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2023年4月23日 (日)

大河ドラマどうする家康・(15)姉川でどうする! ~激突! 裏切りの密書~

越前朝倉征伐のため北上した我らが神の君は、浅井長政の裏切りに遭い絶体絶命の危機に。小谷城を脱出して金ヶ崎の徳川家康の陣にたどり着いた阿月は「おひき……候え……」と伝え、織田信長は軍勢の殿(しんがり)に木下藤吉郎を指名。家康は信長の逃亡の時間を稼ぐために全力で戦います。その間にも、信長の首を狙う浅井長政が軍勢を率いて金ヶ崎に迫っていました。

その後、なんやかんやありましたが、無事金ヶ崎の戦いを乗り切ったのでありました。家康とともに京の信長屋敷にたどり着いた藤吉郎は、顔にいろいろ塗りたくって出血した様子を醸し出しますが、信長はその細工を見破って藤吉郎を足蹴にします。それよりも、藤吉郎が自分一人で頑張ったような訴えに、家康はムッとしています。

命からがら戻ったというのに、明智光秀は藤吉郎と家康に再び軍勢を率いて浅井朝倉討伐に向かえと有無を言わせません。家康は苦笑しつつ、遠江を離れて時間が経ちすぎていると不安を口にします。「来るか来ぬかはお主が決めろ。ただよ~く考えてな。乱世を終わらせるのは……誰じゃ?」 信長は懐から漆器を取り出します。中にはコンフェイトが4粒入っていました。光秀は家康を一瞥して去っていきます。

岡崎城築山御殿に戻った家康は、信康と亀姫、五徳姫にコンフェイトを分け与えます。おいしい! とみな顔をほころばせますが、残りの1粒は家康が瀬名の口の中に放り込んであげます。あと1粒欲しいと甘える亀姫に、信康と五徳が分けてあげている中、瀬名は無事に帰還した家康を労わりますが、またすぐに出陣しなければならないと家康は厳しい表情を浮かべています。

 

夏目広次を中心に出陣の支度が進められています。家康は広次をまた“ひろのぶ”と呼び間違えますが、家臣の信頼を失った失敗を経てもなお改めようとしない(名前を正確に覚えない)家康は、打ち首獄門にしてもいいと思います。しかし前に比べて広次も少し寛容になったようで、淡々としています。広次によれば遠江の要となる見附城がまもなく出来上がるようで、その城は酒井忠次に任せるつもりです。

織田信長と我らが神の君の幕府軍は北近江へ進軍。決戦の地・姉川へと布陣し、浅井軍を待ち構えたのでございます。家康は、見附城普請が終わり遠江は平定できると胸を張りますが、信長は武田への抑えとして引間城に家康自身が入ることを求めます。更には“馬を引くとは縁起が悪い”と改名も命じるのです。反発する家康ですが従わざるを得ません。「お主が先陣を切れ。徳川勢が一番やりじゃ」

小谷城では、長政が茶々を抱っこしたお市の方に出陣すると伝えます。兄信長には勝てないと長政を睨みつけるお市ですが、「それはどうかな」と長政はニヤリとします。お市の居室周囲の見張りを解き、織田に戻りたければそうしろと長政はお市を突き放します。お市はまま、去っていく長政の後姿を見つめています。そして長政は、家康に密書を送ります。

家康の脳裏に、信長の発言の数々が頭をかすめていきます。「あほたわけが!」と思わず口にしますが、そこに長政からの密書が届けられました。信長に義はない。信長の目論見は天下を簒奪(さんだつ)し日の本全てを我が物にすること。ともに信長を討ち取らん……浅井軍に味方するように勧める内容に、家康のみならず石川数正や忠次たちも表情が暗くなります。

 

元亀元(1570)年6月28日、姉川の向こうに浅井朝倉軍1万が着陣します。二手に分かれ、織田には浅井軍、徳川には朝倉軍をぶつけるつもりのようです。「皆殺しよ」と信長は重臣たちに持ち場につかせますが、藤吉郎には信長本陣に残って家康を見張るように命じます。

