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2022年12月18日 (日)

大河ドラマ鎌倉殿の13人・(48)報いの時 [終] ~最終回!義時の最期 承久の乱勃発~ + パブリックビューイング&トークショー「鎌倉殿の最後の一日」

(敬称略)

鎌倉女子大学岩瀬キャンパス・松本講堂。スクリーンには『鎌倉殿の13人』のタイトル題字が映し出されている。舞台裏では各所スタッフに指示を出すディレクターたちの姿もある。
スーパー
──2022年12月18日 日曜・最終回放送当日──
石井美江(以下石井) (ホールの観客に向けて) ついに、この日がやってきてしまいました。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が駆け抜けた一年のラストを、みなさんとしっかり、この目、そして胸に焼きつけて……。
ディレクター (スタッフに向けてインカムで) スタンバイ……、2、1の、キュー。
石井・西本たける(以下西本) どうぞ!
(テーマ音楽が流れる)
(観客からの盛大な拍手)
(演者全員が袖から舞台上へ) (正面左から宮澤エマ・坂口健太郎・小池栄子・小栗 旬・宮沢りえ・山本耕史・菊地凛子)
西 本 いらっしゃったよ! みなさん……北条家が!
石 井 どうぞおかけください。どうぞ……。
スーパー
──ズランドフィナーレ・「鎌倉殿」の最期の一日──

スーパー
──司会 石井 美江・西本 たける (北条朝時役)──
石 井 これだけのメンバーに、みなさんに 一つひとつお話し伺っていきたいんですけれども。
西 本 はいはいはいはい。
石 井 では、どんどんお題トークに入っていきたいと思います。
西 本 はい。
石 井 これから運ばれてくる箱の中に入ったお題を引いて、みなさんで自由にお話しいただくだけという、シンプルなルールでございますので、みなさんお話ししてくださいね。(スタッフがお題の入った箱を運んで設置する)
(箱からお題を引く小池)
小池栄子(以下小池) はい。
西 本 さあ、引いていただきました。
スーパー
──小池 栄子 (政子役)──
小 池 「『鎌倉殿の13人』を1年間応援してくれた全国の武衛たちに、いつまでも忘れないでほしいと願うことは?」 うわぁ、なんかすごい大きなテーマで。本当に全国の武衛のみなさまの、あの応援の声というのは、私たちに直に届いていましたので、みなさんがこう見守ってくれて、その上で私たちがお芝居できたという。「一緒に作ったんだ、この大河ドラマは」ということは、みなさんに忘れないでいただきたいと思います、はい。
西 本 うん!
(観客、拍手)
宮澤エマ (以下エマ) さすが姉上!
西 本 さすが姉上!

石 井 次に行きますかね。
西 本 はいはい。
石 井 次は坂口さん、引いてください。
スーパー
──坂口 健太郎 (北条泰時役)──
坂口健太郎(以下坂口) 「来年ももう一年、大河ドラマで走っていただきますと言われたら?」
西 本 来年もう一年、大河ドラマで走っていただきますと言われたら?
坂 口 これはでも、やっぱりもう一年……もうみなさんそうですけど、主演でやり遂げた小栗さんから。どうですか?
小栗 旬(以下小栗) 全然全然。やりますよね、一年ね。
スーパー
──小栗 旬 (北条義時役)──
小 池 やりたーい。
小 栗 やりますやります。
西 本 全然やれる?
小栗・小池 全然やれる。
小 栗 あと3年ぐらいやれる。
西 本 3年ぐらいやれる!?
(観客の笑い声)
小 池 それぞれのスピンオフだって見たいしね?
西 本 それぞれのスピンオフ!?
(観客の拍手)
西 本 めちゃくちゃ楽しいじゃないですか?
小 池 それぐらい楽しかった。
石 井 私のスピンオフ、こんなの書いてほしい! みたいなの、みなさんありますか?
西 本 おー、なるほど。
エ マ なんかでも、転生ものやりたい! みたいな話、しませんでした? どこからやり直したらこうならないのか、みたいな。
西 本 あーなるほど。
小 栗 あー。
スーパー
──宮澤 エマ (実衣役)──
エ マ 最初に戻ってもう一回、みたいな。
石 井 転生もの……。
西 本 いなくならなくて済むかもしれないっていう。
エ マ もう何度でも何度でも、こう正しい道に行けるかトライする、みたいな。
小 栗 でも朝時はたぶん出てこないと思う。
西 本 なんで?
(観客の笑い声)
西 本 出してくださいよ!
坂 口 確かに。
西 本 「確かに」って、ちっちゃい声で言わないで! ハハハハ。

(お題を引くエマ)
エ マ 「大河で最後まで生き残っている役って、どう?」
西 本 あぁーなるほど。今回ね、みなさまやっぱ、最終話までいらっしゃるみなさまなんで。
小 栗 そっか! ここにいるメンバーみんな生き残り組ですよね。
石 井 全員それぞれの思いがあると思うんですが、どうですか?
小 栗 いやでも、今回みたいな散り際のカッコよさを書いていただけるなら、あの……早く死んだ方がいいなって思いますね。
西 本 ハハハハ。
スーパー
──山本 耕史 (三浦義村役)──
山本耕史(以下耕史) やっぱり大河ってこう……あの途中で花を咲かせて花火上げて去っていくっていうのも、大河のひとつのこう……醍醐味というか。だからすごく全うできるんだけれども、ま、よくも悪くも生き残る側っていうのはまだ続いてるので、何かこう僕の中で、まだ義村っていうのは生き続けているっていう、何かまだそういう思いなんですよね。だからそこは何かこう、まだ終わってない感もあるかな?
西 本 そうですね。
小 栗 どうですか? 終わってない感ありますか?
小 池 終わってない感は? りくさんは?
宮沢りえ(以下りえ) 私は、うん、でもまぁきょ……ん? 言っ……ていいんでしたっけ?
(観客の笑い声)
小 栗 そこがね!
エ マ ドキドキドキドキ!
西 本 そう……ですね。
小 栗 そこがね! また微妙なんですよいろいろと。
西 本 アハハハ。
り え あれ? ちょっと今、なんかね……。
小 栗 ここにはなかなか踏んじゃいけない地雷がいっぱいあるんです。
スーパー
──宮沢 りえ (りく役)──
り え そうですね(笑)。とにかく生命力がある役ですからね。でもあの、みんなね、あの……散り際がかっこいいシーンを見ると、あれはあれでいいなと思いましたね。あの畠山とか、かっこよかったですよね。
小 池 かっこよかったぁ!
り え かっこ良すぎじゃないかっていうぐらいかっこよかったですよね。

