« 大河ドラマどうする家康・(13)家康、都へゆく | トップページ | vol.294・サプライズ大作戦!! »

2023年4月 4日 (火)

プレイバックおんな太閤記・(11)筑前守任官

天正元(1573)年8月、小谷落城とともに3年に渡る織田信長と浅井長政との攻防戦は終止符を打った。が、秀吉にとってはそれが大きな運命の転機となったのである。家に戻った秀吉は、いつも通り出迎えるねねに真顔で「出迎え大義じゃ!」と答え、家の中に入っていきます。いつもと違う秀吉の様子に、ねねもともも顔を見合わせています。

ねねの顔を見つめ城持ち大名のおかかになる顔だと笑って、ねねに尻を引っ叩かれる秀吉ですが、小谷城主として江北3郡(12万石)を賜ったと報告します。そしてこれを機に木下姓を羽柴に改め筑前守に任ぜられます。同様に小一郎は羽柴秀長へ、弥兵衛は浅野長政へ。「今日からわしは、羽柴筑前守秀吉じゃ」 苦労をかけたと頭を下げる秀吉に、足軽組頭のころ一日一日を凌ぐ毎日を振り返ってねねは涙を流します。

ともが長政とやや夫婦を呼びに行き、魚釣りに出ていた秀長と弥助も戻って来ました。かねてから秀吉に仕えていた蜂須賀小六と又十郎、森 弥五六、ねねの養父母の浅野又右衛門やこいを招待して、秀吉の昇進祝いが始まります。秀吉の本当の補佐役はねねだと力説する秀長は、ねねを邪険にしないよう秀吉にくぎを刺します。中村に戻っている嘉助ときい夫婦、なかにも、この吉報を早く伝えたいとともはつぶやきます。

そのころ中村では、小谷攻めの無残さから“戦は地獄”とつぶやく嘉助ですが、これに懲りずに秀吉の元へ戻って出世街道に乗っかるつもりです。「何が出世じゃ」と目くじらを立てるなかは、万福丸への仕打ちから世間は秀吉を鬼呼ばわりし、肩身の狭い思いをしているのです。殿さまの命令であれば罪もない子どもを殺す、それで出世して何か嬉しいのか! となかには理解できないことばかりです。

宴が終わり横になる秀吉ですが、なかなか眠れません。生き抜くことに精一杯だった夫婦でしたが、これからは成り上がり者として夫婦への風当たりも強くなります。一方で家臣たちもどっと増え、領民からもいい城主だと言われるようにならなければなりません。まずは小谷城へ移る必要がありますが、ねねは浅井久政以下三代とお市の怨念がただよう小谷城に入ることだけは拒絶します。

 

岐阜城では秀吉がお市の3人の娘たちに鞠を持参しますが、茶々は秀吉への反発心からそれを地面に叩きつけ、初と小督も真似します。お市は3姉妹を庭から上げ、侍女は目じりを吊り上げています。そんなお市は岐阜城で暮らしたくないと信長に訴え、清洲城息を懇願します。「わしを恨んでおるのか……」とつぶやく信長ですが、お市はその問いには答えず信長に頭を下げ、決意の固さを見せます。

家に戻った秀吉は、ねねに小谷に無理に行く必要はないと答えます。その代わり新たに築く今浜にねねを迎えるつもりです。山城で往来が大変な小谷より、船や陸で行き来しやすい今浜に商人たちを集め活気あふれる街にしたいのです。城を作る銭がないとねねは困惑しますが、民衆に等しく賦課をかければ済むのです。民衆が城のために働き、城主は民衆を守るのが倣いと秀吉は説明しますが、ねねは納得しません。

秀吉たちは小谷城へ移り、とも親子と岐阜に残ったねねは中村へ挨拶に出向きます。今浜に城が建ったら移ってほしいと話をするねねに、なかは笑って断ります。そこに村の女が子どもを奉公させたいと連れてきました。話のたびにきつく断ってきたなかですが、女はなかの言葉に耳を貸さず、ひたすらにねねに頭を下げます。しかしさすがのねねも人集めについては全く分からないと、丁寧に断りを入れます。

中村の家を後にし、従者をひとりつけて岐阜に戻っていくねねですが、奉公に出したいという先ほどの子どもたち(イチ・トラ)がその後をついてきます。何度か追い払うねねですが、それでもついてくる姿についにねねが根負けします。「追い払っても諦める子ではないわ。なかなかの根性よ……末頼もしいわ」 フッと笑うねねは、何も言わずに帰り道を急ぎます。

