« プレイバックおんな太閤記・(42)秀次追放 | トップページ | プレイバックおんな太閤記・(43)母、ともの嘆き »

2023年9月24日 (日)

大河ドラマどうする家康・(36)於愛日記 ~忠勝号泣 さよなら愛しき殿!~

於愛の方が、書き記していた日記を見返しています。

夫の西郷義勝が出陣し、於愛と二人の子どもが見送ります。「子らのためにもひと手柄立てて見せる」と言って出て行った義勝は、そのまま戦場で帰らぬ人となります。元亀3(1572)年10月、お慕いする人が逝ってしまった。私の心もまた、死んだ。於愛は亡きがらの輿から小刀を取り、首に当てて自害しようとします。ふと振り返ると、愛娘が風車を握り締めたまま、じっと見つめています。

於愛は、お葉の斡旋で徳川屋敷で下働きに出ることになります。父母はすでに亡く、子どもたちを祖父母に預けての出仕です。その表情は暗く、もう誰にも再嫁するつもりはない於愛に、お葉は「うそでも笑っていなされ。皆に好かれぬとつらいぞ」と言葉をかけます。表で器を洗う於愛は、桶に映る自分の暗い顔を見て、ほほを上げて無理に笑顔を作ります。

厨に入った於愛は、「またつまみ食いして!」と男の尻をひっぱたきますが、それが徳川家康だったわけです。天正4(1576)年5月20日、思いがけぬお話をいただいた。お葉の紹介で正室の瀬名と対面した於愛はおおらかな人柄を買われ、殿を頼むと言われます。お方さま、私の笑顔はいつわりでございます。殿のことは心から敬い申し上げているけれど、お慕いするお方では、ない。

鳥居元忠は家康の命で、大久保忠世とある女の行方を追っていますが見つかりません。入って来た於愛は手伝いを買って出ますが、家康はそんなことよりも、真田昌幸が求めた「嫡男に家康の養女を妻に迎える」という話を、真田家の家風が合わないとかで稲と父の本多忠勝は納得していないようです。戦にはしたくないという家康の意向もあり、元忠は甲斐に戻る前までに忠勝を説き伏せると言って出ていきます。

 

都にて豊臣政権を支えるお立場となった神の君。ご心労の元は上洛を拒む北条の問題で。旭とともに上洛した家康は、まだ豊臣秀吉に従わない北条にしびれを切らし、関東を攻めるように指示しますが、家康の娘・おふうが北条氏直に嫁いでいて、説得するまでしばらく待ってほしいと止めます。

そのころ小田原城に赴いている榊原康政は、おふうとともに氏直を必死に説得しますが、氏政は家康を信じていないようで、その言葉は届きそうにありません。北条と真田のいさかいが収まらなければ進展しないわけですが、真田には代替地を与えて納得してもらい、真田と徳川が縁戚になるように話を進めています……が。

真田は好きではないとムッとする稲は、連れ出そうとする忠勝を逆に護身で仕留めます。幼いころから弓や槍を教え込んだからだと稲と忠勝は口げんかに発展しますが、元忠が間に入って止めます。「好き嫌いは脇に置かれませ」と於愛は穏やかにたしなめます。於愛は北条を説得するおふうの話を持ち出し、稲にも同様の役割が求められると諭すと、稲も忠勝も黙り込んでしまいます。

いったん駿府に戻る家康は、旭にこのまま京に残って大政所(仲)のそばにいるよう勧めます。人質だからと困惑する旭に、家康は正室として京で務めを支えてくれればいいとニッコリします。そこに豊臣秀長が駆けつけ、秀吉は多忙で来れない旨を家康に伝えますが、新たな側室にご執心で、と寧々は皮肉タップリです。「あの男は病だわ。何でも欲しがる病」

 

家康が不在の間、身体が不自由な者たちに施しをしている於愛は、胸を押さえて息が荒いです。そこにやってきた本多正信は、忠勝が娘を真田にやらないと言い出したと伝え、於愛は忠世のところへ赴きます。家康が元忠と忠世に命じた人探しですが、武田重臣・馬場信春の娘の千代のことで、元忠がかくまっているところを守綱が発見してしまったわけです。それを忠勝が聞き、怒り狂っているのです。

忠勝は、元忠は真田の忍びにひっかかって稲の輿入れを迫ったと思い込んでいます。正信は、家康の代理として於愛に忠勝の説得をしてほしいのですが、そこに忠勝が家来を率いて元忠の屋敷に乗り込んだとの知らせが舞い込みます。忠世たちは慌てて元忠の屋敷に駆けつけ、けんかを仲裁しようと努めますが、なかなか止まりません。

ひとまず双方落ち着かせ、於愛は事情を聴きます。甲斐の教来石で野良仕事をしていた千代を見つけた元忠は、忍びから足を洗った今でも家康に引き渡せば罰せられると匿うことを決め、忠勝は罠にはまったと非難します。千代に言い分を聞いても、元忠への思いは「きっと偽り……ずっとそうして生きてきたので」とあっけらかんと発言します。於愛はじき戻る家康の裁定を待てと、千代を預かります。

於愛には、元忠への気持ちが偽りだと言ってのけた千代の言葉が、自分が日記にしたためた内容と似ていて、再び日記を見返します。

 

天正7(1579)年9月15日、恐ろしいことが起きた。瀬名と松平信康が自害したのです。あまりにショッキングな結末に家康は卒倒し、井伊万千代(直政)と於愛が駆けつけます。お支えしなければならない。私よりはるかに傷ついておられるこのお方を。横たわる家康のそばにずっとついて、介抱します。

