大河ドラマどうする家康・(25)はるかに遠い夢 ~築山事件! 愛妻瀬名たち 家康に壮絶な結末が~
天正7(1579)年・夏──。瀬名が思い描いた“慈愛の国”は、あっけなく織田信長に漏れてしまいます。徳川家康を呼び出した信長は、「お前の家中で起きたことじゃ。俺は何も指図せん」と突き放し、家康の対応を見定めるつもりです。織田家の徳川目付である佐久間信盛は、何をせねばならないか分かるだろうと迫ります。
築山御殿に帰って来た家康を、家族が心配そうに出迎えます。松平信康は自分が責任を取ると切腹を申し出ますが、家康は認めません。こうなれば織田とも手を切るつもりですが、武田に裏切られ織田と手を切れば、それこそ徳川家が危ないと信康は指摘します。瀬名は五徳に、信康と瀬名の悪行を「暴虐で不埒で不忠な母子」と書き連ねて信長に送るように言います。
五徳は、志を同じくした仲間だと主張しますが、ともに倒れてしまっては幼い姫たちを養育する責務を果たせないと瀬名に諭されます。家康は瀬名と信康に責めを負ってもらい、五徳には瀬名が言うように信長に書状をしたためてもらう。壮大な計画ではありましたが、そういうことにして「信長を……世を……欺く」つもりです。
一つ 築山殿は悪人であり、五徳を日々誹(そし)り、信康様との間を不忠にいたし候事。
一つ 信康様暴虐にして、鷹狩りの帰りに出会いし法師を引きずり殺し候事。
「築山殿、信康様、ともにご自害いただく所存にございます」と、安土城に報告に上がった酒井忠次は、五徳のしたためた書状を読み上げて信長に報告します。
そのころ家康は服部半蔵と示し合わせて、瀬名と信康に似た者を数人探し出し、成敗のために岡崎からよそへ移る2人に身代わりとすり替えると企てます。2人には名を変えてひっそりと過ごしてもらい、世が変われば元通りに暮らせるかもしれません。
岡崎城を出る信康は、息災でな、と五徳と最後の言葉を交わします。信康にいつでも織田家に戻れと言われて、いつどこにいても“岡崎どの”と呼ばれたいと願い出ます。フッと微笑んだ信康は、快く承諾します。
於大・久松長家、今川氏真・糸の4人は築山御殿を訪れていました。於大は、瀬名を誇りに思うと言葉をかけます。瀬名は、御殿を手入れする者もいなくなるからと草花を持って帰ってもらうように手配します。無心に草花にはさみを入れる瀬名を見ながら、於大は瀬名と信康にまたきっと会えるとつぶやきます。家康が2人を死なせるわけがないと信じているのです。
信康が堀江城に入ります。企てがしくじったと知り、半蔵に「いつまでもダメな忍びじゃ」と家康は吐き捨てますが、服部党がしくじったというよりは、信康が企てを拒んだのです。家康は、再度その企てを実行するため、大久保忠世の二俣城へ信康を移すことにします。しかし二俣城に移っても、信康は瀬名が逃げてからと半蔵の説得を聞き入れません。
瀬名は、家康が彫った思い出の木彫りのうさぎを袖の下にそっと忍ばせます。御殿に鳥居元忠が到着し、瀬名を迎えに来ました。瀬名に付き従う侍女たちの中に大鼠がいて、大鼠に目配せする石川数正は、瀬名に家康の指図通りにと勧めますが、瀬名は少し微笑んで、そのまま出ていきます。
瀬名と大鼠らは佐鳴湖から小舟で渡り、富塚へ。瀬名に「藪の中でお着換えいただきます」「織田方が見ているかも」と瀬名に耳打ちする大鼠と元忠ですが、信康は逃げたのかと瀬名は尋ねます。2人が答えに窮していると、瀬名は身代わりの女の元へ歩み寄り、家に帰るようにと言葉をかけます。身代わりとしていきなり連行された女は、怖くて仕方がない表情でしたが、瀬名の言葉に一礼して走り去ります。
どこへ行く! と元忠は予定外のことに驚きます。瀬名は湖畔に正座し、懐刀を手にします。「彦、介錯を頼む」と瀬名は元忠を見据えますが、元忠は困惑しながらできないと返答します。同様に大鼠にも頼みますが、大鼠は武士から奪い取った刀を振り上げると、元忠がそれを止めます。そうしているうちに、湖を小舟で渡って来る数名がいました。濃い霧の中でも、それが家康であるとハッキリわかります。
信康に説得を続ける半蔵と忠世ですが、瀬名が逃げてからと信康は曲げません。お逃げになりましたと伝える半蔵ですが、信康は半蔵の嘘を見抜きます。瀬名は自害したと悟った信康は、おとなしく平岩親吉に連れられて城を出るところ、親吉の刀を奪い取って自らの腹に突き刺します。「七……わが首を……しかと……信長に届けよ……」 半蔵は、苦しむ信康に刀を振り上げます。