(お題を引く菊池)
スーパー
──菊地 凛子 (のえ役)──
菊地凛子(以下菊池) (手を入れる場所を間違える) こっちでした。
西 本 はい、そうです。それは回収用の袋です。ハハハハ。
菊 池 ちゃんと読めるかな。えー、「最終回まで死なないでほしかった登場人物1位は?」
西 本 おっ。なんかちょっとリンクされていますね、今のテーマと。
小 栗 1位ってなかなか難しいですよね。
西 本 確かに。決めきれないですよね。
小 栗 いやでもなんか、47話の演説のね、あれを見ると、じゃああそこにこの人いたら、あそこにこの人いたら、あそこにこの人いたら、どういう行動取ったんだろう? みたいなのは思いますよね。和田義盛があれを聞いたらどういう行動をとって、畠山がいたらどういうふうにそれを聞いてたのかとか。なんかそういうのは、すごく47回の演説のシーンは感じましたね。
小 池 畠山さんは、でもやっぱり……なんか……つらかったな。
西 本 つらかったですね。
坂 口 僕はもう、目の前であの……いなくなって、命をこう、つなぎ留められなかったって考えると、やっぱ実朝、頼家っていうのは。うーん、ちょっと、あの多分2人が生きてたら、またすごい変革があったと思うんですよ。今のこういう、もちろんそれはないから史実なんですけど、でもあの2人の時は、ちょっと切なかったですね。目の前でダメだったっていうか、うーん。
小 栗 いや、でもさっきのね、転生したらの話になった場合、ホントにもし転生できるなら、政子が頼朝と結婚するっていうのを必死に止めに行きますよ。
西 本 アハハハ。
小 池 そうだねー。
西 本 そこがすべての始まりだもんな。
エ マ 間違いない!
小 栗 それ結婚しなきゃ、この人生なかったんで。
西 本 めちゃめちゃ平和でしたね。
小 栗 多分、伊豆の豪族の、まぁ……ね、小さな北条家で、もちろん戦にも巻き込まれただろうし、いろんなことあっただろうけど、こんなにね。
西 本 アハハハ。
小 栗 こんなに大変な権力の中に放り込まれなくて済んだと思います。
西 本 ずっと緑のかわいらしい衣装だったかもしれませんね。黒にはならなかった。
エ マ でも逆に頼朝さんが亡くならなかったら、あんなにドロドロ……しなかったんですかね私たちは。
小 栗 それもあるかもしれないですね。
西 本 アハハハ。
石 井 実衣さん、でも「結婚したからいけなかったのよ!」って怒ってましたよね?
エ マ 何か急に怒ってましたね。すごいたまりにたまったものがあったんでしょうけれど。
小 池 だから全成さまとも会えたんだけどね。
エ マ そうなのそうなの。姉上が出会ってなければ全成さんとの出会いもないので、なんか「それを言っちゃあ」って感じは……中の人は思ったんですけど。でもまぁ、そういう不幸の中にも幸運があるっていのうが人生っていうか。

西 本 まだいけますか?
石 井 宮沢さん。いいですか? まだいけます。
西 本 お願いします!
石 井 どんどん引いていきましょう。
(お題を引くりえ)
り え えー! 「VTRの用意はありませんが、自分のシーンでなくても、『鎌倉殿の13人』といえばこれ! というシーンは?」 あー。
西 本 なるほど。
石 井 たくさんあるんじゃないですか? みなさん。
西 本 自分のシーンでなくても。『鎌倉殿の13人』といえばこれ! これもまた決めきるの大変ですね。
り え えー。私、でも、あの自分が出てるとこじゃないんですけど、最後にもう、本当にみんな悲しみ苦しみを持ちながら、あの……オンバラン……ブリン……ビーヤみたいな?
(観客の笑い)
エ マ オンベレブンビンバ?
小 池 いやいや全然違う。
西 本 全然言えてない! りえさん全然言えてない!
石 井 頑張ってください!
エ マ あのシーンにね、いらっしゃらなかったから。
小 栗 全然「オ」しか合ってなかったけど?
西 本 びっくりしちゃった今。
石 井 分かりました分かりました。
小 池 オンベレ……ブンビンバ。
り え それそれ。あのシーンがホントに切なさと、笑いと、この北条家の家族っていうものの、何かこれから……そこからこう、散らばっていくじゃないですか。なんかあのシーンがね、私はなんかこう、三谷さんの作品……ならではのシーンだし、台本をいただいてこう読んだときに、もう声出して笑っちゃって、で、このシーンどうなるのかな? ってやっぱり、自分が出てないから、あのすごく楽しみだったし、何かとっても家族を象徴しているいいシーンだったな……あ、好きなシーンでした。
西 本 実朝を抱きかかえながら、義時を……の背中を見る泰時の表情がすごい好きで、それを次の日に伝えたんですよ。泰時さん、あれめちゃくちゃよかった。「よね~!」って。
(観客の笑い)
西 本 「よかったよね~! あれ俺~!」って。
坂 口 いやよかったよね!
西 本 よかった! アハハハ。
坂 口 よかったんですよ。最高でした。
西 本 あの噛みしめながら去っていく義時も最高でしたし、あの流れを。
坂 口 あれ切ないですよね。あの父上が最後、その……行って、あの去っていくときの父上だけの表情が分かる。で奥では合戦をしてるっていう、あの時の。なんか切ねえなぁって。で、でもそこで、そういう選択を取んなきゃいけないっていう父上の気持ちもわかるけど、あの「放て」って一言でね、こうやっちゃって、ひどいぜって思ってましたね。
西 本 あの「放て」は冷たかったですね!
坂 口 いやぁ冷たかったです、本当に。
耕 史 誰が言った?
坂 口 いやいや耕史さんが言ったんですよ、耕史さん。
耕 史 誰が言った!
西 本 僕が言いました。僕が言いました。
小 栗 これ……ね、今のはちょっと、今日いい感じなんじゃない? でも……あとはやっぱ、義村の肉体美ですよね、『鎌倉殿』といえば。
(観客の笑い声)
(観客の拍手)
小 池 確かに確かに。
耕 史 そうですね。うーん、まぁあれはね。僕から脱ぎたいって言ったわけじゃないんですよね、うん。
西 本 アハハハ。
菊 池 私……そうですね、でもどれも好きなんですけど、やっぱり最初、第1話……の、私はやっぱり北条政子さんが、こう頼朝さまにキャピッてなってるところで、ちょっとクルッとするところがあって。
西 本 はいはいはいはい。
小 池 (大きく頷く)
菊 池 やっぱりあそこからすべてが始まっていくのかなって。
小 栗 あそこかわいいんだよな、政子さん。
菊 池 かわいいんですよね。そこから今の、やっぱり北条政子に至るこの過程っていうのを、やっぱり改めて結構好きですね、あのシーンはとってもとっても。何ものでもまだなく、娘だったころの政子みたいなのが好きです。

