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2023年1月22日 (日)

大河ドラマどうする家康・(03)三河平定戦

竹林の中で松平元康の無事を必死に祈る瀬名、そこに母の巴が駆けつけます。元康が無事に岡崎城に入ったとの知らせに、ふっと気が緩んだのか立ち上がった拍子によろめき、巴がしっかりと抱きとめます。大樹寺に逃げ帰った元康は、門を開けると追ってきた松平昌久に、本領の岡崎へ入ると宣言して悠々と進軍していきます。。

桶狭間合戦の混乱の中、妻子が待つ駿府に帰ること叶わず、止むを得ず故郷岡崎へ入ることとなった神の君。駿府では、元康が岡崎入りしたことを知った今川氏真が、元康に当てて文をしたためます。元康を褒めたたえ、岡崎に留まって織田勢を打ち払い駿府に帰参するようにとあります。

駿府に戻ったらいよいよ氏真の側近だ! と喜ぶ元康ですが、石川数正は氏真の文を、元康の手で三河を平定せよと受け取ります。平定するまでは駿府に戻れないと知り、元康は固まります。鳥居忠吉は元康と家臣たちをほら穴に連れて行き、これまで貯めてきた銭、用意してきた武具を披露します。これで戦える! と酒井忠次は「えびすくい」を舞いだします。

桶狭間の合戦で勢いづいた織田は、今川への攻勢を強めています。元康はその最前線に立たされたわけです。最初の敵は刈谷城、松平を裏切り今川から織田に転じた水野信元です。信元は元康の母・於大の兄で、元康の伯父に当たります。「どちらに張るか、これを間違える奴は生き残れぬ。あのバカのごとくな」

あれは城? てっきり犬小屋かと……とほざく本多忠勝に、数正は刈谷城を攻め落とせるなら先駆けを頼むつもりです。忠勝は元康を見据え、信元の首を取ってもいいのかと念を押します。口の利き方がなっていないと叔父の本多忠真に叱られますが、生き別れの母の兄にあたるわけで、忠勝なりの於大への思慮です。

16年前、実家・水野家が織田へ寝返ったために於大は離縁され、幼い元康(竹千代)を岡崎に残したまま刈谷へ戻っていたのです。元康は母の顔を覚えていませんが、幼いころは着物や菓子を送ってくれました。文にも温かい言葉がつづられていて、元康は安らぎを感じたものです。「じゃが、水野信元なる男はわしは嫌いじゃ」

三河のために立ち上がる元康のために、多くの民が駆けつけます。戦支度の最中にも元康は身重の瀬名へ文を送り、その身を労わります。城の庭に咲いていた花を押し花にして同封し、受け取った瀬名はその香りを楽しんで笑顔です。元康からの文に巴も安堵の表情を浮かべますが、関口氏純は浮かない表情です。そんな時、瀬名が産気づきます。

7月下旬、松平軍による刈谷城攻めが始まります。城門を突破して先頭を駆ける忠勝は敵兵を次々と斬り倒し、数正は「案外もろいかもしれませぬ」と笑みを浮かべます。しかしこれも信元の戦法です。信元と戦っている間には気づけないであろう、背後からの敵に気をつけるようにと信元は元康をバカにします。

背後から織田勢が迫って来ていました。それを確認すると元康は全軍に撤退を命じ、先ほどまで落ち着いていた松平軍は総崩れ。80余名という数多くの戦死者を出して惨敗してしまいます。読み上げられた戦死者の名を台帳から消していく夏目広次は、その戦死者の中に忠勝の名を聞いて表情が一変します。そしてそれを知った元康も、信長への憎悪を大きくします。

 

信長は鉄砲を試し撃ちしています。信長は狩りにおいて肝心な役目を尋ね、傍らに控える信元は獲物を追い込むことだと答えます。くるりと振り返った信長は銃口を信元に向け発砲します。鉄砲玉が信元をかすめて飛んでいき、あまりの恐怖に信元は身動きできません。「しかと追い込め。ウサギを俺の目の前に」 次の弾が発砲され、信元は恐ろしくて頷くしかありませんでした。

討ち死にと伝えられていた忠勝ですが、気絶していたようで息を吹き返します。陣中で休んでいた元康は、今川義元が来たとの知らせを受けます。桶狭間で討ち死にしたはずだと戸惑う元康に義元は、ともに駿府に帰ろうと言葉をかけます。みなが祝いの舞をする中を戻っていくと、竹千代を抱いた瀬名が立っていました。もうどこへもいかぬ……そう固く誓ったとき、元康は夢から覚めました。

瀬名は女の子を出産します。駿府に残る元康の家臣たちの妻たちが、みんなでおしめを縫い上げて瀬名に献上します。もうすぐお帰りになります、と優しい言葉をかける瀬名は、おしめのお礼に夫たちをきれいな着物で出迎えられるように端切れを惜しみなく提供します。三河者にそのような、と躊躇する女たちですが、瀬名も三河者の妻だと気にする様子もありません。

氏真の元には加勢を望む元康の意向を伝える氏純がいました。しかし多忙を極める氏真は、氏純の申し出を「うるさい!」とはねのけ、援軍を送るまで堪(こら)えよと命じます。寂しそうな表情を浮かべて下がっていく氏純の背中に、氏真は言葉をかけます。「そなたの妻子と家来たちがいることを忘れるな、とな」

