして実朝が止めるのも聞かず、次の矢が……。
全身に矢を受け、血を吐き膝から崩れ落ちる義盛。「これが鎌倉殿に取り入ろうとする者の末路にごさる」 義時の言葉を合図に北条方が一斉に攻めかかり、和田勢は次々と斬り倒されていきます。義盛を失ったからか自分の無力さからか、目の前で戦を見たからか、実朝は声を上げて泣き崩れます。実朝を支える泰時は、八幡宮に連れ戻すように義時に命じられますが、泰時は義時の後姿をギロリと睨みつけます。
由比ヶ浜で巴御前は義盛の最期についての報告を受けます。もしも自分が死んだら鎌倉から離れろと義盛に言われていた巴御前は、義盛のいない世に未練はないと主張していましたが、結局は義盛の言う通り、鎧を身に着け馬上の人となって北条方を蹴散らし、落ち延びていきます。こうして、2日にわたって繰り広げられた和田合戦が終結しました。
和田方の首は固瀬川に晒します。傷を負い手当てを受けるもの、親に駆け寄る子どもたち、そして死者であふれかえる鎌倉をとぼとぼと歩く実朝は、政とはこんなに多くの者の骸(むくろ)を必要とするのかと愕然とします。実朝が歩く後ろから、複雑な思いで歩き巫女のおばばが鎌倉のありようを見つめていました。
多くの者の犠牲の上に鎌倉があると言う義時は、人を束ねていくのに大事なのは力と諭します。力を持つ者に人は恐れ、恐れることで人はまとまるとは、源 頼朝に教わったことです。実朝は、これからは政のことは相談しながらやると考えを改めますが、その相手は幕府宿老ではありません。「万事、西のお方にお考えを伺っていく。心を許せる者はこの鎌倉には……おらぬ」
実朝の元を下がってきた義時の前に、泰時らが手をついています。泰時は、戸板で矢を防いでいったのは朝時の策だと言い、朝時は役に立つ男だと謹慎を解くように求めます。義時はそんな朝時を許し、自分に仕えるように命じます。自分の手柄を朝時に譲った泰時に、朝時は何か言いたげでしたが、泰時は正面を向いたまま、朝時に「役に立つ男になってくれ」とつぶやきます。
義盛が亡くなったことで、義盛が担っていた侍所別当を引き継ぎ、政所別当と兼任することになりました。すごい! と称賛する時房の横で、「あなたの望んだとおりになったではないですか」と皮肉を言う政子に、とんでもないとフンと鼻で笑います。実朝は、頼朝や頼家をも超えようとしているのです。
安寧の世を作る──私の手で新しい鎌倉を作る。そう決意した実朝は、伝来のどくろを高く掲げます。その時、地響きが鳴り出し、大きく揺れ始めます。5月21日、関東に大きな地震が起こったのです。義盛が討ち死にしてから18日目のことでした。
「山は裂け 海は浅(あ)せなむ 世なりとも 君にふた心 わがあらめやも」 実朝が後鳥羽上皇に送ったもので、ちぎけるほどに尻尾を振る犬のようです。義盛を討ち取ってすぐの大地震に天はお怒りと笑う慈円は、鎌倉に安寧が来るのはまだまだ先だとつぶやきます。
作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
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小栗 旬 (北条義時)
小池 栄子 (政子)
坂口 健太郎 (北条泰時)
瀬戸 康史 (北条時房)
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尾上 松也 (後鳥羽上皇)
市原 隼人 (八田知家)
山寺 宏一 (慈円)
宮澤 エマ (実衣)
秋元 才加 (巴御前)
小林 隆 (三善康信)
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菊地 凛子 (のえ)
横田 栄司 (和田義盛)
大竹 しのぶ (歩き巫女)
栗原 英雄 (大江広元)
山本 耕史 (三浦義村)
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制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:大越 大士・川口 俊介
演出:吉田 照幸
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