徳川軍のいる対岸には朝倉軍がいました。長政からの密書を手に考え込む家康ですが、燃やしてしまえ! 忘れよ! という忠次の言葉で、数正は家康の手から密書を抜き取りかがり火に投入しようとします。家康は数正の手から密書を取り返し、本陣の中に入っていきます。数正は平岩親吉に見張りに立たせ、忠次とともに本陣の中に入ります。

家康は石を軍勢に見立て、地図の上に並べて思案に耽(ふけ)ります。「わしは浅井長政につく。織田信長を……討つ!」 今なら討てると家康は家臣たちを見据えますが、迷うなと忠告する忠次を遮って、本多忠勝が家康に賛成します。信長が長政と戦っている間に朝倉とともにその背後につけば、勝てぬ戦ではないのです。逆に浅井朝倉と戦って必ず勝てるとは限りません。

信長に義はない──。その家康の言葉に、忠次は冷めた目で家康を見つめます。義とは何か? 家康と、その場に居並ぶ忠次や鳥居元忠に問いかけても、誰も明快な答えは出せません。「義なんてものはきれいごと! 屁理屈にすぎませぬ」 榊原康政も、朝倉とともに織田に向かっていった途端、朝倉から討たれるかもしれないと危惧します。信長と戦うと威勢の良かった元忠も、確かにそうだと納得せざるを得ません。

そうしているうちに浅井朝倉軍が動き出します。織田本陣では動き出したのを確認した藤吉郎が信長に目配せし、ほら貝を吹かせます。出撃開始の合図を聞いた家康ですが、朝倉と戦うのか信長と戦うのか未だに迷っています。早くと急かす忠勝、心配そうに見守る忠次と数正らの視線が家康に集まっています。「わしは……浅井につきたい! 浅井どのが好きだからじゃ」

「我らは幕府軍であることをお忘れあるな」 将軍に逆らうということは逆賊になるということと、忠次は冷静に諭します。そうしているうち、信長軍の鉄砲隊が徳川本陣に向けて銃撃を始めます。自分は試されている……。裏切れるものなら裏切ってみろと言いたげです。信長にこき使われるのはもうたくさん! という思いが、家康の心を占めていました。

忠次は呆れ、織田に攻めかかるなら攻めかかるで指図を求めます。数正も、信長を倒した後はどうするのかと家康に問いただします。家康にとっては天下や将軍のことなどどうでもいいわけですが、その三河も、武田との関係もどうなるのか分かりません。桶狭間の時のように混乱状態に陥ることは間違いありません。「あのぐっちゃぐっちゃをもう一度やりますか。もう一度やって生き延びられるとお思いか」

家康は、浅井朝倉に攻撃するよう下知し、無数の兵士と騎馬隊が朝倉軍になだれ込みます。ゆっくり織田軍に向かって進軍していた長政も、徳川軍が朝倉軍に攻めかかるのを目の当たりにし、「かかれ!」と号令します。家康の「お前にこき使われるのはもうたくさんじゃ!」という叫び声がこだまとなって聞こえていた信長も、朝倉軍に攻めかかる徳川軍を見て不気味な笑みを浮かべます。

真っ先に先陣を切った我らが神の君の大活躍により、織田徳川軍は浅井朝倉軍を見事 撃破。総勢3万を擁した姉川合戦を大勝利に導いたのでございました。

しかし、長政を取り逃がしてしまいます。光秀は家康が出撃するのが遅かったからだと責任を押し付けると、家康は慌てて敵を誘い込んでいたと苦しい言い訳です。藤吉郎は家康のその“冷静な判断”を蔑(さげす)んでいます。睨みつけていた信長は家康をのど輪絞めにし「これからも判断を間違えるなよ……白うさぎ」と、家康の耳に噛みつきます。

