大河ドラマどうする家康・(13)家康、都へゆく
徳川家康が今川氏真の身柄を北条氏康に送ったことが武田方に伝わると、約定破りだと反発の声が上がります。北条と徳川に挟み撃ちされればただでは済まないと穴山信君も危惧しますが、武田信玄は「岡崎の童(わっぱ)、このわしにそれがやれるなら大したものじゃ……やれるならな!」と笑います。
その信玄の怒りの書状が家康に届けられ、酒井忠次は詫びることを提案しますが、いらん! と家康は突っぱねます。本多忠勝は北条と挟み撃ちして武田を潰してしまおうと主張しますが、忠次はこれをたしなめます。頬杖ついて考えあぐねていた家康は、忠次に「信玄に詫びといてくれ」と出ていきます。忠勝は柱を殴って悔しがります。宿敵・今川氏真をついに倒された神の君でしたが、神の君 出陣ならず。
織田信長の力を借りて新たな将軍となった足利義昭公は、各地の大名に忠誠を誓わせるべく上洛を命じられました。永禄13(1570)年、家康も例に漏れず上洛して将軍に拝謁することになり、家臣たちは目を輝かせます。大久保忠世と渡辺守綱は作法についてはお任せあれと胸を張りますが、家康はふたりに留守役を命じ、まだ見ぬ将軍に幻想を抱いています。
上洛する父を羨ましがる亀姫ですが、瀬名の心配は夫の上洛よりも嫡男・信康(竹千代)と五徳姫(織田信長の娘)の仲の悪さにあります。3つあったまんじゅうを、信康は五徳姫に1つ、亀姫に1つ公平に分けたわけですが、五徳姫はそれを知らず信康をたたいたというのです。家康も瀬名もそれは五徳が悪いなというのですが、五徳姫はギロリと睨みます。「父上に言おうかなぁ……」
家康の脳裏に信長の恐ろしい姿がフラッシュバックします。ガツンと(言って)と迫る瀬名を置いて、家康は京土産にお菓子を買ってこようという五徳姫の機嫌を取り出します。コンフェイト(金平糖)!? と五徳姫の目が輝きます。かつて信長も南蛮人にもらったことがあるらしく、五徳姫も食べてみたかったわけです。家康は必ず買ってくると約束し、仲良くするように諭します。
初めて入京した家康は、盛況の市場でコンフェイトを必死に探しますが、平岩親吉は初めて見る女の格好に驚き、狼狽えるな! と鳥居元忠にたしなめられます。そして家康はあちこちへのあいさつ回りで大忙しですが、京都奉行を任されている木下藤吉郎のところに出向いても、藤吉郎は京女たちと戯れていて家康の相手をしてくれません。家康は憮然としたまま座っています。
続いて将軍の家臣である明智光秀と対面しますが、いつ対面できるか分からないためいつでも会える用意をと求められます。ずっと気を張っていたからか、家康は上洛3日目にして寝込んでしまいますが、忠次のたっての願いで、三河出身の商人である茶屋四郎次郎と対面することになります。四郎次郎はもともと侍でしたが、商人に鞍替えして今は羽振りもよさそうです。
家康はさっそくコンフェイトを所望しますが、名前を聞いただけで四郎次郎は恐れおののいてしまいます。小さな1粒を買うのに山城一つと言われているそうで、約束してしまったと家康は愕然とします。四郎次郎はどうにか手を尽くすと言いますが、家来に市中を出歩かせないほうがいいと忠告します。信長の上洛以来、風紀を乱す者を厳しく処罰するようになってしまったのです。
市場でうろつく元忠と親吉ですが、親吉は初めて見る南蛮人に目を奪われ、元忠は京女に心を奪われてしまっています。「京の女……行ってみっか」と、元忠は花束を掴んで女を追いかけていきます。そして彼らに置いてけぼりを食っている忠勝は、京の人の多さに頭がクラクラし、女たちの良い匂いに崩れ落ちてしまいます。助け出す榊原康政ですが、忠勝の弱点が女だったと笑って見ています。
女たちは元忠の方を振り返り笑顔を振りまきますが、正面から裸の男が来て悲鳴を上げて逃げていきます。そして元忠たちの後方からやって来た信長の命で敬らたちに裸の男を斬り捨てさせます。元忠たちは信長に気づかれないように背中を見せてやり過ごそうとしますが、一度通り過ぎた信長はすぐに戻って来ました。「近々宴席を設ける。お主たちの主にもそう伝えよ」
一方、忠勝と康政ですが、同じところに戻ってきてしまいました。どうやら道に迷ったようです。発熱に気づいた康政は忠勝を連れて宿に帰ろうとしますが、足元がふらついて倒れ込んでしまいます。どけ! この田舎侍が! とそこを通りかかった武士に突き飛ばされた忠勝は、ムクッと起き上がって呼び止めます。「おい! いま何と申した?」
夜、忠勝と康政が他家の武士とけんかをして戻って来ました。しかも相手は信長が可愛がり妹のお市を嫁がせた浅井長政の家来と知り、家康は真っ青になります。いくら「信長の犬じゃろ? 弱みそクソみそ大名!」と家康をバカにされたとはいえ、風紀を乱せば許されるとも思えません。信長に知られる前に浅井家と話をつけようと家康は慌てて準備します。そこに、信長からのお呼びがかかります。