石 井 山本耕史さん、引いてください。
西 本 お願いします。
(お題の箱に歩み寄り、目の前にいる坂口に深々と一礼)
(観客の笑い)
西 本 おっ? 卒業式? 何?
小 池 (指さし) この2人、いっつもふざけ合ってるから。
西 本 いっつもっすよね! ホントに。
坂 口 違う違う。耕史さんですよ!
(やり取りに構わずお題を引く耕史)
小 池 仕掛けるからね。ほらもう無視してんだから。
(観客の笑い)
西 本 もういいんだもん。飽きてんだもん。
耕 史 好きな筋肉の部位は?
西 本 書いてあるかぁ!
(観客の笑い)
西 本 そんなん書いてあるかぁ! なんで耕史さんが引いてそれ出るんすか!
耕 史 それを言ったらまぁ、市原隼人の大胸筋……。
(観客の笑い)
西 本 みんな好き。みんな大好き。
石 井 みんな大好き。
耕 史 「最終回に限らず、台本を受け取って最も悩んだところ」
西 本 あー、これみなさんの聞きたい。
耕 史 僕引いたから最初に言いますけど、僕はね、唯一今日のシーンかな。
西 本 ほう。ほう。
耕 史 一番最後の最後に、割と三谷さんからも、あの「このシーンはちょっとホントに難しいです」っていう。
西 本 へぇー。
耕 史 あの……珍しくそういうのが来たので、「何とかやってくれると信じてます」みたいな。だからあそこは結構悩んだっていうか、すごいこう、計算してったかなぁ。
小 池 りくさんとか実衣ちゃんがお子さんを亡くした時に、あの……こう、取り乱してる姿を見て、本当に何か、ようやく私の気持ちも分かってくれたかとは思ってた。私が子どもを亡くして辛いって時に、りくさんに「もう忘れて前に進みなさい!」って言われて。
(観客の笑い)
西 本 ハハハハ。
り え (うつむき、頷く)
小 池 「りくさん、この気持ち分かってくれた? 今」っていうのは、撮影しながら思ってましたよ。この(りえとエマの)2人がタッグくんでたんだよね、あの時。
り え そうそうそう。
小 池 ね!
エ マ あのシーンも面白かったな。すごいこと言うな、強いなと思った。
西 本 ハハハハ。

石 井 そんなね、生き残る辛さを抱えながらここまでやってきたみなさんなんですけれども。
西 本 はい。
石 井 そろそろ、最後の時が。
西 本 ほう!
石 井 迫って参りました。ここで、最終回を前に、クランクインした日の自分に、今伝えたいことっていうのを伺っていきたいんですが。
小 栗 初日の自分に? うーん、難しいですけど、僕は、どちらかというとその、その日の自分にもしねぎらいの言葉をかけていると、僕は楽をしようとしてしまうので、多分「お前けっこうヤバいから、マジで頑張ったほうがいいよ」って伝えると思います。
西 本 ケツをたたくスタイルで。
小 栗 うん。そうすると、多分同じことを繰り返せるのかな、今回のように。
小 池 さすが。めっちゃかっこいいね、今の。
エ マ かっこよすぎ。
石 井 かっこいい! かっこよすぎ。

スーパー
──いよいよ最終回が放送開始──
ホール内に放映開始のブザー音。
スーパー
──キャストはスタッフとともに別室でオンエアを見守った──

 

鎌倉幕府による公式の歴史書である「吾妻鏡」。源 頼朝が挙兵してからの出来事が詳細に記録してあります。永禄7(1564)年、三河の城でそれを熱心に読んでいるのは、後の征夷大将軍となる徳川家康です。家康もまた、坂東に幕府を開くことになります。家康は、吾妻鏡の愛読者でした。「いよいよ承久の乱の始まりかぁ……」と期待に胸を膨らませる家康は、器をひっくり返して吾妻鏡を汚し、慌てています。

──上皇は全国に義時追討を命じた。鎌倉は徹底抗戦を選ぶ。この国の成り立ちを根こそぎ変える戦乱が、目の前に迫っている──

北条政子の演説の効果もあり、御家人みんなが鎌倉幕府のために戦う気になって盛り上がっていますが、三浦泰村は本気で上皇と戦うつもりがあるのかと疑問視しています。実際、鎌倉の守りを固めるのが一番だとか、京まで攻め込むのはどうかと思うとかという声もちらほら聞こえ、あれが御家人たちの本音だとつぶやきます。「できればみな、戦いたくないのよ」

どうして止めなかったと、二階堂行政は朝敵になってしまったイライラを隠し切れませんが、どことなくのえは涼しそうな顔です。京と鎌倉が戦を構え、北条泰時や朝時にもしものことがあったときは北条の跡取りが政村になるわけで、のえとしてはむしろ戦でぐちゃぐちゃになるのを期待しているようにも見えます。ただ、泰時や朝時にもしもの時は鎌倉は灰になっていて、北条を継ぐとかいう話どころではないです。

