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2023年2月19日 (日)

大河ドラマどうする家康・(07)わしの家

ふるさと三河を守るため、今川氏真との戦いに臨まれた我らが神の君。決死の覚悟でお方さまとお子さまを取り戻され、次に目指すはいよいよ、三河平定でありました。

永禄6(1563)年 三河・岡崎──。今川との決別の意味を込め、義元の諱(いみな)である“元”を改名しようと思案中の松平元康。床に広がる紙の中から、瀬名は物事をやすやすとこなせるように「泰康」を選びます。誰もいないのを見計らって瀬名とキスをしようとする元康ですが、気づけば目の前に於大がいました。久松長家に与えた上ノ郷城で暮らせばいいものを、瀬名の教育のために岡崎城に戻ってきていたのです。

於大の指導の元、ゴシゴシと大鍋を洗っている瀬名ですが、酒井忠次は畑でナスが採れた! と瀬名に差し入れし、鳥居元忠は卵を差し入れ。平岩親吉は大きな丸い石を持ってくるありさまで、みんな瀬名の笑顔を見たいわけです。優しさに触れた瀬名は「みなが一つの家にいるようで。私も早うこの家のひとりになりたい」とつぶやきます。家康は、瀬名の“一つの家”という言葉の響きにヒントを得ます。

家康は、武家の元祖・八幡太郎源 義家にあやかったということにしますが、忠次に瀬名も同じようなことを言っていたと指摘されて、家康は思わずとぼけますがさすがにバレバレです。岡崎の家臣領民みんなが一つの家族のようにしたいという思いの名、家康は気に入っています。改名を勧めた信長からも「大いに結構」との確約を得ました。そこにその信長から使者が来たと夏目広次が知らせに来ました。

織田から遣わされたのは木下藤吉郎でした。家康が対面するのは清洲城訪問の時以来2度目で、下品さは前と変わらずです。しびれを切らした石川数正が用向きを尋ねると、鷹狩りのお誘いでした。時間が合えばと、家康は顔を引きつらせながら返答しますが、なんでも今、西尾のあたりで信長はすでに鷹狩りしているのです。西尾とは岡崎の領地で、家康がそれを指摘しても藤吉郎はまったく気にしません。

藤吉郎を伴って急いで西尾に向かった家康ですが、信長たちは武装していて鷹狩りの様相ではありません。困惑する家康の前に連れ出されたのは東条吉良、大草松平、上野酒井の各氏家来たちで、謀反の企てがあったようです。「獲物がよう取れる」と信長に鼻で笑われますが、信長が美濃攻めに取り掛かるために三河をしっかり押さえろと言われ、家康は取るものもとりあえず岡崎に帰ります。

 

三河国内には家康を脅かす武将が多く、三河平定への道はとても険しいものでした。今回家康は、その蜂起の芽を早い段階で摘むことが出来ましたが、これから次々と反乱の火の手は上がると推測されます。蔵の兵糧も底を尽き、戦続きで領民は大変な思いをしているため取り立てもできず、銭もなく政もままならぬ状況です。万策尽きた忠次は、イカサマ師の本多正信に意見を求めます。

「他所から銭を借りればようござる」 正信は、銭の貯えがある織田に援助してもらい、今川領を切り取りその中から返金していけばいいと提案します。しかし同盟を結びながら信長とは上下関係だし、何より信長の挙動に恐ろしさを感じている家康は、信長にだけは借りたくないと難色を示します。ケタケタ笑う正信ですが、目の前の数正に睨まれて固まってしまいます。

本證寺に集まった民衆たちが明るく踊っています。一向宗のお寺で説法もにぎやかで楽しいらしいという話は、岡崎城の台所にも伝わってきました。忠次の妻・登与は瀬名を誘いますが、危険な目に遭わせたくない家康に外出するなとクギを刺されたばかりということもあり、瀬名は笑って断ります。それでも松平の家来もいると食い下がる登与に、瀬名は興味を持ち始めて家康に相談してみます。