小谷城に戻った長政でしたが、お市は信長が一度裏切った者を決して許さない人間であることをよく知っていて、厳しい表情を浮かべます。さんざんに批判するかと思いきや「兄を……織田信長を……何としても討ち取りなされ」と、お市は長政とともに歩むと覚悟を決めたようです。驚く長政ですが、お市の言葉である意味救われたところはあります。長政は膝の上でおとなしくしている茶々の頭を撫でます。

姉川の戦いについて、長政は討ち取れず金ヶ崎に続く失敗だったと、穴山信君は武田信玄に報告します。信長の神通力も尽きたかと信玄は笑えば、信君は家康が付き合わされていると同情するありさまです。千代は、国元離れて戦う家康のおかげで主のいない三河や遠江の民の心配をしますが、信玄はその大きな手でたくさんの金(きん)を掴み、千代の両手に降らせます。

 

家康は信長の命令どおり、遠江を鎮めるために岡崎城から引間城に移ることにします。岡崎城は嫡男の信康が城主となり、瀬名と、信康が最も慕う親吉が岡崎城に残ることになりました。数正も足しげく岡崎に通って信康を助けてくれる予定ですが、ずっと苦楽を共にした親吉は、家康と離れ離れになると泣きじゃくっています。

家康は薬草を挽く薬研(やげん)の使い方を瀬名に教わっていますが、先ほど親吉をたしなめた家康も、瀬名と離れ離れになるのはイヤで泣きます。「引間などすぐそこ」と瀬名は適当にあしらい、引間の新しい名前を“松の木々が立ち並ぶ浜”から、浜松の名を提案します。かくして我らが神の君は、新天地・遠江 浜松へとお移りに。かの地は大いに沸き返り、民はみな喜びにむせび泣いて君を歓迎したのでございます。

しかしその実は「あれが今川さまを裏切った殿さまじゃ」「お田鶴さまを殺した殿さまじゃ」と、沸き返りとはほど遠いものでした。だんご屋の老婆は石入りのだんごを家康に進呈し(元忠が毒味して発覚したため家康は食べず)、娘たちは祝いの舞を披露しに家康の前に並びます。優雅に舞う娘たちに、家康は完全に目を奪われています。

切り取った他国を治めるのは容易なことではない。「岡崎の童(わっぱ)、心配でならんわ」と、ひげを引っこ抜いた信玄はフッと飛ばします。

前列で待っていた娘がかがんだかと思うと、家康めがけて突進してきます。警戒していた康政や忠勝の攻撃をひらりとかわし、家康にぶつかるとそのまま押し倒します。揉み合うふたりですが、家康が娘を間近で見ると、娘ではなく娘の格好をした井伊虎松という男でした。


元亀元年(1570)年6月28日、近江国浅井郡姉川河原で織田徳川連合軍と浅井朝倉連合軍が戦う。

慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、

あと32年7ヶ月──。

 

作:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
題字:GOO CHOKI PAR
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松本 潤 (徳川家康)

有村 架純 (瀬名)

北川 景子 (お市の方)

岡田 准一 (織田信長)

大森 南朋 (酒井忠次(左衛門尉))
山田 裕貴 (本多忠勝(平八郎))
杉野 遥亮 (榊原康政(小平太))
音尾 琢真 (鳥居元忠(彦右衛門))
甲本 雅裕 (夏目広次)
板垣 李光人 (井伊虎松)
小出 伸也 (大久保忠世)
岡部 大 (平岩親吉(七之助))
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酒向 芳 (明智光秀)
橋本 さとし (山県昌景)
吉原 光夫 (柴田勝家)
柴田 理恵 (老婆)
古川 琴音 (千代)
大貫 勇輔 (浅井長政)
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ムロ ツヨシ (木下藤吉郎)
田辺 誠一 (穴山信君)
松重 豊 (石川数正)

阿部 寛 (武田信玄)
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制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:大橋 守・釜谷 正一郎
演出:田中 諭

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『どうする家康』
第16回「信玄を怒らせるな」

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