軍議では、北条時房が全軍を率いて東海道を進み一気に京に攻め上ると提案しますが、兵が集まらないと泰時は難色を示します。ぐずぐずしているうちに士気は下がると、大江広元は焦りを募らせます。北条義時は自ら総大将になると言い出しますが、上皇側は義時の首を狙っているわけで、政子に止められます。三善康信も一刻も早く出陣すべきと主張し、政子は康信の顔を立てて意見を取り入れることにします。

義時は泰時に総大将として先陣を切って京に上れと命じます。兵が集まるか未だに不安がっている泰時は、何人で戦うのか義時に尋ねます。頼朝が平家に反旗を翻した時、緒戦の山木攻めでは24人でした。今回は、泰時を入れても18人しかいません。言葉を失う泰時の肩に、義時は手を乗せます。「鎌倉の命運……お前に託した」

屋敷に戻った義時は考え事をしています。のえは、このような大事を妻である自分にどうして打ち明けてくれなかったのかと穏やかに尋ねます。言ったら反対しただろうと義時はつぶやきますが、悩んだ末に言わなかったような物言いはやめてほしいと微笑みます。大事を他人から初めて聞かされるという 妻の立場をなくした行動に、のえは怒りこそ見せませんが、冷静に咎めます。

泰時が鎌倉を発ったと長沼宗政が伝えに来ました。義村は時を移さず出陣し、従軍するように見せかけて、木曽川を境に反旗を翻し泰時軍に攻め込むことを思いつきます。泰時の首を手土産にそのまま上洛するつもりなのです。義村はニヤリとします。そして泰時軍は総勢1万に膨れ上がり、策が当たったと義時の手腕に感心します。

 

後鳥羽上皇の元には、義時からの書状が届いていました。東海道・東山道・北陸道、総勢19万の軍勢で上洛するので、西国武士との合戦を御簾の隅から見ておけと、いわば挑戦状です。藤原兼子は怒りに肩をワナワナ震わせます。藤原秀康によれば、今すぐ動かせる兵は1万あまりとのことですが、上皇は19万という数字そのものがまやかしだと思っています。

6月5日、泰時軍は秀康軍と木曽川で衝突します。圧倒的兵力で官軍を打ち破り、勢いに乗った泰時軍はそのまま京に向かって進撃します。官軍は京の最終防衛線である宇治川の橋板を外し、死守する構えです。無理に宇治川を渡った兵たちは次々と川に流されていく有り様で、泰時軍はここで足止めを食らってしまいます。泰時軍はいったん宇治の平等院に入り策を練ります。

策を長考している泰時らに、義村ははっぱをかけます。戦の経験がないことをバカにする義村に、ジジイうるせぇんだよ! と朝時が口を滑らせ、義村はムッとします。川を渡れないときは、それを見越してうんと川上から渡ればいいと義村は助言しますが、わけわかんねぇんだよジジイと朝時がまたもつぶやきます。「誰が言った!?」と義村は大声を上げます。

泰時は、和田合戦の時に家々を壊して戸板で盾を作って敵の攻撃を防いだやり方を参考に、今回もあり合わせの物でいかだを作って兵たちを向こう岸まで運ぶ策を提案します。ただ、いかだを水中で押す者は鎧を脱がねばならず、向こう岸にたどり着いたときに敵の餌食になってしまう問題点があります。時房に求められ、泰時は総大将としていかだ作りを命じます。

いくつものいかだが作られ、一斉に宇治川を渡っていきます。秀康は矢による攻撃を仕掛けますが、泰時軍はどうにかそれを凌ぎ、ついに対岸へ渡ることが出来ました。迎え撃つ秀康軍はジワリジワリと近づいてくる敵に次第に顔色を失い、勢いに乗って泰時軍は攻め込みます。双方、激戦が始まります。

鎌倉に残った義時は、泰時に預けて返却された小観音を両手で包み、手を合わせて泰時の戦勝を祈願します。政子も読経し、その声に負けじと実衣も加わっての大セッションに早変わりになるのは、いつか見た阿野全成と文覚の戦いのようです。そしてまたカメラさんも、読経に合わせてアップとアウトを繰り返すノリノリさは健在です。

予想外の泰時軍の善戦に、上皇の出陣で流れが変わると考えた義村は、三浦胤義に上皇出陣に動いてもらうことにします。その間にも敵の攻撃は続き、いかだを押して渡ってきた盛綱は矢を肩に受けてしまいます。慌てて駆け寄る泰時ですが、総大将なんだからたじろいでどうすると叱咤されます。我に返った泰時は全軍に進撃を下知し、それを見届けた盛綱は意識を失って倒れます。

鎌倉軍が攻めてくる……上皇は焦りを隠せません。兼子は院御所に赴いた秀康と胤義には上皇を会わせませんが、上皇が出陣すれば士気も上がると聞き、上皇は立ち上がります。しかし兼子は、「守り抜かれよ……楽しまれよ」という後白河法皇の遺言を思い出させます。上皇は意気消沈し、出陣しないと決断します。

祈願の疲れか、政子はつい横になって眠ってしまっています。そっと近づいた義時は「宇治川を越えたわが軍は、ついに京に入りました。太郎が……やってくれました」 と報告します。政子は胸をなでおろすのですが、義時は、これにより歴史上初めて朝廷を裁くという役目を背負うことになりました。

上皇のもとには時房が派遣されます。このような形で再会するとはと時房は複雑そうな表情を浮かべますが、上皇は泰時軍の勝利を褒めたたえ、まるで家臣たちが自分を担ぎ上げて世を乱そうとしたと言わんばかりです。「義時には、そこのところ話しておいてくれ。お前が頼りぞ」 上皇のまなざしを一身に受け、言葉を返せない時房です。

義時から上皇へ沙汰が出され、泰時が院御所へ届けます。隠岐へ配流と聞いて顔色を変える上皇ですが、泰時は言葉を続けます。「逆輿(さかごし)を持ってお送りするものとする。期日は7月13日」 考えた以上に重い裁きに、義時への怒りに震える上皇ですが、その訴えを一通り聞いた泰時は、構わず院御所を下がります。ちなみに「逆輿」とは、罪人が運ばれる時のしきたりです。