於愛の方が笛を吹く中、井伊万千代は自害したことを家康に報告します。無表情の家康は立ち上がり、於愛は心配そうに見守りますが、直後、家康はバタリと倒れます。瀬名と信康が自害したことは、長家のもとに書状が届けられて知らされ、於大は床を見つめたままジッと耐えています。五徳の元には数正が報告に上がり、五徳は大粒の涙を流して哀しみます。
氏真にも書状で知らされ、糸は声を上げて泣いています。武田勝頼には千代が報告し、勝頼は「人でなしじゃな」とつぶやきます。どこへ行く? と穴山信君が千代に問いますが、千代は寂しそうな笑みを浮かべるだけです。安土城では、信盛が2人の処分で織田と徳川の結びつきは強固なものになると報告し、よかったよかったと他人事のようにつぶやきますが、信長は信盛を問答無用の追放処分にします。
倒れた家康は、瀬名の最期を振り返っていました。死ぬなと諭す家康に、瀬名は一向に首を縦に振らず、信康とともにあの世へ行くと聞きません。いやだとだだをこねても「それはわがまま」と一蹴されます。家康はかつて、今川家から離反した際に瀬名と信康を見捨てた過去があり、二度と見捨てないと心に誓ったのです。「あなたが守るべきは……国でございましょう?」
国などどうでもよい! といら立ちを隠せない家康に、瀬名は亡き父母が言った「私の大切なものを守るために命を懸けるとき」が今なのだと返します。徳川の窮地に全ての責任を取る、それは父母も褒めてくれようと言います。民衆は瀬名のことを悪辣(あくらつ)な女だと語り継ぐでしょうが、それでも瀬名は平気です。「本当の私は……あなたの心におります」と、家康の胸に手を当てます。
泣きじゃくる家康を、まるで母親がわが子にあやすように微笑みます。まだ幼い日、誰も知らない地で小さな畑を作って、世の騒がしさにも関せず、2人で静かにこっそり暮らそうと話したことがありましたが、瀬名にとってはたった一つの夢でした。瀬名は持って来ていた木彫りのうさぎを家康に返し、うさぎは狼よりもずっと強いと鼓舞します。
家康は涙を袖で拭き、小舟で城に戻っていきます。木彫りのうさぎを見ていると大好きな瀬名との日日が脳裏を駆け巡ります。瀬名の元へ戻ろうとする家康を本多忠勝や榊原康政らが止めますが、瀬名は首元に懐刀を当て、自害して果てます。瀬名のそばにいた元忠もなすすべなく、その場で膝から崩れ落ちます。大鼠がとどめを刺すと、家康の瀬名を呼ぶ声が響き渡ります。
天正7年(1579)年8月29日、築山殿が二俣城への護送中に佐鳴湖の畔で殺害される。9月15日、徳川家康の命により松平信康が切腹させられる。
慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、
あと23年5ヶ月──。
作:古沢 良太
音楽:稲本 響
題字:GOO CHOKI PAR
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松本 潤 (徳川家康)
有村 架純 (瀬名)
松嶋 菜々子 (於大の方)
岡田 准一 (織田信長)
大森 南朋 (酒井忠次(左衛門尉))
山田 裕貴 (本多忠勝(平八郎))
杉野 遥亮 (榊原康政(小平太))
音尾 琢真 (鳥居元忠(彦右衛門))
板垣 李光人 (井伊万千代)
小出 伸也 (大久保忠世)
岡部 大 (平岩親吉(七之助))
細田 佳央太 (松平信康)
久保 史緒里 (五徳)
広瀬 アリス (於愛の方)
溝端 淳平 (今川氏真)
眞栄田 郷敦 (武田四郎勝頼)
松本 まりか (大鼠)
志田 未来 (糸)
古川 琴音 (千代)
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山田 孝之 (服部半蔵)
田辺 誠一 (穴山信君)
リリー・フランキー (久松長家)
立川 談春 (佐久間信盛)
松重 豊 (石川数正)
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制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:堀内 裕介・国友 茜
演出:村橋 直樹
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『どうする家康』
第26回「ぶらり富士遊覧」
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