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2024年1月28日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(04)五節の舞姫 ~まひろ、天皇の御前で舞うが~

一方は「俺は貴族の子ではないからな……」と嘘をつき、もう一方は「私は帝の血を引く姫だから」と嘘をつく。そんな道長とまひろが出会うと、当然持つ疑問は「お前はいったい誰なんだ?」ですが、道長とまひろは相手の正体すらもよく知らない相手に惹かれていきます。そんな時に出会った謎の男。まひろの顔色がサッと変わります。

永観2(984)年、散楽の演者のひとりである直秀に、まひろは道長に謝るように詰め寄りますが、放免に追われる奴がみんな悪い者なのかと言われ、まひろは言葉に詰まります。道長は、すぐに獄から出てこられたわけだし、あまり気にする様子はありません。また見に来いと言われ、舞台の片づけに入ります。それにしてもあの男はなぜ道長がすぐに出て来られたことを知っていたのかと、まひろの疑問は尽きません。

まひろは何事にもとっさに嘘をついてしまうようですが、嘘に嘘を重ねてしまうので、察しのいい三郎(道長)にはすぐにバレてしまいます。まひろは正直に、自分が“何年も官職に就けていない藤原為時の娘”と打ち明けます。それを聞いて思うところがあったのか、道長は自分のことを正直に話そうとしますが、二人でいるところを藤原宣孝に見られ、連れ帰られてしまいます。道長はまた言う機会を失しました。

道長は帰り際、塀の屋根に上って座っている直秀に、もう散楽には来るなと言われてしまいます。どこで知ったのか、まひろが為時の娘で、道長が右大臣家の三男であることは分かっているようです。直秀は道長に、まひろを弄ぶな、右大臣家の横暴は内裏の中だけにしろと伝えます。道長はムッとして吐き捨てます。「そういうのは散楽の中だけにしておけ」

宣孝と屋敷に戻ったまひろですが、心配していたいとは、宣孝が引き止めて話をしていたと嘘をついたので、ホッと胸をなでおろします。宣孝は為時には言わないからあの男とはもう会わないように忠告しますが、まひろは、身分とはとかく難しいものだと感じています。身分の差があるからこそ争いが起こらないと宣孝は説明します。

まひろは、母を殺した咎人を突き止めず、間者になれという父がおかしいと主張します。つくづく、学問とは何のためにあるのかとまひろは頭が混乱しますが、倫子のことにも少し興味があって、間者として動いている自分もいます。分かることも許すこともできないと涙ぐみますが、宣孝は自分に吐き出せば心の荷を軽くすることはできると、肩をポンと叩きます。

道長は直秀に、弄ぶなと言われたことがショックのようで、ずっと考え込む道長です。そこを通りかかった詮子(あきこ)は、下々の女子と縁を切ったな? とニヤリとします。詮子は帝が譲位した時を見計らってあいさつに出向こうと考えていますが、その助言を道長に求めます。しかし道長はそれには答えません。道長に尋ねた時には、詮子はすでに答えを出していることが多いのです。

 

夜を徹した占いで、円融天皇の退位と新しい帝の即位の日が決まった。そして次の東宮は……。懐仁(やすひと)親王と決まります。「ただおひとりの皇子だから、順当よ」「大嫌いな詮子さまの産んだ皇子だけどね」「ご譲位、ご即位、忙しくなるわ」と口々に話しています。

師貞親王は藤原実資を呼び出し、自分が帝になっても蔵人頭になってほしいと持ちかけます。しかしそれは習わしに反することであり、実資は許してほしいと頭を下げます。師貞親王は、関白も左大臣も右大臣も信用ならず、自分を見捨てず支えてくれた者たちとともに政治を進めていきたいわけですが、それでも実資は「辞退いたします」とそっけないです。

思い通りにいかない師貞親王は、叔父の藤原義懐に甘えていますが、師貞親王は義懐の烏帽子を取り上げて大喜びです。当時、被り物を取られるということは、今でいうなら下着を脱がされたと同じ感覚の恥辱であった。

藤原兼家は新たな東宮の外祖父にあたり、権力を持つことになると公卿たちがこぞって挨拶しています。源 雅信はそんな公卿たちに「ひよっておるな」と笑いつつ、自分も隅に追いやられないように一の姫の倫子に、師貞親王に入内する気はないかと尋ねます。倫子の方が冷静で、女好きで通っている師貞親王に入内して、幸せになれるのかしら? とつぶやきます。

その夜、雅信邸に盗賊が忍び込みます。最初の一人がむしろを広げ、その上を音もなく駆け抜け、蔵の中の財宝をかますのような袋に入れてごっそりと運び去るのです。警備の者が大勢いたというのに、誰一人として気づかなかったと翌朝の歌の集いで喜々として話す倫子は、赤染衛門にたしなめられます。

いよいよ運が巡ってきたと藤原道隆が父に祝辞を述べます。ただ兼家が外祖父となって力をふるえるのは、孫の懐仁親王が帝になってからであって、次の帝・師貞親王をどうやって退位させるかを考えなければなりません。兼家は道隆と道兼に助言を求め、道長には何も聞かず何も発言の機会を与えないまま、3人の息子たちが揃ったからと宴を開きます。

相変わらず散楽の日に市を見渡すまひろですが、そこに道長の姿はありません。実はこっそりと抜け出そうとしていた道長ですが、我が家の結束のためと道隆に止められていたのです。結局は外出は許されず、行けませんでした。「あいつ来なかったな」と直秀はまひろに声をかけますが、まひろは残念がっています。