上皇は、片膝ついて控える者の中に文覚がいるのを発見します。文覚はかつての土御門通親の暗殺計画の首謀者であり、上皇の政を批判したこともあって隠岐に流されていました。文覚は「隠岐はいいところだぞ~!」と出家した上皇の頭にかじり付きます。上皇はわめきながら逆輿で運ばれていきます。上皇はその後、死ぬまで隠岐を離れることはありませんでした。

戻ってきた泰時に采配が素晴らしかったと義時と時房が褒めたたえますが、上皇への沙汰が隠岐配流でよかったのかと泰時は浮かない表情です。北条は帝一門を流罪にした大悪人になってしまったとこぼす泰時に、大悪人になったのは私だと義時は笑ってみせます。そういえば、と時房が京でりくと会ったことを話し出します。

あんた誰だっけ? と泰時を見てとぼけるりくは、伊豆に残った北条時政の安否を尋ねますが、最愛の夫だったことを知る時房は言いにくそうに、伊豆から鎌倉へ戻ることなく9年前に亡くなったと伝えます。最期はお世話してくれる女の人もいて、幸せだったと泰時は振り返ります。あれでなぜか女の人が放っておけないと寂しそうに笑います。

「あの人は変わらないですね」と時房は笑います。直後、盃を落とす音が激しく鳴り響き、義時の様子がおかしいことに時房と泰時は気づきます。必死に義時に呼び掛けるふたりです。

政子と実衣は孤児たちを呼び、果物やだんごなどたくさんの食べ物を与えています。政子はその席にトウを呼び、この子たちに武芸を教えてやってほしいとお願いしています。「どうせ戦がなくなったら、あなたも暇になるでしょ」という言葉に、トウは嬉しそうな表情を浮かべます。そこに時房が義時の急報を知らせに来ました。

ちょっと目まいがしただけという義時の言葉に、ひとまず安どする政子と実衣です。のえは京から送ってきた薬草を煎じたものを義時に飲ませようとします。義時は「これを飲みだしてから具合が悪くなった気がする」と冗談を言います。のえは自分の言うことは全然聞いてくれないと愚痴を言いますが、前からこんな感じだったと実衣は笑います。何度もため息をつく義時は、諦めたように一気に飲み干します。

政務に復帰した義時を労わる暇なく、京で怪しい動きがあると広元は報告します。承久の乱により天皇の位を廃された懐成親王(後鳥羽上皇の孫=後に仲恭天皇と追諡(ついし))に復権の動きがあるようです。これを許せば上皇まで復権する危険性があるわけです。義時は老いてもなお強気の広元の言を聞き入れますが、泰時は頑として頷きません。「都のことは私が決めます。新しい世を作るのは、私です」

現状、西国の所領を東の御家人たちが手に入れて民を苦しめていて、不満を抱える者たちが先帝を担げば戦になりかねないわけです。泰時はそういった不満があることも知っていて、きちんと決まりを作ろうと考えているのです。やっていいことといけないこと、はっきりと示す。そう言う泰時の言葉に、いま新しい世が来る音がした! と時房も賛同します。

泰時は六波羅探題となってメキメキ自信をつけていると広元は笑います。きれいごとだけでは政は立ち行かないと身をもって知る義時にとって 泰時はとても腹の立つ息子ですが、どこか買っていて頼もしくも感じています。ただ、災いの芽は摘むしかないという考えの義時は、先帝には死んでもらうしかないと判断します。

 

かつて義時が運慶に自分似の仏像を作れと命じていたのですが、さんざん待たせたあげく、あまりにちっぽけなヘンテコな仏像が届けられます。「今のお前に瓜二つよ、どうせお前は引き返すことはできん」と笑う運慶を連れて行かせた義時は、その仏像の前に立ち刀でぶった切ろうと振り上げた瞬間、崩れるようにその場に倒れます。

佐々木秀義の孫の医師は、義時の不調はアサの毒によるものと診断します。義時が言っていた“これを飲みだしてから具合が悪くなった気がする”というのは、冗談ではなく本当だったのです。毒を盛られたというのか……と義時は寂しそうに笑います。医師は毒消しを持ってくると約束し、帰っていきます。

今日も例の薬を飲ませようとするのえに、義時は毒を盛ったのがのえだと確信します。のえの“政村を跡継ぎに”という思いは理解しつつ、跡継ぎは泰時です。八重は頼朝と戦った伊東の娘、比奈は北条が滅ぼした比企の出、その子たちがなぜ跡継ぎかと主張するのえですが、執権に毒を盛った息子だとなおさら跡継ぎにできなさそうな気がします。「もっと早く、お前の本性を見抜くべきだった……」

悔し涙を流すのえは、始めから自分のことを少しも見てくれなかった義時には見抜けないと訴えます。義時は、執権が妻に毒を盛られたとなると外聞が悪いので、離縁はしないが出ていくように命じます。大好きな姉さんたちに看取ってもらってと皮肉を言って去っていくのえは、そうだそうだ、と戻ってきて義時にそっと伝えます。「毒を手に入れてくださったのは、無二の友、三浦平六殿ね。頼りになるお方だわ」

政子はこの先、亡くなった人たちの菩提を弔うことにします。政子は偉くなろうと思わなかったのに偉くなり、狙っていた人たちはいなくなった。「皮肉な話」と言う実衣に、政子は本当に尼御台の座を狙っていたのか実衣に尋ねます。血筋を絶やしたくなかったわけですが、どうかしていたと実衣は振り返ります。人生に一度は人の上に立ちたいものと説明しても、政子にはあまり分からないことかもしれません。

義時は義村を呼び、元気になるからとのえの薬を勧めます。どれだけ勧めても頑なに拒絶する義村にフッと微笑しながら、義村に裏切りの言動があったと宗政が白状したことを明かします。義村は開き直り、自分が裏切っていたら泰時軍は負けていたと考えたらどうだろう? と提案します。薬を勧められてもなおも飲まない義村は、義時に「ほかに飲めないわけでもあるのか?」と疑われ、しぶしぶ一気飲みします。

子どものころから自分が一枚上手なのに、義村は今でも一介の御家人です。義時に恨みを吐き続け、ろれつが回ってこなくなり膝から崩れ落ちます。義時は、これはただの酒で毒は入っていないと種明かしをします。負けを認めた義村に、新しい気持ちでこれからも泰時を頼むと義時は伝えます。「もう一つだけ教えてやる。女子はみなキノコが好き、あれはうそだ」 早く行ってほしかったと義時は唖然とします。

