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2023年2月28日 (火)

プレイバックおんな太閤記・(06)一夜城主

 辺りを注意深く見渡しながら駆け、川も構わず渡っていく嘉助は、砦の柵にまでたどり着きました。四つん這いになって柵周りを進むも、警備の兵に見つかってしまいます。怪しいものではござらぬ! と、木下秀吉の妹婿であることを主張しますが、たちまち捕らえられて引きずり出されます。騒がしいので様子を見に出てきた小一郎は、嘉助の来訪に驚きます。

焚火の側で飯を食わせてもらっている嘉助を、田舎で何かあったのかと小一郎は心配します。その心配をよそに嘉助は飯をたらふく食い、秀吉の家来になりたいと言い出します。お前は百姓だと小一郎はたしなめますが、秀吉は身内が増えるのは悪いことではないと嘉助を受け入れることにします。喜ぶ嘉助を見て、小一郎はため息をついてあきれ果てます。

墨俣へ向かう準備を始めたねねをややは引き止めますが、嘉助に分別がついていれば苦労はしないと準備の手を休めません。たまらず頭を下げてねねに詫びるきいですが、身内に秀吉のような人間がいれば心動かされるのも無理はないときいをかばいます。腕組みする前田利家は、留守中にねねを守っている立場として供をつける条件で墨俣へ送り出します。ねねときい、そして警護の男3人は、墨俣へ急ぎます。

墨俣では兵士に槍さばきを特訓しています。来たばかりの嘉助も鎧こそ身に着けていませんが、それに混じって特訓に励みます。柵のところで警護していた弥五六は、女子が来たぞ! と声を上げます。門を開けさせると、ねねときいでした。久しぶりのねねの姿に喜ぶ秀吉ですが、きいは嘉助の姿を見つけると、ついていた杖で殴ります。「このろくでなし! わしやおっ母さを捨ててようもこんなところへ!」

秀吉は城を預かる身分になったと胸を張りますが、ねねは嘉助を中村へ戻すよう秀吉に進言します。しかし秀吉はきいに嘉助の気持ちも察してやれと言う始末です。食い下がるねねに、秀吉は「嘉助が侍になって何が悪い!」と珍しく声を荒げます。自分やなかはどうするときいは目くじら立てて怒りますが、今に楽をさせてやるとニヤリとします。ねねは呆れて言葉が出ません。

墨俣の兵たちはねねの美しさに感嘆の声を上げ、夜になるとねねを囲んでの宴会となります。ねねは小牧から墨俣へ足を運んだのが徒労に終わったと寂しそうにつぶやきますが、浅野弥兵衛はねねを励まします。そんな時に敵の夜襲があり、秀吉はねねときいを小一郎に任せて前線へ、そして孝一郎はねねたちを蔵の中へ先導します。

嘉助は何もかも放り出して米俵の陰に隠れて怯えています。きいは鉄砲の着弾音に震えながら、いつになったら嘉助が帰って来るかと小一郎に問い詰めますが、明確な返答はありません。号令一下、秀吉軍は砦から出て敵兵に突撃、川を挟んでの戦闘となります。身を守りながら、ねねは秀吉が信頼できる人を側に置きたいのだときいを説得します。「わしはもう諦めた。兄さには負けたわ」

 

永禄9年も過ぎ、10年の新春を迎えた。秀吉は稲葉山への総攻撃を前に墨俣の砦を守り続けていたが、正月になると休暇を取って帰ってきた。小一郎も嘉助も奪うような形になり、ねねは秀吉になかへ詫びさせようと中村ゆきを勧めますが、せっかくの新春をゆっくりすごしたいと、秀吉はねねを抱き寄せます。そんな時、ともが秀吉を訪ねてきました。

墨俣での活躍を称えるともは、夫の弥助を侍として召し抱えてほしいと言い出します。しかし弥助は弱々しい返事で、秀吉は戸惑います。ともとしては、小一郎も嘉助もみな侍になり、自分たち夫婦だけのけものにされるのもイヤだし、姑の顔色をうかがいながら農作業をするのはもうたくさんなのです。泣き出すともに、秀吉は正月の祝い酒を勧めます。

ともを不憫に思った秀吉は、ひとまず弥助を預かることにして2人を帰します。ようやく穏やかになったかと思えば、今度は隣の前田家から、普段は冷静沈着な利家が珍しく大慌てでねねを呼びに来ました。初めての子を身ごもっていたまつが産気づいたのです。ねねはお湯を沸かすように秀吉に伝え、利家に腕を引っ張られて前田家へ連れて行かれます。

小さな器にお湯を入れている利家には大釜で湯を沸かすように、そして火を炊く秀吉には近所の女たちに手伝いに来るように呼びかけを指示します。部屋の中からまつがうめき声をあげるたびにおろおろする利家と秀吉は、女たちの行く手の邪魔ばかりして作業がはかどらないと、出て行ってくだされ! と家から追い出されてしまいます。