「朕に毒を盛ったのはお前と右大臣の謀(はかりごと)か」 あいさつする詮子の言葉を止め、円融天皇は詮子を睨みつけます。真意が分からず目が泳ぐ詮子ですが、何もかもお前の思うとおりになったな、と吐き捨てた円融天皇は、懐仁親王が東宮になるために譲位はするが、詮子のことは生涯許さないと言われてしまいます。詮子はみるみる顔色を失っていきます。

宴の最中、詮子は乗り込みます。毒を持ったのはまことですか! と叫び、兼家に詰め寄ります。道隆は妹をなだめますが、離せ! と手を払いのけます。あくまでも兼家はとぼけますが、詮子は懐仁親王の命も危ないと、その命は自分が守るとわめいて出ていきます。察しのいい道隆はおおよその事情を飲み込めたようで、何があってもお支え致しますと兼家に頭を下げます。道長は愕然とします。

 

この年の8月、師貞親王は帝となった。花山天皇である。そして藤原斉信の妹・忯子(よしこ)が入内した。師貞親王の目の前に三種の神器が運ばれ、即位の儀が終わると、天皇は床で忯子の手首を縛り、忯子は受け入れます。

こちらでは12年ぶりに官職を得た為時の祝いの宴が行われていた。為時は宣孝のおかげだと感謝しますが、宣孝は師貞親王が即位すれば日が当たると予言しただけだと笑います。月を見ているまひろを、また三郎のことを? と(太郎改め)藤原惟規はからかいます。実は為時のことを考えていて、嬉しそうな顔を久々に見たとつぶやきます。子どものころ、まひろは父が大好きだったのです。

内裏では帝が、民が銅銭を使いたがらない理由を尋ねます。物価が上がっていると頼忠がか細い声で答えますが、関白には聞いていないと天皇はピシャリ。長雨で作物が実らないと代わって藤原惟成が答えます。天皇は布一反を100文、銅一斤を60文と定めます。物価が安定すれば民が慶び、自分(帝)を尊ぶだろうと考えたのです。

それに対して兼家は、物の値打ちに人の手が加われば世の乱れと主張します。なぜこの理(ことわり)を申し上げなかったかと頼忠は指摘されますが、もはや帝には自分の意見は聞かないとうつむきます。義懐は帝の仰せだと言い、他にも凶作に際して帝自ら装束や食事を減らし模範を示すとのことで、民に伝えるように命じたとのことです。

その言い方はなんだ! と反発した兼家の怒りは、すべて頼忠に向けられます。やる気に満ちている帝は誰の言葉も聞かないと、頼忠は諦めモードです。いやいやいやいやと目くじらを立てる兼家ですが、雅信になだめられます。「様子を見てまいりましょう。右大臣は焦っておりますな」

藤原公任は、妹の忯子が入内したことで、斉信にも好機が巡ってきたと笑います。帝の女好きは病と言えるほどのものらしく、公任は忯子が飽きられる前に偉くなっておかねばとはっぱをかけます。皇子もそのうちできるよ、と道長は他人事ですが、帝に皇子が誕生すれば東宮懐仁親王の立場も危うくなるわけです。調子に乗って「毒を盛られるとか?」と口を滑らせ、場が凍り付きます。

 

五節(ごせち)の舞があり、雅信の家から舞姫を出さねばならなくなりました。五節の舞とは、収穫を祝う祭りのあとの宴。豊明節会(とよあかりのせちえ)で未婚の舞姫たちが舞を捧げる神事である。倫子はいやだと言い出しますが、雅信も無論同意見です。帝の前で舞を舞い、帝が見初めてお手付きになってしまったら大問題です。「ん……おりますわよ?」

白羽の矢が立ったのはまひろでした。まひろは倫子のように男からたくさん文が来るような女ではなく、高貴な方の目に留まるなどありえないと受け入れてしまいます。変なところに自信があるまひろに、倫子はニッコリ微笑みます。気楽に引き受けたまひろであったが、これは重い役目である。まひろは何度練習しても間違え、厳しく指摘されて困惑しています。

舞姫らは3日前に宮中に入り、身を清めて本番に臨んだ。帝と多くの公卿たちが居並ぶ前で、笙(しょう)などの雅楽が鳴る中 舞台に上がる4人の舞姫たち。まひろは舞いながら、居眠りする道長の姿を見つけて驚きます。そしてその隣にはミチカネ……。ミチカネという人殺しの隣に三郎……。

舞が終わり、引き上げる舞姫たちには、藤原三兄弟のことが話題に上がります。そこでまひろは初めて、三郎が右大臣家の道長であると知り衝撃を受けます。あまりのショックに呼吸が荒くなり、まひろはその場に卒倒してしまいます。

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
井浦 新 (藤原道隆)
吉田 羊 (藤原詮子)
玉置 玲央 (藤原道兼)
高杉 真宙 (藤原惟規)
秋山 竜次 (藤原実資)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
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ユースケ・サンタマリア (安倍晴明)
石野 真子 (藤原穆子)
本郷 奏多 (師貞親王(花山天皇))
坂東 巳之助 (円融天皇)
毎熊 克哉 (直秀)
橋爪 淳 (藤原頼忠)
益岡 徹 (源 雅信)
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佐々木 蔵之介 (藤原宣孝)
岸谷 五朗 (藤原為時)
段田 安則 (藤原兼家)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:大越 大士・川口 俊介
演出:佐々木 義春

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第5回「告白」

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