泰時は時房とともに西国に目を光らせるため京に戻ることにします。その間は義時も政務ができる状態ではないので初に面倒を見てもらい、鎌倉のことは朝時に任せます。戦で矢傷を受けた盛綱もなんとか全快し、京へ同行することになりました。もはや朝廷を頼る世ではなく、武士を中心とした政の形を続けていくと時房は宣言しますが、義時の部屋から持ち出した酒を呑んで、なぜだかろれつが回らなくなります。

「ひぃ、ふぅ、みぃ、刺す!」 政子の願いを聞き入れて、トウは御所で孤児たちに武術を教えています。その様子を眺めていた実衣は、トウをそっと呼び出し、動きに殺気がありすぎると注意します。しかしトウはこれでも抑えているつもりで、キョトンとしています。それを聞いた実衣は目が泳いでいます。

泰時はさっそく、武士が守るべき決まり事を書いてみます。学がない御家人でも読めるようなやさしい表現に気をつけるつもりです。「真面目」と初は笑いますが、つまり偉いと褒めているのです。泰時は初めて褒められたとはにかみます。こうして泰時は、江戸時代まで影響を及ぼす御成敗式目を制定します。泰時が政治を行う間は鎌倉で御家人の粛清は一切起こりませんでした。出来栄えに、泰時は満足そうです。

 

人には見せられないから仏像を燃やすつもりです。政子はたまに、後世の人が自分たちをどう受け取るのか考えることがあります。義時は大悪人、政子は稀代の悪女、ただ頼朝から鎌倉を受け継ぎ次へつないだわけで、気にしないことにします。義時は、頼朝が亡くなって血が流れすぎたと振り返ります。梶原景時に始まり阿野時元まで死んでいった者は13人。そりゃ仏像の顔も悪くなると義時は寂しそうに笑います。

政子は真顔でなぜ源 頼家が入っているのか問い詰めます。病で死んだと聞かされていたのです。政子は落ち着いて、嘘つきは嘘を覚えていなければと諭します。母として我が子の最期を聞きたがる政子に、義時は深いため息をついて語り出します。頼家は上皇と手を結び鎌倉を攻め滅ぼすつもりだったため、善児が(修善寺へ襲撃に向かい、頼家と相討ちとなったために最期はトウが)討ち取りました。

身体が動かなくなり苦しむ義時は、返り咲こうとする先帝を何とかしなければと、医者にもらった毒消しを政子に取ってもらいます。義時はこの世の怒りと呪いを全て抱えて地獄へ持っていくつもりなのです。全ては泰時のためですが、手を汚さなくても泰時は新しい鎌倉を作れると、毒消しを床にひっくり返します。義時はこぼれた薬を吸おうと這いつくばりますが、無情にも政子はそれをぬぐい取ってしまいます。

義時は苦しみに悶絶します。確かに義時は、泰時を見ていると賢い八重を思い出すこともあります。でもね、と政子は続けます。「もっと似ている人がいます。あなたよ」 泰時に渡してほしいと義時が指さす先には、かつて頼朝が所持していた小観音がありました。必ず渡すと政子が約束すると、一瞬だけ微笑んだ義時はそのまま絶命します。そばで看取った政子のすすり泣く音だけが響いていました。


作:三谷 幸喜

音楽:エバン・コール

語り:長澤 まさみ

 

小栗 旬 (北条義時)

小池 栄子 (政子)

坂口 健太郎 (北条泰時)

瀬戸 康史 (北条時房)

シルビア・グラブ (藤原兼子)
野仲 イサオ (二階堂行政)

康 すおん (医者)
清水 伸 (長沼宗政)

星 智也 (藤原秀康)
岸田 タツヤ (三浦胤義)

 

尾上 松也 (後鳥羽上皇)

宮澤 エマ (実衣)

相島 一之 (運慶)

小林 隆 (三善康信)

 

松本 潤 (徳川家康)

 

福地 桃子 (初)
きづき (平 盛綱)

山本 千尋 (トウ)
八木 莉可子 (きく)

西本 たける (北条朝時)
菊井 りひと (後鳥羽天皇(回想))

松本 哲也
山本 修夢
内藤 聖羽
─────
キャンパスシネマ
テアトルアカデミー
麗タレントプロモーション
宝映テレビプロダクション
NEWSエンターテインメント
劇団東俳
劇団ひまわり
クロキプロ
ミライピクチャーズ
古賀プロダクション
スターダス・21Neu
ボーダレス
オフィス海風
加藤企画
オンリーユー
キュラキッズ
ストームライダー
トライストーン・アクティングラボ
Gocoo

 

大泉 洋 (源 頼朝(回想))

西田 敏行 (後白河法皇(回想))

テーマ音楽演奏:NHK交響楽団
テーマ音楽指揮:下野 竜也
演奏:ブダペストスコアリング
  :ミラクル・バス

タイトルバック:高野 善政
       :中澤 正浩
題字:佐藤 亜沙美
脚本協力:古沢 良太
3D地図監修:シブサワ・コウ

 

宮沢 りえ (りく)

 

市川 猿之助 (文覚)

菊地 凛子 (のえ)

栗原 英雄 (大江広元)

山本 耕史 (三浦義村)

 

時代考証:坂井 孝一・長村 祥知・木下 竜馬
風俗考証:佐多 芳彦
建築考証:三浦 正幸
公家文化考証:海上 貴彦
所作指導:橘 芳慧
殺陣武術指導:辻井 啓伺
中世軍事考証:西股 総生
馬術指導:田中 光法
衣裳考証:小泉 寛明
仏教美術考証:塩澤 寛樹
仏事指導:張堂 興昭
書道指導:金敷 駸房

ビジュアルディレクター:戸田 義久
VFXプロデューサー:結城 崇史
VFXスーパーバイザー:中山 剛志
ビジュアルスーパーバイザー:大谷 直哉
特殊メイク:江川 悦子

撮影協力:神奈川県 相模原市
    :静岡県 伊豆の国市・裾野市

 