こんな時には男は何の役にも立たないと秀吉は笑いますが、中から赤子の鳴き声が聞こえてきました。利家は大手を振って歓喜し、秀吉は一安心で座り込みます。父親になった利家の喜び、妻として母としての幸せに満ち足りたおまつの顔、目を細めて赤子を見つめる秀吉。“私も母になりたい”と、結婚以来初めてねねはそう思っていました。

 

永禄10(1567)年8月、信長はいよいよ稲葉山城攻撃を決意します。稲葉通朝(のちの一鉄)、安藤伊賀守、氏家卜全の『美濃三人衆』が斎藤龍興に離反して信長に内通してきたのです。秀吉は小一郎に600の兵を預けて大手門で待機させ、秀吉は稲葉山城の断崖絶壁の搦手(からめて)から場内に侵入する作戦です。侵入できたら秀吉がひょうたんを振り、それを合図に城内に攻め入れと打ち合わせします。

ねねとややは小牧山中腹の祠に向かい、お百度参りをして秀吉と弥兵衛の無事を祈ります。ややは、弥兵衛の身に何かが起こったら秀吉のせい、秀吉がいなかったらこんな目に遭わずに済んだと秀吉憎しで固まっていますが、そんなややの独り言にも惑わされず、ねねは一心不乱に祈り続けます。

秀吉の作戦が始まりますが、稲葉山の険しさは例えようもなく、人路は途絶えて岩の裂け目がパックリと口を開く中を大きく飛び、足を滑らせて滑落しつつも仲間たちに助けられてどうにか進んでいきます。ようやく稲葉山の頂点にたどり着いた秀吉は、想定通り搦手に兵を配置していないと見るや城内に突撃します。雑兵たちを倒して鎧を得、斎藤方の兵たちに成りすまして進みます。

秀吉の武勇伝を、秀吉の身内たちが集まってにぎやかに聞いています。「人を殺す話など聞きとうない」とそっぽを向くややですが、無益な殺生はしたくない秀吉は手を下さずねねを安堵させます。

場内に侵入した秀吉は蔵に火をつけ大手門に走り、示し合わせたとおりにひょうたんを掲げると、それを合図に小一郎の600の軍勢がどっと乱入します。その中にいた弥兵衛は「生きて帰ったではないか」とあっけらかんとし、嘉助は一番乗りしたと大騒ぎ。何もできなかったとしょげる弥助はともに励まされていて、三者三様です。

戦が終わって落ち着くと論功行賞が行われ、利家は早々と名前を読み上げられて恩賞を受けますが、秀吉はついに最後まで呼ばれませんでした。庭で掃き掃除をしていたねねが家の中に入ると、秀吉がポツンと座り込んでいました。息をのむねねですが、黙り込んでいる秀吉を珍しいと笑います。秀吉は墨俣へ一緒に行ってほしいとつぶやき、戸惑いつつもねねは秀吉に付き合うことにします。

秀吉とねねが並んで歩くのは中村の実家へ帰った時以来で、ねねはとても楽しそうです。たどり着く2人ですが、墨俣へ押しかけた時に見た光景とは異なり、人ひとりおらず柵は黒焦げとなり、櫓や建物もボロボロです。稲葉山城を陥落させたことで墨俣は廃城となったわけですが、苦労して築き守り抜いた城を前に、何のために命を懸けて働いてきたのかと心中を吐露します。

今回の論功行賞で利家は母衣衆(ほろしゅう)に抜擢されました。利家よりも働きが上だったという自負はありますが、秀吉には家柄がなく候補から外された(と思っている)のです。大仕事をしてきたつもりでしたが急にむなしくなった秀吉に、ねねは大笑いし叱咤します。「下の者を大事になされませ。お前さまがくよくよしていらしたら、命を懸けて働いてくださった方たちは浮かばれないではございませぬか」

そうじゃの、と秀吉は微笑みます。ねねは秀吉の武勇伝を聞きたいと言いますが、過去の栄光を振り返るのはもうやめたと断ります。くよくよしておられぬと、秀吉は誰にもできないことを成してみせると元気を取り戻します。子供のように跳ね回る秀吉、その秀吉が何を望んでいるかねねには分かっていた。子どもが欲しいとねねはしみじみそう思っていた。


永禄10(1567)年8月1日、美濃三人衆が斎藤龍興の配下から離脱し、織田信長に寝返る。

慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、

あと35年8ヶ月──。

 

作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:山田 誠浩 アナウンサー
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[出演]
佐久間 良子 (ねね)
滝田 栄 (前田利家)
浅芽 陽子 (やや)
音無 美紀子 (まつ)
せんだ みつお (嘉助)
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藤岡 弘 (織田信長)
泉 ピン子 (きい)
長山 藍子 (とも)
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中村 雅俊 (小一郎)
前田 吟 (蜂須賀小六)
尾藤 イサオ (浅野弥兵衛)
西田 敏行 (木下秀吉)
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制作:伊神 幹
演出:富沢 正幸

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『おんな太閤記』
第7回「上洛への道」

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