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2023年2月26日 (日)

大河ドラマどうする家康・(08)三河一揆でどうする!

子貢(しこう)、政を問う。(子貢が政治について尋ねた)
子宣(のたまわ)く、食を足し兵を足し、民をしてこれを信ぜしむ。(孔子が言うには食を満たし兵を満たし、民に信頼されることだ)
子貢曰く、必ず止むを得ずをして去らば、かの三者に於いて何をか先にせん。(もしあきらめるとすれば、この3つのうちどれでしょう)
論語『子貢問政』を読んでいた松平元康(家康)の前に現れた今川義元は、戯れにひとつ説いてやると言って、この国の主は誰かと問いかけます。主は太守さま(=義元)と自信たっぷりに答える元康に、大きくため息をついた義元です。「この天下の主はな──」

金陀美具足に身を包んだ家康の周囲を、数多くの一揆民が取り囲んでいます。民はみな殺気立ち、槍の穂先をつきつけています。思わず絶叫する家康です。

長引く戦で財政難に苦しむ我らが神の君は、守護不入の下で財を成す一向宗寺院に対し、これまで誰もできなかった年貢の徴収を実行されたのでございます。が……。徴収した年貢を奪われたことで米俵の返却を要求しますが、米はもともと自分たちのものだと言って坊主たちが逆上し、使者のうち一人が命を落とします。家康は下手人の引き渡しを要求せよと命じます。

本證寺の住職・空誓に詫びを入れる坊主たちですが、空誓は集まった民衆に、殿さまは仏敵と扇動します。千代も戦道具を持って集まるように呼びかけます。民衆は「踊れ踊れ、浮世はままならぬ、飯(まま)になるのは米ばかり、蓮の池で花咲いた、花が咲いたら転んだ……」と歌い踊って家康に対して反抗の態度を見せます。本證寺・上宮寺・勝鬘寺・本宗寺に門徒が集結して一揆を起こしたのです。

家康を待っていたのは、「えらいことをしてくれましたな!」「あれほど寺にはお障りになるなと」という家臣たちによる家康非難の大合唱でした。ともかく兵を持って一揆を鎮めるよりほかにありません。家臣たちが寺の味方をしたらどうするのかとの瀬名の言葉に愕然とする家康ですが、直後に家臣たちによる寝返りが報告され、事態は家康が考えている以上に悪化の一途をたどっていきます。

一向宗を攻める策を話し合いますが、家来に一向宗とを多く抱えていたり、寺を攻めること自体を嫌がっていたりして、戦おう! という者がなかなか現れません。本多正信は足の調子がと逃げ出す始末です。榊原康政が自ら罰に当たりにいくと名乗りを上げると、石川数正も重い腰を上げて家臣たちを叱咤します。

本證寺に足を踏み入れる家康軍に、宗徒たちは影から鉄砲を放ち、礫(つぶて)を投げつけて応戦します。突進する夏目広次の目の前に、一揆側に参戦している彼の家臣たちが現れます。そして夕方、けが人続出で戻ってきた軍勢に対し家康はイライラを募らせますが、寺自体が堅牢であり、手柄目当てではなく極楽に行くことを考えている門徒たちはなかなか手ごわいです。酒井忠次は本證寺に軍師の存在を疑います。

空誓上人は家康の首を取りたいわけでも領土を広げたいわけでもなく、これまで通り不入の権を守りたいだけなのです。この戦いで大事な家臣の命を失った広次は、何もなかったかのようにできないかと涙ながらに訴えますが、それはできないと数正ははっきりと拒否します。もしここで兵を引けば家康は一向宗に屈したことになり、今後の三河の運営がたちまち滞ってしまいます。

「生きとる世界が違う。苦しみを与える側と、救う側じゃ」 本證寺で空誓に言われたひとことを家康は思い返していました。ことあるごとに寺と戦をすることに反対してきた瀬名は、家康が空誓に謝れば済むことと言いますが、家康の名誉にかけてもそれだけはできません。「ひとつの家が……バラバラじゃ」 瀬名は吐き捨てるように言って出ていきます。

本證寺側でもけが人が出てはいますが、むしろ家康軍を負かしたと大いに盛り上がっています。空誓は握り飯を配りながら、阿弥陀さまは常にわしらのそばにおられると民衆を激励して回ります。おもしろいことになりました、と千代が振り返ると、そこには家康と戦って敗れた吉良義昭や松平昌久が酒を呑んでいました。所詮家康は三河一国を治める器ではない、とふたりは不気味に笑います。

一向一揆の騒動に乗じて、義昭や昌久とともに酒井忠尚、松平家次、荒川義広らも謀反を起こします。三河の情勢は、松平家康対その他大勢という様相に変わりつつあり、血で血を洗う泥沼の内戦状態に陥ります。

 