制作統括:清水 拓哉・尾崎 裕和

プロデューサー:長谷 知記・大越 大士
美術:日高 一平
技術:武田 篤史
音響効果:吉田 直矢
撮影:村田 旭
照明:高橋 貴生
音声:佐貫 渉
映像技術:佐々木 盛俊
カラーグレーディング:酒卷 祥平
VFX:深瀬 雄介
助監督:羽生 一浩
制作担当:石田 友寛
取材:加納 ひろみ
編集:松屋 周平
記録:小林 澄枝
美術進行:山口 百合子
装置:中島 努
装飾:大角 啓太郎
衣裳:佐々木 知子
メイク:宮城 涼子
かつら:野崎 徹

演出:吉田 照幸

 

(最終回を見終わって拍手)
小 栗 (真後ろにいる演出チーフに振り返り) かっこいい終わらせ方!(と拍手をする)
(キャスト・スタッフ陣からも拍手が沸き起こる)
小 栗 (ホールに再登壇するために席を立つ) これどのツラ下げて出ていきゃいいのか、ちょっと分かんないんだけど(笑)。
誘導スタッフ (キャストへ) それではご案内いたします。よろしくお願いします。

(会場の拍手の中、再登壇するキャスト陣。並び順は前半に同じ)
小 池 ありがとうございました。たぶんみなさん、余韻がね。
小 栗 ホントに。
小 池 ね、余韻が。私たちも何をしゃべっていいのかが……。
西 本 余韻がすごいんですよ。ちょっと一旦座りますか、みなさんでね。ここちょっとあの、お話しできるあの、お時間となってますんで。
小 池 毒入ってなくてよかったですね、義村さん。
耕 史 いや、思い込みってやっぱりすごいんだなと思いましたね。
西 本 あー。
耕 史 うーん、思い込みであそこまで苦しむっていうところが、やっぱり人間……。
西 本 うるせぇんだよ、ジジイ。
耕 史 誰が言った? 誰が言った?
(観客の笑い)
耕 史 最初はけっこう軽めなんです。

菊 池 なんかこう、自然とこう、小栗さんの背中がまた、こうなんかいろんなもの含んでて。それだけで、なんかもう義時のなんか……すべてを物語ってる感じで、小栗さんの背中がとにかくなんかすごかったです。何日か、もうたぶん何か召し上がってないぐらいの状況で、私がすごいおいしそうなパンを持ってっちゃって。
(観客の笑い)
西 本 ありましたね。
小 栗 そうね、おいしいパンね。持って帰りました。
菊 池 (嬉しそうに頷き) よかったです。
西 本 最後のほう、あの……そういった食事を抜いて?
小 栗 なんていうか、付け焼き刃みたいなもんですけど、で、その前の週までは、あの……ふつうに元気なシーンを撮ってたので、そこからちょっとだけの間、もう、ご飯食べなきゃどうにかなるだろうと思って。過ごしていたのが最後のほうで。で、その3日で一気に、のえさん……vsのえさん、vs義村、vs政子っていうのを3日連続というような感じで撮って、最期を迎えたっていう感じでしたけどね。
石 井 壮絶な3日間だったんですね。
小 栗 いやでも、めちゃくちゃありがたい環境でしたね。やっぱり最期のシーンが本当にすべての最後っていう状況にしてもらえたのは、やっぱり本当に、あの現場のみなさんが考えてくれたなぁって思ってますし。

スーパー
──10月下旬 NHK106スタジオ──
(くす玉が割られ、『鎌倉殿の13人 祝 撮影終了』の垂れ幕)
(その横に立って拍手している小栗)
(スタジオ内で割れんばかりの拍手)
小 栗 すばらしい脚本をもらい、すばらしいスタッフに囲まれ、えー……。(目頭を押さえる) チキショー!
(スタッフから暖かい笑い声)
小 栗 いや……本当に幸せでした。はぁー。それしかないです、ホントにみなさん、今まで支えてくれてどうもありがとうございました。ホントに感謝してます。ありがとうございました。(深々と一礼)
(スタッフから惜しみない拍手)
(小栗もスタッフに向けて大きな拍手を送っている)

石 井 京都には、大江広元役の栗原英雄さんがいらっしゃいます。
西 本 栗さん? いかがでしょう?
栗原英雄(以下栗原) どうもー。
西 本 おー、映ってる。
スーパー
──栗原 英雄 (大江広元役)──
栗 原 義時にはたぶん、物語には描かれてないですけどたぶん、死んだ後に顔を見に行って、どういうふうに広元は声をかけたのかなっていうのは考えてましたね。よく頑張ったと。まぁ……そういう言葉をかけたんじゃないのかなとか、いろいろ考えてましたけど。まぁそれを、義時の死を見て自分の役割も終わったんだなと、広元も思ったと思います。だからたぶん翌年にはね、亡くなったんじゃないのかな。
小 池 (頷く)。
栗 原 一番つらい時期をともに過ごしてきたのは、義時……でしたね。
坂 口 最後、政子さんと義時がしゃべる2人のシーンの時、太郎ってすごく出てくるじゃないですか、このセリフとして。やっぱりあれを聞い……聞いてると、実はこの放送が終わった後、小栗さんと……放送というかさっき一緒に見終わった後、しゃべ……ろうと思ったんですけど、しゃべろうとすると、もう泣いちゃうなと思って。
小 栗 はっはっはっ。
坂 口 一回落ち着いて「いや小栗さん、さっきの」っていおうとしたら、また泣きそうになっちゃって。
小 栗 ハハハハ。
坂 口 もう「ちょっとやめときます」って言って話止めたんですけど。
り え やっぱりあの……ね、こう……兄弟、親友、こども、親子、まぁ一年かけて……ね、その役を掘り下げられるっていいなって、やっぱりラスト見て思いました。見てくださってる方たちも、きっとね、1年間こう、ずーっと積み重ねてくださったね、なんか思いの……思いが募ってると、こう……ラストシーンもホントに、ね。感想言っちゃってすいません。やっぱり、大河ドラマっていいなって思いましたし、すばらしかったですね。