一向宗の寺など何をするところか分からないと反対する家康に、行ったことがないならどのような寺かも分からないと瀬名は反論します。銭を貯め込んでいるのは不入の権を理由に年貢を収めず、自分たちで囲ってしまっているからですが、それを瀬名に説明した後、家康はアッと気が付きます。これらの寺に年貢を納めさせれば金を借りずに済むのです。

家康の発案に家臣たちは難色を示します。これまでも年貢を徴収しようとするも彼らが一度も応じたことがなく、家康の父・広忠が義元に倣って寺に不入の権を与え、その慣習が続いているわけで、一向宗には触らないほうがいいというのです。たとえ主が家康であっても、寺には武士も立ち入れず、三河にあって三河ではない独立の国のような存在に、家康は納得がいきません。

結局家康の許可が下りず瀬名は断りを入れますが、登与は家康に内緒で行くことを提案します。寺に行けば男と出会える機会も得て……と女子トークが盛り上がりますが、瀬名は後ろから近付いてきた於大に肩をポンと叩かれ、神妙に直ります。「お瀬名どのや。民の様子をよく知っておくのも、上に立つ者の大事なお役目ですぞ?」 瀬名や登与たちは、まさかの一言に「えっ?」と怪訝な表情を浮かべます。

風邪を引いた家康は、数正であっても近づけるなと近習の者に命じます。近習がいなくなると家康は、寝床に自分が寝ているような仕掛けを作り、こっそりと部屋を抜け出します。そして本多忠勝と榊原康政に本證寺に行くと打ち明けます。不入の権を行使できるだけの寺なのかどうかを見極めたくて、家康自ら農民に扮して潜入調査するわけです。

奥では瀬名が本證寺に行くための準備が進められていました。ただ瀬名は色白なので、下々の着物を着ても姫らしい感じが出てしまいます。於大は瀬名の顔を汚そうとすすを持ってきました。さすがの登与も「やりすぎでは」と躊躇しますが、於大は構わず瀬名のほほにひげを書き入れます。その顔を見て大笑いする於大と登与に、瀬名は「遊んでおられます?」と無表情です。

 

三河一向宗の一大拠点・本證寺。周囲の町は堀や土塁に守られ、さながら寺を中心に作られた堅牢な城下町のようでありました。 かなりみすぼらしい格好をして本證寺に足を踏み入れた家康主従は、市が開かれているその活気さに驚きます。家康は槍を持った渡辺半蔵守綱に気づき、松平家中の者たちも多くここに来ている事実を知ります。

そんな顔じゃ女にモテないぞ! と家太郎(=家康)の頭をひっぱたく守綱に、つい声を荒げてしまう家康ですが、案内役の土屋長吉重治や忠勝らに止められます。守綱は家康の顔を「どこかで見た顔だな」と不思議がりますが、大して気にならなかったようで仲間たちと大笑いして行ってしまいます。そして向こうの方から笛の音が聞こえて来て、始まります! と重治が案内します。

人々が取り囲む真ん中では、天女のような巫女(千代)が舞っています。千代が神楽鈴を鳴らすと人々は歓喜するその姿に、家康は目を奪われます。千代の呼びかけでお堂に集結する民衆ですが、その場に取り残された家康に「かわいいのね」とニッコリほほ笑んで、お堂へ誘います。家康はその後姿を目で追いかけ、忠勝たちは呆気にとられます。

お堂に空誓が現れ、人々は空誓を崇め奉ります。蓮如上人のひ孫で本證寺住職の空誓は、親に捨てられた女の子の話をします。誰が好きで我が子を捨てるか、だからわしは親を怨む気にはなれん──。空誓の言葉に、人々は涙をこぼし始めます。「なんでおまんまが食えんだら? 戦ばっかやっとるあほうどものせいじゃ!」 複雑な面持ちで説法を聞く家康です。

この寺内には貯えがあるから心配しなくていいと安心させる空誓は、助け合って支え合ってみんなで暮らしていくと説きます。戦で人を斬った男、金欲しさに操を破った女など、人々はこれまで犯してきた罪を懺悔するのですが、愚かな自分たちも仏は救ってくれるからと、南無阿弥陀仏を唱えるように勧めます。「現世の罪は現世限りじゃ!」 人々は空誓を中心に踊り狂います。

