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2023年9月17日 (日)

大河ドラマどうする家康・(35)欲望の怪物 ~運命の大坂城へ! 三成登場~

豊臣秀吉が徳川家康を臣従させるために、正室として妹を送り込み、さらに母まで人質に送ると知った家康。亡き瀬名の目指した和平の道は、家康の手で成さねばならないのかという於愛の方の言葉もあり、家康は肩の力が抜け ついに上洛を決意します。ついに上洛を決意された我らが神の君。秀吉はその人質として母・大政所を岡崎に送り──。

三河・岡崎城。大政所の仲は出迎えた旭と再会を喜び合います。輿に揺られた労わりに、大久保忠世は用意していた足湯に案内しますが、仲の視線は美男子の井伊直政に注がれていて、忠世の案内など耳に入りません。先ほどまでぶつぶつ文句を言っていた仲でしたが、直政を見つめて鼻の下を長くしています。

秀吉との会見前夜、宿としたのは秀吉の弟・秀長の屋敷。まさに敵陣真っただ中でございましたが──。豊臣秀長が明日の会見の打ち合わせを始めようとしたとき、秀吉が入ってきます。ギョッとする家康の肩に手を置き「よう来てくれたの」と涙を流します。しかしドライな家康は、そんな芝居はなしにとバッサリ。秀吉の合図でふすまが開くと、女たちが花びらを散らして待っていました。

酔っぱらった秀吉は羽目を外し、家康の家臣たちを一人ひとり寧々に紹介していきます。それほどまでに家康が臣従してくれたことが嬉しい秀吉は、しばらくすると横になって眠ってしまいます。相手を知るためにはみっともないなまりを使って下から見上げ、相手の本性を見極めるという秀吉のやり方だと秀長は教えてくれます。天下一統のために末永く支えてほしいと、秀吉に代わって秀長が頭を下げます。

家康は眠る秀吉の横に来て、「起きておいででござろう?」と言葉をかけます。ムクリと起き出した秀吉に、これから秀吉を支えていくと決意を表明します。「もう殿下に陣羽織を着させぬ覚悟」という家康に、ええな? それ。と秀吉は反応します。「陣羽織……明日、一同の前でそれやってちょ~でぇ」

 

翌日、上座に座する秀吉に向かって長直垂姿で現れた家康は、「天下一統のために励みまする」と頭を下げ、列する諸将からどよめきが上がります。半ば秀吉に促されるように、家康は掛けてある陣羽織を見て、頂戴したいと言い出します。秀吉はわざとらしく「あっぱれ!」と家康を褒めたたえ、諸将たちもなるほどとうなずきます。そんな芝居を見せられて、家康はフンと鼻で笑います。

もともとこの場には直政がいるはずなのですが、旭の進言で鳥居元忠と入れ替えられたのでした。もちろんそれは大政所のたっての希望だったわけですが、大政所の干渉に直政は戸惑いつつ、屋敷の周りに薪を積み上げている理由をただした旭に「寒くなってまいりましたので、薪に困らぬようにと」と回答しています。

しかし本当は、旭と仲という人質を得て家康を上洛させた直政が、もし家康の身に何か起こったら、この薪に火をつけて屋敷もろとも旭と仲を焼き殺すつもりなのです。やりすぎだという忠世に、秀吉に対する脅しで人質の役目とはこういうものだと、直政に悪びれた様子はありません。

祝いの宴も無事終わり、秀長は家康に頭を下げます。しかし秀吉は、この場に来なかった島津を叱り飛ばしに行くと言い出します。その代わり家康を東に向かわせ、関東の北条を叱り飛ばせと依頼します。厄介者の真田昌幸をどう扱うかですが、うまく飼いならせと言う秀吉に、家康は豊臣が裏からエサを与えたから言うことを聞かなくなったのだと皮肉を含めるのも忘れません。

浜松城には家康から於愛の方への文が届けられていました。日ごと夜ごと天下の行く末について語り合い、天皇にも目通りして「正三位権中納言」という位をいただいたとあります。そんな話をしている時にも、稲はだらけていますが、その態度に「あなたのお父上に言いつけますよ?」と脅します。稲の父親とは本多忠勝で、娘も恐れる武将です。

あ~ん、と直政にだんごを食わせて喜ぶ仲ですが、出世をして孝行息子だと直政がもてはやせば、仲は自分が幸せかと深く考え込んでしまいます。外を出歩くことも許されず、城の片隅に畑を耕して野菜を作り、こういう時だけ人質に出されるという人生です。家康が務めを終えて戻って来ると報告する忠世は、大坂へ戻れますと言葉をかけますが、直政が同行すると言っても、仲は深く考え込んだままです。

