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2023年3月12日 (日)

大河ドラマどうする家康・(10)側室をどうする!

朝早くから準備体操をこなしたお葉が岡崎城の廊下を拭き上げ、洗濯物を干しています。そんな中、前の一揆で一向宗側についていた渡辺守綱が美代に懸想をしかけています。断れない美代につけあがる守綱は、お葉に真後ろから腕をひねり上げられ突き飛ばされます。ギョッとする守綱ですが、相手が自分より強そうな女子と知って、たちまち無表情になりそのまま退散していきます。呆気にとられる美代を置いて、お葉は何も言わずに去っていきますが、曲がり角でシュッと曲がる几帳面さが目立っています。

さてさて、一向一揆を鎮めた我らが神の君。三河国内の支配を一気に強め、さらには今川方への調略もじわじわと進めておられました。ここは後の浜松、遠江引間(とおとうみ・ひくま)城。城主は飯尾連龍(つらたつ)どの。あの お田鶴さまの夫でございます。

一向一揆を収めた手腕を買って、連龍は松平家康とともに歩みたいと願っています。家康と今川との間を取り持ちたいとの申し出に、酒井忠次も思わず顔をほころばせます。連龍の妻・お田鶴は瀬名の幼なじみですが、家康にはお田鶴の兄・鵜殿長照を滅ぼした過去があり、気の強いお田鶴のことが気にかかります。連龍曰く、さほど気にせずともよさそうですが、そのころお田鶴は無表情で生け花を活けています。

岡崎に戻った家康は、築山御殿に赴いて瀬名の居室に入ります。民衆からの願い事などを家康に通し、精がつくという漢方を家康に飲ませます。そこに客人がきたとのことで、通そうとする瀬名を不用心だからと止めて、訪問者の名を尋ねる家康です。「於大の方さまで」 家康と瀬名は思わず、えー……と言葉を失います。

一揆以来、民衆の話をよく聞くようになったと笑う瀬名の心がけを於大は買っていて、頻繁に遊びに来ようと言うと、嫁と姑の間で冷ややかな笑いが続きます。今回於大が訪ねてきたのは、竹千代と亀姫以来子を成さない瀬名に代わる側室を置くようにと勧めに来たのです。“女子としてしまいじゃ”と言われて一度は逆上する瀬名ですが、家康の側室選びを於大とともにすることになりました。

 

家康の側室選びの話は、さっそく岡崎城の台所にまで伝わります。家柄はさほど問わず、働き者で子を良く生みそうな、家康の寵愛を受けそうな女子を探しているらしいです。その話の間にも、食事を摂り終えたお葉は几帳面な動きで手ぬぐいをたたんでいます。そのうわさを聞きつけて、築山御殿には側室として名乗りを上げた女子たちが面接を受けに長蛇の列です。

おたかは17と言いながら見るからに子どもだし、杖をついてよぼよぼの“自称27歳”から、一家の肝っ玉母ちゃんまで面接に来るありさまです。家康を前に側室はヤダ! と泣き出したり。色目使いをする女子に家康や忠次はメロメロになっていますが、瀬名と於大は無情にも突っぱねます。「はっきり申し上げて、殿は女子を見る目が全くございませぬ。……私は別として」

イノシシがわなにかかったと、猪汁だと喜ぶ家康ですが、イノシシをさばける者がいません。そこに名乗りを上げたのは、あの几帳面なお葉でした。お葉は構えたかと思うとお葉めがけて突進しますが、「そい!」と声を上げてナタで一発で仕留めます。その後もひとりでイノシシをさばき、なんと勇ましい! と瀬名は頼もしい目で見つめます。

瀬名がお葉の素性を調べると、西郡の鵜殿の娘とのことで、敗れた鵜殿に情けをかけてもらう際に自ら志願して岡崎城の奥に下働きとして奉公しているのです。影が薄いながら人が嫌がる仕事も率先してやり、しかもそつがなく、よく見ると器量よしで下働きの女たちの憧れの的にもなっているようです。話を聞いた於大は、お葉はきっとできる女子に違いないと確信します。「うん、私と一緒じゃ」

お葉に話を持ち掛けてみますが、表情は変わらず喚起する様子もありません。思いもよらず困惑していると言ったところです。鵜殿長照のことで家康に恨みがあるのかと瀬名は諦めかけますが、鵜殿の娘といっても鵜殿家の分家筋であり、宗家との付き合いはあまりないそうです。岡崎城での下働きに感謝すると深々と頭を下げるお葉に、瀬名は話を受けない理由を優しく尋ねます。

「私は……殿方が好む類いの女子ではないと分かっております」 あくまで固辞するお葉に、於大は家康に文句は言わせないと力強く言い、登与は殿方の好まれ方を指南するとまで約束してくれます。どうしてもお葉でなければ嫌だと、瀬名は頭を下げて頼み込みます。そこまで言われてお受けしないのは武家の女の恥とつぶやいたお葉は、その申し出を受け入れる覚悟を固めます。

しかし家康は大反対です。イノシシを仕留めた際にもお葉を不気味そうな女子だと感じていて、しかも西郡の鵜殿一族の娘と知り自分を恨んでいると言い出すのです。あの不気味な女子のこと、口では何とでもいえると思ったのでしょうか。これは罠だ! と大騒ぎする家康の尻を於大はポンと叩き、瀬名も すでに決まったことだと家康に引導を渡して去っていきます。

 