そのままイチとトラを岐阜に連れ帰ったねねは、彼らに粥を食わせます。もう8杯目……とともは愕然としますが、ねねは気にする様子はありません。このわんぱく坊主が、後に秀吉の右腕となって働く加藤清正(トラ=虎之助)と福島正則(イチ=市松)のふたりで、この時がねねとの初めての出会いです。

ねねは岐阜に戻った秀吉にトラとイチを対面させます。秀吉は二つ返事で小谷行きを許し、トラたちは大喜びで外に飛び出していきます。秀吉はひたすらに仕官の道を探っていた昔の自分を見ているようで、他人事には思えなかったのです。秀吉の話だと、小谷での人集めも難渋しているようで、尾張の者にとどまらず浅井の旧臣も採用しているようです。子飼いの家臣を持たない秀吉には仕方のない話です。

城主の妻となればそれだけ仕事量が増えるわけで、秀長もいろいろと人を当たって集めていますが、秀吉はねねにも気に入った女性がいれば侍女として召し抱えるように勧めます。ねねは、どんな立場であってもお手伝いはあさ一人でいいと言い張り、秀吉は困り果てます。城主の女房がどんな生活を送るのかねねは想像がつかなかったわけですが、この時が一生でもっとも平和な時だったかもしれません。

 

翌 天正2(1574)年元旦、信長は諸将を岐阜城に招集させ年賀の儀を行います。明智光秀に続いて呼ばれた秀吉は恭しく挨拶し、信長はニッコリとほほ笑みます。そこに突如舞い込んだ越前一向一揆の報に、信長の表情は一変します。朝倉氏滅亡の後も国内情勢が不安定で、信長はまたも本願寺の一向一揆に苦しめられることになります。秀吉は信長の命で敦賀へ派遣されます。

その間にも今浜の築城は順調に進み、翌 天正3(1575)年の春には無事に完成。長浜城と名付けられます。それに合わせて家を引き払うことになりますが、荷物も運び出した後の部屋を眺めて、ねねは感慨深げです。ややも長浜へ行きますが、家の片づけがまだ済んでおらず、後追いになりそうです。長浜への供として、秀吉はみつをつけてくれます。気心知れた仲間にねねも安堵の表情を浮かべます。

みつは着物を持参して、ねねに着替えを促しますが、あまりの綺麗さにこれでは歩けないとねねは笑います。「輿が待っております」とのみつの言葉に、状況を飲み込めないねねが邸宅の外まで出て見ると、数十人の従者たちが控えて輿も用意されていました。仰々しい……と困惑するねねは、自らは歩いていくことにして、輿にはともと孫七郎を乗せて長浜に向かうことにします。

足軽組頭から侍大将まで、ただやりくりに追われてつつましくおかかの務めを果たしてきたねねには、身分の変化がどうしても認識できなかった。今浜の新しい城でどんな暮らしが待っているのか、ねねは初めて不安になっていた。


天正2(1574)年1月19日、織田信長に任命されて城代に就いていた桂田長俊を討つべく、朝倉旧臣の富田長繁は越前中の有力者と談合し、土一揆を発生させる。

慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、

あと29年──。

 

作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:山田 誠浩 アナウンサー
──────────
[出演]
佐久間 良子 (ねね)
中村 雅俊 (羽柴秀長)
浅芽 陽子 (やや)
音無 美紀子 (まつ)
尾藤 イサオ (浅野長政)
せんだ みつお (嘉助)
──────────
藤岡 弘 (織田信長)
夏目 雅子 (お市)
長山 藍子 (とも)
──────────
赤木 春恵 (なか)
前田 吟 (蜂須賀小六)
泉 ピン子 (きい)
西田 敏行 (羽柴秀吉)
──────────
制作:伊神 幹
演出:宮沢 俊樹

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『おんな太閤記』
第12回「城主の妻」

|

« 大河ドラマどうする家康・(13)家康、都へゆく | トップページ | vol.294・サプライズ大作戦!! »

NHK大河1981・おんな太閤記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 大河ドラマどうする家康・(13)家康、都へゆく | トップページ | vol.294・サプライズ大作戦!! »