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2022年11月20日 (日)

大河ドラマ鎌倉殿の13人・(44)審判の日 ~実朝の右大臣拝賀式 義時vs仲章~

建立した薬師堂に入れる十二神将像のうち、戌神像が京から鎌倉へ運ばれました。残りも作ってあるのですが、運搬にかかる人手が足りなくてまだ到着していません。北条義時は依頼して4ヶ月でここまでやってもらえたと運慶に頭が下がる思いです。義時はふと「こんなにはしゃいでいていいのだろうか」と不安がよぎりますが、身内から右大臣が生まれる喜びが永遠に続くようにと北条政子は祈っています。

公暁は、翌日執り行われる源 実朝の右大臣拝賀式で、その帰り道に実朝を討つと三浦義村に打ち明けますが、実朝を討てば謀反人になるので、御家人の心が離れないように義村は策を練ります。公暁は、北条が父頼家を闇討ちし、謀略で実朝が鎌倉殿になったことを御家人たちに知らせ、本来鎌倉殿には誰がなるべきなのか示すつもりです。義村はそこで「打倒北条」を掲げ、御家人たちを引っ張っていくことを提案します。

──ともに鎌倉殿の子として生まれながら、別々の道を歩んできた二人。運命は、神仏の前で交錯しようとしている──

建保7(1219)年1月27日。義時が薬師堂を建てることが意外な政子と実衣ですが、半年前に白い犬の夢を見た義時は、もともと話として挙がっていた薬師堂建立を急ぐように指示したのです。実朝の拝賀式も本日終わり、頼仁親王を鎌倉殿として迎え入れる準備に入りす。実衣は頼仁親王の次の鎌倉殿に息子の阿野時元を据えようと考えていますが、無位無官の時元が鎌倉殿になることは絶対にないと突き放します。

北条泰時は拝賀式の流れを打ち合わせています。弟の北条朝時は、前年の左大将任官の時と一緒だと軽く見ていますが、右大臣拝賀式ともなれば京から大納言をはじめ公家衆の参列もあり、名だたる御家人たちが終結する大きな行事になるので、混乱がないようにしなければなりません。朝時は前日、鶴岡八幡宮の僧に行列の並びを聞かれて教えましたが、軽々しく教えたことを平 盛綱にとがめられます。

八幡大菩薩に右大臣任官のお礼参りをするつもりの源 実朝は、改めて政子に礼を言います。自分に跡継ぎができないことには一切触れず、立派な跡継ぎを京から迎えるために尽力してくれたことを、政子に感謝しているのです。「聞いたところでどうにかなるものでもないですから」と笑う政子は、それで満足なのです。

 

源 仲章は貝合わせをしているのえを見て、今日は特にお美しいと歯が浮くような言葉でのえを気分よくさせています。仲章は義時のこれまでの苦労を労わりつつ、頼家が北条に討たれたといううわさの真実を聞き出そうとします。よく知らないと話をぼかすのえに顔を近づけて「聞きたいなぁ~」と甘えた声を出す仲章に、のえは義時がやったことではないと引きつった笑いです。

仲章と別れるところののえに気づいた義時は、どうして御所まで来たのかとのえを叱ります。今、仲章は義時落としに躍起になっているので、余計なことを話されては困るのです。手は握っていませんから、などと言い訳をするのえですが、義時にはそんな浮気風情のことはどうでもいいのです。ムッとしたのえは、「私をみくびらないで!」と怒ってしまいます。

鶴岡八幡宮では拝賀式の準備に急ぎながら、指揮を執る北条時房は空を見上げて天候を気にしています。そして公暁の世話役である駒若丸が八幡宮に蓑を運び込んだのを目撃した盛綱は、泰時に報告します。参籠の途中である公暁は外出できないはずだし、駒若丸は三浦義村の子であることを考えると、泰時の脳裏に一抹の不安がよぎります。

泰時から報告を受けた義時は、泰時を伴って義村のところへ出向き、公暁が謀反を企んでいるのではないかと問いただします。公暁には鎌倉殿にとって代わる考えは微塵もないと、義村は襟を正しながら返答します。そういうことだと義村を黙って帰した義時は、義村の背中を目で追いながら「あいつは、言葉と思いが別の時、必ずこうする」と、襟を正すそぶりを真似て泰時に説明します。

義時はさっそく実朝に拝賀式延期を申し出ますが、仲章は大納言たち公家衆も鎌倉入りしている現状では無理だと反発します。そもそも公暁が自分を狙っているというのが信じられない実朝は、その話よりも御所を京の六波羅に移す考えを義時に表明します。頼朝が作った鎌倉を捨てるということに反対を唱える義時ですが、まだまだ先の話だと言われてしまいます。

考え込んでいる義時に仲章は、頼家薨去と一幡死去の真相をのえから聞いたとかまをかけますが、義時にはお見通しです。ただ仲章はとことんまで調べ上げ、義時を主殺しの罪人としてつるし上げるつもりです。仲章が鎌倉に来た目的は“人の上に立ちたい”わけです。義時はお前には無理だとフンと鼻で笑いますが、仲章は義時を睨みつけます。「血で穢れた誰かより、よほどふさわしい」 

自分が望んだ鎌倉は、頼朝が亡くなった時に終わったと弱音を吐く義時に、大江広元は義時が頼朝から後を託された人物なので、途中で放り投げることはできないと励まします。義時の前に立ちはだかる者はみな、同じ道を歩んできました。仲章には死んでもらいましょうと広元から背中を押され、義時はトウを刺客として送り込みます。

 

雪が降ってきました。拝賀式は公暁と殿上人、御家人のみで執り行われることになりました。泰時は三浦屋敷を訪問し、警護の兵の数の多さを気にしています。そして対応する義村へ、儀式への参列を控えるように伝えます。泰時が帰った後、感づかれてしまったと今日の決行は取りやめると公暁へ伝えに行かせます。