満月の夜、廊下の先にはお葉がさばいたイノシシの皮が干されていました。そのころお葉には登与による殿方に惚れこませる指導が行われていますが、動きがぎこちなさすぎて恐ろしくもあります。家康は耳が弱く、へなへなとなったときにお腹をさすればいいと、妻でしか知り得ない情報を瀬名からもらってお葉は“戦場へ”向かいます。

寝室でお葉を待つ家康ですが、よほど恐怖なのか立ってそわそわしています。寝室に現れたお葉は、登与の指南通りに袖で顔を隠しチラチラ上目遣いしながら近づいてきて、家康には不気味そのもので怯えてしまっています。続いて瀬名の助言を忠実に守り、足元を取られて倒れた家康の耳をギュッと掴み、力任せにお腹を掻きむしるお葉に、家康は逃げ出そうと必死です。

翌朝、いつも通り奥で下働きをこなすお葉ですが、やはり昨晩のことが頭に残っていたのか、井戸からくみ上げた水を見つめてため息交じりです。気持ちを持ち直して仕事を再会するのですが、両手で桶を抱えた瞬間よろめいてしまいます。お葉にはありえないことですが、そのよろめきを救ったのはいつも助けている美代でした。

一方、ため息交じりなのは家康も同様でした。家康が築山御殿に向かうと木下藤吉郎が来ていました。お市が北近江の浅井長政の元に嫁いだと知らせに来てくれたのです。藤吉郎はこの輿入れにより、西の浅井と東の松平が信長のために役目を果たしてくれることを期待しているようです。「もっともっとどえりゃあことがおできになるでな! おったまげるようなことだわ」

その後のお葉ですが、家康が白湯を所望すればもう持ってきているし、前坪が切れている草履を履こうとすると替えをサッと差し出すし、肩もみをさせれば逸品です。そのタイミングの良さといい器量のよさといい、家康はお葉に次第に心を許し始めますが、お葉は家康が好むような女子でないことを詫び、暇をいただきたいと言って去っていきます。家康は寂しさを感じ、お葉を追いかけます。

 

10ヶ月後、家康とお葉の間には女の子が誕生していました。ふうと名付けられたその女の子は、お葉に似て器量よし、お葉に似てたくましい、お葉に似て利発な子と、於大や瀬名たちの評判はとてもいいです。家康の血を受け継いだところといえば、鼻筋が通っているところだけでしょうか。泣き出したおふうをあやす家康ですが、瀬名はその姿を見ながらやはり胸中は複雑です。

「これにて側室の務め、終わりにしていただきとうございます」 好きな人ができたからというお葉の告白に家康は逆上し、連れてこい! と命じます。家康の求めに応じてお葉が連れてきたのは美代でした。男が苦手なお葉は自分自身をだましながら務めに励んできましたが、やはり家康に触れられると吐きたくなるほどにイヤだったようです。そして美代に助けられたことで自分の気持ちに気づいたのです。

美代は小柄で控えめ、か弱そうに見えますが実は芯が強い女子で、そこを気に入ったようです。側室でありながら他の者に懸想した大罪とはいえ、この場合はまた別の話なので家康は胸の内に秘めておくことにし、お葉の好きにさせることにします。瀬名は、側室を無理強いさせて悪いことをしたと表情を曇らせます。神の君、最初の御側室・西郡の局。一女をもうけ陰ながら末永く君をお支えいたしました。

さてこのころ、尾張の織田信長は京の都で起きた政変を受け、その運命の歯車が大きく動き始めようとしておりました。的に向かって矢を射続ける信長の元に、都から急報が舞い込みます。将軍足利義輝が討ち死にしたというのです。これにより天下はますます乱れてしまうと柴田勝家が報告すると、信長は不気味な笑みを浮かべます。

甲斐の武田信玄は越後上杉との戦に見切りをつけ、新たな獲物に向かって動き始めていました。穴山信君(のぶただ)、山県昌景、そして巫女の千代に、今川氏真の家臣をことごとく調略せよと命じます。「東海の都・駿府……欲しくなったわ」

その獲物である氏真は、裏切り者は決して許さぬと家康と通じている連龍を召し出します。そのようなこといったい誰が! とシラを切る連龍ですが、密告したのは誰あろう妻のお田鶴でした。お田鶴には、瀬名の幼なじみ、鵜殿長照の妹という他に、今川義元の姪(つまり氏真と従兄妹)という肩書があったのです。連龍は音もなく斬り倒されてしまいます。

かつて信玄に対面したいと申し出て「身の程知らずが」と突っぱねられた家康でしたが、わずかな手勢であれば密かに会ってもいいと書状が送られてきました。書状を持ってきた忠次に「どうしよう」と助けを求めつつ、いつものように腹を押さえる家康です。時代は次の段階へ進もうとしておりました。


永禄8(1565)年、側室・西郡局が徳川家康の次女・ふうを出産する。後の督姫。

慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、

あと38年──。

 

作:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
題字:GOO CHOKI PAR
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松本 潤 (松平家康)

有村 架純 (瀬名)

松嶋 菜々子 (於大の方)

岡田 准一 (織田信長)

大森 南朋 (酒井忠次(左衛門尉))
北 香那 (お葉)
渡部 豪太 (飯尾連龍)
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溝端 淳平 (今川氏真)
田辺 誠一 (穴山信君)
吉原 光夫 (柴田勝家)
橋本 さとし (山県昌景)
古川 琴音 (千代)
関水 渚 (田鶴)
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ムロ ツヨシ (木下藤吉郎)
北川 景子 (お市の方(回想))

阿部 寛 (武田信玄)
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制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:堀内 裕介・川口 俊介
演出:小野 見知

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『どうする家康』
第11回「信玄との密約」

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