信長の屋敷に入った家康はいたって神妙です。藤吉郎と光秀は将軍の顔に泥を塗ったと責め立てます。そして同じく呼び出された長政も姿を現します。長政は、家臣が“武勇の誉れ高い本多どのに戦い方を指南いただいた”と礼を言います。聞いていた信長は「ならばそれでよい」と不問に付し、光秀は不満そうにその場を後にします。
信長は地球儀の中の小さな島国をを指し示します。長政は、こんなにも小さな島国で諍(いさか)いを起こしていては、いずれ南蛮人に乗っ取られてしまうと危惧します。信長は、将軍足利義昭の手足となって日本の乱れた世の中をあるべき姿に戻すと2人に告げると、長政と家康の手を取って重ね合わせます。「我が2人の弟よ。力を貸せ」
屋敷を後にする家康は、口添えをしてくれた長政に礼を言います。長政は、京見物に連れて来ている妻のお市に穏便に済ませてやってほしいと頼まれたそうです。長政は三河を守り抜いた家康の苦労を自分の糧として来たらしく、腹を割って心行くまで語り合って見たかったわけです。いずれそのような折もと家康は笑顔を見せ、それぞれの屋敷に帰っていきます。
そしてついに将軍謁見の時──。四郎次郎はコンフェイトを持参し、家康は安堵します。そしてさらにお市もやって来ました。お市は生まれたばかりの茶々も連れていて、茶々を見つめるお市の幸せそうな顔に、家康の表情もつい緩みがちです。家康は四郎次郎が用意してくれたコンフェイトをお市に分けてやりますが、お市はご褒美として侍女の阿月の口の中に入れます。
二条御所に入った家康たちは義昭にひれ伏しますが、義昭は「松平よ」と呼びかけます。家康も石川数正も徳川に改姓したと伝えますが、酒に酔っている義昭は「知らんわ! 官位を金で買った田舎侍が!」と吐き捨て、献上の品として懐にあるものを所望します。懐にあるものとはコンフェイトであり、家康の手からコンフェイトを奪い取ると、モグモグと食べてしまいます。控える光秀はニヤリとします。
将軍謁見も無事に済み信長に挨拶をする家康ですが、信長は家康を呼び止めます。明後日には出陣し、家康にも合力してもらうつもりなのです。相手は若狭と、その背後にいる朝倉義景です。将軍に従わず上洛を拒んだのが大義名分ですが、家康の手勢500ではどうにもできません。信長と光秀の軍勢に加え、長政の軍勢も加えて40,000で義景を討つと藤吉郎は不気味に笑います。
北近江の小谷城に戻ったお市は、楽しい時を過ごせたと長政に頭を下げますが、長政の表情は曇っています。「よく聞いてくれ。義兄上を裏切る。織田信長を……討つ」 長政の突然の告白に、お市の表情が固まります。次の瞬間、長政とお市のいる居室を武装した兵たちに取り囲まれます。
永禄13(1570)年4月20日、織田信長は若狭の武藤友益・越前の朝倉義景の討伐のため、幕府軍3万を率いて京都を出発する。
慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、
あと32年9ヶ月──。
作:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
題字:GOO CHOKI PAR
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松本 潤 (徳川家康)
有村 架純 (瀬名)
北川 景子 (お市の方)
岡田 准一 (織田信長)
大森 南朋 (酒井忠次(左衛門尉))
山田 裕貴 (本多忠勝(平八郎))
杉野 遥亮 (榊原康政(小平太))
音尾 琢真 (鳥居元忠(彦右衛門))
小手 伸也 (大久保忠世)
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田辺 誠一 (穴山信君)
橋本 さとし (山県昌景)
酒向 芳 (明智光秀)
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ムロ ツヨシ (木下藤吉郎)
古田 新太 (足利義昭)
中村 勘九郎 (茶屋四郎次郎)
松重 豊 (石川数正)
阿部 寛 (武田信玄)
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制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:堀内 裕介・国友 茜
演出:川上 剛
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『どうする家康』
第14回「金ヶ崎でどうする!」
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