裏切りが続出し、家康は服部半蔵に家臣たちを見張らせることにしますが、家臣は今でも家康を支えてくれていると諭します。一方、康政や忠勝の元には、本證寺内にいる遊び女のおふう・おりん姉妹が、義昭からの「家老としてお迎えしたい」との勧誘の文を届けていました。同様に千代から受け取った広次は文を即座に捨てますが、守るべきものは何かと問われて身体をガタガタと震わせます。

夏目広次裏切りと聞き、家康はにわかには信じられませんが、広次を軽んじているからだと数正は冷静に分析します。調略の書状は松平の家臣たちの多くに届けられているようで、家康は衝撃のあまり顔色を失います。数正は、本證寺内は烏合の衆だから潜り込むのはたやすいのではないかと考え、半蔵を潜り込ませると提案します。「空誓を亡き者にせよ、軍師と思しき者もじゃ」

本證寺内で握り飯を配って回る女大鼠、そこに戸板に寝かせられて運ばれてくる半蔵。密命を受けたふたりは、無事に本證寺内に潜入することに成功します。夜、祈祷を行う空誓に狙いを定めて毒矢を射ようと構える女大鼠ですが、寸でのところで半蔵が止めます。軍師が空誓に近づき奥の方に導き出したのです。しかし軍師は藁頭巾(わらずきん)をかぶっていて、その顔を見ることはできません。

大久保忠世からの援軍の要請に立ち上がる鳥居元忠と平岩親吉ですが、家康は自ら向かうと言い出します。確かに家康の顔を見れば、裏切って寺側についた家臣たちが戻ってくる可能性もありますが、敵の大将だと首を取りに迫ってきたときの覚悟はあるかと元忠は尋ねます。「三河の主は、この松平家康じゃ!」

長吉(土屋重治)の言を聞き入れ、手薄の北側から攻撃することにします。寺門を破り境内に侵入する家康軍ですが、物音に気付いて見上げた長吉が途端に震え出し、声を上げて逃げ出します。櫓の上から銃を構えて家康を狙っていたのです。弾丸は家康の甲冑に当たり、家康は気絶して倒れてしまいますが、それを合図に家康軍と一揆軍とで激しい戦が始まります。

戯れにひとつ説いてやる。この天下の主はな──。義元が指さすところには、銃を構えて必死に戦う男、その男に銃を手渡し援護する女、寺の僧、百姓、そして年寄り、子どもたちがいます。彼らが汗水たらして得た米と銭で、自分たちは生きることができると諭すのです。「民に見放された時こそ我らは死ぬのじゃ。よーく覚えておけ」

このことを言っていたのか……!! と家康が涙を流し仰向けになった時には、家康は一揆軍に取り囲まれていました。その中に長吉の姿もあります。驚いて叫び声をあげる家康ですが、次の瞬間長吉に槍に突き刺されて家康は再び意識を失います。

 

殿……殿……。呼びかけに目を開けると、心配する瀬名や家臣たちに囲まれていました。兜のおかげで命拾いしたようです。家康は長吉のことが気にかかり、彼のところへ連れて行ってもらいますが、長吉は家康を罠にはめたと息も絶え絶えに打ち明けます。一向宗と家康のはざまで苦しんでいたと瀬名は長吉に同情しますが、長吉は家臣にまだ裏切り者がいると伝えて息絶えます。

立ち上がる家康ですが、目の前に居並ぶ家臣たちがみな裏切り者に見えて、恐れおののいた家康は、瀬名を一室に閉じ込め避難させます。そこに半蔵が戻って来ました。軍師に阻まれて空誓の命を奪えなかったわけですが、半蔵は軍師が正信であると報告します。櫓の上から家康を銃撃したのも正信であるということが分かり、家康の目から大粒の涙があふれて出て来ます。


永禄6(1563)年、西三河全域で一向宗による一揆が勃発する。

慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、

あと40年──。

 

作:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
題字:GOO CHOKI PAR
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松本 潤 (松平家康)

有村 架純 (瀬名)

岡田 准一 (織田信長(回想))

大森 南朋 (酒井忠次(左衛門尉))
山田 裕貴 (本多忠勝(平八郎))
杉野 遥亮 (榊原康政(小平太))
音尾 琢真 (鳥居元忠(彦右衛門))
甲本 雅裕 (夏目広次)
イッセー 尾形 (鳥居忠吉)
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ムロ ツヨシ (木下藤吉郎(回想))
市川 右團次 (空誓)
松本 まりか (女大鼠)
矢島 健一 (吉良義昭)
角田 晃広 (松平昌久)
古川 琴音 (千代)
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松山 ケンイチ (本多正信)
山田 孝之 (服部半蔵)
松重 豊 (石川数正)

野村 萬斎 (今川義元)
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制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:堀内 裕介・国友 茜
演出:川上 剛

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『どうする家康』
第9回「守るべきもの」

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