夜、家康は星空を見上げる男と出会います。石田三成です。南蛮では星々に神々の物語を見出すと言って、星空を見上げて丁寧に説明する三成に、おもしろい! と家康はつい笑顔になります。「古い考えに凝り固まっていては、ものの真の姿は掴めませぬ。政もまた、新たなるやり方、新たなる考え方が必要と存じます」 二人は気が合うらしく、いろいろな話を楽し気に交わして意気投合します。

 

いよいよ家康が帰途につく時が来ました。家康は秀吉に、お市の3人の愛娘について尋ねますが、秀吉はニンマリして、長女の茶々ともうじき……と言いかけて、秀長が真顔で遮り話題を変えます。真田を懐柔しなければ、北条攻めに秀吉が出ていくことになるわけですが、家康は宣言した手前、陣羽織は秀吉に着させないつもりです。

それに合わせて仲も大坂へ出立する時が来ました。しかし帰りたくないと駄々をこね出します。自慢のご子息と言われても、10歳ごろに家を出て行った秀吉がいつの間にか織田家の足軽大将に出世し、今や天下人で関白です。仲は秀吉のことは何も知らないわけで表情を曇らせます。「とんでもねえ化け物みたいでおっかねえ。誰かが力ずくで首根っこを押さえたらんと、えれえことになるんだないかのう」

家康が言った“戦なき世”を、秀吉は復唱しています。しかし戦がなくなったら武士たちをどうやって食わせていくのか。民たちももっと豊かにしなければならない。日本を一統したとしてもこの世から戦がなくなることはない とつぶやく秀吉は、振り返って明の大きな地図を見つめます。「切り取る国は、日ノ本の外にまだまだあるがや」

浜松に戻って来た家康ですが、近目が進んで判別できない於愛に、また尻を叩かれています。浜松を離れるにあたり、世話になったと礼を言うために城下へ赴く家康と於愛ですが、情けない殿に石だんごを食わせようとした老婆や、三方ヶ原で脱糞したと広めた男が、こんなに立派になった家康に謝罪してきます。家康は笑って許し、だんごを盗んだのも脱糞したのも自分だと言って笑わせます。

かくして、16年という月日を過ごした浜松の地を離れ、あの懐かしい今川館の跡地に建てたる駿府城へ。この新天地で、君の前に参じたのはこの方。家康の前に参上しても、無言を貫くのは昌幸と嫡子信幸です。酒井忠次から、真田の沼田領を北条に明け渡すように言われた昌幸は、拒否するとこれまでと同じ回答をします。

昌幸は、家康の横に置いてある高価な壺を信幸にやると言い出し、お前のものではないと皆から総ツッコミに遭いますが、昌幸が言いたいのはつまりそういうことで、自分のものではないものを人に譲ることはできないわけです。真田が切り取った沼田を、徳川が北条に譲れない──家康はじめ家臣たちはぐうの音も出ません。徳川の与力であっても所領を明け渡すことはできないと、昌幸は断固拒否します。

関白の指図でもある と正信が食い下がっても、格が下がるので容易く関白の名にすがらぬ方が良いと、昌幸には効きません。昌幸は家康を信用していないわけで、沼田に代わる領地を与えると言っても頷きません。昌幸は、信幸の妻に家康の姫をもらい受けたいと提案します。「ご重臣の姫君を、まずは徳川殿の養女にするという形でも構いませぬが?」

於愛に生け花を習っている稲ですが、ソワソワしている様子です。その背後から忠勝にジッと見張られていて集中できないわけです。忠勝は、於愛に一層厳しくしつけてほしいと要求します。「このままでは、輿入れ先がござらんでな!」


天正14(1586)年10月27日、徳川家康が大坂城において豊臣秀吉に謁見し、諸大名の前で豊臣氏に臣従することを表明する。

慶長8(1603)年2月12日、徳川家康が後陽成天皇から征夷大将軍に任命されるまで、

あと16年3ヶ月──。

 

作:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
題字:GOO CHOKI PAR
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松本 潤 (徳川家康)

有村 架純 (瀬名(回想))
大森 南朋 (酒井忠次)
山田 裕貴 (本多忠勝)
杉野 遥亮 (榊原康政)

板垣 李光人 (井伊直政)
音尾 琢真 (鳥居元忠)
小出 伸也 (大久保忠世)
岡部 大 (平岩親吉(回想))
山田 真歩 (旭)
鳴海 唯 (稲)

広瀬 アリス (於愛の方)
中村 七之助 (石田三成)
柴田 理恵 (老婆)
吉原 光夫 (柴田勝家(回想))
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岡田 准一 (織田信長(回想))

ムロ ツヨシ (豊臣秀吉)
佐藤 隆太 (豊臣秀長)
松山 ケンイチ (本多正信)
和久井 映見 (寧々)
高畑 淳子 (仲)
松重 豊 (石川数正(回想))

佐藤 浩市 (真田昌幸)
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制作統括:磯 智明・村山 峻平
プロデューサー:堀内 裕介・中村 周祐
演出:村橋 直樹

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『どうする家康』
第36回「於愛日記」

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