戻った泰時は、北条から警護する兵を増やしたいと義時に提案しますが、その必要はないと断られます。謀反を示す証拠が何ひとつないのです。泰時から見ればこれだけ証拠が揃っている話もないわけで、泰時は食い下がりますが、義時は取り合いません。「これ以上の詮索は無用だ。めでたい祝いの日に水を差すな」

義村から決行中止の話を聞き、公暁は三浦のことは忘れて自分と手下の者たちだけで実行することにします。そこに母のつつじが訪ねてきました。

つつじは、千日参籠を何度も抜け出す公暁の不穏な動きを咎めます。右大臣実朝を恨む気持ちを理解しつつ、公暁には公暁の、八幡宮の別当になって鎌倉殿を支えるという道を歩んでほしいと訴えます。頼家事件の顛末を知っている公暁ですが、それでもなおつつじは、命を危うくしてはならないと公暁を説得します。

泰時は鎧一式を用意し、実朝にはこれを着用して拝賀式に臨むように説得します。公暁が自分の命を狙っていると信じない実朝はフッとため息をつき、いらぬと返答しますが、泰時はなおも食い下がり、小刀を差し出します。「聖なる本宮にそのようなものを持って上がったら、罰があたる」と実朝は深くため息をつきます。

戌神像を見つめる直衣姿の義時は、よほどひどい顔をしているようで、戌神はお前の守り神だから好きなだけ拝んで行けと運慶に笑われます。義時は時房に、仲章には死んでもらうと打ち明けます。拝賀式の最中に公暁が実朝の命を狙うと読んでいる義時は、あえて泳がすことにします。鎌倉を捨てて武家の都を京へ移そうと画策する実朝に鎌倉殿を続けさせるわけにはいかず、ほとほと愛想が尽きたのです。

 

公暁が自分を恨む気持ちは分かるものの、なぜ鎌倉殿の座に執着するのかが理解できない実朝は、当時のことを知る数少ない一人である三善康信に真相を尋ねます。康信の表情から血の気が引いていきます。そしてそのころ、書状をしたためる仲章の背後に音を立てずに近づいてくるトウの姿が……。

政子のところへ出向いた実朝は、なぜ黙っていたのかと問い詰め涙を流します。公暁は出家したといっても、それは政子が無理やり出家させたからで、公暁を守るためではなく、頼家が比企と近かったからだと実朝は考えています。「すべては北条のため……私は鎌倉殿になるべきではなかった」 実朝は、公暁を蔑(ないがし)ろにしてどうして平気なのか、頼家がそんなに憎いのかと政子を批判します。

すべてを知った実朝は公暁に頭を下げて謝罪します。しかし幼いころから何不自由なく暮らしてきた実朝に、父母の悔しさ、自分の恨みなど分かるはずもないと反発します。父を殺して実朝を担ぎ上げた北条が許せない公暁ですが、北条を許せない思いは実朝も同じです。鎌倉を源氏の手に取り戻すと手を組むことを提案する実朝に賛同しますが、公暁の目は怒りに満ち満ちていました。「だまされるものか」

自分たちがしてきたことを背負って生きるしかないと、義時は政子を諭します。すべて義時が決めてきたことだと政子は反論しますが、その時に正しいと思った道を選んでここまでやって来たわけで、自分たちはいつでも正しかったと説得します。まもなく拝賀式が始まると実衣が伝えに来て義時も式に向かいますが、広元の取り計らいで拝賀式の様子を見せてもらうことになったと実衣は浮かれています。

 

拝賀式に向かう行列に、太刀持ちとして加わる予定の義時は、実朝を斬った公暁をその場で討ち取るつもりです。義時がふと顔を上げると、そこには仲章が立っていました。仲章を狙ったトウを捕らえたそうで、「しくじったなぁ……」と明らかに義時をバカにするような表情の仲章は、渡せとばかりに義時に手を広げて差し出します。

実朝は見送る千世に、このような官位を下さったことと千世と引き合わせてくれたことの2点を後鳥羽上皇に感謝しなければならないとつぶやきます。フッと笑顔を見せる千世に見送られて、実朝は拝賀式のために八幡宮に向かいます。夕方から降り始めた雪が、うっすらと積もり始めてきました。実朝を先頭に、石段をゆっくり上っていく行列。八幡宮の門が閉ざされます。

三浦屋敷では、八幡宮に向かうように勧める三浦胤義に、義村は「ならぬ」と厳命します。公暁が本懐を遂げたその時こそ、三浦が立ち上がる時であり、それまでは動いてはならないというのです。

警護に当たる泰時のところに、偵察に行っていた盛綱が戻って来ました。公暁は別当房にはおらず、中には拝賀式帰りの行列の並びが記された紙が残っていました。大銀杏の裏に潜むつもりのようです。黒丸に朱で×が記されたのが実朝、そして白丸に朱で×が記されたのは、太刀持ちの義時──。泰時も朝時も表情が一変します。

粉雪は、戌の刻を過ぎたあたりから牡丹雪となっていました。


作:三谷 幸喜
音楽:エバン・コール
語り:長澤 まさみ
題字:佐藤 亜沙美
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小栗 旬 (北条義時)
小池 栄子 (政子)
坂口 健太郎 (北条泰時)
瀬戸 康史 (北条時房)
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宮澤 エマ (実衣)
相島 一之 (運慶)
小林 隆 (三善康信)

生田 斗真 (源 仲章)
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菊地 凛子 (のえ)
栗原 英雄 (大江広元)
山本 耕史 (三浦義村)
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制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和
プロデューサー:大越 大士・吉岡 和彦
演出:保坂 慶太

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