西 本 さあ! 続いてもう二方、えーこの方々ご紹介しましょう。札幌で見ていた源 頼家役の金子大地さん、そしてトウ役の山本千尋さん。
(観客の拍手)
西 本 おっ。
石 井 映ってますね。
西 本 札幌会場。
小 池 頼家~!
(手を振る金子の姿がモニターに映し出される)
西 本 おお!
千 尋(以下千尋) 金子くんのサポートを今どうしようかと。
西 本 え? え? え? どういうことですか? サポートというのは。
千 尋 あの……頼家さまは、終わり方を全く知らなかったので、ちょっと今、かなりズシンと……。
西 本 なるほど!
小 栗 そっか!
西 本 金子さんとこには台本が行ってないから?
スーパー
──金子 大地 (源 頼家役)──
金 子 そうなんですよ。あのちょっと……全然言葉が。ただでさえしゃべれないのに、せっかく地元帰ってきてるのに、全然しゃべれないんで。
西 本 ハハハハ。
金 子 うーん……なんか、終わり方がすごい好きでした。あの、なんだろう? この物語はやっぱり義時の物語で、義時が死ぬと同時に終わるっていうのが、なんかすごく、余白のある終わり方だなと思って。ドラマで、こういった終わり方をするっていうのはなかなかないし、すごく、かっこいいなって思いました、はい。
小 栗 ありがとうございます!
(観客の拍手)
小 池 「のど元刺す!」って言ってたもんね。
千 尋 えへへ。
西 本 のど元刺す! ひいふうみい。
スーパー
──山本 千尋 (トウ役)──
千 尋 あっ、そう! トウはね、あのちょっとハッピーな、あの最後を三谷さんが書いてくださって、実はあの、子どもたちが13人いて、トウちゃんの13人になってるっていう、えへへ。
エ マ これだけのストーリーの中で、なにかその、えっと……未来というか平和の象徴でもある、ここまで殺しを重ねてきた人に……でも生きれる鎌倉になってるんだなぁっていうのを、すごくほのぼのとした、たぶん私たちのラストシーンだったので、地獄と天国が両方あるエピソードだなって、ホントに今見て思いました。
金 子 なんか、頼家っていう名前が作品の中で出るたびに、あの……忘れてたいろんな感情というか、母上と一緒にお芝居した時の気持ちみたいなものが、なんかこう、ズクンってくる感じがして……はい。感じました。
(観客の笑い)
小 池 (思わず吹き出し笑い)。
金 子 すいません。

会場に来た観客の声 私にとって『鎌倉殿の13人』は明日への活力でした!
観客の声 情緒をかき乱されるドラマでした!
観客の声 苦しいけど、見るのがやめられない面白いドラマで。
観客の声 笑いもあり、でもホントに涙もあって、もうすごく毎回毎回感動させていただきました。
観客の声 とても身近に感じておりました。
観客の声 日曜日の楽しみでした!
観客の声 初めての大河ドラマで、最高で面白かったです。
観客の声 『鎌倉殿の13人』は、えー生きがいでした! 終わるのがさみしいなって、今すごい思ってます。
観客の声 何よりの楽しみでした。
観客の声 今まで1年間お疲れさまでした。
観客の声 素敵な1年を、ありがとうございました!
観客の声 ホントにみなさまお疲れさまでした。お疲れさまでした。ありがとうございました。
(ドヴォルザーク作、交響曲第9番「新世界より」第2楽章の音楽をバックに、ドラマのスナップ写真のスライド)。
北条義時/源 頼朝 (頼朝が姫に扮して化粧をし、赤い着物を着けているスライドで観客から笑いが起こる)/政子/実衣/北条宗時/北条時政と三浦義澄/三浦義村/りく/善児/八重/亀/上総介広常/木曽義仲/木曽義高/源 義経と武蔵坊弁慶/後白河法皇/八重/北条泰時/大姫/丹後局/源 範頼/源 頼朝と政子/源 頼家/源 頼家と13人の御家人たち/梶原景時/阿野全成と実衣/比企能員と道/比企尼/比奈/北条義時/トウ/畠山重忠/のえ/三善康信/北条時政と北条家の面々/北条時政とりく/和田義盛/八田知家/北条朝時/北条義時/北条義時と大江広元/源 仲章/源 実朝と公暁/北条義時と三浦義村/後白河法皇/北条時房/のえ/北条泰時と初/北条政子/北条義時と三浦義村/手のひらの小観音像

(観客から拍手)
西 本 それでは名残惜しいんですが、えー、時間がということで、父上! 最後に締めの挨拶をみなさまに、ぜひお願いいたします。
小 栗 はい。えー、みなさま本日はありがとうございました。ぜひみなさん、また何度も何度もこの作品を、えー繰り返し繰り返し、えー愛していってもらえたら嬉しいなぁと思っております。まぁとにかくホントに、今日こういう形で、えーみなさんとこういうふうにラストを迎えることが出来たことが、僕たちにとっては本当に、最高の幸せだったなと思っておりますので、この1年間、本当にどうもありがとうございました。(一礼)
(観客から拍手)
(『鎌倉殿の13人』テーマ音楽がかかる)
石 井 会場の武衛のみなさん! 全国の武衛のみなさん! 1年間、ともに走り、応援をいただきまして、ありがとうございました!
(一礼する耕史)
石 井 そしてご出演のみなさま、本当にお疲れさまでした!
(舞台を降りるキャスト陣)
西 本 みなさま、またいつか、お会いしましょう!

(スタッフにマイクを預け、階段を下りていくキャスト陣)
り え でも政子の愛にしか感じなかった……。
小 池 ああ……じゃあよかった。
り え 飲ませないっていう……ね。これ以上もう罪をさ、作らせないっていう、なんかもう……愛しかなかったよ。

(別室で写真撮影)
撮影スタッフ はい、あっOKです! はいOKです、ありがとうございました! これから、ショットでちょっと……。
小 栗 はい!

(小栗単独コメント)
小 栗 えー……感無量です。まぁこれで作品自体は終わりましたけれども、今後もまた『鎌倉殿の13人』を愛していただけますよう、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
スタッフ ありがとうございます。
小 栗 ありがとうございます!
スタッフ はい、じゃあ以上で、取材終わりです。ありがとうございました。
(両手でサムズアップする小栗)
(スタッフから拍手)
(チーフ演出とふざけ合う小栗)

スーパー
──グランドフィナーレ『鎌倉殿』の最後の一日 終──

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