大河ドラマどうする家康・(04)清州でどうする!
今川方の最前線として織田との戦いに奮闘された我らが神の君でございましたが……、やむなく今川から離反。織田信長と対等な同盟を結ぶべく、清州に乗り込むことになったのでございます。
岡崎城では、平岩親吉の顔に信長の似顔絵を張り、信長に見立てて対面の練習です。鳥居忠吉はこちらから頭を下げたり名乗ったりしてはならないと厳しく指導しますが、元康が幼いころ、信長に怖い思いをさせられていた経験から、自分が清洲に行けば殺されると浮かない表情です。家臣たちは不穏な動きがあれば一戦交える覚悟と言いたい放題で、元康の気持ちは全く反映されません。元康は緊張で腹を押さえます。
信元の引率の下、元康はさっそく清洲入りします。入るのを躊躇する元康に、信元はうまく取りもってやると肩を叩いて中に促します。とぼとぼ歩を進めると、館の中に着座する信長の姿があります。おろおろする元康ですが、振り返ると信元は元康以上におろおろし、逃げ出しそうな雰囲気です。
ともかく元康は柴田勝家に促されるままに館に足を踏み入れ、信長と対面します。信長はギロリと睨みつけたまま微動だにしません。あれだけ忠告したにもかかわらず、元康がか細い声で名乗り頭を下げてしまい、付き従う石川数正は“あちゃー”という表情です。「織田上総介信長である」と声をかけられますが、元康はおびえたまま動けません。
対面が終わり、先ほどまで顔を引きつらせておろおろしていた信元が、まぁこんなもんだとうさぎのように飛び跳ねながら去っていきます。呆気にとられた元康は、その後姿を見て大きくため息をつきます。信元に斬りかかろうとする本多忠勝を、鳥居元忠は引き止めます。そして去っていく元康を見ていた信長と、その後方にはお市の姿もありました。
清洲城内に宿所の屋敷を用意され、勝家は世話役として“猿”──木下藤吉郎を紹介します。すばしっこく動き回る猿にイラッとした勝家は尻を蹴飛ばし、元康は衝撃を受けます。蹴飛ばしたいときに蹴飛ばしてもらうのが喜びと言う藤吉郎は、元康に尻を突き出すのですが、元康には何がどうなっているのか理解が追いつきません。藤吉郎にもらったみかんを見て、元康は駿府に残した瀬名に思いを馳せます。
屋敷内でホッとするのもつかの間、信長に呼ばれた元康は、取っ組み合いの相撲に付き合わされます。織田家家臣たちがはやし立てる中、ぶん投げられて柵に叩きつけられても、果敢に信長に挑む元康ですが、まったく歯が立ちません。一瞬のスキをついて元康は信長を巴投げしますが、信長の反撃を食らって負けてしまいます。
その流れでもうひとり手合わせすることになり、戸惑う元康ですが、出てきた人物は面をつけ薙刀を持っています。勝家から木刀を受け取った元康は、その者の技に初めこそ押され気味でしたが、力に任せて柵に突き飛ばします。その拍子に面が取れ、中から現れたのは女性でした。驚いて身を引く元康に、信長は妹の市であると紹介します。
元康は信長の勧めでお市と遠掛けに出かけます。付き従う元忠は息切れしてついていけません。お市が連れてきたのは、清州の町を一望できる山の上でした。これほどまでに清州が栄えているとは!! と元康は感嘆の声を上げます。「美濃を手に入れたら次は西に向かう。乱世とはまことに愉快な世であることよ」 ただし男であればな、と寂しそうにつぶやくお市です。
15年前、人質であった竹千代は、信長の手下と相撲を取らされていました。手は取らせず逃げろ! と信長にけしかけられても、若年の竹千代にはその力がありません。ぐったりする竹千代を横目に、お市は自ら相撲を取ろうと輪に入ってきました。女が相撲を取るものではないと信長に抱え出されてしまいますが、それでもどこまでも信長の後を追いかけていく少女、それがお市でした。
水練と称して、鎧を着て崖の上から池に次々と飛び込んでいく手下たちですが、あまりの高さで恐怖心いっぱいの竹千代はそこから逃げ出そうとします。「戦で敵は待ってくれんぞ」と信長に掴まれて引き戻されるのですが、その竹千代の様子を草むらから見つめていたお市は、情けなやとこぼします。
そのころ駿府では、今川氏真の前に関口氏純と瀬名が引き出されていました。亡き今川義元の大恩を忘れて敵に尻尾を振る元康は、犬より劣る不忠者と、関口家の縁者をひとり残らず打ち首……と言いかけたところで、幼いころから知っている瀬名に「情けをかけてやろう」と、氏真は瀬名の顔を触りながらニヤリとします。
「織田は何をおいても松平を助け、松平は何をおいても織田を助ける」という盟約を信長と結ぶことになり、元康には異論はありません。尾張と三河の国境も、元康の提案通り境川と認めてくれました。しかし未だ大国である駿河とは和議を結ぶのが上策と考えていることを伝えると、信長は鼻で笑い、元康を思いきり平手打ちします。「情で自らを滅ぼすか? 今川は滅ぼせ。よいな」
信長はお市を見ながら、元康にお市を娶れと命じます。瀬名よりもできる女で元康の助けになると言うのです。あと2~3日滞在し祝言を挙げてしまえという信長に、固辞する元康ですが、もたもたするのが大嫌いな信長にやれと言われれば、元康に選択肢はないのです。元康は酒をぐいっと飲み干すと、織田に臣下の礼を取りに来たのではないと主張します。大高城を織田から守り通した自負があるのです。
織田に勝ったと信じて疑わない元康に、藤吉郎は細かく説明をします。織田軍は大高城を落とさないようにじわじわ包囲する。仮に大高城が滅びれば義元は救援を諦めて引っ込んでしまう。そこに元康が兵糧を運び入れに来る。信長は通してやれと元康軍を大高城に入れさせる。大高城は復活し、義元はその救援に出てくる。織田軍はそこを急襲し義元を討ち取る──。