お気に入りの女子がいたら声をかければよいと千代に言われて、千代を睨みつける忠勝ですが、その言葉に感動した康政は、行こう! と忠勝を連れて行ってしまいます。ひとり取り残された家康は去ってゆく空誓を見て、どうしても聞きたいことがあると空誓のところへ連れて行ってほしいと千代に頭を下げます。

康政と忠勝はだんごを手に、一緒に踊らないかい? と気になる女たちの後ろ姿に声をかけます。「よろしゅうございますわ」と振り返ると、そのふたりは於大と登与でした。顔を見合わせる4人はそれぞれ気まずそうに顔を隠し、忠勝と康政は何もなかったふうを装って、がむしゃらに踊り狂います。

家康は空誓に、なぜ一向宗は年貢を全く納めないのかと尋ねます。その質問の内容に家太郎は百姓ではないと感じ取りつつ、空誓はあほうに銭を貢いでも戦にしか使わないと正直に答えます。それでも家康は、戦をせずに済むにはどうすればいいのか教えを請いますが、空誓は 知らん! と突き放します。「生きとる世界が違う。苦しみを与える側と、救う側じゃ」

お堂に戻ってきた家康と千代ですが、中央で楽しげに踊る女子を見た千代は家康に声をかけてみてと背中を押します。押されてドンとぶつかり、その女子が振り返るとなんと瀬名でした。どうしてここに!? とたちまち言い争いになるふたりですが、於大たちや忠勝たちも加えてのやり取りを千代は冷ややかに眺めていました。その横には家太郎の正体を知って真っ青になっている守綱がいました。

身を挺して米俵を取られまいとする民衆、人々を突き飛ばして米俵を奪い取っていく武士、騒然となる寺──。その民衆の訴えは即座に空誓に伝えられ、空誓は怒りに震えていました。「殿さまが盗人の真似をするのか……!!」

家康は大口で飯をほおばりながら、本證寺のような不浄の寺に不入の権を認めるわけにはいかないと、一向宗の寺から年貢を取り立て始めます。瀬名は、筋が通らないことをやるべきではないと異議を唱えます。物見で鉢合わせして以来、瀬名は一向宗に肩入れしていると家康は皮肉を言いますが、そこに重治が駆け込んできます。一向宗門徒が来て米俵を奪い返されたというのです。

家康は本證寺へ使者を送り、罪人の差し出しと米俵の返却を要求させますが、米はもともと自分たちのものと坊主たちが反発します。あまりの剣幕に使者たちはなすすべもなく逃げ帰ります。そして空誓は集まった民衆に、殿さまは仏敵と扇動します。千代も戦道具を持って集まるように呼びかけます。「進む者は往生極楽! 引く者は無間地獄よ!」

1か月後、家康は一揆をおこした民衆に取り囲まれていました。恨みを込めた目、目、目。遠くで唱えられている念仏が聞こえる中、槍の穂先が家康に向けられます。神の君、最大の試練。三河一向一揆の火蓋はここに切られました。


永禄6(1563)年、西三河全域で一向宗による一揆が勃発する。

慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、

あと40年──。

 

作:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
題字:GOO CHOKI PAR
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松本 潤 (松平家康)

有村 架純 (瀬名)

松嶋 菜々子 (於大の方)

岡田 准一 (織田信長)

大森 南朋 (酒井忠次(左衛門尉))
山田 裕貴 (本多忠勝(平八郎))
杉野 遥亮 (榊原康政(小平太))
音尾 琢真 (鳥居元忠(彦右衛門))
甲本 雅裕 (夏目広次)
イッセー 尾形 (鳥居忠吉)
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ムロ ツヨシ (木下藤吉郎)
古川 琴音 (千代)
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松山 ケンイチ (本多正信)

市川 右團次 (空誓)

松重 豊 (石川数正)
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制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:堀内 裕介・川口 俊介
演出:小野 見知

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『どうする家康』
第8回「三河一揆でどうする!」

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