織田信長をもてなすという旅では、家康はそんな悲劇を忘れたかのように振る舞います。正室と嫡男を殺させた人物に対しての家康の振る舞いに康政らは非難しますが、於愛は必死に家康に味方します。笑っていよう。たとえ偽りの笑顔でも、絶えずおおらかでいよう。この方がいつかまた、あのお優しい笑顔を取り戻される日まで。於愛は再び苦しくなり、胸を押さえます。

「わが命に背いたること言語道断である!」 京から戻った家康は、元忠を睨みつけます。腹を切る覚悟を固めている元忠に、フッとため息をついた家康は、そもそも千代を恨んではいないし、忍びとして使おうと思って探させたわけでもないのです。家康にとって千代は、瀬名の呼びかけに応じて穴山梅雪とともに戦のない世を目指したひとりという認識です。

家康は千代に、忍びであった過去を捨てて元忠の妻となるように裁定を下します。情けは無用にと動揺する千代に、幸せは生き残った者務めだと諭します。頭を下げる元忠ですが、家康は於愛の助言に従ったことを打ち明けます。「人の生きる道とは、つらく苦しいいばらの道。したい慕われる者あることがどれほど幸せなことか」という於愛の言葉は、その場の末席にいる稲の心にも届いていました。

家康は忠勝にこの裁定に異存がないかを確認しますが、意外な結末に忠勝は、千代が真田の忍びである疑いが晴れていないとまた話を振り出しに戻します。稲は、自分が真田に入り込んで操ればいいと忠勝を見据えます。「彦どのが寝首を掻かれたら、私は真田親子の寝首を掻きます。真田家、我が戦場として申し分なし!」 忠勝は、いよいよ子離れの時と男泣きします。

家康は於愛に胸の苦しさに効く薬を煎じて飲ませます。家康にとって今回のことは於愛のおかげと思っていて、これまでも於愛の笑顔とおおらかさに助けられてきました。そういう意味では於愛も家康に救われたわけです。ほほを上げて無理やり笑顔を作っていたのを、家康はいつの間にか忘れさせてくれたのです。

於愛は心を決めたように家康の前に進み出て、瀬名と信康のたわいない思い出話を聞きたいと言い出します。これまでに聞けずにいたわけですが、いつの日か家康が笑って語れる日が来ると信じていたのです。家康は、信康と五徳の婚儀の出来事を語ろうとしますが、おかしくて語るどころではありません。西郷殿こと於愛の方さま、この後間もなくお亡くなりに。そのご葬儀には多くの民が集まり、祈りをささげたとのことでございます。

 

真田への輿入れにより、北条も思い思い腰を上げ。氏直は、弟の氏規(うじのり)を上洛させることを決めます。おふうは額を床につけて礼を言い、これで家康は戦を避け北条は守られると康政は断言します。しかし……。

報告に上洛した家康は、秀吉の言葉に耳を疑います。北条に譲った沼田の領地を平等ではないと真田にも分けてやるように言い出したのです。これまでの家康の苦労は水の泡と化します。北条が上洛したといっても氏政や氏直といった当主ではなく、当主でない者が来ても意味がないと突っぱねます。「我が裁定に不服なら、滅ぼすまで」

秀吉は初めから北条と戦をするつもりだったのだと、家康も直政も愕然とします。今や秀吉の周囲には、ご機嫌取りと唆(そそのか)す者ばかりで、秀吉に対して意見できるのは寧々と家康しかいないと秀長はつぶやきます。秀長も発言力は大きいですが、病を得ていて長くはないと寿命を感じずにはいられません。「お気を付けくだされ。兄に取り入る者の中にはかなり危ういものも」

的に向かって矢を射る秀吉ですが、まったく射抜くことが出来ません。それを後ろから鉄砲で打ち抜き、度肝を抜いたのは茶々です。その母・お市とうり二つで、家康が驚くのも無理はありません。そんな家康の気持ちを知ってか知らずか、茶々は家康に鉄砲を向け遊んでいます。家康は言葉を失います。


天正17(1589)年5月19日、西郷局(於愛の方)が駿府で死去、享年28。諡名(おくりな)は竜泉院殿。

慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、

あと13年8ヶ月──。

 

作:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
題字:GOO CHOKI PAR
──────────
松本 潤 (徳川家康)

有村 架純 (瀬名(回想))
大森 南朋 (酒井忠次)
山田 裕貴 (本多忠勝)
杉野 遥亮 (榊原康政)

板垣 李光人 (井伊直政)
音尾 琢真 (鳥居元忠)
小出 伸也 (大久保忠世)
北 香那 (お葉)
山田 真歩 (旭)
木村 昴 (渡辺半蔵守綱)
──────────
広瀬 アリス (於愛の方)
古川 琴音 (千代)
駿河 太郎 (北条氏政)
──────────
岡田 准一 (織田信長(回想))

佐藤 浩市 (真田昌幸(回想))

北川 景子 (茶々)

ムロ ツヨシ (豊臣秀吉)
中村 勘九郎 (茶屋四郎次郎(回想))
佐藤 隆太 (豊臣秀長)
松山 ケンイチ (本多正信)
和久井 映見 (寧々)
阿部 寛 (武田信玄(回想))
──────────
制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:堀内 裕介・国友 茜
演出:村橋 直樹

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『どうする家康』
第37回「さらば三河家臣団」

|

« プレイバックおんな太閤記・(42)秀次追放 | トップページ | プレイバックおんな太閤記・(43)母、ともの嘆き »

NHK大河2023・どうする家康」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« プレイバックおんな太閤記・(42)秀次追放 | トップページ | プレイバックおんな太閤記・(43)母、ともの嘆き »