今川から援軍は来るのか? という陰口の中、三河南部を支配する今川方の吉良義昭が元康の陣中に入ります。氏真が大軍勢を送るまでの間、三河を守って織田を追い払おう! と軽いノリの元康に、元康と家臣たちは一抹の不安を感じます。松平軍は水野領へ侵攻して刈谷城から水野軍をおびき出し、その隙をついて吉良軍が刈谷城を襲撃するという大久保忠世の案に従って、戦の準備を始めます。

8月、松平と吉良の連合軍は敗北を喫してしまいます。信元は再度、元康に織田への投降を勧める書状を送りますが、元康は破り捨てて次の策を練り始めます。しかし軍議の場で妙案は出ず、家来たちの間でも今川の援軍は来ないから織田につくべきという声が上がり、鳥居元忠や本多忠勝らを巻き込んでの大げんかに発展してしまいます。

「次で負ければお家は破滅でござる」と数正は厳しい表情です。元康としては駿府に残る三河衆を見捨てられずいら立ちを隠せませんが、まぁまぁ、と忠次は元康をなだめます。駿河と尾張の一歩外側、義元と固いきずなで結ばれていた甲斐の武田信玄に、元康自ら助勢を頼めば可能性はあると考えているのです。

元康からの書状が届き、信玄は相手にしません。主君である氏真を介してならともかく、たかが岡崎城主の元康が主君の頭を飛び越えて、甲斐国主である自分と直接やり取りをするなど、失礼にもほどがあるというのです。「この話、聞かなかったことにして進ぜよう」と、信玄は元康からの書状を足で踏みつけます。

 

格が違うということを思い知らされ、元康は悔しがります。そんな時、元康に内々に会いたいと信元らが少人数で岡崎城に向かっていました。改めて織田に寝返ろと迫る信元は、外で待たせていた女人、信元の妹であり元康の母である於大を招き入れます。ご立派になられて──と目を細める於大と元康を広場に残し、信元は数正と忠次を外へ誘(いざな)います。

岡崎に嫁いだ日のことが昨日のことのようです。涙を流す元康をそっと抱きしめた於大は、耳元で今川と手を切るようささやきます。もちろん駿河には元康の妻と子が残されていることも承知の上ですが、元康の力では信長には勝てないと断言します。「主君たる者、家臣と国のためならば己の妻や子ごとき、平気で打ち捨てなされ!」 信じられないといった表情で於大を見下ろす元康は、於大を城から追い出します。

駿府で元康の帰還を待ちわびる瀬名から文が届きます。すくすくと育つ姫の様子、兄らしく成長する竹千代、瀬名から贈られた押し花を見つめて元康は胸が痛いです。忠次は元康を城下に誘い、数正とともに歩いてみます。百姓が収穫に精を出し、鳥居忠吉も手伝ってみんなに止められています。

百姓は度重なる戦に駆り出され、親兄弟に死なれても張り切って刈り入れをしています。殿さまが岡崎に帰ってきた、もう今川の支配下ではなくこれからは駿河に年貢を取られずに済む。元康としては今川から独り立ちしたとは言っていないはずですが、今川のために戦うと言っていたのでは兵も集まらず、忠次は岡崎のためと触れて回っていたのです。それだけ百姓はひもじい思いを続けていたわけです。

忠次は、松平のため、岡崎のために今川を見捨ててほしいと進言し、泥の中を土下座します。何を言っているのかわかっているのかと、元康は忠次を手打ちにしようと刀を振り上げます。黙って聞いていた数正も忠次の横に並び、合わせて土下座します。「いやじゃ……わしは駿府に……妻と子の元に帰るんじゃ!」 遠くで見守っていた忠吉も、不自由な体を地面に擦り付けて土下座しています。

元康は寝返りを決め、於大の助言どおり義昭の所領を焼き討ちにします。そして松平離反の知らせは、氏真の元にも届きました。信じられない氏真は元康家来の妻子たちを集め、一人ひとり討ち取っていきます。絶叫に続き倒れる音……。処刑場に駆け付けた瀬名ですが、その止める声は届きませんでした。兵士の手が、元康の子・竹千代にのびようとしていました。

信元は元康を、信長のいる清洲へ誘います。涙を流す元康は微動だにしません。


永禄4(1561)年4月、松平元康が牛久保城や東条城攻めを仕掛け、今川氏からの自立を明確にする。

慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、

あと42年10ヶ月──。

 

作:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
題字:GOO CHOKI PAR
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松本 潤 (松平元康)

有村 架純 (瀬名)

松嶋 菜々子 (於大の方)

岡田 准一 (織田信長)

大森 南朋 (酒井忠次(左衛門尉))
山田 裕貴 (本多忠勝(平八郎))
音尾 琢真 (鳥居元忠(彦右衛門))
甲本 雅裕 (夏目広次)
イッセー 尾形 (鳥居忠吉)
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溝端 淳平 (今川氏真)
寺島 進 (水野信元)
リリー・フランキー (久松長家)
橋本 さとし (飯富昌景)
矢島 健一 (吉良義昭)
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渡部 篤郎 (関口氏純)
真矢 ミキ (巴)
松重 豊 (石川数正)

野村 萬斎 (今川義元)

阿部 寛 (武田信玄)
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制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:大橋 守・釜谷 正一郎
演出:村瀬 直樹

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『どうする家康』
第4回「清州でどうする!」

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