すべては罠だったというのは元康には信じられません。そんな芸当ができるのは軍神ぐらいだと元康は衝撃を受けます。「神か……」と信長はつぶやき、藤吉郎はものの見方だとヘラヘラしています。この話が本当であれば、元康は信長の手のひらの上で転がされていただけということになり、今まで積み上げていた戦の勝利者という名誉はガタガタと崩れ落ちる思いです。
瀬名を氏真の妻にすれば一門の命を助けるという条件を聞いて、氏真は不忠者よりも立派だと巴は大喜びします。しかし瀬名の立場は夜伽(よとぎ)役と氏純から説明を受け巴は反発します。瀬名は竹千代と亀姫のことを両親に託し、氏真に仕える覚悟を固めます。そして夜、氏真に押し倒されて顔をしかめる瀬名ですが、握りしめていた巾着袋に気づいた氏真が中を改めると、兎の彫り物が出て来ました。
元康の家臣たちを書庫に集め、そこから隠れて元康とお市の様子を見ている藤吉郎は、尾張いち美しいお市を娶るとは! とニヤニヤしています。そしてその2人の様子をじっと見つめる家臣たちに交じって、勝家もお市にぞっこんと教えてくれます。忠勝は、藤吉郎を蹴りたくなる気持ちも分かると納得します。
元康は、本当に自分でいいのかと恐る恐るお市に尋ねます。普段は誰も寄せ付けない信長が誰かと相撲を取るのは10年ぶりだそうで、信長は元康のことを気に入っているからとお市は心を決めます。信長に逆らえないのはお市も同じなわけです。「かくなる上はこの市が強い強い大将にいたしまする。兄をも凌ぐほどの」 祝言に向けてお市は着物選びに大忙しです。そして元康に着せる着物も目利きで選んでいます。
大久保忠世が氏真の書状を届けに来ました。今川に戻らなければ関口家は皆殺し……。そして逆上した氏真が瀬名の指を切って書かせた「たすけて せな」の紙と、怒りに任せて刀を突き刺して壊してしまった兎の彫り物も同封されていました。床を叩いて悔しがる元康に、数正や酒井忠次たちも、かける言葉が見つかりません。
寸法を測って来る! とお市は元康の宿所を訪れますが、床を叩いて泣きじゃくる元康の姿を目の当たりにします。桶をもって軽快にやってきた藤吉郎も、殺気立った雰囲気に呑まれてしまいます。お市の姿に気づいた元康は、言葉を選びながら縁談を断ろうとしますが、弱い男は嫌いだと、お市は逆に元康を振ります。「申したはずです、この世は力だと。欲しいものは力で奪い取るのです」
元康とお市は揃って信長に縁談の断りを伝えに行きます。織田との盟約を破って今川に戻るのかと脅す信長ですが、約定はしっかり果たすまでと返答した元康は、今川領をことごとく切り取り今川を滅ぼすと信長に宣言します。「そして我が妻と子をこの手で取り返しまする。ご異存おありでございましょうや」
去ってゆく元康を見送りながら、お市は幼いころを思い出していました。鎧を着け崖から池に飛び込んだお市ですが、水を吸った鎧の重さにどんどん沈んでいきます。そんなお市の手を掴んで引き上げてくれたのは竹千代でした。焚火をしてお市の冷えた体を温めながら、竹千代は固く約束します。「お市さまのことは、この竹千代がお助けします。必ず……助けます」 見ると、竹千代の手はケガして流血していました。
恋焦がれた男にそっぽを向かれた気持ちは? とからかう信長は、望むのであれば元康を殺してやってもよいと肩に手を置きますが、お市はわずらわしそうにその手を払いのけます。もし元康の命を奪ったら、武田や北条と戦わなければならなくなってしまうのです。「大切になさいませ。兄上が心から信を置けるお方は、あの方おひとりかもしれませぬから」
今川との大戦が始まる……。清洲のほうを振り返った元康に、厳しい表情を浮かべる忠次は声をかけます。そして鎧に身を包んだ氏真は、今川再興の道を進むと決意を新たにします。盃を地面に叩きつけ、軍勢を鼓舞して出陣していきます。
永禄5(1562)年、清洲城で織田信長と松平元康との間に清洲同盟が結ばれる。
慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、
あと41年──。
作:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
題字:GOO CHOKI PAR
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松本 潤 (松平元康)
有村 架純 (瀬名)
北川 景子 (お市の方)
岡田 准一 (織田信長)
大森 南朋 (酒井忠次(左衛門尉))
山田 裕貴 (本多忠勝(平八郎))
音尾 琢真 (鳥居元忠(彦右衛門))
イッセー 尾形 (鳥居忠吉)
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ムロ ツヨシ (木下藤吉郎)
溝端 淳平 (今川氏真)
吉原 光夫 (柴田勝家)
寺島 進 (水野信元)
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渡部 篤郎 (関口氏純)
真矢 ミキ (巴)
松重 豊 (石川数正)
野村 萬斎 (今川義元(回想))
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制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:堀内 裕介・川口 俊介
演出:村瀬 直樹
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『どうする家康』
第5回「瀬名奪還作戦」
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